太田述正コラム#13499(2023.5.23)
<皆さんとディスカッション(続x5540)>

<US>

≫当時の貴族って、何をしていた、或いは、何をすることを期待された、人々、でしたかねえ。
もとより、時代が下り、貴族が「落ちぶれ」、他方で社会全体の識字率が高まるにつれて、読者の範囲は少しずつ広がって行ったでしょうが、貴族以外で、一体どういう人が、これらの「公文書」群、を読んだのかについても、思いを巡らせてみてください。≪(コラム#13491。太田)

 「日本の貴族は、日本の安全保障体制の構築、そして江戸時代以降は世界の安全保障体制の構築を最大の任務とし」(太田述正コラム#13281(2023.2.3)<皆さんとディスカッション(続x5433)>)ており、貴族が「落ちぶれ」た後は実際の安全保障を担う武士が読者となっていった。
 「安全保障体制を構築」する目的で5つの文書の目的を考えてみました。
 竹取物語 – 外的の脅威を連想させ安全保障を担う貴族・武士を縄文性弥生人化させるためのもの。
 古今和歌集 – これまでの事績・事象について和歌を通じて国家としての共通価値観を貴族・武士の中で共有させるためのもの。記紀の形をやめ和歌の形になったのは、摂関家に権力が移り、「朝廷は日本の「権力」の担い手であることを止めると宣言した」(コラム#11235)天皇家が権威を保持していることを表している。
 土佐日記・かげろう日記 – 旅行記の形で国防上重要な土地の状況を貴族・武士の中で共有させるためのもの。
 源氏物語 – 蝦夷討伐を通じて安全保障上の体制として武士層を構築することに成功したので藤原摂関家の権力を天皇に戻そうとしたもの。
 いかがでしょうか?

<太田>

 アバウトな言い方で申し訳ありませんが、2割がた私の頭の中にある正解と一致している、といったところでしょうか。
 どうして、和辻哲郎が、日本史について私と同じ結論に至らなかったかを不思議に思い、調べ始めたところ、その過程で、彼が、(どちらも幕末まで高く評価されてきていたというのに)古今和歌集も源氏物語も高く評価していないことが分かったのが、私に古今和歌集と源氏物語の重要性について再考させるきっかけになり、その後、古今和歌集と竹取物語のそれぞれの主要編纂者と作者がどちらも紀貫之である・・前者についてはその可能性が高い・・ことを思い出し、竹取物語の画期性に気付かされた、という経緯があります。
 その後、父子プロジェクトとして、蜻蛉日記と源氏物語を捉えられるのではないか、かつまた、紀貫之のもう一つの著作である土佐日記は、日記文学という点で、古今和歌集/竹取物語という塊と蜻蛉日記/源氏物語という塊とを結果的に勝手連的に繋ぐことになった作品かもしれない、と思い始め、更にまた、並べ方としては、古今→竹取、ではなく、竹取→古今、ではないか、と思い至った次第です。

<太田>

 安倍問題/防衛費増。↓

 なし。

 ウクライナ問題。↓

 <トロ・シア。↓>
 「・・・オランダに拠点を置く軍事専門のサイト『オリックス(ORYX)』は、ロシア軍戦車の被害状況を調査、発表しています。それによると、少なく見積もっても1900両、多ければ3000両の戦車が破壊されたか鹵獲(ろかく)されたそうです。ロシア軍は開戦当初、実戦で使用可能なT-72やT-90といった戦車を約2500両、保有していました。となると、3000両では保有数を超えてしまい、計算が合わないことになります・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/46285fc3e077dfab0f08cb3eb8b9ae0e8cbde524
 <どんどんどーぞ。↓>
 「自由ロシア軍団とは何か、「ロシアを自由にする」ため自国と戦うロシア人志願兵たち・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/b690690fc02822b42afc2cb294dd6bf7706d1813
 <ゆっくりどーぞ。↓>
 Ukraine live briefing: Kyiv focuses attacks on Bakhmut’s outskirts・・・
https://www.washingtonpost.com/world/2023/05/22/russia-ukraine-war-news-bakhmut/

