太田述正コラム#3046(2009.1.20)
<イスラエルのガザ攻撃(続x15)>(2009.3.4公開)
 (遠江人さんから、オバマ就任式のNHKによる放送時間の訂正がありました。太田述正掲示板をご覧下さい。)
1 始めに
 イスラエルの大勝利を踏まえたガザ・ミニ戦争の停戦は、イスラエル、ハマス双方によって、現在のところ完全に守られています。
 最新状況をご説明します。
2 完全に守られている停戦
 「・・・部隊のガザからの撤退を監督しているイスラエル軍の将校達は、18日、20日にバラク・オバマ米大統領のワシントンにおける就任式が行われるまでに最後の一兵に至るまで撤退を完了させようとしている。
 イスラエル軍は、緊急命令に基づき招集された予備役の多くの召集解除に19日中に着手する予定だ。・・・
 複数のイスラエル軍筋は、ダマスカスのハマスの指導部が停戦に反対しているにもかかわらず、ガザのハマスは停戦したのだという。イスラエル軍の将校達は、戦闘要員達は命令を拒否して停戦したとまで言っている。
 <ガザの>ハマスの戦闘員達は、18日に停戦の意向を表明して<しばらくして>からは、ロケットを全くイスラエルに向けて発射していないし、ガザ地峡に駐留しているイスラエル軍部隊に対する攻撃も全く仕掛けていない。
 <また、ガザへの武器密輸を防止することにも展望が開けてきた。>
 というのも、エジプトが、これまでで初めてのことだが、密輸をエジプト自身にとっての戦略的脅威と受け止め、その防止に関心を示す兆候が見られるからだというのだ。・・・
 イスラエルの諜報機関の推計によれば、ハマスはエジプト・・との境界をまたぐ250のトンネルを使っていたが、イスラエル空軍の空爆によってその約80%は崩壊したか損害を受けたという。
 そして、・・・ハマス戦闘要員約500人がこの作戦中に殺害され、数百人が負傷した。これに加えて、イスラエル軍はハマス以外の様々な武装集団や民兵数百人を殺害した。
 更にイスラエル軍は、この作戦中に130人のパレスティナ人を捕虜にした。そのうち約30人がテロリスト諸組織に属している疑いがあり、<イスラエルで>裁判にかけられるべく拘束されている。
 全部でハマスは、保有していた様々な射程の2,000から3,000のロケットのうち、作戦中に600を発射した。イスラエル軍の将校は、同軍が作戦中に約1,200のロケットを破壊したと見ている。」
http://www.haaretz.com/hasen/spages/1057066.html
(1月20日アクセス。以下同じ。)
3 雑音
 「元プリンストン大学のジャーナリズムの教授であったパレスティナ人ジャーナリスト<は以下のように記している。>・・・
 イスラエルによって宣言され、12時間後にパレスティナ側によって追随された一方的停戦は、持続しうる停戦が満たさなければならない基本的要件を欠いている。
 すなわち、この二つの宣言はそれぞれ一方的なものでしかなかったし、この停戦には独立した監視者が存在しないし、どちらの側の捕虜も解放されていないし、ガザの戦闘員達の要求に応える政治的プロセスに向けての真剣な努力が見られない。・・・」
http://roomfordebate.blogs.nytimes.com/2009/01/19/whats-missing-in-the-israeli-cease-fire
→ファタ寄りのパレスティナ知識人の言いそうなことだが、停戦は守られているし、今後とも守られる可能性が高い。(太田)
 「ガザの再建について議論するために20以上のアラブ諸国の指導者達と代表者達が20日、クウェートで会合を持った。サウディアラビアのアブドラ国王は、自分の国は建設の資金の一助として10億米ドルを寄付し始めると語った。・・・
 なお20日、国連事務総長は、この会合において、アラブの指導者達は、彼のファタ運動体が、より戦闘的なハマスによって2007年央にガザで粉砕されたところの、パレスティナ当局のマハムード・アッバス議長の下に結束すべきだと述べた。
 「パレスティナ人自らが和解という懸案を正視し、アッバス議長の指導の下で統一政府を形成すべきだ」と国連事務総長の補佐官は・・・語った。「・・・我々はパレスティナ人の統一なくしてガザの再建を行うことはできないと考える」とも。
 更にEUの外交担当・・・は、20日、欧州諸国は、ハマスがガザを支配している限り、再建プロセスに貢献することを躊躇せざるをえない、という見解を表明した。
 ちなみに、12月27日にイスラエルの作戦が始まって以来、初めて外国メディアがガザへの入域を認められた。・・・」
http:///www.guardian.co.uk/world/2009/jan/20/israel-gaza-withdrawal-rebuild
→国連事務局もEU執行部も、(恐らくは分かっていて、あえて)不可能なことを口にしている。実際には国連もEUも、形の上でパレスティナ当局を噛ませるだけで、実質ハマスと直接ガザの再建について調整することになろう。(太田)
 「・・・ハマスの政治局の長のハレド・メシャルは・・・、「我々は<イスラエルが>我々の市民たるガザの住民達に対しあのような犯罪を敢行するとは想像だにしなかった」と、週末にドーハで開催された非公開会議の席上語ったと・・・いう。・・・また彼は、イスラエルの攻勢は3日より長いものにはならないだろうと思っていたが、結果的にそれは22日間も続いたとも語ったという。・・・」
http://www.haaretz.com/hasen/spages/1057081.html
(1月20日アクセス。以下同じ。)
→語るに落ちたというところか。一番アホだったのがハマスであったことが分かる。それにしても、シリアにいるハマス政治指導部は、まだアホを続けてるというわけだ。敗北した側の内部がガタガタになる典型例というべきか。(太田)