太田述正コラム#3366(2009.6.30)
<皆さんとディスカッション(続x527)>
<ΑΗΗΑ>(「たった一人の反乱」より)
≫民主党相乗りのケースは別にして、自民の推薦もらって当選した首長なんて全員、一種の禁治産者だと思わなくっちゃ。≪(コラム#3364。太田)
 おーたんは橋下知事出演部分の動画を全部見てないんだろうけど、amida氏にレッテル張りはやめろと言ってるんだから、自民推薦に対する知事等へのレッテル張りもやめてくだされ~
 おーたん的には、自民推薦で出馬するなんて、周回遅れの議論過ぎてウンザリなんだろうけど、やっと今、世間も自民じゃダメだろ的な空気が醸成されつつあるのかもしれんのよ。
 先日のたかじんのそこまで言って委員会での橋下知事は、「政治の世界に入って、自民じゃダメですわー的なことに気づきました」と言いたかったと、僕は解しましたよ。
<太田>
 一昨年の11月22日に大阪の朝日放送で生放送に出演したのですが、その時他の出演者達と事前に打ち合わせをする時間がありました。
 すでに「たかじん~」で2度ご一緒した橋下氏もいたのですが、「私も誘われたんだけど、そのうち太田さんにも自民党から声がかかりますよ」と言われたのにはずっこけました。
 私がかつて民主党から立候補したことがあるのをご存じなかったのだろうけど、「たかじん~」での私の論調からして、自民党が私をかつぐはずがない、とどうして思わないのか、とね。
 
<amida>
  雑駁な議論<(コラム#3364)>で済みませんでした。
 でも、政治をこのような場で論ずるのに、常に学術論文を書くように、典拠、注釈を付けて、論じなければならないというのはどういうものでしょうか。
 太田先生の支持者の皆さんは、みんな学問的修養の究められた人ばかりですけれど、私のようなボンクラの言う雑駁な意見にも親切にわかりやすく、意をくんで誤りを指摘してほしいものです。
 創価学会員、共産党員、門徒もの知らずと揶揄される念佛者という履歴しかない学のない私は、学術的学問的な論文はかけない、でもそんな人にも自分の政治見解をできるだけ平易に説いて理解させられない政治家は、もちろん国会議員にはなれないのもまた現実ではないでしょうか。
 発言の場所をわきまえる常識を持たない私の方が悪いのでしょうが、でも中共の間接侵略、韓国の対馬・竹島の侵略等を見るにつけ、本当に国防を厳しく計らうことのできない民主党の政権では危ういのではないか、という国民の心配は杞憂にすぎないのでしょうか、どうもそう思えないのです。
<太田>
 私は、選挙に2度と出るつもりはありません。
 だけど、せっかくですから、「親切にわかりやすく」説明を試みましょう。
 あなただって、自民党議員であれ、民主党議員であれ、対中共スタンスは人によって違うことくらいはご存じでしょうね。
 例えば、民主党の古川元久衆議院議員(後出)(コラム#2406、2414)は、19日、「・・・韓日はこれまで競争する段階にあったが、視野を広げれば協力し大きな利益を創出できると主張。中国が製造業で発展し標準モデルを世界に広げているが、韓日が協力すれば克服できると強調した。韓日が互いに競争優位にある部品を組み立て完成品を生産すれば、中国より競争力のあるグローバルスタンダード製品を生産することが可能だとし「両国が共助してこそ、アジアの他国をけん引するリーダーになれる」」と述べてますよ。
http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2009/06/19/0200000000AJP20090619002400882.HTML
 こういう話を持ち出すと、今度は、そんな親韓的姿勢は問題だと言い出すんでしょうね。
 私が言いたいのは、幸か不幸か日本は、憲法解釈を変更し、安保条約を双務化し、自衛隊を戦力化するまでは、米国の属国であり続けるわけであって、仮に民主党中心の政権が成立したってこのことに当分の間、変わりはないのですから、宗主国が中共と対峙し、韓国と提携するスタンスをとっていて、今後ともとり続けるであろう以上は、日本政府も古川議員のような対中・対韓スタンスの対外政策をとらざるをえない、ということなんですよ。
 つまり、古川議員のようなスタンスでない、親中的対外政策を標榜する議員が民主党の中にいたとしても、そのような政策を政権政党としての民主党がとることなどありえないのであって、ご「心配は杞憂」なのです。
 お分かりいただけました?
