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法と経済学
217 :
管理人 ★
:2023/02/16(木) 20:25:47 ID:kanrinin
『史記』の本文を読んでみるとわかるのは、宇宙の最初である黄帝の時代は、漢の武帝の時代のシナとまったく同じだということである。それは当たり前で、理論上は、漢の武帝の太初元年に宇宙の最初の状態が戻ってきたのだから、宇宙の最初の状態である黄帝のときには、シナの世界は漢の武帝のときとまったく同じ状態でなければならない。最初の天子である黄帝から代々の君主が天命を受け継ぐ、これを「正統」と言うが、「天下」つまりシナの世界を支配してきて、今上陛下、すなわち武帝が正統の天子として君臨している、というところで終わる。宇宙の最初の状態と、今の武帝の時代の天下の状態が同じだ、という前提で書かれているわけだら、変化があってはならない。世界に変化があれば、そのときには本当の天子がいないことになるので、それは正統の天子ではない、ということだ。だから、世界に変化はあってはならないのである。
正統の理論によると、天下にはいつでも必ず一人、正統の天子がいる。その時の正統の天子がだれであるかは、そのときそのときの状態で決まるが、そのようにして順次に受け継がれ、武帝に至っているというわけだ。変化しない正統の歴史というのが司馬遷の意識なのである。
これは、中国という国家の歴史でもないし、中国人という国民の歴史でもない。要するに、正統の皇帝の歴史なのである。これがシナおける歴史文化の伝統になってしまい、これからのち、現代にいたるまで、漢人の歴史観を支配しているのは正統の論理なのである。つまり、天下には一人しか正統の天子はいない。今の中華人民共和国の主張によると、正統の天子というのは中国共産党なのである。
ところが、困ったことがある。中国共産党も中国国民党も、一致して正統の天子であったと認めているのが、清朝の満州人の皇帝なのである。1912年の初めに、ラストエンペラーの溥儀(宣統帝)が政権を投げ出して、中華民国に政権を移譲した。そこまではいいのだが、その中華民国はいまだに台湾に存在している。ということは、シナの正統の歴史観でいうと、北京の中華人民共和国は、正統ではない、贋物であるということになるわけで、シナを支配する権利はないのである。シナを支配する権利があるのは、台北にある中華民国政府だけなのだ。
なぜ中国は台湾に対してあれほど不寛容のなのか、台湾は国家ではない。中国は一つであると主張するのか、ということがこれで説明がつく。台湾が対等の国家であることを認めたとたんに、中華人民共和国は正統の政権でなくなって、シナを支配する権利を失うわけだから、それだけはできない。司馬遷の『史記』がつくり出した、不変の正統の歴史というモデルがいまだに通用していて、中国人の国際社会での行動を束縛しているわけである。
岡田英弘 著作集 歴史とは何か1 P33
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中国共産党を倒すと天安門の毛沢東の看板を降ろすことになる。司馬遷の正統の天子の論理だと次の看板は中華民国の国旗になる。
米中対立は「国際法 VS 司馬遷の正統の天子」の戦い。
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