太田述正コラム#2544(2008.5.13)
<皆さんとディスカッション(続x137)>
<大阪の川にゃ>
 <六カ国協議で>中国をして北を止めさせる意思が米国にあったという点は認めます。しかし、中国は経済制裁をほとんどせず、北が再処理や核実験をしてしまったからには、上記3とは別に米国は中国になんらかの落とし前を要求してくるのでしょうか。
<太田>
 前回、この部分、お答えしてませんでしたね。
 私は、六カ国協議を前回記したように見ている次第であり、米国が中共に北朝鮮説得を期待していたはずがないと思っています。
 さんざんブッシュ政権になぶりものにされた挙げ句、金正日が米国に泣きついてきたので、もう一発、北朝鮮のシリアに対する核協力を詳細に公表して辱め、それでも一切対米非難をせずにひたすら恭順の意を表している金正日に、米国はご褒美の、食糧支援を決めたようです。
 しかも、その食糧の輸送・分配までモニターさせるという前代未聞の条件付で・・。
 中共は、食料価格高騰の状況下で自国の食糧安全保障のため、また韓国は、新大統領の対北朝鮮敵視政策のため、既に餓死者が出ていると噂される北朝鮮に対して、食糧援助をしぶっている中、もはや金正日は米国に足を向けて寝られないのではないでしょうか。
 (米国の対北朝鮮食糧援助再開については、
http://www.ft.com/cms/s/0/c4424240-2077-11dd-80b4-000077b07658.html
(5月13日アクセス)による。)
<アミダ>
 シナ事変については、私は積読しているにすぎませんが、チャンネル桜の先生方は、中国共産党による挑発の銃撃により起こったものであったという真相が「マオ」にユン・テャン女史が新資料をもとに暴露しているということです。
 日本軍が行った蛮行をグロテスクに針小棒大に描く今までのマルクス主義的な描写も、保守派により見直しをされているようで、例えば、三光作戦にしろ、シナ人同士の残虐な戦争行為の中で双方が相手方を罵倒するために使われてきた言葉にすぎず、日本語では「光」を、「~しつくす」という意味では使われてこなかったということです。
 南京大虐殺のインチキを知るにつけ、あの士気の高い日本兵が、そんな残虐行為を皆が競うように働くことは私には想像できないのです。敵の墓を暴いてまで、復讐せずにおれないシナ人の残虐行為を日本兵にぬすくりつけ、すり替えているだけではないかと思うのです。
<太田>
 もう亡くなった私の父は、商社員でしたが、招集され、名古屋高等商業学校(現在の名古屋大学経済学部)卒であったことから、試験を受けて将校となり、支那で戦いました。 その父は、私の小学生時代に、繰り返し繰り返し、上機嫌で軍隊時代の話をしたものです。
 国民党軍や八路軍とだけしか戦った経験のない父でしたが、支那での戦いは 負け戦がほとんどなかった上、たらふくモノが食え、しかも、支那人女性を強姦し、捕虜を銃剣や日本刀で虐殺する、というやりたい放題のことができた、と上機嫌で語るのです。
 たたき上げの下士官や陸士出の将校は違っていたのかもしれませんが、クラシック音楽が大好きの結構インテリの父がそうだったのですから、支那事変の初期の頃とはいえ、南京に入城した日本軍の一部将校とかなり多くの兵士が南京の支那住民に対し、同様の蛮行を行った可能性は大いにある、と私は考えています。
 (その父が、私の高校時代だったか、赤旗の購読を勧めにやってきた二人組に対し、大変な剣幕で、「支那で八路軍は汚い手ばかり使った。だから共産党は大っ嫌いだ、帰れ!」と追い返したことがあります。これも父だけの発想であるとは思えません。)
 なお、ユン・テャンでなくてユン・チアンが正しいようですが、廬溝橋事件の話はしていないものの、彼女と彼女の英国人のご主人との共著、『マオ 誰も知らなかった毛沢東』については、コラム#744、1850、1857、1859、1879、1881と何度も取り上げているので、ご関心ある方はお読みください。
<ケンスケ2>
 コラム#2127「<日本帝国の敗戦まで(その1)」を読みました。
 面白い本ですね。
 続きが楽しみです。
<太田>
 続きのコラム#2129を読まれていかがでしたか。
 なお、この本については、ペリリュー島攻防戦に関するコラム#2128(#2411も関連)でも取り上げていますよ。
<新規有料購読申し込み者>
 小中高と、学校教育でおかしな歴史認識を植え付けられ、その反動で大学では、かなり右寄りな人間になりましたが、社会人になり、太田さんのブログを見るようになり、がらりと考えが変わりました。
 右でも左でも無い太田さんの考えに、非常に興味を持ち、この度、有料購読させていただきます。
<コバ>
東京新聞(
http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/sokkyo/news/200805/CK2008051302010820.html
)で、記者と社会学者の方たちがナショナリズムなどについて考察をしています。ネットで見られる右傾化、若者の左翼への嫌悪、小泉、安倍の愛国心路線、戦前の暗い時代と似通ってきた現在…。
 こういう考察を縄文人的に考えれば、古来から弥生人に支配され続け、さらに第二次世界大戦で米国に屈服させられたことで、縄文人がヒステリックに戦争嫌いとなり、その他のことは米国の言うがままにするけれども、9条は死守し、戦争や軍事につながることは軽んじたり、無関心な態度をとるようになったのでしょうか。
 現在は戦前に似てる、日本は右傾化してる、9条、平和主義が何よりも大事、という論者が沢山いるというのに、自殺者(有毒ガスなどによる自分自身に対するテロ、他者でなく自身を殺している)や餓死者が数え切れなくなってきた日本の惨憺たる現状に声を上げる革命家は全く見られない…。
 弛緩した日本人に適切な処方薬を出してくれる政治やメディアはないものでしょうか。
<太田>
 引用された記事に登場する清水記者も大澤真幸(1958年~)京大教授も、学校で教わったとおり、「戦前」が「暗い時代」であったと思いこんでいるようですが、上述した私の父親の話は横に置いておくとしても、小沢昭一(1929年~)のように、戦前を実際に生きた人が、戦前こそ「いい時代」だったと力説し(
http://taos.livedoor.biz/archives/51349912.html
。5月13日アクセス)、亡くなった山本夏彦(1915~2002年)は、著書『誰か「戦前」を知らないか』の中で、このような「戦前真っ暗史観」を「お尋ね者史観」と切り捨てている(
http://hattori.cocolog-nifty.com/brog/2007/week34/index.html
)のですから、こっちの方が正しいんじゃないでしょうかね。
 ちょっと前の日本についてさえご存じなさそうな、従ってそれぞれ記者失格、学者失格であると言わざるをえないお2人による、この「ナショナリズム」をめぐるインタビュー記事など、読むのは時間の無駄、ということになります。
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太田述正コラム#2545(2008.5.13)
<アインシュタインとイスラエル>
→非公開