太田述正コラム#3302(2009.5.29)
<皆さんとディスカッション(続x500)>
<遠江人>
≫目を見ただけで人間がわかるなんて、≪(コラム#3300。KT)
 一応言っておきますが、目が死んでいるからダメだとか言っている訳ではないですからね。
<ぶんた>
 太田さんのおっしゃるとおり<(コラム#3300参照)>、中国はかなり激怒している雰囲気です。
 26日付けなので、ちょっと古いですが、中国の右派新聞、しかし人民日報傘下なので政府の意向を有る程度、代弁しているはずの「環球時報」の「朝鮮は危険な遊びを繰り返すな」という社説(環球時報に関する説明の典拠は、
http://blogs.ft.com/rachmanblog/2009/04/chinas-global-times/
くらいしか、さっと見つかりませんでした)から、結構、怒りが伝ってきます。
 英訳もあるかもしれませんが、中国語版をかいつまんで紹介すると「核兵器では飯は食えない。特に朝鮮のような小国が、核兵器によって自己の安定、安全などを獲得しようというのは非現実的だし、危険だ。一回や二回なら交渉材料にもなろうが、長続きはしない。国際社会は、いつまでも朝鮮の遊びにつきあうことは出来ない」「朝鮮は核問題で、言ったことを守らず、国際社会の信頼を破壊した。朝鮮はすでに、人に疑われ、また人を疑う悪循環に陥っている。こうした環境でも生きてはいけるかもしれないが、不便で不快な生活になるだろう。朝鮮は巨大な代価を払うことになり、大きな圧力を受けることになろう」といった調子です。
 中国人の友人によると、中国語のニュアンスとしても、かなり恫喝が入っているそうです。
 一方で、同じページには、復旦大学国際問題研究院副院長のコメントとして「朝鮮が核兵器を持ったからといって、すぐ日本や韓国が核武装に取り組むということはないだろう。両国とも米国の核の傘の下にいるからだ」「中国に関して言えば、台湾への武器売却などで中国の国益を犯している米国を信頼することはできない以上、積極的に隣国(朝鮮)を米国の懐に向かわせるわけにはいかない。中朝の正常な関係は発展させ続けなければいけない」という談話を掲載してバランスを取っています。
 さっと読みながらなので、訳が不正確な面があったらすみません。
 現状では日本による中国に対する揺さぶりは、まだまだ足りないということでしょう。先制攻撃論などは多少、中国側を刺激してはいるようですが、そんなことより、一歩一歩、対米自立の歩みを進めることが、中国に対する効果的な揺さぶりになると思います。
 鳩山政権が誕生した際に、政権ブレーンに太田さんの名前が挙がると、それだけで結構な刺激になって面白いと思うんですけど。在日中国大使館の各位が、必死でメルマガのバックナンバーを読む様を想像すると、痛快ではないですか?
 あ、私は無料読者なので、有料コラムを読んでおらず、なんかデータが重なっていたらすみません。無視してください。夏に帰国した暁には、かならず有料読者に申し込みます。すいません。
<コバ>
 事あるごとに平穏無事を願ってしまうのは縄文人の悪い癖でしょうか…orz <(コラム#3300参照)>
 しかし北朝鮮が崩壊した後、そこに影響力を保持するのはやはり中国、ロシアでしょうか?
 毎日新聞に、岸井氏は「日本は北朝鮮と戦後処理をしていない。国交正常化して平和条約を結ぶと、(賠償金として)経済協力の形で、韓国に出しただけは払わなければならない。現在の額では1兆円」と説明したと書かれています
http://mainichi.jp/area/fukuoka/news/20090528ddlk40040386000c.html
が、北朝鮮が崩壊した後、日本と北朝鮮が国交正常化するにはそんな賠償金を支払うような形で経済協力をしなければならないのでしょうか?
