太田述正コラム#10322(2019.1.19)
<皆さんとディスカッション(続x3957)>

<太田>(ツイッターより)

 「立憲民主党・枝野幸男代表のお伊勢参り、ネットで炎上…安倍晋三首相…、国民民主党の玉木雄一郎代表…も…参拝…」
http://news.livedoor.com/article/detail/15888370/
 そう遠くない場所にある石清水八幡宮参拝を、自民党を含め、どの政党の党首もやろうとしないのが、戦後の日本が「武」を放棄した属国である証であるぞかし。

 「…神経症傾向の遺伝率は46%…統合失調症は82%、双極性障害(躁うつ病)は83%…自閉症の遺伝率は男児で82%、女児で87%、ADHD(注意欠陥・多動性障害)は80%…IQ…の遺伝率は77%…」
https://blogos.com/article/351978/
 IQ …の遺伝率は相対的に低いってわけだ。
 鳶が鷹を生むことは大いにありうるってことだな。

<太田>(昨日)

 皆さん、<[スライド#7]の>解説に関し、下掲の訂正を行います。

こういった批判もあってか、中国では、臣下達を含め、(唯物的目的を追求しつつ、)孝を忠よりも優先すること・・私はこれを、利己主義的な阿Q的人物達による一族郎党命主義と形容しています・・が、一貫して当然視され続けることになります。
 しかし、儒家の思想の核心部分が、中国の諸王朝のホンネになることはありませんでした。
 儒家は、親の子に対する無償の愛が仁愛(仁)であるとし、子に対して、その反射として、親への崇敬の念である孝を奨励するとともに、臣下等に関しては、子の親に対する孝のアナロジーで、主君や国家に対しては忠でなければならない、とし、そのどちらも重視すべきであるとしました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BF%A0
 しかし、実際には、漢人の間では、孝が忠よりも重要だと考えられており、それが変わることはありませんでした。

こういった批判もあってか、中国では、臣下達を含め、唯物的目的を追求しつつ、(すぐ後で触れるように)孝を忠よりも優先すること・・私はこれを、利己主義的な阿Q的人物達による一族郎党命主義と形容しています・・が、一貫して当然視され続けることになります。
 いずれにせよ、儒家の思想の核心部分が、中国の諸王朝のホンネになることはありませんでした。
 儒家は、親の子に対する無償の愛が仁愛(仁)であるとし、子に対して、その反射として、親への崇敬の念である孝を奨励するとともに、臣下等に関しては、子の親に対する孝のアナロジーで、主君や国家に対しては忠でなければならない、とし、そのどちらも重視すべきであるとしました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BF%A0
 しかし、実際には、漢人の間では、孝が忠よりも重要だと考えられており、それが変わることはなかったのです。
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 皆さん、[スライド#2]の解説<です。>

 私の造語である「人間主義」をちゃんと定義したことがなかったことを反省し、ちょっと前にここに掲げている定義をひねり出したのですが、人間主義とは何ぞやということの一端を分かり易く示してくれているのが、現在話題になっているゴーンの事案です。
 まず、ことの発端は、ゴーンが、日本での経営者・・オーナー経営者は除きます・・一般の水準に比べてかけ離れて高い報酬を求めたことですが、どうして、日本人の経営者は高い報酬を求めないのでしょうか。
 これは、そもそも、日本の企業そのものやその(大部分が人間主義者であるところの)従業員達が、日本の非営利組織同様、金儲けのための手段ではなく、企業は、当該企業が信じるところの、社会的な・・人間主義的なと言い換えてもよろしい・・役割を、できうることならば永続的に、経営者と授業員達が一体となって果たしていくための場である、と考えているからです。
 従業員達よりもかけ離れて高い報酬を経営者がもらうと、この一体性が壊れてしまう、というわけです。
 また、否認の被疑者・被告を勾留し続けたり、被疑者の取り調べに弁護士の同席を認めない、といった日本の刑事司法が、欧米諸国から人権に反すると批判されていますが、人間主義文明の日本では、人間主義者が多数を占めていて、日本以外の国に比べて、著しく犯罪が少ないおかげで、被疑者を「邪魔」が入らない環境で念入りに取り調べるなどという贅沢が許されるからそうしているのです。
 日本以外の国、つまり非人間主義文明の国では犯罪が多すぎて、とてもではないけれど、そんな手間暇をかけておられないことから、欧米諸国においては、被告に対する裁判の段階でもそうなのですが、その前の被疑者に対する取り調べの段階においても、ルールの下での官側と私人側の間での一種のゲームが、場合によっては陪審も交え、乱暴かつ粗雑に進行する、という形をとらざるをえず、とっている、ということなのです。
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 皆さん、そもそも、下掲を忘れていました。
 また、[スライド#4]の右側についての解説もまだでした。
 そのほか、既に申し上げているように、[スライド#10(旧13)]の解説が残っています。