 それでは、その他の国内記事の紹介です。↓

 今期名人戦は、渡辺現名人が藤井六冠にガチンコで勝つなどという幻想を完全に捨て去り、力将棋を真っ向から挑み、完膚なきまでに叩きのめされるか片面的プロレスをやらせるか、お任せスタイルをとったことで、(前回は藤井六冠がスベってアカンかったけど、)今回は、長時間短手数にもかかわらず、魅せた名局をもたらしたんだわー。↓

 「衝撃の超短手数KO!オール最善手で圧勝 藤井聡太竜王 VS 渡辺明名人 名人戦第4局棋譜解説・・・」
https://www.youtube.com/watch?v=E6KahFN9XrA ←アユム氏
 「【歴史的大瞬殺】あの渡辺名人をわずか69手という歴史上トップレベルの短手数で瞬殺!一体何が起こった!?・・・」
https://www.youtube.com/watch?v=Uud8qDSocjo ←ヤス氏
 「【衝撃】藤井六冠、とうとう感想戦でもAI超えの1手を放ってしまう・・・」
https://www.youtube.com/watch?v=t3QZ-efeUe0 ←ヤス氏 
 「【瞬殺】藤井聡太が史上最短手数で終局!ノーミスすぎる歴史的瞬殺事件を解説・・・」
https://www.youtube.com/watch?v=Ld1j7YQ-b3Y ←Sugar氏(初登場)

 地方紙、ロサンゼルスタイムス、面目躍如。↓

 Column: Enjoy the magic, Angels fans. Shohei Ohtani’s days in Anaheim could be over soon・・・
https://www.latimes.com/sports/angels/story/2023-05-21/shohei-ohtani-angels-trade-fans

 講談やな。↓

 「・・・将軍・足利義昭が、三河に在陣する信玄のもとへ、幕臣・上野秀政
< https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8A%E9%87%8E%E7%A7%80%E6%94%BF 
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8A%E9%87%8E%E6%B8%85%E4%BF%A1 >
を派遣した。案の定、秀政は信玄に、織田・徳川連合との講和を呼びかけてきた。すると信玄は逆に信長と家康の無道を論難して、秀政に翻意を迫った。武田方の主張には、強い説得力があっただろう。 この直後、秀政は親織田派の筆頭である幕臣・細川藤孝と、信長との関係について意見対立している(『綿考輯録(めんこうしゅうろく)』)。また、秀政はその後も義昭と行動をともにして、反織田活動に従事している。おそらくこの時、秀政は信玄の口車に乗せられたのだ。余談ながら近世の記録でも、義昭は信玄に「信長は元来むごき人」なので今のうちに滅ぼすべきだと誘われて裏切りを決断したと伝えられている(『老人雑話』)。 こうして義昭は反織田派となる決意を固めたのである。・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/8317a6f170dd5ddc3862b56f504ac52da255b915

