太田述正コラム#3588(2009.10.17)
<皆さんとディスカッション(続x630)>
<親衛隊員>
≫究極のショック療法(軍事的攻撃)でも受けない限り、もう日本は治らないんじゃないだろうか。≪(コラム#3586。αΦΦα)
 「尖閣列島を中共軍が占拠」なんて事態になれば(10年以内にあるかも)、日本人てのは熱しやすい民なので、国防面で劇的な変化(敵基地攻撃論容認、集団的自衛権の容認等)が期待できますよ。
 そんなに日本は治療不能だなんて悲観することないでしょ。
 日本は2~3年単位では動かないけど10年スパンでは確実に動いてますからね。
 かつて自衛隊がこれほどまでに海外で活動するなんて昭和の時代には想像できませんでしたからね。
<ΧΧΑΑ>(「たった一人の反乱」より)
 –ムネオ日記より–
 米国のジョン・ルース駐日大使が13日の読売新聞の会見で述べたことについて、
「鳩山首相が今月10日の日中韓首脳会談で『(日本が)今まで米国に依存しすぎていた』と発言したことについては、『(日米関係についての)適切な表現ではない』と不快感を示した。 一方で、『首相が「対等な関係」であると発言しているのは正しい』とも述べた。」
 一国の宰相に対し、大使風情がすごいモノ言いですな。
                            
<太田>
 ムネオがどう言ったのか知らないけれど、言及された読売の記事中の大使発言
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20091013-OYT1T01038.htm
は、日本に「独立」を促したもの、と前向きにとらえればいいんじゃないかな。
 同じ時期のルース発言としては、産経が記事にした下掲↓の方が重要だと思うよ。
 「・・・ルース氏は・・・、質問が「被爆地・広島」に及ぶと、日本への配慮を示そうとする真剣さがにじみ出た。今月4日、両親と息子と共に広島を訪れたことについて、言葉を選ぶように「深く、心を揺さぶられ、感情的になった」と話した。
 オバマ大統領は11月に日本を初めて訪問する。今年のノーベル平和賞受賞が決まり、被爆地訪問への期待も高まっている。ルース大使は、大統領の広島訪問の決定は「深く、個人的な問題」であり、大統領自身が決めると述べた。
 来年8月の広島平和記念式典に大使自身が参加するかについては「真剣に検討したい」と述べた。歴代駐米大使で毎年8月の広島や長崎の式典に参加した大使はおらず、実現すればルース氏が初めてとなる。・・・」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091014-00000129-mai-int
<Chase>
 (私の次の本について、Chaseさんがイメージをふくらませたので、ご紹介しておく(太田)。)
≪背景(本を出すことの意義について、私が持つイメージ)≫
 竹村健一が、”日本の常識は世界の非常識”と訴えたのは、1970年代のことである。
 しかしその訴えは、皮相的なものであり実態を伴っていないことから、国民は真剣に受け取らず、「Japan as No.1」の歓声とバブルの熱狂で、もはや他国に学ぶべきものはないかのような危うい陶酔感に日本国中が耽溺した。
 しかし、”日本の常識は世界の非常識”の根底には、吉田ドクトリンの桎梏が、戦後の時間を経過する中で、堅牢無比に盤居していたのであり、そのことを戦後初めて切開したのが、同ドクトリン下で退廃した防衛庁を飛び出した元審議官太田述正である。
 戦後の長い時間を経る中、吉田ドクトリンに毒された日本国内は、狭隘な議論に閉塞された事実上の情報統制下にあり、国際社会の中での日本の位置づけを啓蒙する人材が払底していたが、我々はようやく太田述正という稀有の道先案内人たる言論人を得るに至った。
 氏は日本で最もアングロサクソン文明に通暁しており、同文明の深い理解こそが日本人を覚醒させると訴える。
 これで、日本の開国の営みがようやく端緒についた。
≪キャッチコピー(訴求ポイント)≫
・たった一人の反乱~本来行われるべきだったまともな東大闘争を、たった一人で58歳にもなって始めた誇大妄想狂のキチガイ(ご本人自称)
・欧米?の評論では常識である典拠に基づく叙述文。読み重ねるうちに、日本国内の論壇(雑誌、書物)の言説がすべて独りよがりの盲言にしか感じなくなる。
・しかも典拠は日本語によるものに拠らず、世界のクオリティペーパーや名だたる知識人の所論。国内での日本語による声高な言論がいかに蛸壺的なものを思い知らされる。
・もし本物の言論を体得したいなら、本当だろうかと湧き出る反発により太田ワールドに対峙するような遠回りはやめ、一度、どっぷりとその目線に浸ってみてから自問自答すべきだろう。
≪出版の目的≫
 日本国家の閉塞状況の根因を明らかにし、その処方箋を示すことによって、政府・国民の覚醒を図る。
 (以下、http://blogari.zaq.ne.jp/fifa/ を参照のこと(太田))
<少数株主>
 初代大統領は? 高校生77%が不正解 米オクラホマ州
http://www.asahi.com/international/update/1017/TKY200910160516.html?ref=goo
 アメリカもこれじゃお先真っ暗ですね。
<太田>
 そうでしょうか。
 昔から、その程度の大衆をエリートが善導して(、一部切り捨てて?)イイ線やってきた米国はすごいと思うべきでは?
