太田述正コラム#11377(2020.6.28)
<皆さんとディスカッション(続x4483)>

<太田>(ツイッターより)

 20:00ジャストにお開きになった本日の東京オフ会参加者は私を除き7名(うち1名はSkype参加)。
 遠方の読者提供の冷凍酒を楽しむと共に、初めて、ピザを買ってきてもらって食べながら懇談を続けた。
 次回の東京オフ会は9月26日(土)。
 幹事、その他の参加者の皆さん、コロナ禍下、お疲れさまでした。

<dlXCYF/g>(「たった一人の反乱(避難所)」より)

 コラム#11375、読むのに数時間を要した大作でした。ありがとうございます。
 秀吉の唐入りの目的は支那のリブートまでだと思っていましたが、本気の侵攻だったということでしょうか。
 一方徳川幕府の評価はどんどん下がっていきそうな感じですね。

<TSY>

 太田さん、昨日は楽しい会をありがとうございました。
 今後、どんな論を望むかというご下問があったように記憶しています。
 僕の希望を書いてみました。添付しました。
 ご笑覧ください。
 以下は雑談です。
 法華経への僕の違和感は、できの悪い坊主が、先人のお経をこわごわまねして書き、見事まねできた、アホな喜びを感じてしまう、ということです。なんで、ここで、この列挙をするのか、なんで、ここで、こういう形容詞を使うのか、厳しい語の選択を感じません。朗唱効果を重んじて意味は二の次という言い訳が成り立つのは知っています。それでも、個人的にはイヤです。まして古典なんぞとはいいたくありません。
 宮沢賢治、太田さんの影響で、『グスコーブドリの伝記』再読しました。自己犠牲の神話になれる、見事なフィクションだと感心しました。ただ、おもしろいことに、法華経と同方向の臭みを、すいません、ほんの少し感じてしまいました。林業、養蚕業、火山学、飛行技術、そういった技術の知識が、味わうには、どこか必要になってきます。で、僕が意地悪なのは承知で書きますが、やっぱり、どこかそういう知識を駆使できる、自分に酔っていいる作家を感じてしまいます。
グスコーブドリの伝記の、飛行技術の道具立ては、賢治より21歳年上の、フランスの作家 Raymond Roussel の Locus Solus という小説と印象が重なります。賢治の想像力が、フランスの都会派作家と同質だとすれば、賢治の世界は、フランスには(多分欧米で)通用する気がします。ですから、想像している内容自体には、まったく文句ありません。僕が問題にしているのは、手つきだけです。
ここを、書くために、Wikipediaを引いたのですが、賢治とRousselは没年がともに1933年でした。
 縄文的心性ということでは、浜田廣介の『泣いた赤鬼』はいかがでしょう。僕はこれを仕事で、人形劇化したとき、人形劇台本を書きました。いや、一読してびっくり、無駄がないんです。台詞にも地の文にも。それいらい浜田は僕にとって偉い作家です。

[添付文書]

● 要点をまとめる
論の真理性は、細部を確実にすることで、高まります。ですが、細部を並列的に記述していくと、二つの点で問題が生じます。一つはその論の核心が不明瞭になること。もう一つが、その論の活用、発展、異説との対決、が不可能になることです。
要点をまとめるのも、大事な知的作業だと、思います。たとえば、こんな表を、作っていただくというのはどうでしょう。

島津齊彬
 立場          :源頼朝直系家系として徳川家も一目おく名家。有力な公家・大名と姻              戚関係
 人間主義的活動     :庶民生活と直結した米の値段を把握。韓国、中国も含めたアジアの白              人支配打破というビジョンの樹立。
 縄文的人間主義の活性化 :日蓮宗に入信
 武士(縄文弥生人)的活動:西洋軍事技術の体系的習得を部下を組織化して実行させる。
聖徳太子
 立場          :父も天皇。おばにも、おじにも天皇がいる。
 人間主義的活動     :<四天王寺に「四箇院」を設置した。>
 縄文的人間主義の活性化 :人間主義的な仏教を選別導入。
 武士(縄文弥生人)的活動:中国に対応できる、軍事組織を構想。命令系統の序列を官位制で明確              化。

独創的な説は、作ったひとがまとめないと、歪みます。これは、学説継受の上で、大マイナス。ご配慮いただけると幸いです。

● 豊臣秀吉の教育
太田さんから僕が学んだことは、その人物の教育課程をよく観察することでした。豊臣秀吉が親族を通して日蓮宗の影響をうけたというご指摘は、大変重要だと思いました。こういうのを知ると、秀吉そのものへの興味が広がります。秀吉の教育課程をもっと知りたくなります。ぜひ、このあたりのことを、研究していただけないでしょうか。秀吉の権威は、信長の仇討ちをしたことが源泉な気がします。だとすると、秀吉を語るには信長は必須ですよね(スイマセン、ここ信長好きという個人的趣味が入っています。信長はイエズス会をつかって当時は仏教に結集していた日本の縄文的人間主義を再活性化しようとしたというような展開になるとおもしろいのですが、どうでしょう)。
「楽市楽座」「刀狩り」「検知」「関所の廃止」。信長や秀吉の政策は、その意図と効果を、外国への対応も含めた安全保障という観点からすべて再評価することも、研究テーマになるような気がします。

● 神道
結界について。昭和天皇と特別に仲がよかった南方熊楠は、自分の粘菌研究の採集地を守るという狙いもあって、神社の保存(神社周辺の樹木帯も含め)に論陣をはっています。現代は自然保護運動の観点で研究されてばかりいる南方熊楠です。太田さんであれば、神道を知るための手掛かりを、南方の文章(または南方について書かれた研究)から抽出できると思います。また結界について、治水効果のような誰でもいえることではなく、縄文の芯、人間主義の成立要件を探る、思考の出発点にできる可能性もあるなと思います。
南方熊楠は全集もでているようですが、僕は、平凡社の東洋文庫シリーズの『南方熊楠文書 1,2』が印象に残っています。ご参考まで。