<globalyst>
 –国際恋愛中の日本女性へ–
≫皆さん、国際恋愛をするつもりがあるのなら、もうちょっとまともな英文ラブレターが書けるように、英語力を磨いて下さいね。≪(コラム#3364。太田)
 国際恋愛は、英語力を磨くだけでなく、(ちゃんと避妊して)恋愛で留めておくのがよさそうです。
 先日(5/21)、米国、英国、フランス、カナダ4カ国の公使(駐日臨時代理大使)らが米大使館内で、これらの国の国民と国際結婚した日本人が離婚後、日本に子供を連れて帰る問題が深刻化していると明らかにしたという記事が掲載されていました。
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200905/2009052100954
 これは「国際的な子の奪取に関するハーグ条約」を日本が批准していないことから生じる問題とされますが、日本には共同親権の制度がなく(つまり離婚に際して親権は父母の何れか一方が持つ)、更に、日本では離婚に際して親権は一般的に母親が持つことが多い
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%B1%E5%90%8C%E8%A6%AA%E6%A8%A9
ことから、日本女性が外国で(浮気や家庭内暴力で)相手方男性とうまくいかなくなったときに、子供を連れて日本の親元へ帰ってしまうということが実体ようのうです。
 そして、例えば、下記のブログにあるように、「親権は母親が持てる」という考えの日本女性が米国内で米国男性と離婚しようとすると大変な苦労があるようです。
http://ameblo.jp/rikon07/
 なにせ相手は訴訟社会で生まれ育った謂わば訴訟のセミプロみないなものですので、離婚を考え始めたときから、弁護士に相談して訴訟を前提に日々暮らさないと、子供に会うこともできず、また、下手をすると誘拐犯になってしまうようです。
 とかく恋愛中は周囲が見なくなって、後先考えずに「出来婚」なんてよくある話だけど、外国人(特に米国人男性)と恋愛する場合には、「結婚の先には離婚が有り得る」ことを覚えておきましょう
 貴女には、その国に離婚後の生活基盤(仕事)は有りますか?
 滞在ビザがなければ、一夜にして不法滞在者になって、再入国もできなくなってしまう現実をお忘れなく。
<太田>
 これは、ハンドルネームにそぐわない、異なことをおっしゃいますね。
 「国際的な子の奪取に関するハーグ条約」を日本が批准しておらず、また、日本には共同親権の制度がないことこそ世界の非常識であり、問題なのです。
 離婚するのはよしとしても、勝手に子供を連れて日本に帰っちゃだめだよ、と日本の女性を諭していただかなければ困ります。
<ηηΑΑ>(「たった一人の反乱」より)
 「懸賞論文への投稿が発端で更迭された元航空幕僚長、田母神俊雄氏を原爆記念日(8月6日)に 広島市に招き開催予定の講演会について、同市の秋葉忠利市長が、被爆者や遺族の悲しみを増す恐れがあるとして日程変更を29日、文書で要請した。主催者側は予定通り実施する構えだが今後、憲法の「集会の自由」が脅かされ、「言論封殺」と批判された“田母神事件”が再燃する恐れも出てきた。
 この講演会は日本会議広島などが計画した「ヒロシマの平和を疑う~田母神俊雄氏が語る、広島発真の平和メッセージ」。5月に中国の核実験の被害をテーマに講演会を開催。
 日本が唯一の被爆国でなく、共産圏の核に日本の反核団体が寛容であることへの疑問を踏まえ、いかに核の惨禍を回避するか--として同氏の講演会を企画したという。」
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/090629/trd0906292149014-n1.htm
>共産圏の核に日本の反核団体が寛容であることへの疑問を踏まえ
 これは普通に同意できる部分だ。
高田純 (理学博士) – 札幌医科大学教授のサイト
http://www15.ocn.ne.jp/~jungata/
広島市長の秋葉忠利 
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A7%8B%E8%91%89%E5%BF%A0%E5%88%A9
※「平和活動」の項に注目
<太田>
 「共産圏の核に日本の反核団体が寛容である」と私も思いますが、そのズバリの典拠を付けて欲しかったですね。
 核問題と言えば、本日の朝日の社説↓の言っていることはまっとうです。
 「・・・1987年から89年まで外務省の事務次官をつとめた村田良平氏(79)が・・・証言した密約は、60年の日米安保条約改定の際に、核兵器を積んだ米艦船が日本領海を通過したり、寄港したりすることなどを日本側が認めると約束していたというものだ。・・・
  日米間の密約はこれ以外にもある。
 朝鮮半島有事の際には事前協議なしに在日米軍が日本の基地から出撃できるとしたものや、極東有事の際に沖縄への核再持ち込みを認めると約束したことなどがある。いずれも60年代に交わされ、米国務省の公文書やライシャワー元駐日米大使の証言などで、繰り返し明らかにされている。・・・
 密約を交わしてから長い年月が経過しただけではない。冷戦はとうに終わり、米国の核戦略や日米同盟の役割もかつてとは様変わりしつつある。さらに、一方の当事者である米国が事実を公開している。
 もはや隠し続ける意味があろうはずがない。政府は密約を認め、国家的なうそをつき続けたことへの批判に向き合うべきだ。・・・」
http://www.asahi.com/paper/editorial.html
 記事の紹介を続けます。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20090630-OYT1T00062.htm?from=main4
を読むと、鳩山由紀夫承知の上で事務所をあげてマネーロンダリングをやっていたとしか思えなくなってきたな。
 岡田克也は、早くも鳩山を見限り始めた兆候があるね↓。
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090629AT3S2800G28062009.html
 この際、岡田も一緒に葬り去りたいものですが・・。何か手はないものか。
 北朝鮮による武器輸出を完全に止めるのはむつかしそうですね↓。
 ・・・North exported some US$800 million worth of weapons including missiles, submarines, multi launch rockets and field artillery to Iran, Syria and Burma between 2000 and last year. Until the 1990s, such exports were relatively easy for the West to track since the North exported finished goods directly to recipients with its own cargo vessels. But tighter controls by the international community of weapons of mass destruction and restraints on the North’s arms industry meant Pyongyang had to look for more devious ways.
