太田述正コラム#1594(2006.12.28)
<フランスの男女差別をめぐって(その2)>

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<新規有料講読申し込み者>
 昨年あたりからHPの方は仕事の合間に拝読させていただいており若干の逡巡があってタイムリミット間際の駆け込み申し込みになってしまいましたが有料購読の新規申し込みをいたします。・・・ちなみに私は、新たにコラム執筆者に加わられたバグってハニーさんとは多少分野は異なるかと思いますが生物学系の研究者で、大阪の某私立大学の教員を務めております。
・・・
 先ほど△宛で、所定の送金手続きを完了いたしました。ご確認、よろしくお願いします。これで無料公開継続まであと何名でしょうか。この国の社会への啓蒙という目的を考えれば無料公開が続く事を願ってやみません。

<太田>
 これで、新規有料購読を申し込まれた方14名中、13名が会費を納入済みです。
27日1700現在、上記を含め、来期の会費を納入済の方は110名に達し、1名増えた助っ人(コラム執筆等)2名を加えると納入済扱いは112名ですが、目標の129名を達成するためには残り1日で17名の方が会費を納入するか助っ人を引き受けていただく必要があります。なお、納入を確約されたと私が見なした場合は、会費納入済扱いします。
 ちなみに、会費を振り込むとご連絡をいただいている方が現在6名おられます。最終日である28日まであきらめませんので、その他の方々も含め、よろしくお願いします。

 新規申し込みや助っ人(コラム執筆等)希望者は、ohta@ohtan.net へどうぞ。
 30日のオフ会出席者は依然3名です。出席される方は、ご連絡下さい。
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<ヘルムの指摘>
 結局のところ、ルソーの言わんとするのはこういうことだ。
 女性の居場所は家であり、家庭生活こそ彼女の得意とするところ(forte)なのだ。自由と平等は男性にとって意味がある(relevant)が女性にとっては意味がない。女性はコミュニティーにおける市民として機能することはできない。公の男性と私の女性ということだ。彼女たちの本性(nature)が彼女達を家族生活、すなわち本能に基づく生活、へと決定づける。
 哀しいことに、人間の平等と本性に関する偉大なる哲学者(ルター)は、女性を完全に従属的な立場に追いやってしまったのだ。生活の様々な機会が彼女に提供されることはないのだ。
 西側世界の最も偉大な哲学者達の幾人かがこんな見解を抱いていたのだから、一般の大衆に男性と女性の関係を違った風に見るように期待することはどだい無理な相談だったのだ。
 (以上、
http://www.wiu.edu/users/mfcjh/wiu/extend/discussion/rousseau2.htm
(12月26日アクセス)による。)

3 フランス革命期の男女差別

 フランス革命の主役は女性達でした。
 1789年7月2日にパリの中心パレ・ロワイヤル(Palais-Royal)で、政府がパリ周辺に軍隊を集結させたことに抗議する静かなデモを行い、抗議演説をしたのは主として女性達でした(
http://www.pbs.org/marieantoinette/timeline/change.html
。12月27日アクセス)し、革命の期間中、集会場として用いられたレザル(Les Halles)でパンを寄越せと声をあげたのは女性達でした。また、アンシャン・レジームの罪の象徴は国王の情婦達のささやきで物事が決まっていることでしたし、フランス革命期には地方で騒動が起きたのは決まって、男どもが兵士として共和国防衛にかり出された後に銃後を守った女性達が飢饉や悪天候に不安を募らせた時でした。
 だからこそ、革命政府は女性達の力を懼れ、しばしば女性達を弾圧したのです。
 革命政府がマリー・アントワネット(Marie Antoinette)を見せしめで裁判にかけた時には、彼女の息子を性的に虐待したと非難しましたし、急進派のジャコバン党が活動家の女性達を弾圧しようとした時には、彼女達が性的欲求不満であるとこきおろしたものです。例えば、シャルロット・コルデ(Charlotte Corday)が風呂場で裸のマラー(Marat)を刺し殺した時、彼女はマラーの暴虐さが革命をねじまげていると信じてそうしたというのに、彼女はポルノが好きな悩み多き処女であるとみなされたのです。
 (以上、
http://books.guardian.co.uk/review/story/0,,1977666,00.html
前掲による。)
 当然、女性には選挙権は与えられませんでした。

4 現在のフランスにおける男女差別

 だからこそ、現在でもなお、フランスでは男女差別が甚だしい、ということではないでしょうか。
 そもそも、フランスでようやく女性に選挙権が与えられたのは、第二次世界大戦でフランスが解放された1944年のことでした。
 女性は全労働人口の46%を占めますが、民間の管理職の四分の一しか占めていません。女性の給与は男性より同等の仕事で21%も低いし、女性は下院議員の12%、上院議員の17%しか占めていません。
 (以上、
http://www.csmonitor.com/2006/1215/p01s04-woeu.html
(12月15日アクセス)による。)

(続く)