● 農業技術、漁撈技術、林業技術、狩猟技術
縄文の研究には、農、魚、林、狩の常識的(時代や場所を越えてあてはまる知見)と、縄文時代日本の考古学的に発見された、この時代の各技術の知識(常識的なのものと縄文特有なものの混在)が、縄文という時代を知るための基礎データになる気がします。逆に、普通の文献情報の史学、思想史だと、検討材料が不足するような気がします。
生活の全てを修行ととらえるのが縄文的価値観だとすると、生活の中核たる、生産技術には、色濃く縄文的価値が投影されているはずです。
 (今の東京の食材生産技術とその流通技術は世界最高というシェフが僕のまわりには複数います。いずれも外国での調理経験の長い人達です。PCや家電が凋落しているのと対照的と思って僕は記憶していましたが、これが縄文的心性と結びつくと愉快です)

<太田>

 「<>」を、コラム#11375から、入れさせてもらいました。

<太田>

 コロナウィルス問題。

 <0じゃない残念さよ。↓>
 「・・・971人(+1人)・・・」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55811680Z10C20A2I00000/

 その他の記事の紹介です。

 棋聖戦・渡辺・藤井戦をながら観戦中。↓
https://abema.tv/now-on-air/shogi

 日・文カルト問題。↓

 <韓国の勝利。↓>
 「・・・累計死者数は前日と変わらず282人。・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/06/28/2020062880016.html
 <ロシアが、かつてG7に参加、ということになった時に反対しなかった日本政府の腰抜けめ。↓>
 「日本、拡大G7の韓国参加に反対 対中、北朝鮮外交に懸念・・・」
https://www.msn.com/ja-jp/news/politics/%e6%97%a5%e6%9c%ac-%e6%8b%a1%e5%a4%a7g7%e3%81%ae%e9%9f%93%e5%9b%bd%e5%8f%82%e5%8a%a0%e3%81%ab%e5%8f%8d%e5%af%be-%e5%af%be%e4%b8%ad-%e5%8c%97%e6%9c%9d%e9%ae%ae%e5%a4%96%e4%ba%a4%e3%81%ab%e6%87%b8%e5%bf%b5/ar-BB162Upd?ocid=UE03DHP
 <これを屈辱と受け止めない、韓国マスコミのおめでたさよ。↓>
 「[韓流]韓国ドラマが日本で再ブーム 「愛の不時着」など人気・・・」
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20200626001900882?section=entertainment-sports/index
 <バカバカしい。↓>
 「不買運動で苦境の日本車 ホンダ営業益9割減・日産は撤退へ・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/06/28/2020062880017.html
 <おや、まだやってたの?↓>
 「慰安婦団体関係者を相次ぎ聴取 前代表の呼び出しも調整=韓国検察・・・」
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20200628000400882?section=society-culture/index

 今度はウィルソンがキター!↓

 Princeton to remove Woodrow Wilson’s name from policy school・・・
https://www.bbc.com/news/world-us-canada-53207649

 もう白黒経済平等の実現は諦めた方がいいね。
 奴隷制補償を真剣に考えるべきだよ。↓

 The Black-White Wage Gap Is as Big as It Was in 1950–Recent research indicates little progress since the Truman administration.・・・
https://www.nytimes.com/2020/06/25/opinion/race-wage-gap.html

 中共官民の日本礼賛(日本文明総体継受)記事群だ。↓

 <だから?↓>
 「中国人にも人気が高い日本のあの観光スポット・・・江の島・・・、実は「猫島」だった・・・中国メディア・東方網・・・」
http://news.searchina.net/id/1690568?page=1
 <定番。↓>
 「日本は強国だった! 国土は小さいと思ってたが「海に目を向けてみたら・・・」・・・中国メディアの百家号・・・」
http://news.searchina.net/id/1690570?page=1
 <概ね定番。↓>
 「日本嫌いだった中国人が「日本が嫌いじゃなくなった理由」・・・中国メディアの捜狐・・・」
http://news.searchina.net/id/1690573?page=1
 <この説明部分は新しい。↓>
 「日本は技術力が高いのに、なぜ日本発のスマホが世界で成功しないのか・・・中国メディアの百度・・・
 一つ目は、部品の供給の面で他の企業と連携するのが苦手、というもの。例えば、サムソンはアップルにディスプレイを供給している。アップルとサムソンは、スマホ開発については競合しているが、部品の供給については協力している。日本企業は国内外を含め他社との連携を取るのが苦手で、結果としてスマホ開発が遅れている・・・」
http://news.searchina.net/id/1690571?page=1
 <あいよ。↓>
 「日本人が言ってるぞ! 「南京でさえ日本人が行っても危険はない」と・・・今日頭条・・・」
http://news.searchina.net/id/1690572?page=1
 <同じく。↓>
 「美しい「和傘」は単なる雨具にあらず! 「これはもはや芸術作品」・・・中国メディアの騰訊・・・」
http://news.searchina.net/id/1690574?page=1
 <これもそう。↓>
 「金儲け主義に走る中国の寺に比べて日本の寺は良心的、なんと無料で仏を拝める・・・中国のポータルサイト・百度・・・」
http://news.searchina.net/id/1690575?page=1
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太田述正コラム#11378(2020.6.28)
<2020.6.27東京オフ会次第(その2)>

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