      記

[スライド#9(旧12)]の解説

 覊縻とは、友好的な首長を選び、当該地方の地方長官に任じ、彼らがもともと有していた統治権を本国の政治構造における官吏であるという名目で行使させたものであって、冊封と直接支配(内地化)の中間形態ですが、このような支配地は羈縻州と呼ばれた
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%BE%88%E7%B8%BB%E6%94%BF%E7%AD%96
ところ、清は、李氏朝鮮を、羈縻州ならぬ、私の作った言葉ですが、羈縻国にしました。
 つまり、実態は羈縻州だが、国の体裁をとらせたのです。
 古今東西、これ以外の例はなさそうですが、日本(薩摩藩)にとっての琉球・・明や清の冊封国でもあった・・、が、強いて言えば似ています。
 以下、詳しくは、私のコラム#9510中の「朝鮮論II–朝鮮半島史の分水嶺」を参照していただくこととして、ごく簡単に説明しましょう。
 紀元前1000年紀央以降、朝鮮半島南部と日本とは、ほぼ同一文明圏を呈していた、というのが私の唱えている説です。
 そのことを直感的に教えてくれるのが、日本製か朝鮮半島製か決着がついていないところの、広隆寺の弥勒菩薩像です。
 新羅は初めて朝鮮半島を統一した王朝ですが、第一に、その王室が、三つの王統から成っていて王統間で王位が禅譲されたという牧歌的な伝説的「史実」を有する点で、放伐史的「史実」しか持たない支那史とは決定的に異なり、同じく牧歌的な、但し、「万世一系」の日本史を思い起こさせること、第二に、この三つの王室の祖のうち、一人は日本人、もう一人も日本人ゆかりの人物ないし日本人、という伝説があること、からだけでも新羅の日本性は濃厚である、と思いませんか。
 ところが、唐の内戦である「安史の乱」(755~763年)の最中の757年12月に、新羅の景徳王(?~765年。在位:742~765年)は、新羅の全国各地の地名を、一斉に、固有語から中国風の漢字2文字へと変更してしまうのです。

 そして、そのことが端的に示しているように、新羅は、日本文明を捨て、中国文明継受へと大きく舵を切ってしまうのです。

 その結果、成立するのが、これも私の命名である、朝鮮亜文明です。

 このスライドの右側については、詳しくは、私のコラム#10238中の「朝鮮論III–朝鮮亜文明」を参照していただきたいのですが、若干の注釈を加えておきます。
 「仁政の消滅」はお分かりになると思いますが、これとコインの表裏の関係にあるのが、朝鮮の支配層による、政治システムの中下層に位置するところの、苛斂誅求の対象たる、概ね労働行為に従事している者達、への侮蔑意識であり、国教になった儒教の教えもあり、「労働の蔑視」がもたらされるわけです。
 また、「民衆の過収奪」ですが、唯一の接壌国が、李氏朝鮮になってから、宗主国たる明ないし清であったことから、民衆が外敵側に逃散したり寝返ったりする事態を想定する必要がなかったので、支配層は、民衆から、その生存限界まで収奪を行うことができた、ということです。
 むしろ、そうすることで、国内における、王朝転覆につながるような、大きな民衆叛乱を、(そのための余剰を奪うことで)防止できた、というわけです。
 また、「想像力の貧困」ですが、前述したような唯物的な中国において、フィクション文学の発展が妨げられたところ、朝鮮では、支配層が、一貫して、自国語ではなく漢文(中国語)を使い続けたこともあって、その発展は一層抑圧されることとなり、それを象徴するのが悲劇フィクションの不在であるところ、これが「想像力の貧困」を招いたわけです。
 「朝鮮民族の超優秀性?
」の「?」は、断定を避けただけで、その可能性は高いと思います。
 で、そんなに優秀な民族が、まことにもって恥ずかしいような歴史を歩んでくる羽目になったことが、かの「恨の文化」をもたらした、ということにあいなるのです。
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皆さん、[スライド#10(旧13)]の解説<です。>

