太田述正コラム#10472006.1.16

<男女比率をめぐる諸問題(その1)>

 (21日(土)の私の事務所でのオフ会出席希望者が、依然3?4名にとどまっています。遠慮されずに、手を挙げていただければ幸いです。なお、事務所への道順ですが、西武新宿線野方駅(急行や準急は止まりません)を降りて、改札口を出て、右手の踏切を渡って、ずっとまっすぐ北方へ歩いてください。右側にブックオフが見えてきた時点で全行程(約15分)の三分の一くらいです。更にずっとまっすぐ歩いていくと、左側の角が駐車場になっている交差点(交差点の向こう側左手に「サンクス」の看板あり)にさしかかるので、ここを左折して、最初のビルが野方パークハイツ(練馬区豊玉南3?10?12)です。最初の入り口から入って階段を三階まで上がってください。305号室です。電話:03-3992-3342

1 始めに

 この世の中、なかなかうまくいかないもので、女性が少なくて困っている国もあれば、多すぎて困っている国もあります。

 今回は、これらの国をご紹介しましょう。

2 女性が少なすぎるケース

 (1)インド

女性が少なすぎて問題になっている最も有名な国はインドです。

超音波検診器によって、胎児の性別診断が1979年からインドでなされるようになりました。

爾来、1998年までの20年間で1,000万の女の胎児が堕胎され、胎児の性別診断が禁止された1994年から現在まで、毎年約50万、計500万人の女の胎児が堕胎された、と推計されています。

インド政府による少子化奨励と経済発展に伴い、インドも急速に小家族制に移行しつつあります。ところが、インドでは牢固たる男尊女卑観念が残っており、その上、女の子を嫁に出す時に多額の持参金を持たせなければならない慣習が生きている(注1)ため、みんな男の子(だけ)が欲しく、結果的に女の子が間引かれてしまうのです。

(注1)ハイテク都市としてしられるバンガロール(Bangaloreでさえ、持参金が少なかったために夫に生きながら焼き殺される妻が後を絶たない。

当然のことながら、インド人口の男女比はいびつなものになってしまいます。

2001年の調査によれば、新生児は、男が1,000人に対し、女は927人に過ぎません。

しかも、所得が高い層が住んでいる地域ほど、生まれてくる女の子の比率は少ないのです。所得が高ければ、検診を受けたり堕胎したりする施設が近くに沢山あり、またその費用が気にならないからです。イニシアティブをとっているのは、女性です。自分が経験した苦労を子どもには味わわせたくない、というのです。このような地域では、男1,000人に対し、女700人台といった所もめずらしくありません。

(以上、http://www.csmonitor.com/2006/0113/p01s04-wosc.html(1月13日アクセス)による。)

(2)中共

 一人っ子政策がとられてきた中共でも、男女比率のゆがみが問題になっています。

 中共での1999年の調査によれば、新生児は、男120人に対し女100人に過ぎません。

 (3)最悪のシナリオ

 世界の総人口の40%を占めるインドと中共の両国における、人口の男女比のゆがみは、人類全体にとってもゆゆしい問題です。

 というのは、最悪のシナリオによれば、「余分な」男達は、往々にして貧しく失業しているため、結婚することもできず、その上、経済状況全般が悪化するようなことがあれば、これらの男達は犯罪と暴力に走る懼れがあるからです。その場合、インドや中共は、これら「余分な」男達を「処理」するために、軍隊を膨張させ、戦争を起こさざるをえなくなる、ということも大いに考えられる、というわけです

(以上、http://www.guardian.co.uk/comment/story/0,3604,1686165,00.html(1月15日アクセス)による。)

(続く)