太田述正コラム#1505(2006.11.13)
<米大統領選挙始動(その1)>

1 始めに
 米国では、中間選挙が終わり、2008年の大統領選挙が話題になりつつあります。
 英国を代表する高級紙であるガーディアンの11日付電子版は、米大統領候補を民主党、共和党の順序で月旦しており、一番最初に出てくるのはヒラリー・クリントン(Hillary Rodham Clinton。1947年??。ニューヨーク州)(注1)上院議員であり、次はバラック・オバマ(Barack Obama。1961年??。イリノイ州)(注2)上院議員です(A:
http://www.guardian.co.uk/midterms2006/story/0,,1945438,00.html
。11月12日アクセス)。

 (注1)エール大ロースクール卒(C)。
 (注2)ハーバード大学ロースクール卒。黒人の父と白人の母の間に生まれる。2004年の民主党全国大会の時の名演説・・"I stand here today, grateful for the diversity of my heritage, aware that my parents’ dreams live on in my two precious daughters. I stand here knowing that my story is part of the larger American story, that I owe a debt to all of those who came before me, and that, in no other country on Earth, is my story even possible."・・は有名。(C)

 米国を代表する高級紙であるワシントンポストの12日付電子版は、やはり一番目にヒラリー、二番目にオバマを並べている民主党の大統領候補を論じる論考(B:
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2006/11/10/AR2006111001344_pf.html
。11月13日アクセス)と共和党の大統領候補を論じる論考(
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2006/11/10/AR2006111001345_pf.html
。11月13日アクセス)とを上下に並べ、更にヒラリーとオバマの二人に焦点をしぼった論考(C:
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2006/11/10/AR2006111001387_pf.html
。11月13日アクセス)を掲載して締めくくっていました。
 このワシントンポストは、13日付電子版で、たたみかけるように、今度はオバマ一人にしぼった論説を掲げました(D:
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2006/11/12/AR2006111200873_pf.html
。11月13日アクセス)。ワシントンポストは、早くもオバマ推薦を打ち出した観があります。
 この二人について、これらの論考や論説がどんなことを言っているかをご紹介しましょう。

2 二人の月旦

 (1)ヒラリー・クリントン
 強み:民主党共和党を通じて知名度ナンバーワン(A)。集金力がダントツで抱えるスタッフも最上の部類、しかも彼女は失言をしたことがなく、大人気の亭主も持っている(B)。
 弱み:大統領夫人であった時に国民皆健康保険制度導入を担当しそれに失敗したし、対イラク戦開戦に賛成した(A)。トップランナーへの風圧は強い(B)。
 予想:民主党予備選ではトップ間違いないが、果たして初の女性大統領になれるものやら(A)。

 (2)バラック・オバマ
 強み:45歳と若く、弁舌力は抜群(A)。黒人票をかっさらうだろう(B)。
 弱み:上院議員になってから2年と経験不足(A)。
 予想:上昇気流に乗っているが、果たして初の黒人大統領になれるものやら(A)。

3 背景(C)

 米国では、女性も黒人も政治的・社会的差別と戦ってきたという点で共通するが、政治面については、現時点では女性の差別克服状況の方がはるかに進んでいる。米上院には16人の女性議員がいるが、1人の黒人議員しかいない。米下院では、初の女性議長が誕生しようとしているが、黒人議長の誕生はいつのことやら。また、8人の女性州知事がいるが、黒人州知事は今回初当選したマサチューセッツ州知事の1人だけだ。しかも、黒人が州知事になったのは、南北戦争直後の(Reconstructionの)時期は別として、初めてのことだ。更に、フェラーロ(Geraldine Ferraro)が女性初の副大統領候補になったのは20年以上前のことだが、黒人は今まで1人も副大統領候補になっていない。

(続く)