 日韓基本条約とは一体何だったのか…。何にでも無知な米国の植民地の愚か者として、さらに閉塞感を抱くこの頃です。
<太田>
 断片的引用に関してコメントをするのは、本来差し控えるべきですが、仮にこれが正確な引用ないし要約だとすると、岸井は毎日新聞特別編集委員としても評論家としても失格です。
 日本は、旧日本帝国を構成していた朝鮮半島(の北部)と戦争をしたわけがなく、従って「戦後処理」をしようにもしようがないというのが第一点、従って「賠償金」はもとより、「経済協力」をし「なければならない」立場になど全くないというのが第二点、また、既に日本は朝鮮半島の「唯一の合法的政府」たる韓国政府(日韓基本条約第三条)と国交正常化の際に「経済協力金」を支払っており、北朝鮮に、あるいは北朝鮮の韓国への併合後に再度「経済協力金」を支払う根拠などないというのが第三点です。
 ここ↓で、既に明快な解説が行われてますよ。
http://oshiete1.goo.ne.jp/qa1453904.html
 話は変わりますが、私は、一応国際問題の専門家なので、小沢が民主党代表を辞任してからというもの、あんまし国内政局はフォローしてないんだけど、鳩山民主党新代表、うまくやってます?
 民主党に精気は戻りましたか?
<おーつか>
 党首討論ではかなり評判を落としたようです。
 党内は、岡田支持の連中はがっかりしているし、かと言って積極的に鳩山を持ち上げる者も見当たらず、あまり活発な印象は受けません。
 小沢は相変わらず選挙にしか興味がないようです。
 そうそう、小沢秘書はさすがベテランだけあって、保釈されるまで容疑を否認していたそうですが、マスコミは誤報の謝罪をしていないようですね。
<こくぴと>
 今日の草薙くんについてのコメントは好感度UPにすこし裨益したかも。
<太田>
 これ↓ですね。
民主・鳩山代表、草なぎ 剛さんにエール「失敗のもとで経験が生かされる」
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00156090.html
<ueyama>
 ・・・最近・・・マーティン・スコセッシ・・・が指揮した「BLUES Movie Project」(映画7作の大プロジェクトです)を見ました。
http://www.amazon.co.jp/dp/B0006ZXES4
 こういう映画やリー・ハーシュ(Lee Hirsch。全然別の映画撮ったって話聞かないけど、撮ってないんだろうなぁ。氏素性もよく知らないけど。。)「AMANDLA!」
http://www.amazon.co.jp/dp/B0009VEBNW
なんかを見てると、黒人にとって音楽がいかに重要かがわかるような気がします。
 BLUES Movie Projectのほうは、ブラックミュージック好きなら楽しめると思います。素晴らしい音楽映画の数々で、けどやっぱりちょっと重いです(テーマ:Blues = 黒人の歴史、ですから)。
 同時期のスコセッシ指揮の映画「LIGHTNING IN A BOTTLE」のステージは
「彼らは私たちの同胞を奪い太鼓も奪った。でも、ただ一つ奪えなかったものがある。私たちの“声”だ」
というベナン出身のミュージシャン、アンジェリーク・キジョー(Angelique Kidjo)のスピーチで幕を開けます。
http://www.amazon.co.jp/dp/B0009UAZJC/
 この映画もお薦めです。
 「AMANDLA!」は南アのアパルトヘイトについて、歌や音楽が政治的運動や戦闘にまで影響を与えた点について注目し、彼ら(「アパルトヘイト」されていた黒人たち)の歌を中心にして構成された映画です。賞も沢山とってるらしい(
http://www.imdb.com/title/tt0303297/awards
)映画なので見られた方も多いでしょうけど、見てなければ是非。
 Sly Stone、その映像だけじゃueyama涙目みたいな感じになってしまいそうなので、在りし日のSlyの映像も 笑 めっちゃくちゃかっこいいですよね。こんなに偉大な芸術家はそうそういないと思います。
Stand!