 あるいは、「市民権取得の場合は10問中6問を正答すれば合格で、9割以上が通過する。ところが高校生で「合格」したのはわずか2.8%だった。 」というのだから、常続的に「まとも」な移民が流入している以上、米国は大丈夫だとも言えるのでは?
 それでは、これ以外の記事の紹介です。
 私がコラム#3530で展開した、日本が核先制不使用を推進することへの反対論の裏付けがこの記事です。↓
 「・・・「核の先制不使用」・・・<を>実際に表明している<核保有国>は中国とインドだけ・・・」
http://www.asahi.com/politics/update/1017/TKY200910160529.html
 中共は、台湾に渡洋侵略する船団に核攻撃を受けたくないから米国を牽制しているわけですし、インドは、パキスタンか中共による陸上からの侵略しか基本的に想定していないところ、とりわけパキスタンからの侵略に核で対処すれば、印パ国境付近が人口密集地であることから天文学的なコラテラルダメージが生じるので当然のことを表明しているわけです。 
 「民主主義が機能する条件」シリーズ(コラム#3581、3503、3585。未公開)を終えたばかりですが、ロシアでは民主主義が機能する条件が十分ではないことが明らかですね。↓
 ・・・A growing number of Russians believe their country does not need democracy・・・
 57% of those questioned considered that Russia needed democracy – the lowest number since 2006.
 ・・・26% believed that democratic governing was not suitable for Russia.・・・
 ・・・43% agreed with the question that the country sometimes needed an “iron fist” leader.
 And nearly 25% said the Soviet Union had a better political system that the current Russian model (36%) or that in Western countries (15%). ・・・
http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/8311189.stm
 タリバン等勢力によるテロ攻撃が毎日のように続いて、パキスタン政府は窮地に立たされています。↓
 Suicide bombers attacked a police station that was holding a number of high-profile militants for interrogation in Peshawar on Friday, killing at least 11 people・・・
 It was the second major attack in a week on Peshawar. ・・・
http://www.nytimes.com/2009/10/17/world/asia/17pstan.html?ref=world&pagewanted=print
 ・・・the style of the attacks also revealed the closer ties between the Taliban and Al Qaeda and what are known as jihadi groups, which operate out of southern Punjab, the country’s largest province・・・. The cooperation has made the militant threat to Pakistan more potent and insidious than ever・・・.
