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タイトルコラム#1749(未公開)のポイント
記事No347
投稿日: 2007/04/27(Fri) 18:29
投稿者太田述正
 コラム#1749(2007.4.27)「地球温暖化によるパラダイムシフト(その2)」のさわりの部分をご紹介しておきます。

 面白いのは、高齢で大手術をして一時再起不能説がささやかれたキューバのカストロ(Fidel Castro)大統領が、健在ぶりをアッピールするためか・・、ブッシュ米大統領の上記2017年を目標年に設定したバイオ燃料奨励計画を批判する論考を3月末に発表したことです。
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 4月中旬に開催された南米エネルギーサミットの席上、大産油国ベネズエラのチャベス(Hugo Chavez)大統領は、トウモロコシを原料とするエタノール生産は、車に食わせるために貧者を飢餓に追い込むものだ、このカストロ論考と同趣旨の批判を米国に対してぶつけました。
 このサミットには、トウモロコシならぬサトウキビを原料にしたエタノール生産大国であるブラジルのルラ(Luiz Inacio Lula da Silva)大統領も出席しており、同大統領と3月にブラジルを訪問したブッシュ大統領の間で、ブラジルと米国のエタノール生産推進協力を合意したばかりであったため、気まずい雰囲気になったと伝えられています。
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 結局、食用作物のデンプンや糖分を原料とするエタノールでは、放出炭酸ガス減少効果は10%〜15%にとどまるところに問題があるわけです。
 そこで、各国が、非食用植物のセルロース(cellulose)を原料とするエタノールを安く生産する研究開発にしのぎを削っています。この第二世代のバイオ燃料なら85%程度の放出炭酸ガス減少効果があります。
 この研究開発で最先端を走っているのがデンマークでありカナダであり日本です。
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 日本でも、ついにバイオエタノール・・を・・ガソリンに混ぜた「バイオガソリン」が26日から横浜で売りに出されました。
 元売り各社は、「バイオガソリン」を販売する給油所を10年度に全国へ広げる計画です。
 しかし、現時点では日本のバイオエタノール生産はわずかであり、フランスから輸入された<もの>が用いられています。
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 欧米に比べてバイオ燃料の導入が遅れた日本ですが、第二世代のバイオ燃料を安く生産できる体制が整えば、急速に欧米に追いついていくことが期待されます。

 最後に一言。
 第二世代のバイオ燃料といえども、自動車の完全電気自動車化や水素自動車化までのつなぎにほかならないことを忘れてはなりません。
 というのも、バイオ燃料だって有毒な排気ガスを排出する点ではガソリンと変わりがないからです。
 4月18日に発表されたばかりの最新の研究によれば、・・ガンの発生率は両者の間で変わらないだけでなく、バイオ燃料はガソリンより空中のオゾン(ozone)をより増やし、そのためスモッグがより増える、というのです。
 スモッグが、肺機能や免疫機能を低下させ、様々な疾病を引き起こすことはご存じですね。
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(完)
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<太田>
 緊急オフ会は、5月19日(土)に2名参加申し込みがありましたので、この日の1330からにします。場所は練馬区豊玉南3-10-12野方パークハイツ305号室(03-3992-3342)です。
 最後のオフ会になる可能性もなきにしもあらずです。
 この機会にぜひご出席下さい。