太田述正コラム#3516(2009.9.11)
<皆さんとディスカッション(続x595)>
<親衛隊員>
 金井宣茂氏の階級を呼称しないのは、可能な限り自衛隊の存在を無視しようというわが国のマスコミの悪癖がでたということでしょう。
 彼らは南極観測船が「砕氷艦」という海自の艦船だということや、政府専用機が空自によって運用されていることも「故意にぼやかして」報道してきてますからね(だからこれらの事実を知らない国民は私の周囲を見る限りでも非常に多い)。
 日本のマスコミにはそれほどオウム真理教ならぬ「憲法9条真理教」の信者が巣食ってるんですな。
 こんな有様じゃ太田さんの仰る「独立国日本」への道は遠いですよ。
 目覚めた一部の有志が決起しない限りわが国はいつまでの隷属国家のままでしょう(アメリカの独立にせよ中国の共産革命にせよ一部の革命エリートが大衆を扇動してやったことですから)。
 多数の国民が目覚めるなんて有り得ないでしょうから。皮肉っぽい調子で失礼しました。     
<太田>
 私は、自衛隊シンパを自認する産経新聞が、今回に限ってどうして階級を記載しなかったのかに首をひねったのですがね。
 いずれにせよ、南極観測船や政府専用機の話は典拠が必要です。
<αοαο>(「たった一人の反乱」より)
 「給油継続要請に不快感=駐米大使「決めるのは日本」
 藤崎一郎駐米大使は10日の記者会見で、米国防総省のモレル報道官が海上自衛隊によるインド洋での給油活動の継続を求めたことに対し、「どういう(国際)貢献をするかまず決めるのは日本だ」と述べ、不快感を表明した。
 藤崎大使は給油活動について、「日本が主体的に判断した国際貢献で、(米国に)要請されてやってきたのではない」と指摘。
 今後の対テロ活動の在り方については「新政権が発足した時に日本政府として検討されることだ」と述べ、政権発足前に米政府が言及すべきではないとの考えを示した。
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009091100111
↑政権交代効果なの?
<太田>
 イエース。
 1988年に英国に留学していた時に、当時駐英大使館の公使か筆頭参事官であった藤崎さんの自宅に夕食に招かれたことがあります。
 美術品の収集が趣味の、いい意味でも悪い意味でも典型的な、毛並みの良い日本人外交官(慶大中退)であるという印象を抱いた記憶があります。
 ちょっと驚いたんだけど、駐米大使なのに、彼、ウィキの項目になってないのね。
 これが何を意味するのか、私よりネチズンの諸君の方がよくお分かりでしょ。
 ところで、彼、私よりちょっと前にスタンフォードに在籍していたことがあるらしい。
http://www.amakiblog.com/archives/2009/08/24/#001459
 当時、そこまで調べてなかったんだろうけど、彼との間で、全然スタンフォードの話題は出なかったな。
 彼、よっぽど政官界遊泳術が巧みだったんだろうけど、そこへ恐らくは運にもおっとろしく恵まれて、本来事務次官を終えたクラスの外務官僚の指定席であるところの駐米大使の座を射止めたのだろうけど、その遊泳術のすごさの一端が、今回の発言で分かるよね。
<ααοο>(同上)
 ミンスの外交とか防衛とかは、少なくとも参議院の数の関係で捨民と連立しないとダメなことから、全く期待とかしてなかった。
 でも、環境も経済もトンデモしか語ってねーってどうよ?
【岸博幸のクリエイティブ国富論】
◆鳩山民主党政権が陥りかねない
「官僚依存の脱官僚」という安直路線
期待しているからこそ、敢えて厳しく言いたい。残念ながら、民主党が掲げる“脱官僚”は、勘所を外している。このままでは、財務省や経産省といった主要官庁の力を借りて、他の役所を血祭りに上げるだけに終わりかねない。
http://web.diamond.jp/rd/m437837
→旧経産官僚の岸クンがそんなことを言うのは、ひょっとして、自分が享受している産官学癒着構造・・彼の場合は、総務省(退官時に在籍)がらみのIT癒着構造・・にメスが入れられそうで、戦々恐々としているってことじゃないかな。(太田)
【経済ジャーナリスト 町田徹の“眼”】
◆1世帯36万円以上の最低負担
「温室ガス25%削減」鳩山発言への懸念
温室効果ガスの削減目標について、鳩山由紀夫・次期首相が「1990年比で
25%の削減」と発言し、国内の経済、労働界から強い反発が出ている。冷静に
みると、この発言は異常ではないだろうか。
http://web.diamond.jp/rd/m437851
→EUがぶちあげてるのは30%削減だよ(コラム#3510)。
 いくら日本が既にエネルギー消費が効率的な社会だとはいえ、ぶちあげベースとしては、25%って決して「異常」じゃないと思うよ。(太田)
【田中秀征 政権ウォッチ】
◆新政権は「小沢肩車政権」!?
