太田述正コラム#12412006.5.20

<子供の近視はよくなるのか(続々)(その1)>

1 始めに

 本日20日は第三土曜日で、女医先生の医院がお休みなので、近視の通電治療をやっているもう一箇所の眼科医院に家内と息子を連れて行ってきました。

2 通電治療の結果

 息子にとっては、18日に続く、二回目の通電治療でしたが、治療前は両目で0.2だった視力が治療後は何と0.6にはねあがりました。

 18日には、通電治療前は0.15でしたから、丸二日経っても、治療効果が若干は残っていたことになりますし、通電治療後の視力は、0.4弱から0.6に上がったことになります。

 50歳近い家内も、眼精疲労気味だったので、通電治療を希望して受けました。

 その結果は、0.60.8に上がりました。

 午前中に通電治療を初めて受けた人でも、治療後本を読んだりしなければ、午後しばらくの間は上がった視力が維持できるとのことなので、家内の場合、直前に通電治療を受ければ、自動車運転免許証の更新の際に、眼鏡指定なしの更新(裸眼視力0.7以上)が可能になるわけです。

 今回は前回と違って、幸いなことに息子は治療後、偏頭痛が出なかったので、今後心おきなく、通電治療が続けられそうです。(診療なしなら通電治療は一回1,000円ですみますが、前後の検眼代が500円かかるのではないかと思います。)

 そこで、16日に入会していた視力回復センターをキャンセルするために電話をかけ、その際、視力回復センターには全く不満はないが、と前置きをした上で、通電治療の話をしておきました。センターはこの治療法について、今まで聞いたことがなかったようです。

3 感想その一

 今回、子供の近視治療事情について、英米のインターネットサイトまで調査の手は広げませんでしたが、欧米では眼鏡をかけている人が日本人や韓国人に比べる少なく、とりわけ子供に関しては、眼鏡をかけている子供を欧米で見た記憶がほあまりありません。

 ですから、子供の近視治療手法については、日本が世界の研究の中心であっても不思議はないところ、その研究の低調さには正直唖然としました。

 眼科医にとって、病気でもない近視の研究には力が入らない、というのは分からないでもありませんが、それだけではなく、眼鏡業界の思惑もあるのではないか、と勘ぐりたくなってしまいます。

 そもそも、眼科医で、眼鏡の処方箋を出すだけでなく、眼鏡そのものを売っているところが少なくないことも今回気がつきましたが、そのことも無関係ではなさそうに感じました。

 また、文部科学省や厚生労働省がほとんど関心を持っていないように見受けられるのも、(具体的なデータはまだ眼にしていませんが、)子供の近視の増加傾向がとまらないだけに理解しがたいことです。

4 感想その二

 私の眼には、この問題が青少年の体力の低下傾向とだぶって映ります。

「走(「50m走」・「持久走」)・跳(「立ち幅とび」)・投(「ソフトボール投げ」又は「ハンドボール投げ」)の基礎的運動能力及び握力(「筋力」)の年次推移の傾向をみると、長期的には、・・・ほとんどの年齢段階でいずれの基礎的運動能力及び握力も低下傾向にある・・・」(平成16年版青少年白書。http://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h16zenbun/html/honpen/hp010200.html(5月20日アクセス))ことはご存じの方が多いと思います。

 この白書には、運動・スポーツの実施と新体力テスト合計点との関係をみると,積極的に運動・スポーツを実施している群(週1??2日程度)の体力水準は,運動・スポーツを実施していない群との差が9歳ごろから明確になり,発育とともにその差は開く傾向を示している」とあり、体力低下の原因は運動不足だとしています(典拠同上)。

では、この運動不足の原因は何か?また、ここでは出てこない近視の増加の原因は何か?

私は、どちらの原因も受験勉強の低年齢化である可能性が大だと思います。

進学等の塾の勉強で忙しくて、小学生が十分遊びでかけずり回れず、また、運動・スポーツを規則正しく行うこともままならないために、生涯にわたる基礎体力の形成にとって極めて大切な小学生時代における体力の錬成が不十分となり、この小学生時代の体力の不足を中学生や高校生になっても回復できないことが、青少年の体力の低下の原因であり、塾の勉強のために机の上の教材を長時間にわたって凝視することが小学生の近視の増加をもたらし、進行すればするほど、また加齢すればするほど治療が困難になるという近視の特性が青少年の近視の増加の原因である、という可能性が大だ、と思うのです。

 これはゆゆしい問題です。

(続く)