http://www.youtube.com/watch?v=14yEO8nfqxE
If You Want Me To Stay
http://www.youtube.com/watch?v=l4L9q4owB74
Que Sera, Sera (Whatever Will Be, Will Be)(曲のみ)
http://www.youtube.com/watch?v=-gPETyY5eIM
 映像なしで、しかもカバー曲ですけど、彼の曲ではこれが一番好きです。
 Sly Stoneといえば「Different Strokes by Different Folks」というトリビュートアルバムが数年前に出てて、素晴らしい出来で、今思い出して聴いてます。ヒップホップ畑やらソウル・R&B畑やらロック畑やら、ほんとに色んな一流アーティストが参加していて、ほんとに沢山のミュージシャンからレスペクトされているのがよくわかりますね。
http://www.amazon.co.jp//dp/B000AA301Q/
<太田>
 ついでに、ドリス・デイの歌う元の Que Sera Sera 聴いちゃいました。
 懐かしいなあ。
http://www.youtube.com/watch?v=xZbKHDPPrrc
 では、本日の記事の紹介です。
 「・・・かつて蓮池<透>さんは家族会の中の”顔”として、マスコミにも頻繁に登場し、過激な主張を繰り返し来ました。『これは戦争だ』などと、日本の核武装にまで言及していた。しかし、事務局長を辞めた頃から、その発言内容は対話路線といった柔軟なものになっていった・・・<これは、>弟との話し合いにより、過激な洗脳が解かれ冷静に拉致問題の本質を考えられるようになった<ということではないか>。拉致家族の中からこうした対応ができる人物が出てきたことは、拉致問題解決にとってもよい方向といえよう。・・・」
http://news.livedoor.com/article/detail/4176474/
 
 この記事↑の筆者は、拙著『実名告発 防衛省』の原稿の編纂を金曜日(社)の委嘱を受けて手がけた神林広恵さんであり、彼女の活躍を祈りたいのは山々ですが、彼女によるコメントは???ですね。
 これが事実だとすると、むしろ、蓮池透さんは、洗脳が未だ解けない弟から洗脳されてしまった、と解すべきではないのでしょうか。
 このあたり、事情にお詳しい方、ご教示いただけるとありがたい。
 オバマが駐英、駐日大使にお友達を指名しましたが、この政治的任命に関するコラムがスレート誌に出ていました↓。
 このコラムが、かつての英国での事例から始まるところが、米国のアングロサクソンのはしくれたるゆえんです。
 ・・・The worst political appointment of all time may have been that of James Brudenell, seventh Earl of Cardigan. After purchasing commissions as a lieutenant, captain, major, and lieutenant colonel–in the 19th century, you could buy your way up through the British army–Cardigan finally landed a gig as head of the famous Light Cavalry Brigade during the Crimean War in 1854. It cost him 40,000 pounds. It cost Britain the battle, its integrity, and the lives of more than 100 soldiers. After the war, Britain abolished the practice of selling commissions.
 ・・・But in the United States, the practice is going strong. Not in the military, of course?in the diplomatic world. About two-thirds of ambassadorships currently go to career diplomats. The rest go to the president’s friends, colleagues, and political donors.