 仁政を行ったかどうかはともかくとして、名君として、日本では3人、中国では1人、あげられているのに対し、朝鮮では2人もあげられていますが、名君など皆無で苦慮した挙句、無理やり相対的にマシな方の国王を2人探し出した、というのが本当のところです。
 2人とも、韓流歴史ドラマでは、さぞかし美化されて描かれているのでしょうが・・。
 1人目の世宗の唯一と言ってよい業績はハングルの創製ですが、ハングルを普及しようとしなかったどころか、ハングルでの公文書作成すら命じなかったのですから、何をかいわんやです。
 (李氏朝鮮末期に、ハングルでの公文書作成を実現させたのは日本人でしたし、ハングルの普及は、日本統治時代の学校教育を通じて初めてなされたのです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%AB
http://kaitaku.npo-index.net/%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E3%81%AE%E6%A6%82%E8%A6%81/%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E3%81%AE%E6%95%99%E8%82%B2/ )
 2人目の英祖については、日本から入ったサツマイモを飢饉対策として普及させたという、仁政的な良いことを一つだけはやっていますが、さしたる理由もないのに、世子であった息子を残酷な方法で殺すという病理的な事績があり、およそ、名君どころか、人として失格でしょう。

<太田>

 それでは、その他の記事の紹介です。

 だんだん、ゴーンって精神障害じゃないか、という気がしてきた。↓

 「ゴーン元会長の10億円不正受給を発表 日産・三菱自・・・」
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL18HDM_Y9A110C1000000/
 「ゴーン被告 日産、三菱自の統括会社設立「非開示報酬が目的」・・・」
https://www.sankei.com/economy/news/190118/ecn1901180046-n1.html

 バンスキー「事件」、BBCもお取り上げに・・。↓

 Graffiti spotted in Tokyo could be Banksy artwork – maybe・・・
https://www.bbc.com/news/world-asia-46914599

 日本のひきこもり問題をこんな角度から報道。↓

 Rent-a-sister: Coaxing Japan’s young men out of their rooms・・・
https://www.bbc.com/news/av/stories-46885707/rent-a-sister-coaxing-japan-s-young-men-out-of-their-rooms

 欧米諸国の日本文明研究は、まだ、出発点に辿り着けてない感じだねえ。↓

 Marie Kondo and the Life-Changing Magic of Japanese Soft Power・・・
 There’s no reason both sides can’t keep benefiting from this venerable tradition of compare and contrast. As ever, the challenge on both sides is not to take it — or indeed ourselves — too seriously. The success of ikigai, forest bathing and Marie Kondo may indeed be telling us something. But it isn’t that Japan possesses a particular genius for good living.・・・
https://www.nytimes.com/2019/01/18/opinion/marie-kondo-japan.html

 この間、大臣は変ったが、金谷参謀総長は変っていないところ、もう1人、杉山元次官も変わっていない。
 でも、杉山には言及しないという不文律が、この記事にも貫かれているねえ。↓

 「・・・参謀本部の中枢が関与したクーデター未遂事件(三月事件)が発覚し、軍部の不穏な動きを憂慮する声が高まっていた。・・・
 <「外務省などを通じて」?・・アホちゃうの。↓>
 陸軍首脳が外務省などを通じて関東軍の動きを知るのは、その数日後とみられる。陸相の南と参謀総長の金谷範三が青ざめたのは言うまでもない。軍紀違反を取り締まると、昭和天皇に奏上したばかりだ。金谷は参謀本部第1部長の建川美次(よしつぐ)を呼びつけると、関東軍の手綱を引き締めにかかった。
 だが、手綱はすでに切れていた--。・・・」
https://special.sankei.com/f/society/article/20190119/0001.html

 いんにゃ、「全部の可能性」が「調べ」られるのはそう先じゃないような気がするなあ。↓

 「・・・将棋の場合、指し手の組み合わせは全部で10の220乗あると言われる。観測可能な宇宙全体の水素原子の数が10の80乗個と言われているので、将棋の指し手の可能性は事実上、無限大にあると言っていい。マシンの性能がどんなに向上しても、全部の可能性をしらみつぶしに調べることはできそうにない。・・・」
https://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20190111-OYT8T50014.html?from=ytop_ymag&seq=05