http://web.diamond.jp/rd/m437929
→ご案内のように、これだけは、私もヒジョーに心配しとるよ。(太田)
<αοοα>(同上)
 太田的にはそんなの瑣末なことなんでしょ。
 自民を止めたことで民主は9割がた役目を果してたというか。
<ΠΠΑΑ>(同上)
 ・・・
>温室ガス25%削減」鳩山発言への懸念
 実現できないのを見越しての国際的な人気を得るためのリップサービスでは?とは太田氏が<コラム#3510で>指摘しているが。
 ところで、太田氏は日本の情報組織の貧しさを指摘して再建は困難ではないかと心配してるようだが、佐藤優氏は大丈夫だと言ってるようだ。
 経済・文化的にこれだけ優れていることに加え、日本人の教育程度の高さや信頼性があるから、その気になれば直ぐに情報組織はつくれると楽観的だね。
 僕もそう思う。戦前からやってきた情報に関わってきた人たちの個人的な人間的つながりもまだ健在のようだしね。
 地域によるかもしらんが。
<太田>
 最後のくだり、絶対典拠が必要!
 戦争が終わってからどんだけ時間が経ってるって思ってるの?
 それに、佐藤優なら優秀な諜報員になれたと思うけど、彼のような人材を使いこなす、諜報に係るリーダーが務まるような人材が今の日本には払底しています。
 
 それでは、記事の紹介です。
 拓殖大学学長・渡辺利夫は、東大教授時代に、自民党政府の安全保障に係る御用学者として「活躍」した人物ですが、そんな人物が鳩山、ひいては民主党の安全保障理念を批判するとは厚かましいにもほどがあります。↓
 「・・・鳩山氏が『Voice』誌9月号に寄せた「私の政治哲学」と題する特別寄稿論文<のような>・・・なものがアメリカの指導者の目に触れなければいいがなと思わされてもいた。民主党の圧勝が予想され次期総理の確たる人物が、発足して間もないオバマ政権下のアメリカに向けてこのような論文を発信するのは非常識である。・・・
 唯一の同盟国アメリカの軍事的庇護の下で平和を享受している日本の指導者のこの発言に、嫌悪感を抱かされたアメリカの政治家や官僚が少なくなかったことは十分に想像される。・・・
 民主党のマニフェストがうたう「緊密で対等な」日米関係を築くには、集団的自衛権行使を認めて同盟を双務的なものとする日本の「譲歩」がまず第一歩である。・・・
 」
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090911/plc0909110225002-n1.htm
 これまで、「唯一の同盟国アメリカの軍事的庇護の下で平和を享受している日本の指導者の」やってきたことに、既に「嫌悪感を抱かされたアメリカの政治家や官僚が少なくな<い>」のが実態であり、そういう日本の指導者達を御用学者として擁護してきた最たる者の一人が渡辺サン、アンタなんだからね。
 「緊密で対等な」<を>うたう・・・マニフェスト<を掲げる>民主党・・・<こそ、>日米関係を築くには、集団的自衛権行使を認めて同盟を双務的なものとする・・・<の>が第一歩である<と考え」、その考えを実行に移す可能性が高い、と私は信じてるんだなあ。
 防衛庁(省)も同じことをやっていたのかどうかは知らないが、2001年の参院選で私が落選した時、旧知の労働省婦人局長(当時)から当選の祝電が届いて、労働省の仕事の杜撰さに目を剥いたことがあります。↓
 「国政選挙で当選した主に自民党議員<等>に対し、国土交通省やその所管法人、文部科学省の幹部職員がこれまで、公費を使って祝電を出していたことが分かった。・・・」
http://mainichi.jp/select/today/news/20090911k0000m010167000c.html?link_id=RTH03
 泥船北朝鮮。↓
 「・・・北朝鮮の権力序列2位の金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長は10日、共同通信との会見で、金正日総書記の後継者問題について、「革命の伝統を継承する問題は重要だが、このことと後継者問題は関係ない。現時点では論議されていない」と述べた。
 金委員長はこの日、平壌の万寿台議事堂で行われた会見で、金総書記の三男・正雲(ジョンウン)氏が後継者に内定したという報道について、「一部の外国メディアが、わが国の発展と繁栄を阻もうとするための策略として流した情報だと考える。今、わが人民は共和国(北朝鮮)と社会主義を守るため、金総書記を中心として強く団結している」と述べ、後継者が内定したという説を正式に否定した。金委員長はまた、「金総書記は現在も、党・国家・軍のすべてに対する賢明な指導を精力的にこなしている」と語った。・・・」
http://www.chosunonline.com/news/20090911000009
 そうは言うけど、戦前のポーランド、相当いかがわしい国だったことは間違いないみたいね。↓
 ・・・I was・・・surprised and saddened to read・・・Professor Niall Ferguson<’s>・・・sweeping generalisation that “Poland was little better than [Nazi] Germany in 1939”. While it is unquestionably true that Poland in 1939 was not a model democracy by today’s standards, to compare its political system with fully fledged fascism does seem harsh to say the least, if not entirely unjustified. Unless, of course, Professor Ferguson sees no significant difference between the guaranteed right of representation for members of national minorities in the admittedly imperfect parliament, as was the Polish Sejm in the late 1930s, and the state-sponsored, indiscriminate violence on a nationwide scale against a national minority (eg Kristallnacht) which came to symbolise the rise of the Third Reich.・・・
http://www.guardian.co.uk/world/2009/sep/11/poland-war-fascism
 前に身長の問題をとりあげたことがある(コラム#1488)し、つい最近も背の低い男性のコンプレックスに触れたことがあります(コラム#3512)が、身長が高い人はより楽しく幸福なんだって。↓
 ・・・taller individuals judged their lives more favourably and were more likely to report positive emotions such as enjoyment and happiness. ・・・