 For instance, the North took a roundabout land route via China and Russia, which is harder to trace, or used transport planes at night. It also exported weapons by building assembly factories in importing countries. To circumvent an entry ban on its ships in ports, North Korean chartered ships under the names of foreigners, falsified the country of origin, or did business through a third country. That is mostly how it was able to export to Iran, Syria, Burma and Laos. ・・・
http://english.chosun.com/site/data/html_dir/2009/06/29/2009062900820.html
 
 ロボット大国、省力化大国の日本で、ガソリンスタンドやデパート内エレベーターに従業員がたくさんいるのはどういうわけだ、と首をひねっているコラム↓がありました。
 ・・・Technology <in Japan> seems to be for moving people, goods, and information–not for completing human transactions. And with universal health insurance and a national pension program, there’s a dignity to low-level service jobs in Japan. It could be that the inefficiencies have something to do with a societal desire for full employment.
http://www.slate.com/id/2221749/
 本日公開したコラム#3289「歌舞伎観劇記(その1)」で歌舞伎の猥雑な起源について記したところですが、そういうアジア世界と、性的禁忌だらけだった欧米とが状況が逆転したことを指摘した上で、それがなぜ起こったかを模索する書評↓が出てました。
 ・・・In the mid-19th century, “most of the world still subscribed to the harem culture, and in only the few small countries of the West, the small peninsular domain of Christendom, did a different attitude prevail.” By the end of the century, it was the other way around.
How did this happen? Frustratingly, Bernstein doesn’t offer many convincing explanations, but he does note that the colonial East attracted more missionaries than Burtons in the end. In Somerset Maugham’s novel Rain, a missionary complains, “I think [it] was the most difficult part of my work, to instill in the natives a sense of sin.” But they did. They succeeded. They soaked the East in a Western sense of sin, and saw it freeze up into a new frigidity.・・・
http://www.slate.com/id/2221479/pagenum/all/#p2
 しかし、あきらかにこれ↑は日本については説明になっていないですね。
 ひょっとすると、これだけは、占領に原因を求めざるをえないのかも。
 ファイナンシャルタイムスが、現在の日本の政治の状況を、公務員改革問題にしぼってかなり詳細に説明しています↓。
http://www.ft.com/cms/s/0/16d74fde-64e0-11de-a13f-00144feabdc0.html
 余り洞察力が感じられない記事だけど、旧大蔵省出身の古川元久議員(民主)に随分スペースを割いてるね。
 この記事↓中のBriainをJapanで、EuropeをJapan/Korea で基本的に置き換えて読むべし。
 ・・・<Britain’s> Institute for Public Policy Research (IPPR), a leading thinktan・・・report <say>s that assumptions that the US will always come to Britain’s rescue are complacent and it is “delusional” to believe that the UK can act alone without closer European defence co-operation. It warns: “If we do not strengthen Nato by reinforcing its European pillar, not just on defence but on wider security issues too, the result will be neither the status quo nor some other fantasy of wider collective security co-operation.”
 It adds: “There will be a future crisis that leaves us vulnerable to shifting American interests and opinion, relative US decline and European disunity and weakness, when Nato’s political glue fails to hold and Europe is left more exposed than at any time since the second world war.”
http://www.guardian.co.uk/politics/2009/jun/30/defence-budget-aircraft-carriers-trident
 ただし、現在の英国は、以下↓の点で、現在の日本とは戦略的環境が異なっていることにも注意が必要です。
 ・・・Britain is not threatened now by any nuclear-powered state and its enemies are international terrorists・・・
http://www.guardian.co.uk/politics/2009/jun/30/uk-defence-policy-trident-us
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太田述正コラム#3367(2009.6.30)
<対イラク戦は大成功だった?>
→非公開