太田述正コラム#3119(2009.2.26)
<皆さんとディスカッション(続x410)>
<michisuzu>
≫麻生首相、オバマに呼びつけられてメシ抜きで一時間・・いくら英語がお得意の麻生首相だって通訳を使うだろうから30分ということです≪(コラム#3115。太田)
 近頃ちょっとピント外れてませんか?
 オバマさんが無理やり呼んだのでなく、一般教書の演説の寸前に会談があったのは明らかに日本の麻生さん側の強引な求めに応じたのでは?
 普通の考えではそうでしょ?
<太田>
 michisuzuちゃんが「普通の考え」を持ってるなんて、日本中、誰一人として思ってやしないよ。
 典拠、例えば「・・・招待というよりも、日本外務省が頼み込んで、米側から呼んでもらったとみる方が実態に近いのではないか。・・・」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2009022602000060.html
をつけなきゃダメ!
 コラム#3113で、「属国日本に対しては、単に頭をなぜるだけでいい・・そのためにクリントンは初外遊先に日本を選び、オバマはホワイトハウスに最初の外国首脳として麻生首相を呼んだ・・のでラクなもんです。」と書きましたが、ここで「頭をなぜる」と書いたのは、訪米時期についての要望を受け入れるというご褒美をオバマが麻生に与えた、ということを示唆したつもりです。
 間違いなく、麻生首相サイドからの強い働きかけがあったことでしょう。
 しかし、オバマだって麻生にいの一番で来て欲しかったことも事実です。
 オバマは3月3日に英国のブラウン首相とワシントンで会談します。麻生が1番、ブラウンが2番目です。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/in_depth/7903907.stm
 この順番じゃなきゃいけなかったのですよ。
 クリントンの初外遊先を日本にしたのも、麻生首相をブラウンの前にワシントンに呼んだのも、経済力・技術力の突出した属国日本を徹底的に米国のために利用してやろうとするオバマの強い意向がある・・これは駐日大使になることが決まっているナイの考えでもある
http://www.csis.org/media/csis/pubs/070216_asia2020.pdf
(3月1日に配信する対談形式のコラム参照)と私は踏んでいるのです。
 つまり、この時期の麻生訪米は、日米双方の思惑が一致した結果だ、ということです。
 なお、独立国たる同盟国、英国のブラウン首相訪米の際には、オバマは、少なくとも共同記者会見くらいはするでしょうね。
<アルファ>
≫麻生・オバマ会談の頭の部分と最後の部分をニュース番組で見たけど、頭の部分の発言は、あらかじめ準備して暗記したとしても、中々のものでしたね。≪(コラム#3117。太田)
 以下の週刊誌の記事を見ると麻生総理の英語について参考になります。
 週刊新潮2月19日号「麻生総理の「英語力」に悲鳴をあげた「ホワイトハウス」」
 オバマ大統領は「麻生首相の英語はさっぱり分からない」と困惑。
 オバマはハワイ育ちで東南アジア系の片言英語やピジン言語に耐性があるのだが、それでも麻生がなんと言っているのか、聞き取れないと言うのだ。
 会談は麻生首相の意向で通訳なしで行われ、オバマ大統領は「大枠はこんな感じかな」程度は分かったものの、「東アジア構想の話は全く分からなかった」とさじを投げた。
 ホワイトハウス側は「なぜ麻生は英語に自信を持っているのか」「もう通訳なしの会談はやめてくれ」と悲鳴を上げている。