 ・・・this is because the taller people also had higher incomes and education.・・・
 Women scored higher overall than men on the ladder scale and there was less difference between the taller and shorter women. ・・・
 Surprisingly people who say that their lives are the ‘best possible’ are slightly shorter on average than those who are a step or two below.・・・
 Taller men and women were more likely to report enjoyment and happiness, and less likely to report pain and sadness.
 Taller men, although not taller women, also worry less. ・・・
 Height does matter, it’s always mattered for a very obvious reason – when you are born you are shorter than the people who look after you and have authority over you.
 ”And that power relationship never reverses.”
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8245032.stm
 日本の死刑囚の扱い、ひいては日本の死刑制度の問題点を指摘されました。↓
 ・・・Death row prisoners, according to Amnesty, are not allowed to speak to other inmates and are held in isolation.
 Apart from twice or thrice-weekly exercise sessions, they are not even allowed to move around their cells but must remain seated・・・
 As a result, many are now suffering from mental illnesses and are delusional. ・・・
 ・・・the Japanese practice of informing prisoners that they would be killed with only a few hours notice was “utterly cruel”. ・・・
http://news.bbc.co.uk/2/hi/asia-pacific/8247319.stm
 ・・・the men’s families are told only after the sentence has been carried out.
 Among the prisoners singled out by the report is Iwao Hakamada, a former professional boxer who has spent 41 years on death row ? thought to be longer than any other condemned inmate in the world.・・・
 ・・・In its manifesto, the DPJ said it would “encourage a national debate” on capital punishment, although it fell some way short of promising to join the growing number of countries to have abandoned executions.・・・
http://www.guardian.co.uk/world/2009/sep/10/japan-death-row-insane-amnesty
 英国の政府の判断もSASの戦術も拙劣。
 英国内で大問題になっているのも当然か。↓
 ・・・A British commando raid on a Taliban hideout rescued kidnapped New York Times reporter Stephen Farrell on Sept. 9. But Farrell’s Afghan translator Sultan Munadi and a woman and child were killed in the raid, raising questions about whether military force should have been used. ・・・
 The Times’ Kabul bureau had asked the British embassy there — Farrell holds Irish and British passports — to use a military rescue mission only as a last resort, since negotiations were under way to free the two reporters and any rescue attempt would imperil them. But according to the source close to the negotiations, a decision was made “at ministerial levels” in London to mount the operation. Neither the Times nor Farrell’s family were warned of the impending raid. ・・・ 
 The British SAS team, which had one commando killed during the firefight, according to NATO officials in Kabul, flew off in a helicopter with Farrell but left Munadi’s body behind. The translator’s grieving relatives made the dangerous journey from Kabul to Kunduz to pick up the body. ・・・
http://www.time.com/time/world/article/0,8599,1921263,00.html
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太田述正コラム#3517(2009.9.11)
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