 中共官民の日本礼賛(日本文明総体継受)記事群だ。↓

 <人民網より。
 日中交流「人士」モノ。↓>
 「一個448円の本格派「中華まん」が日本で大ブーム・・・」
http://j.people.com.cn/n3/2019/0118/c94689-9539329.html
 「また日本市場への進出を果たしたBYD その成功の秘訣は?・・・」
http://j.people.com.cn/n3/2019/0118/c94476-9539222.html
 「日本酒をもっと知り、もっと楽しむ 2018 SAKE-China・・・」
http://j.people.com.cn/n3/2019/0118/c94473-9539166.html
 <日中交流人士モノ。↓>
 「中日企業がデータセンターのインフラ投資で基金設立・・・」
http://j.people.com.cn/n3/2019/0118/c94476-9539220.html
 「日本の学者「中国の改革開放は世界全体の発展を大きく後押し」・・・」
http://j.people.com.cn/n3/2019/0118/c94474-9539280.html
 <ここからは、サーチナより。
 習ちゃん、米国の大学から締め出される可能性を見越して、日本の大学への留学熱を煽ってきた可能性が・・。↓>
 「日本に留学するということは「どのような体験につながるのか」・・・」
http://news.searchina.net/id/1674775?page=1
 <うがち過ぎだよ。↓>
 「中国メディア・東方網は・・・日本はゲームを輸出するなかで、巧みに自国の文化を世界に広めていったとする記事を掲載した。・・・」
http://news.searchina.net/id/1674777?page=1
 <定番。↓>
 「国土も資源も限られた日本、不思議なほどの創造力と技術を持つのはなぜか・・・中国メディアの百度・・・」
http://news.searchina.net/id/1674791?page=1
 <これもだ。↓>」
 「冗談じゃないのか・・・日本に行ったら本当に冬でも学生が短パンミニスカだった!・・・中国メディア・東方網・・・
http://news.searchina.net/id/1674781?page=1
 <これもまたそう。↓>
 「日本のコンビニはすごい「本当の『便利』がそこにある」・・・今日頭条・・・」
http://news.searchina.net/id/1674794?page=1
 <まあ定番。↓>
 「日本を訪れるなら「買い物だけじゃ勿体無い!」、オススメはここだ!・・・今日頭条・・・」
http://news.searchina.net/id/1674790?page=1
 <習ちゃんが、日本の将来を心配している、と受け止めるべきか・・。↓>
 「日本を訪れた元留学生、「日本人の生活からは安心が失われつつ・・・」・・・中国メディアの快資迅・・・」
http://news.searchina.net/id/1674793?page=1
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 一人題名のない音楽会です。
 近藤由貴の2回目です。
 今回は、ご本人が、【運動会の曲】と銘打ってアップした4曲と、私が、学校で流れていても不思議ではない、と勝手にですが見たところの、元気一杯の諸曲をお送りすることにしました。

【運動会の曲】天国と地獄より(Offenbach-Orpheus in The Underworld,Galop)
https://www.youtube.com/watch?v=9QDM2nm8xnQ

【運動会の曲】トリッチ・トラッチ・ポルカ(Tritsch-Tratsch-Polka Piano)
https://www.youtube.com/watch?v=SpK9JsnBc-0

【運動会の曲】トランペット吹きの休日(Leroy Anderson: Bugler’s Holiday)
https://www.youtube.com/watch?v=6drqj6BgxRY

【運動会の曲】カバレフスキー: 組曲「道化師」よりギャロップ(Kabalevsky: The Comedians “Gallop” )
https://www.youtube.com/watch?v=QbBjQg4pZfA

コロブチカ (Korobushka (Korobeiniki) )
https://www.youtube.com/watch?v=MZWb8vpnmm4

ウィリアム・テル序曲より(Rossini: William Tell Overture Finale)
https://www.youtube.com/watch?v=-JhdJJq9-3I

アメリカン・パトロール(Meacham: American Patrol)
https://www.youtube.com/watch?v=b8GW5BzIQx8

口笛吹きと犬(The Whistler and His Dog)
https://www.youtube.com/watch?v=3XdcnqWkvnc

ラデツキー行進曲(Radetzky March Piano Solo)
https://www.youtube.com/watch?v=qOtOy8eyhps

威風堂々(Elgar: Pomp and Circumstance March No.1 Piano)
https://www.youtube.com/watch?v=QBsvHMSrdT4

おもちゃの兵隊の行進曲(Jessel:The Parade of the Tin Soldiers)
https://www.youtube.com/watch?v=Db-ENJDkj3E

 で、口直しに、学校では絶対流れない、艶っぽい曲を2つお送りしておきます。

あなたが欲しい(ジュ・トゥ・ヴー)(Satie:Je te veux)
https://www.youtube.com/watch?v=RCNWKS4TrY0
 歌唱:Elisabeth de Mestral ←体格からして近藤さん、歌唱もできそうなのに・・。
https://www.youtube.com/watch?v=p5l3JBbAYsw

愛の小径(Poulenc:Les chemins de l’amour)←私にとって初聴曲。いい曲ねえ!
https://www.youtube.com/watch?v=0tGKbUk0wto
 歌唱:Elisabeth de Mestral ←上と同一歌手だが、お年はいかんともしがたい。
https://www.youtube.com/watch?v=QfUcyJ464dY

(続く)
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太田述正コラム#10323(2019.1.19)
<丸山真男『政治の世界 他十篇』を読む(その3)>

→非公開