太田 述正 Web Forum
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タイトル コラム#1807(未公表)のポイント
投稿日: 2007/06/13(Wed) 22:04
投稿者太田 述正

 コラム#1807(2007.6.13)「北朝鮮をいたぶる米国(続x3)」のさわりの部分をご紹介しておきます。
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 北朝鮮と米国の間で、核問題をめぐって既視感のある光景が繰り広げられています。

 <まず、>米国の飴<の話からです。>

 BDAにある北朝鮮の資金2,500万米ドル(約30億円)を送金する問題は、北朝鮮が米国の銀行を経由させることに固執する一方、米財務省が、米国の銀行が仲介すれば、米国の反テロ法(パトリオット法)第311条に抵触するとして反対したため、袋小路に入っていました。
 しかし、何とか打開せよとの米大統領府の指示を受けて、米司法省と財務省は、連邦準備銀行に仲介させれば反テロ法違反にはならないという解釈を打ち出し、「BDA→マカオ金融当局→ニューヨーク連邦準備銀行→ロシア中央銀行→ロシア極東商業銀行にある北朝鮮の口座」というルートでの送金の実現に向けて、関係国の間で最終的な調整を行っています。
 当然、米財務省はロシア金融監督当局に対し、ロシアの銀行が北朝鮮資金を仲介しても米国から金融制裁 を受けないとの確約を与えているようです。
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 しかしそもそも、国際金融システムへの復帰(コラム#1729参照)を勝ち取ることを目指している北朝鮮が、たった1回の送金だけで満足するか、という問題が残されている・・上、米下院外交委員会の共和党トップのロスリーティネン議員ら6名の議員は、12日、送金問題で米政府当局がその促進にかかわることに疑念を示し、国内法や国連安保理決議に違反しないか米議会会計検査院(GAO)に監査するよう求めた・・ことから、本当に送金問題が解決するかどうかは、なお予断を許しません。
 それに、前から何度も申し上げているように、北朝鮮は、送金が実現すれば、六カ国協議での合意の第1段階となる寧辺核施設の閉鎖は実行に移す考えはあるようですが、保有する核リストの提出や無能力化を進める第2段階まで進む考えがあるかどうかは疑問であり、核問題が「解決」に至る運びとなるとは到底思えません。

 <次に、>米国の鞭<の話です。>
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 さて、上述の送金問題解決方法が浮上したちょうどその頃、いつものことながらそのタイミングを計ったように、6月6日、米国政府は国連開発計画(UNDP)に対し、北朝鮮によるUNDP援助資金の新たな横流し疑惑を指摘しました。
 すなわち、2001年から2002年にかけてUNDPから提供された資金のうち、少なくとも280万米ドル以上が、欧州とニューヨークの北朝鮮の外交官署に送られてフランス・英国・カナダでの不動産の購入に充てられ・・た<云々>、というのです。
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 北朝鮮に対するUNDP援助資金の提供は、既に今年3月に中止されています(コラム#1693、1729)が、それは、やはり米国政府によって、北朝鮮が国連の内規に反し、北朝鮮が指名した労働者をUNDPに雇わせ、しかも外貨でその労賃を支払わせていることが指摘されたからですが、すべてが米国の指摘通りであるかどうかはともかくとして、今回またもや北朝鮮の悪事が暴かれたことになります。
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 ・・6月5日にチェコの首都プラハを訪問したブッシュ米大統領は、北朝鮮をベラルーシ・ミャンマー・キューバ・スーダン・ジンバブエとともに「世界最悪の独裁国家」であると名指しした上で、「北朝鮮の国民は、政権に反対すれば非人道的な形で抑圧される閉鎖された社会に暮らしており、韓国にいる兄弟姉妹からも隔絶されている。・・われわれは決して皆さんを抑圧する者を許さない」と演説しました・・。
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 ブッシュは更に13日にワシントンの共産主義の犠牲者達祈念像・・の前で次のような演説をしました。
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 「<2001年の9.11同時多発テロと中共・北朝鮮・旧ソ連の圧政とは同じようなものだ。>・・わが国を攻撃したテロリスト達や過激派達は、共産主義者達のように、自由を軽蔑し、あらゆる異論を押しつぶし、拡張主義的願望を抱き全体主義的な目的を追求するところの暴虐なイデオロギーの使徒だ。・・共産主義者達と同様、われわれの新しい敵どもは過激なビジョンに仕えるために無辜の人々を殺害してもよいと信じている。そして、自由の下に生きている人々は弱くその自由な生活様式を守る決意に欠けていると主張している。・・ベルリンの壁が除去されてから、共産主義の記憶が一定程度薄れてきており、共産主義の犠牲者達のことを思い出す必要を、我々の多くが求められていることは間違いない。」。
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 後者の演説は、中共を北朝鮮や、何とアルカーイダと同列に批判するという、考えようによっては、大変な演説ですが、このところ、ブッシュは北朝鮮に対する憎悪を再びむき出しにしている観があります。
 米国による北朝鮮のいたぶり、そしてそのいたぶりに耐え抜く北朝鮮、というスペクタクルは、いよいよ佳境に入ったようです。
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<太田>
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