太田述正コラム#2277(2008.1.3)
<皆さんとディスカッション(続x29)>
 (コラム#2275のブットの下の弟「シャーナザズ」は「シャーナワズ」の誤りですし、ブットの母親がPPPの総裁であったとした部分は削除します。また、コラム#2276のタイトル「概論」は「序論」の誤りです。いずれも、ブログを訂正してあります。)
<大阪視聴者>
、以前から考えていたことを述べます。私は理系のためか何のためかよくわからないのですが、太田アングロサクソン論がピンとこないのです。
 コラム読者は、どのように太田さんのアングロサクソン論を理解しているのでしょうか。遠江人さんなどどなたか、文章はわかりやすい方に厚かましいお願いですが説明していただけないでしょうか。
 沢山のコラムに太田さんは書かれていますので、わかりやすい要約や説明はたいへんかもしれんません。官僚と天下りなど、太田さんのお話にはわかりやすく共感できるものが多いのですが。
<遠江人>
>コラム読者は、どのように太田さんのアングロサクソン論を理解しているのでしょうか。遠江人さんなどどなたか、文章はわかりやすい方に厚かましいお願いですが説明していただけないでしょうか。
 イギリスの個人主義自由主義の起源は、ゲルマン民族は自立した(戦争を生業とする)戦士の集団で、その自分の力(能力)だけをたよりとする戦士が持つところの自由の意気と精神の伝統をほぼ変わらず(ローマ化せず)持ち続けたのがアングロサクソン、ということをまず押さえて、そこから理解を広げていっています。
太田述正コラム#372(2004.6.6)
http://blog.ohtan.net/archives/50955461.html
「(注1)イギリス議会の起源はゲルマン民族のどの部族にも見られた部民全
    体会議である。部民全体会議参加有資格者は戦士たる成人男子だっ
    た。王も将軍も基本的にこの会議において選出された。(タキトゥ
    ス「ゲルマーニア」(岩波文庫版。原著が執筆されたのは、紀元97
    ~98年)52~53頁、65~76頁)
     してみれば、議会が軍隊を興して議会の意向に従わない国王と戦
    ったり、その議会軍が代議員を政治集会に派遣したりするのは、
    (大陸に残ってローマ化して「堕落」したゲルマンと違って)純粋
    なゲルマン民族の風習を受け継いだアングロサクソン(イギリス
    人)にとってはごく当たり前のことだったに違いない。」
ローマ時代のゲルマニア
http://www.kaho.biz/germania.html
 私の購読しているメルマガで以下のものがあります。とりあえず読んでほしいナンバーを選びました。みなさん、よかったらどうぞ。
「五郎のイギリス日記」
カテゴリ: 旅行・おでかけ 海外 ヨーロッパ
イギリス滞在18年の筆者の日記。ロンドン、エディンバラ、スコットランド、湖水地方、ウエールズ、フランスのノルマンディ、スペインドライブ等、楽しく読めていつかきっと役に立つ日記です。
「五郎のイギリス日記」No.3 イギリスに15年間住んでよかったと思うこと
http://www.japan.pwp.blueyonder.co.uk/mg210815.html
「五郎のイギリス日記」No.4 イギリスに15年間のいやな思い出。& Negativeな側面。
http://www.japan.pwp.blueyonder.co.uk/mg210816.html
『五郎のイギリス日記』No.90 イギリスで生き抜くために。僕からのアドバイス。
http://www.japan.pwp.blueyonder.co.uk/mg220220.html
『五郎のイギリス日記』No.134 イギリスでのホームスティ。僕のアドバイス。
http://www.japan.pwp.blueyonder.co.uk/mg220601.html
五郎のイギリス日記のメルマガのタイトルリスト
http://www.japan.pwp.blueyonder.co.uk/mglist08-2001.html
<大阪視聴者>
 遠江人さんありがとうございます。簡潔かつ理解し易い説明に感謝感謝です。
 一般の日本人は私と同様の情報に晒されていると思います。私が持っていた欧米に対する意識や知識を、今後列挙しようと考えております。
 そこで、もしよろしければ太田さんにそれを批判・論評していただくことによって、欧米やアングロサクソンに対する深い理解につながることができればうれしいものですが。 ところで、遠江人さんがお選びになった「五郎のイギリス日記」を読みました。面白いですね。近い内容が、藤原正彦さんの「遥かなるケンブリッジ―一数学者のイギリス」にもあって、昔わくわくして読んだことを思い出しました。
 藤原さんは、「若き数学者のアメリカ」という著書もあります。彼のイギリスやアメリカ社会に対する意見・経験は楽しいですよ。(藤原さんの「国家の品格」はまだ読んでいません。書評を読むかぎり興味がわかない内容でした。)
 私は仕事柄、日本からアメリカに留学して帰国した研究者に接する機会が多かったのです。彼らにいわせれば、アメリカでも、東海岸・西海岸・南部では、外国人に対する接し方が異なるようです。
 東海岸では、英語が流暢に使えないとサル扱い。西海岸ではそれほどでもなく、アメリカ留学するなら西海岸に限る。という結論でした。
<太田>
 私のアングロサクソン論についてのご質問はご自由にどうぞ。
 藤原正彦さんの本は一冊も読んだことがないのですが、クリスチャンサイエンスモニターに載った藤原さんのインタビューを元に藤原さんの見解の批判を以前(コラム#1600で)やったことがあります。
 ここは、私の簡便な江戸時代論やアングロサクソン・西欧対置論にもなっているのでぜひ目を通してください。
>アメリカ留学するなら西海岸に限る。
 気候だって米国の各地方の中で西海岸が一番いいですよ。
<大阪視聴者>
 (コラム#2274での)太田さんのすばやい対応に感謝いたします。
 清谷信一さんは、猪瀬直樹さんのメールマガジンにも寄稿されています。バックナンバー第474号です。
http://www.inose.gr.jp/mailmaga/index.html
 どうでしょうか。装備調達の人員を確保するために4個師団の兵員削減が必要とまで書いておられます。
 ところで、英国装備調達3万人説は一人歩きをはじめています。以下は、ヨミウリオンラインの記事です。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/fe8000/fe_ko_071201_01.htm
 清谷さんもヨミウリの記事も、3万人もの人員を抱えるなら商社を使うのも意味があるという結論に導いておられます。今後注意が必要でしょう。
 ちなみに、比較するのもどうかとも思いますが、世界中の商品を買い付けそれを売るときの商社の売り上げと社員数を示してみます。
三井物産:売上高、連結15兆3576億円、社員数42,351人。
         単独11兆4073億円、社員数5,892人。
三菱商事:売上高、連結20兆5162億円、社員数59,909人。
         単独10兆8900億円、社員数6,111人。
<太田>
 讀賣の記事は、「2、3万人を擁する欧米の調達部門」としており、米国が入っているので、完全な間違いとは言えないのではないでしょうか。
 いずれにせよ、清谷さん、困った人ですねえ。