 日・文カルト問題。↓

 <伊大統領ご一人はともかく、韓国与党はイカれてるわ。↓>
 「尹大統領と岸田首相が原爆慰霊碑に献花…韓国与党「植民地の歴史を反省」、・・・」
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2023/05/22/2023052280048.html
 <本件に関しては正常だが・・。↓>
 「共に民主・李在明代表「福島汚染水、安全なら飲用水に」…与党「きれいならトイレの水も飲むのか」・・・」
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2023/05/22/2023052280035.html
<いずれにせよ、文カルトは健在。↓>
 「日本核汚染水をコップに受ける尹大統領…済州に貼り出されたポスターで警察が取り調べ・・・」
https://japanese.joins.com/JArticle/304676
https://japanese.joins.com/JArticle/304686
 <・・・。↓>
 「韓国福島視察団の初日…「多核種除去設備の原資料など要請」・・・」
https://japanese.joins.com/JArticle/304671
 <分かってないなあ。↓>
 「・・・手のひらが合わなくては音が出ない。このような希望が現実になるためには、韓国内の世論を牽引する日本の努力が必要だ。尹大統領が日本の世論を動かしたように、岸田首相も真摯に韓国の世論を動かさなければならない。安倍元首相に対する韓国国民の反感が両国関係の進展に負の変数として作用した前例を繰り返してはならない。2015年12月の韓日慰安婦合意後、安倍元首相が日本軍慰安婦被害者に謝罪の手紙を送るなどの後続措置について「毛頭考えていない」と発言したことは、韓国人の脳裏にトラウマとして残っている。
 岸田首相は7日のソウル訪問で「私自身、当時、厳しい環境のもとで多数の方々が大変苦しい、そして悲しい思いをされたことに心が痛む思い」と述べ、歴史問題に関して前進した立場を取った。また、広島G7(主要7カ国)首脳会議(サミット)を機に韓国人原爆犠牲者慰霊碑への共同参拝を尹大統領に提案し、実現させた。
 岸田首相は政治的立場や信念、歴史観が安倍元首相とは異なる。自民党内の強硬保守派の安倍派とは一線を画す中道穏健派の宏池会の首長だ。また、原爆被害を受けた広島を選挙区に置いている。2018年にはカラオケでマイクを握り、『戦争を知らない子供たち』という代表的な反戦歌を歌ったことが日本国内で話題になった。
外相時代だった2015年の慰安婦交渉の際、「日本政府は責任を痛感する」という表現が盛り込まれた合意文に安倍首相が難色を示すと、「ここで決着をつけて次に進むべきだ」と説得したという裏話もある。鄧小平と金大中が日本国民にそうしたように、岸田首相も韓国国民に着実に手を差し伸べ、自分自身の真価を発揮してこそ、韓国内の冷ややかな世論が少しずつ動くだろう。・・・」
https://japanese.joins.com/JArticle/304653
 <鼻くそ目くそを褒める。↓>
 「「日本はすでに韓国を追い越した」…鎖国主義も捨て、移民受け入れに一歩・・・」
https://japanese.joins.com/JArticle/304674
 <経済的圧迫?↓>
 「「韓日が手を組めば中国の経済的圧迫を克服できる」・・・」
https://japanese.joins.com/JArticle/304668
 <気にしない、気にしない。↓>
「中国、米マイクロン制裁に続き日本大使招致まで…韓国試験台に上がるか・・・」
https://japanese.joins.com/JArticle/304669
 <習ちゃんにまかしとき。↓>
 「韓国国家安保室1次長「韓中戦略対話の計画…適切な時期に韓日中首脳会談」・・・」
https://japanese.joins.com/JArticle/304683
 <ありがたき思し召し。↓>
 「韓米日3国首脳が「核の傘」協議体新設に向け近くワシントンで会談へ、 駐韓米国大使が本紙会見で明かす・・・」
https://www.donga.com/jp/home/article/all/20230523/4174141/1
 <いらはいはい。↓>
 韓国、夏休みシーズンの旅行も日本人気衰えず=ネット「安くて親切」「何度でも行きたくなる国」・・・
https://www.recordchina.co.jp/b914403-s39-c30-d0191.html
 <日本に関しては、さあてねえだが・・。↓>
 「「日本人が日本を捨て始めた…」報道に韓国ネット「韓国も同じだ」・・・韓国・ソウル新聞・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b914315-s39-c30-d0195.html

 中共官民の日本礼賛(日本文明総体継受)記事群だ。↓

 <人民網より。
 日中交流文物モノ。↓>
 「日本には、遅くとも中国の唐の時代にあたる時期、中国の茶文化が伝えられた。そして日本の文化と融合し、日本独自の茶道へと発展していった。今では、中国でも多くの茶文化の愛好者が日本の茶道を習い始めている。・・・」
http://j.people.com.cn/n3/2023/0522/c206603-20021948.html
 <岸田・岸カルト傀儡を持ち上げてどーすんの?↓>
 「G7サミットが中国関連議題を誇張、中国は日本に「厳正な申し入れ」・・・」
http://j.people.com.cn/n3/2023/0522/c94474-20022037.html
 <ここからは、レコードチャイナより。
 愚問。↓>
 「日本に遊びに行った時、水道水を直接飲んでもいいの?・・・台湾や香港向け情報サイト「Japaholic」・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b914268-s25-c30-d0052.html
 <同じく。↓>
 「「なぜ良いことをすると日本人に間違えられるの!?」=中国人双子姉妹が不満を語る―・・・香港メディアの香港01・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b914396-s25-c30-d0052.html
 <ロシア抜きなんで、一応同意。↓>
 「中国・中央アジアサミットは「建設的な会合」=東日本国際大学・西園寺一晃客員教授・・・中央広播電視総台(チャイナ・メディア・グループ/CMG)のインタビュー・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b914370-s12-c100-d0165.html

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太田述正コラム#13500(2023.5.23)
<太田茂『新考・近衛文麿論』を読む(その31)>

→非公開