http://bbs57.meiwasuisan.com/bbs/bin/read/politics/1234196542/11-110
より。
<太田>
 オバマが大統領に就任した直後に行われたオバマ・麻生電話会談の時の話なのでしょうが、新潮がホワイトハウスを取材したとも思えないので、麻生首相に英語を使わせないための外務省の工作に新潮が国益の観点から乗ったといったところかな。
 麻生の英語は中々のものである可能性はあるけれど、もちろん発音はネイティブにはほど遠い。電話だとオバマがジャパングリッシュに慣れていなければなおさら聞き取りにくかったということはありえますが・・。
 今度の首脳会談では、TV報道によると、通訳を入れたということのようなので、一安心ですが、終わった後、麻生の方から誘ってオバマと立ち話で真面目な話をしていた様子にはやきもきしました。
 ホント麻生は度し難いやっちゃ。
<親衛隊員>
 国家指導者が外国の指導者と外国語で渡り合う事自体、愚の骨頂ですよ。特に相手の母国語で「喋ってあげる」なんて相手の土俵で相撲をとるようなもの。
 たとえ外国語が出来たとしても出来ないような顔をすべきです。かつて北朝鮮の金日成はロシア語が堪能であったにもかかわらず旧ソ連の指導者と交渉する時は必ず通訳を伴ったといいます。これについて彼の身内が不思議がると、「通訳を交えたほうが考える時間が稼げるし、精神的にも余裕をもって交渉に臨める。それで通訳を連れているのだ」と答えたといいます(「5人の金日成」・成甲書房刊より)。
 動乱の中に生きた金日成と、ブルジョワお坊ちゃんの麻生総理の違いといってはそれまでなんでしょうが、外交交渉の真の意義(武器を使わない戦争)をわきまえて貰いたいもんです。
 麻生さんのDNAにはご先祖の大久保利通(台湾出兵後に北京での交渉で賠償金の獲得に成功)の資質は残ってないんですかね。  
<太田>
 「・・・白洲<次郎>は、国際会議の場で日本の代表が英語を使用することにすら反対したことがある。サンフランシスコ講和会議において、当初、日本の首席全権・吉田茂は英語で演説をすることになっていた。だが、その2日前になって、「占領がいい、感謝感激と書いてある」英文原稿に腹を立てた白洲は、その内容を修正するとともに、日本語の原稿に改めさせた。吉田の英語がわかりにくかったからだとする説もあるが、駐英大使も務めた吉田の英語にさほどの問題があったとも思えない。おそらくは、白洲の意地も絡んでいたに違いない。・・・」
http://www.asahi.com/english/weekly/column/pro.html
<おさ>
≫軍隊の意義や(国民)国家と軍隊の関係等について・・・の種の常識を記した書籍なんて、世界のどこにもまずないでしょうな。≪(コラム#3035。太田)
 私は、米軍退役軍人のデイブ・グロスマン著「戦争における「人殺し」の心理学」が、お勧めですね。精神科医の中井久夫も、著書のなかで、トラウマ問題を語る際によく引用しています。
<太田>
 内容的にちょっとズレているように思いますが、何はともあれ、情報提供、ありがとうございます。
<ベラドンナ>
 太田さん、質問がございます。
 1945年、ポツダム宣言受諾するか否かの御前会議
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%A1%E5%89%8D%E4%BC%9A%E8%AD%B0
で、天皇が終戦することをお決めになられましたが、現在の日本国憲法では、天皇はなんらかの政治決断をすることは不可能、とwikiにかいてあるのですが、今も実質的では可能になるのでしょうか?
<太田>
 コラム#3103で私が書いたことについての質問なのかな?