 President Obama continued this proud tradition Wednesday by appointing three top donors to ambassadorships. Louis Susman, a retired vice chairman of Citigroup Corporate and Investment Banking, was nominated ambassador to Britain. (Fundraising for Obama: more than $500,000.) Former financial analyst Charles Rivkin ($100,000 to $200,000) will be America’s man in Paris. And biotech lawyer John Roos (more than $500,000) will relocate to Tokyo.・・・
 Political appointments can end badly. Reagan’s appointee to Norway, Mark Austad, was known for getting drunk and chasing women around. “We had to get rid of him,” ・・・. Another ambassador, this one to Denmark years ago, was asked to resign after it became known that he kept two prostitutes in his residence. ・・・
 But the argument against political appointees isn’t that they’re incompetent. John F. Kennedy made many keen political appointments, like sending Harvard professors John Reischauer to China and John Kenneth Galbraith to India. Walter Mondale was well-liked in Japan. In France, Benjamin Franklin wasn’t so bad, either.・・・
http://www.slate.com/id/2219261/
 オバマが初指名した米最高裁判事がプエルトリコ系であることにひっかけて、米国とプエルトリコとの微妙な関係を説明するコラムがスレート誌に載っていました↓。
 米国の属領としてのプエルトリコと属国としての日本との相違点(コラム#1993)に、改めて思いを巡らしていただきたいと思います。
 We can argue whether Sonia Sotomayor, President Obama’s nominee to replace retiring Justice David Souter, would be the first Hispanic to serve on the Supreme Court. It’s beyond dispute that she would be the first Puerto Rican. Sotomayor was born and raised in the Bronx, but her parents migrated to New York from Puerto Rico, and Sotomayor retains a strong ethnic identification with that Caribbean island. “Our gender and national origins may and will make a difference in our judging,” Sotomayor said in a 2001 speech・・・
http://www.slate.com/id/2219259/
 映画「おくりびと」は陳腐きわまる、との酷評をニューヨークタイムスが載せました。
http://movies.nytimes.com/2009/05/29/movies/29depa.html?8dpc
 クリスチャンサイエンスモニターの北朝鮮の核実験の2つの記事から、首をひねった箇所を抜き出してみました。
 核兵器科学にお詳しい方による説明を期待しています。
 ウラン濃縮による原爆製造の方が易しい↓? ホントかなあ。
 ・・・Many experts believe that North Korea’s nuclear design is an implosion type, as was the Nagasaki weapon. Implosion bombs squeeze a round core of plutonium to produce their explosive power. North Korea is known to have plutonium–an estimated six to eight bombs’ worth, produced from spent nuclear reactor fuel.
 By contrast, gun-type nuclear bombs need uranium. They create a critical mass by firing one cylinder of highly enriched uranium into another. They are much easier to engineer, but Pyongyang has long denied that it has any highly enriched uranium, despite a few hints to the contrary puzzled out by US intelligence. ・・・
http://www.csmonitor.com/2009/0529/p02s01-usfp.html
 イスラム過激派等は、ウラン濃縮核爆弾の方を欲している↓? これもホントかなあ。
 ・・・the likelihood of North Korea providing nuclear assistance or devices to nonstate terrorist groups like Al Qaeda is unlikely, due to the difficulties of such a transaction. And if the goal of such a group was a bomb, the design of choice is a uranium bomb, which North Korea has not yet produced,・・・
http://www.csmonitor.com/2009/0528/p06s01-wosc.html
 フランスは、創価学会もカルトに指定している(コラム#195)ところ、このたび、同様にカルトに指定しているところのサイエントロジーを、信者からカネを巻き上げる組織的詐欺を行っているとして起訴しました↓。
 このような戦闘的反宗教的姿勢もまた、民主主義独裁の欧州文明の一発現形態である、と私は考えています。
 ・・・France’s 1996 list of dangerous cults, for example, contains 172 groups, including Jehovah’s Witnesses, Hare Krishnas, the Worldwide Church of God, the Unification Church and even transcendental meditationists ? all of whom have largely shed their cult status in the U.S. and the U.K. ・・・
 French prosecutors are charging Scientology’s French affiliate with organized fraud. Six of Scientology’s top French officials are defendants in the case that began May 25. When investigating magistrate Jean-Christophe Hullin filed the findings of a nine-year inquiry with prosecutors, he described Scientology as “first and foremost a commercial business” whose interactions with followers are defined by “a real obsession for financial remuneration.”・・・
http://www.time.com/time/world/article/0,8599,1901373,00.html
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太田述正コラム#3303(2009.5.29)
<久しぶりの会合>
→非公開