太田述正コラム#3519(2009.9.12)
<日進月歩の人間科学(続x7)(その1)>(2009.10.16公開)
1 始めに
 子供に係る人間科学の話題を二つお送りしましょう。
2 赤ん坊の知性
 「・・・赤ん坊達の知性(intelligence)は、・・・大人達の知性や我々が学校で培う種類の知性とはとても異なっている。
 学校でやらせることは、集中と計画が中心だ。
 我々は、目的と目標を子供達のために設定する。
 その際、彼等が身につけるべき技術や彼等が覚えるべき情報を強調する。
 子供達は、彼等が特定の一連の技術と事実を吸収したことと、他の様々なことによって気を取られていないこととを証明するために試験を受ける。
 この方法は、5歳を超える子供達に対しては機能するかもしれない。
 しかし、赤ん坊達や幼児達は、計画することや正確な諸目標を設定することは全くもって不得手だ。
 我々が就学前児童は注意を払うことができないという時、我々が真に意味するところは、彼等が注意を払わないことができないということなのだ。
 つまり、彼等は、一つの出来事だけに<意識を>集中してその他のことにはかまわないということができないのだ。
 これが、過去において、赤ん坊達を過小評価する結果をもたらしてきた。
 しかし、このたび新しい研究により、赤ん坊達は目標志向ではないが理性的(rational)であることが判明した。
 赤ん坊達は最も予期しない出来事に心を奪われる。
 これに対して、大人達は、彼等の目標に最も関連したことの成り行きに<意識を>集中するのだ。・・・
 大人達は、彼等にとって最も有用であろうところの対象に<意識を>集中する。
 しかし、・・・子供達は彼等に最も多くのことを教えてくれる対象と遊ぶのだ。・・・ 赤ん坊達の脳は大人の脳よりも多くの神経結合を有する。
 しかし、これらの神経結合は、より非効率的だ。
 時が経つにつれて、我々は使わない神経結合を剪定して捨て去り、残った結合はより速くより自動化される。
 知性のうち、指示し、計画し、集中することをコントロールする脳の部位である前頭葉は、成熟するのが最も遅く、我々が20台初めになってようやく最終的な形となることがある。・・・
 <これを一言で言えば、>赤ん坊達は冒険し(explore)、大人達は開拓する(exploit)のだ。・・・
 ・・・子供達が最も綿密に観察し、最も取り憑かれたように冒険し、最も生き生きと想像するのは彼等の周りの人々だ。
 完全な玩具はないし。魔法の公式(formula)もまたない。
 両親達や子供達の世話をする他の人々は、自然に幼児に注意を払い、関わることで彼等に教えるのだし、何よりも、ただ単に彼等を遊ばせることで彼等に教えるのだ。」
http://www.nytimes.com/2009/08/16/opinion/16gopnik.html?ref=opinion&pagewanted=print
(8月17日アクセス)
 自分のことなので面はゆいですが、良い意味でも悪い意味でも、私はいまだに赤ん坊的なところがあるような気がします。
3 子供のウソと子供の褒め方
 (1)序論
 次は、米国で話題になっている、ポ・ブロンソン(Po Bronson。1964年~。米国のジャーナリストにして作家)と アシュレー・メリーマン(Ashley Merryman。米国の著述家にして弁護士)の共著、’Nurtureshock: New Thinking
About Children’ の下掲の書評等から、子供のウソと子供の褒め方についての最新の学説をご紹介することにしましょう。
A:http://www.ft.com/cms/s/2/082da3f6-98e4-11de-aa1b-00144feabdc0.html
(9月5日アクセス。書評)
B:http://blogbusinessworld.blogspot.com/2009/09/po-bronson-ashley-
merryman-nurtureshock.html
(9月9日アクセス。著者インタビュー)
C:http://abcnews.go.com/print?id=8433586
(9月9日アクセス。この本からの抜き刷り)
 (2)子供のウソ
 「・・・飲酒、薬物、セックスから、より論議を呼ばない宿題といったものに至る、よく話題になる36のトピックスの<うち、>「平均的な10代は両親に約12についてウソをつく」<ことが分かった。>・・・
 ・・・我々は、彼等が、互いに砂をかけあうことに、繰り返しウソをつくことに、あるいは何でもかんでもそう名付けられるところの「いじめ」的なことをやることに、やきもきする。
 子供達がこういうことをやるのは、彼等がそうつくられているからだ(wired)。
 クラスで最もワル(nastiest)の子供達がしばしば最も人気があるのはなぜか・・・。
 それは、彼等が、「両用戦略コントロール者(bistrategic controllers)」だからだ。
 つまり、彼等は、他人達を操作するために極度の魅力とたちの悪さとの間でスイッチを頻繁に入れ替えるのだ。・・・
 ・・・幼児達は「年長の子供や大人ならできるような全般的「練習(lesson)」に参加することはないが、その代わり、見せられた個々の行動(behaviours)から学ぶ。・・・」(A)
 ワルガキの方がリーダーとしての素質がある、ということのようですね。
(続く)