 The government has tolerated the Punjabi groups, including Jaish-e-Muhammad and Lashkar-e-Jhangvi, for years, and many Pakistanis consider them allies in just causes, including fighting India, the United States and Shiite Muslims. But they have become entwined with the Taliban and Al Qaeda, and have increasingly turned on the state. ・・・
 Punjab is the major recruiting center for the Pakistani Army and it hosts more army divisions than any other province. Yet “these groups proliferate and operate with impunity, literally under the nose of Pakistan’s army,”・・・
http://www.nytimes.com/2009/10/16/world/asia/16pstan.html?_r=1&ref=world&pagewanted=print
 さて、今週末の一人題名のない音楽会は、ショパン(1810~49年)の「華麗なるポロネーズ(Great Polonaise Brillante)作品22」(1830~31年~~38年)
http://en.wikipedia.org/wiki/Andante_spianato_et_Grande_Polonaise_brillante_(Chopin)
の特集です。
 まずは、話題のロマン・ポランスキー(Roman Polanski)監督(コラム#3558)の映画「ピアニスト」(2002年)
http://en.wikipedia.org/wiki/The_Pianist_(2002_film)
より、(超一流とは言い難い)ポーランド人ピアニストのヤーヌシュ・オレイニチャク(Janusz Olejniczak。1952年~)
http://pl.wikipedia.org/wiki/Janusz_Olejniczak
の演奏です。
 オケとの共演であること、そして何よりも歓喜のエンディングであることを意識してか、音を大きく響かせています。
 監督の期待に応えているという意味では名演奏であると言えそうです。
http://www.youtube.com/watch?v=rCaOcqp3uQg&feature=fvw
 脱線ですが、この映画の原作たる自伝の著者で主役の実在のモデルである、ユダヤ系のワーディク・スピルマン(Wladyslaw “Wladek” Szpilman。1911~2000年)によるショパンのマズルカ(作品17第4番)の、味わい深い演奏を、戦時中の荒涼たるポーランドの光景とともにご視聴ください。
http://www.youtube.com/watch?v=FHFipSOjRys&feature=fvw
 次に、同じくユダヤ系のルービンシュタイン(コラム#2950、3243、3307、3402、3416、3560)による演奏です。音は強すぎず弱すぎず、しかもメリハリがよく効いています。
 この曲のオケ付きバージョンでは、ユーチューブ上の最高の演奏ではないでしょうか。
http://www.youtube.com/watch?v=_PY0NFC4aEw&feature=fvw
 今度は、ドイツ系ウクライナ人のリヒテルによる演奏です。
 全くオケとの共演であることを意識していないように見えます。
 音を響かせなさすぎの軽快すぎる演奏ですが、これが独奏(後出)だったとすれば、最高の演奏の一つかもしれません。
http://www.youtube.com/watch?v=aDr0oh0omgE&feature=related
 最後に、ポーランド人のジメルマン(コラム#3243、3416、3560)による演奏です。
 音を比較的大きく響かせているがオレイニチャクに比べると抑制的です。
 私には、やや平板な感が否めません。
http://www.youtube.com/watch?v=2Q262yh46AY&feature=related
 以上は、オーケストラ付きですが、以下は、同じ曲の、オケ抜きのピアノ独奏・・編曲はショパン自身によって1838年になされた(前掲のショパンのウィキ)・・です。
 ルービンシュタインによる演奏です。
 オケが抜けても同じような調子で弾いているためか、どこかもの足らない感じがします。
http://www.youtube.com/watch?v=BbWaNihCChc&feature=related
 これもユダヤ系のホロヴィッツによる演奏です。ちょっと自己流に過ぎますが極めて魅力的です。
http://www.youtube.com/watch?v=4LZnGADAaFA&feature=related
 イタリア人のミケランジェリによる演奏です。
 上出のオケ付きのリヒテルの軽快すぎる演奏を彷彿とさせる、独奏としては素晴らしい演奏です。
http://www.youtube.com/watch?v=WfMdU0pSqXc&feature=related
 ここでトリビアを一つ。
 上部雑音<とは、>指が鍵盤と接触する際に発生する指と鍵盤との衝突音で<あり、>・・・時間的にピアノの弦から出る楽音よりも先に耳に届くために聴覚的に目立ちやすい・・・」
http://kantakupiano.at.webry.info/200603/article_11.html
ところ、「ミケランジェリ<は、上出の>リヒテルと違い、鍵盤の上部雑音を出来る限りゼロにする異端のピアニズムで知られている。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%88%E3%82%A5%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%BB%E3%83%99%E3%83%8D%E3%83%87%E3%83%83%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BB%E3%83%9F%E3%82%B1%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%AA
 もっとも、この曲じゃ、余りこの二人の演奏法の違いは分かりませんがね・・。
 アルゼンチン女性のアルゲリッチ(コラム#3067、3416)による折り目正しい演奏です。
 これは、ユーチューブにアップされたオケなし演奏中の白眉かもしれません。
 その緩急の妙には脱帽するのみです。
 ミケランジェリによる、この曲の解釈との違いを味わって下さい。
http://www.youtube.com/watch?v=VsoQmaf0QBo&feature=related
 ダメな例も一つくらい紹介しておきましょう。
 支那人のユンディ・リー(コラム#3328)による演奏です。
 もたれる感じで音の歯切れもよくありません。
http://www.youtube.com/watch?v=3EOARCF-ZfE&feature=related
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太田述正コラム#3589(2009.10.17)
<ウェードの本をめぐって(その2)>
→非公開