太田述正コラム#11378(2020.6.28)
<2020.6.27東京オフ会次第(その2)>(2020.9.19公開)

2 オフ会次第(Oは私。順不同。)

A:自分は医者だが、コロナは、BCG説が正しそうだと思っていて日本に関しては唯の風邪だという認識なので、マスクをしないこともあるのだが、周りの人々の自分を見る眼付が鋭くなる。
O:先日、ドンキホーテにマスクをし忘れて行ったところ、周りのみんなの突き刺すような目付で、自分がマスクをしていないことに気付かされた。
A:日本史を習った時に白村江の戦いなんて、本当にあったのかと疑問に思っていたのだが、今回の「講演」原稿で、元寇の時に漢人がこの600年も前の戦いに言及していることを知り、ちゃんと記録が残っていたのだなあ、と思った。
O:支那には、史記から始まる正史群があり、元が日本侵攻を考えているとなれば、漢人たる廷臣の側から、こういう戦いが記されていますよ、と、ご注進したはずだし、そもそも、誰であれ、戦う時には関連戦史を渉猟するものだ。
B:太田さんは、どうして聖徳太子コンセンサスに到達したのだったか?
O:思い出せない。
A:摂関政治の頃、藤原貴族達は地方の治安悪化を放置した、という印象を持っていたが、彼らもまた、聖徳太子コンセンサス/桓武天皇コンセンサスを承知の上で見守っていた、ということなのだな。
O:そうだ。
A:そもそも、権威を天皇が、権力を摂関が、という発想はどこから来ているのか。
O:推古天皇が権威を、厩戸皇子が権力を担ったのが、先例になったと思う。
 この厩戸皇子が、実はいなかったという有力説があるわけだが。
C:イエス・キリストが実在しなかったという説と同じような話だ。
 たとえ実在していなかったとしても、間違いなく存在はしていた。
D:太田さんは、中共軍が国軍にならないのは、日本の幕府に倣ったものだという説だが、たまたまそうなっただけでは?
O:権力掌握まで党軍であるのは当たり前だが、権力を掌握すれば、今度は当然国軍になるはずなのに、党軍に留めた、というのだから、しかも、20世紀に、そんな事例は世界を見回してもなかった(・・党軍的なものを国軍と併存させる例はあったかもしれないが・・)のに、そうしたのだから、熟慮の上のはずだ。
 中共は封建制国家ではないのだから、幕府制を導入したところで、軍幹部達に領主たることに基づく一所懸命意識を抱かせることはできないが、党員でなければ、人民解放軍の一員にはなれないはずであり、ということは、党員になる前に党青年団に入るのが通例であろうところ、それが、いわば、戦前の日本における幼年学校的な機能を果たしているのだと思うし、党員は特権を伴う選良であることから、一所懸命意識に相当する党員資格執着意識、とでも言うべきものを彼らが抱いていて、それが、(誰でも入れる)国軍にすることによって失われることを毛沢東らは危惧した、ということではないか。
 それにしても、世界の誰も、その理由をきちんと研究していなさそうなのは不思議だ。
D:太田さんは日本「独立」を諦めたようだが、米軍が撤退すれば日本人の意識も変わる、と、思うのだが・・。
O:既にトランプは米軍撤退を口にし始めているが、日本人の意識の変化の兆し的な議論が全く起こっていないことから、実際に撤退したところで、同じだろう。
 そもそも、3.11があっても、米原子力空母の横須賀母港状態への反対運動が「左」からすら殆ど起こっていないことに呆れた時点で、日本「独立」など断念すべきだった。
 私が幹部自衛官達に期待してしまったのは、少し前に書いたように、彼らの中に何人か(私の言うところの)縄文的弥生人がいたからなのだが、それは、彼らが旧軍出身者達を上司に持ったり、彼らから教育を受けたりした自衛官達で(、なおかつ、彼らにもともと縄文的弥生性的な感受性が)あったからだと思われる。
 (しかし、今、思い返してみると、彼らは圧倒的少数派だったし、いくら彼らの中に最高幹部クラスになった者だって複数いたからといって、対宗主国向け見せ金に過ぎない存在であり続けてきた自衛隊が形成した縄文的組織文化の中で、彼らは刻印を残すことができなかった、ということだろう。)
 しかも、私が立候補した頃、自衛官出身の自民党議員がゼロになってしまっていたことを、自衛官幹部達の自民党忌避意識の産物、と私は見誤ってしまった、ということもあった。
 その後、(元ヒゲの隊長だった)自衛官出身の参議院議員が出現し、ガックリきた。
 縄文的弥生人であれば、自民党なんて耐えられないはずなのに・・。
 ついでに言えば、軍オタ連中についても、私は見誤っていた。
 彼らは、日本で圧倒的少数派ながら、自衛隊をまともな軍隊にしたいという殊勝な考えを持った連中だと誤解していたのだ。
 だから、彼らが、私の、ミリバラに依拠した記述等を取り上げて攻撃を仕掛けてきた時に、迷える羊を善導すべく、目を細めて、最後まで優しく対応したわけだ。
 しかし、彼らはそうじゃなかった。
 (連中だって、自民党「タカ」派中、珍しく軍オタであるところの、石破茂
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%B3%E7%A0%B4%E8%8C%82
・・腐敗はしていなそうだし、独自のインチキ憲法9条解釈論を唱えつつも安倍改憲には反対しているから、安倍チャンよりは若干ではあれマシだが・・の民間版に過ぎなかったわけだ。)
 そうと知っておれば、もっと厳しい対応をすべきだったと悔やんでいる。
D:ディスカッションで日韓コロナ死者競争的な言葉を太田さんは使っているが、東アジアを一括りにして欧米等と比較することに徹すべきではないか。
O:いや、強制力を伴わない形で日本が韓国よりもいい結果を残せたら、韓国の人々の対日認識も少しは改善するか、と淡い期待を持っているからだ。
 今のところ、日本が勝利する可能性は少ないが、コロナ禍は長丁場になりそうなので、完全に終わった時点では、まだ勝利する可能性はある、と思っている次第だ。