太田述正コラム#1494(2006.11.8)
<米中間選挙で民主党大勝利>

1 始めに

 7日に米国で中間選挙の投票が行われ、現在まだ開票中ですが、全員改選となる下院では民主党が地滑り的勝利を挙げて12年ぶりに多数を奪還する見込みであり(
http://www.cnn.com/2006/POLITICS/11/07/election.main/index.html
。11月8日アクセス。以下同じ)、三分の一の33名が改選される上院でも、私自身の読みでは、当確が出されていない残り2議席(1640現在。モンタナ州とバージニア州)で民主党が全勝して、非改選議員を合わせて、実質的に12年ぶりに民主党が多数の51議席を占めることでしょう(注)(
http://www.cnn.com/2006/POLITICS/11/07/election.main/index.html
http://www.cnn.com/ELECTION/2006/pages/results/senate/)。また、全50州中36名が改選となる州知事選挙でも、民主党が26州以上を制して、やはり12年ぶりに多数を奪還する見込みです(
http://www.cnn.com/2006/POLITICS/11/07/election.governors/index.html)。
 
 (注)民主党と投票行動を共にすると言っている、二人の無所属議員(後述)を含む。なお、上院議長は副大統領(現在共和党のチェイニー)が勤めることになっているので、共和党は民主党と違って、50議席とれば多数となる。

2 無所属とイスラム教徒の当選者

 上院に無所属で当選した二人の内の一人は、これまで民主党上院議員だったリーバーマン(Joe Lieberman)です。
 リーバーマンは、2000年の大統領選挙にゴアとタッグを組んで、副大統領候補として立候補した人物ですが、米軍の引き続きのイラク駐留とブッシュ大統領との緊密さが禍して、コネチカット州での民主党予備選挙に敗北し、急遽無所属に転じて今次上院議員選挙に立候補したものです。
 もう一人は、下院議員を(唯一の)無所属議員としては最長の8年も勤めたサンダース(Bernie Sanders)であり、今回バーモント州から無所属で上院議員選挙に立候補して当選しました。彼は、米国初の社会主義者の上院議員ということになります(典拠失念)。 (以上、特に断っていない限り
http://news.bbc.co.uk/2/hi/americas/6127234.stm
による。ただし、サンダースについては、
http://en.wikipedia.org/wiki/Bernie_Sanders
も参照した。)
 注目されるのは、米国史上初めて、イスラム教徒の上院議員がミネソタ州で誕生したことです。
 黒人のエリソン(Keith Ellison)です。
 彼は、イラクからの米軍の即時撤退や国民健康保険制度の確立を唱えています。

3 民主党大勝利の背景

 民主党大勝利の背景については、今次選挙結果の影響を論じる際に改めて触れたいと思いますが、とりあえずは、イラク・腐敗・経済の三つであると申し上げておきましょう(
http://www.guardian.co.uk/midterms2006/story/0,,1942060,00.html)。