 天皇が国事行為を拒んだ時、皇太子に代行させたり退位させたりったって簡単にはいきませんよ。誰が何と言おうと、天皇は政治に大きな影響を及ぼしうる、と私は考えています。ただし、これは天皇には政治的責任がある、ということではないので誤解なきよう。
<かえるくん>
 毎度。唐突ですいませんです。
 太田さんが年内にも大ブレイクしますように。
 と願いつつ、昨夜焼酎を飲みながら「ふと」思いついた事を書かせて下さい。
 太田さんのメルマガは各メディアや公官庁もたぶんワッチしている筈ですので、その伝搬力を借用させて頂きたいと思います。
 例の定額給付金に関する思いつきです。
 基本は衆議院選挙の投票所にて配布する事とするが、同時に当該自治体への寄付をその場で受け付ける。
 それは自治体への自由財源としての寄付である。
 自治体は住民100%から寄付して貰う事を目指して、「雇用創出」「子育て支援」「介護支援」等々、予め定めた使途を分かり易く具体的に示しておく。
 これが実現すれば、自公政権の下品な猿知恵を痛烈に批判しつつ、より実効的な使い道が出来ると思うのですが、何処かやらないかなぁ。
 小さな自治体では実務家が居ないかなぁ。 全国の村長さん、市長さん、宜しくお願いしま~す。与党が怖くて出来ないかぁ。 
 序でにその実務家も雇用創出を兼ねて募集すればいいのですよ。 在野に人材は沢山居ますもん。きっと。 
<太田>
 ルールの例外として掲載させていただきました。
 記事の紹介です。
 「準大手ゼネコン西松建設(東京都港区)の裏金事件で、同社関係者が、長野県の村井仁知事の周辺に多額の資金を提供したと東京地検特捜部の調べに供 述していることが分かった。村井知事の衆院議員時代の公設秘書で、同県総務部参事の右近謙一さん(59)が二十四日夕、長野市内で自殺しているのが見つ かっており、東京地検は参考人として右近さんを事情聴取していた。・・・右近さんは航空自衛隊出身。村井知事の衆院議員時代に長く公設秘書として支えた。〇六年の知事就任後は、同年十二月から四年四カ月の任期で危機管理担当の参事(部長級)を務めていた。」
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2009022690070555.html
 西松建設裏金事件(コラム#3113)に今度は、当時の通産省から防衛庁に出向して装備局管理課長をやったことから私の知り合いでもある村井さんの名前まで登場しましたね。
 にぎやかなことです。
 小沢発言(コラム#3117)が反響を呼んでいます。
 「米国のケビン・メア駐沖縄総領事は・・・民主党の小沢一郎代表が日本に駐留する米軍は将来的に海軍関係だけで十分との認識を示したことに関し「極東における安全保障の環境は甘くない。空軍や海兵隊などの必要性を分かっていない」と批判し、陸・空軍や海兵隊も含めた即応態勢維持の必要性を強調した。 また総領事は、米国務省で対日政策実務を統括する日本部長への就任が「先週、正式に決まった」と明らかにした。・・・」
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2009022501001019.html
 下僚はそう言わざるをえないでしょうね。
 「・・・自民党の尾辻秀久参院議員会長は25日、「日米の防衛問題の実情に無知な極めて不見識な発言だ」と批判。「日米同盟にヒビが入る」(与党幹部)との声も出た。
 社民党の福島瑞穂党首は記者会見で「あとは日本でやるということなら意味が違ってくる」と指摘。共産党の志位和夫委員長も記者団に「軍拡の道を進むことで対等のパートナーになるというのは間違った道だ」と語った。」
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20090226AT3S2502525022009.html
 どうです。
 改めて日本の政治は依然として大政翼賛会体制の下にあると思うでしょう。
 それにしても、民主党内から声が上がらないのは不気味ですね・・。
 毎日グラス一杯のワイン程度のアルコール飲料を飲んでいても、女性の場合、癌にかかる危険性が増大することが明らかになりました。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/02/24/AR2009022402361_pf.html
 英野党第1党の党首で次期首相に目されているアイヴァン・キャメロン(Ivan Cameron)の六歳の長男・・ 脳性マヒとてんかんを背負って生きてきた・・が亡くなり、英国全体がその死を悼んでいるという話をどうぞ。二人の写真も載ってるよ。
http://www.nytimes.com/2009/02/26/world/europe/26ivan.html?ref=world
 読んでて、思わず涙が溢れてきてしまいました。
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太田述正コラム#3120(2009.2.26)
<アカデミー賞報道(その3)>
→非公開