太田述正コラム#3865(2010.3.4)
<皆さんとディスカッション(続x762)>
<1>
 すいません。
 紛らわしかったですね。
 僕が考えたのは「ヒネオヤジ」だけです。
 差別かどうかはわかりませんが、朝鮮人に対して敵意を持っているのは認めます。
≫英国人英会話教師殺人事件やアキバの無差別殺人事件の犯人、そして結婚詐欺被疑事件の容疑者等≪(コラム#3861。太田)
 何人かアチラ系の人間が含まれているような気もしますが僕の認識の間違いなのかもしれません。
<太田>
 最後の一文は、書いちゃいけない典型だ。
 憶測でモノを言わない!
 これが言いたかったから、本来は消すところをそのままのっけといたよ。
<ΞΞββ>(「たった一人の反乱」より)
 おれは太田さんの有料読者だが、皆さんの中にメルマガを敢えて読まない時があるって人いない?
 おれは投資関係の仕事なんで、一定の「カン」が必要な時がある。そういう時に、太田さんのメルマガって読めないんだよね。
 つまり、太田さんの知性は「止まっている知性」って感じがする。
 新製品・サービスに携わっている人はどうかな。
<ΞβΞβ>(同上)
 「止まっている知性」で言わんとすることが上手く伝わらないが、「新しいものを生み出す時に必要な、(何というか)エネルギーに欠ける」から、そういうある種の感性を刺激されない、もしくは感性をそがれるということ?
<ΞββΞ>(同上)
 そこまで深く考えたことなかったわ。
 ほとんどディスカッションしか読んでないし。
<βΞβΞ>(同上)
 結局、「官僚」の知性なんだよ。
 まあ。試験官僚の知性というか。
 アングロサクソンを崇拝してても真のアングロサクソンになりきれず、コピーにとどまってると言うか。
<ββΞΞ>(同上)
 まぁ、あれだ。 その つまり、だから あれなんだ。
 官僚の文章はだ、反論を予測しながらつくるので、読んでいるときに何だかうるさいというか・・・すっきりとしない感じの文章になるんだな これが。
 官僚答弁や不思議な言葉・・・判り難いよな。
 「遺憾の意」ったって、イカンのか イイんだか・・・。
 以前、テレビの番組でタレントのドロンズがだ、お世話になった南米の人たちにお返しにと、お好み焼きを料理して食べさせたところ、南米のヒトたちの反応は、「甘いんだか しょっぱいんだか、はっきりさせてくれ!」ってんで、おもわず笑ってしまったが、 これと同じようなことだな。
 デスカッションの、後ろからどーぞさんと太田さんのやりとりでもだ、太田語(太田さんの言い回し)は 一般堅気の衆には判り難く、故にああいう結果となりがちで、太田さんは確信犯的行為なんだろうが、これが太田テーゼの新規開拓?のハードルをあげていることにもなっている。
<太田>
 前段で言ってることはそれなりに分かるけど、後段の例はまずいぞ。
 あれ、法律談義をやってるんだから、厳密に書かにゃハナシにならんのよ。
 厳密に書いたからこそ、法律を知ったかぶりしてた、「後ろからどーぞ」ならぬ「後からすみません」クンの馬脚・・法オンチのストーカーたる馬脚・・があらわれたってわけなのさ。
<βΞΞβ>(同上)
 <ΞΞββクンの感想についてだが、>「結論ありき」だからね。
 謎を提示して考えるんじゃなくて、論の確認でしかない。
<太田>
 ボクの「論」の多くは、ウン十年の試行錯誤を経てひねりだしたモンであって、発展的進化をとげることはあっても、簡単にぶっ倒れるようなことはまずないってだけのことよ。
 それでも、「論」と矛盾するような事実や新説に出っくわす時はある。
 そんな場合には、率直にそのことを記してきたつもりだけどね。
<ξξΒΒ>(同上)
 <太田サンは、>間違いを犯す&間違いを認めることを恐れてるんだな。
 何かそこに別宮氏なんかにも共通する日本の知的エリートの根本的な欠陥がある気がする。
 まあ別宮氏ほどひどくないけど。
 そこらへんが海賊を出自とするアングロサクソン流のエリートと違うんだよな。
 そういえば陸軍の情報部でアングロサクソンの情報宣伝のやり方を研究した人の本に書いてあったが、イギリスなんかは自分の都合が悪いことでも間違いを認めるところはきちんと認めて、信頼性を高める。
 そして、ここぞという時に”嘘”の情報を流して騙す なんて書いてあったが、なかなか日本人はそのレベルにいけないね。
<太田>
 いやしくも、アングロサクソン流経験論を信奉してるんだから、失敗は大いに望むところさ。
 ボクの失敗を暴こうと試みた諸君の大部分が、拠った典拠が薄弱か論理が弱かったりして大恥かいたからと言って、そのことで私が責められるゆえんはないわな。
<ξΒξΒ>(同上)
 メルマガ読んでも、頭の回転が遅いからすぐには理解できないし、興味がない事柄についてだったりすると流し読みしちゃうな。
 だけど、読んでから一・二ヵ月、長い時は半年経って本やニュースを観ていると、唐突にひらめいて(自分なりの)理解(が)できたりするんだよな。
 物事を考える材料を提供して貰ってる訳だが、直ぐには役にたたんって意味だったらよくわかるな。
 そもそも、その新しいものに欠けた『官僚の知性』しか無いのが日本の学問の現状だと憂い、時差無しに海外の活動的な・・・取り分けアングロサクソンの・・・知識を輸入紹介してるのが太田メルマガだと思ったぞ。
<太田>
 キミも有料読者では?
 フツー、太田コラム(有料版)に載ったものが「一・二ヵ月、長い時は半年」以上のタイムラグを経て日本で紹介される。
 このタイムラグが、下品に言えばカネになる、上品に言えば貴重だ、と思った人が有料読者には結構いるんじゃないかな。
<ββΞΞ>(同上)
 ・・・ついでに言わせて貰えばだが、太田掲示板の翻訳スレッドなんだが、あれ いらないんでないか?
 掲示板が見にくいっていうか~活性化の妨げになっていると感ずる。
<太田>
 近々、IT支援グループの手で太田HPの全面リニューアルがなされるので、そちらに翻訳の挙手コーナーを設けようかと思ってるところだ。
<ββΞΞ>(同上)
 給与総額20ケ月ぶり増加(報道)と社会の実態
http://blog.livedoor.jp/nevada_report-investment/archives/2433853.html
↑大本営発表の、このからくり・・・
<太田>
 この情報提供はタイムリーだったね。
 それでは、記事の紹介です。
 沖ノ鳥島の日本による領有を否定する中共が、他方で南沙諸島で数多くの沖ノ鳥島的な島の領有を主張しており、舌噛んじゃっててベトナムがほくそ笑んでるって話、大笑いだよな。↓
http://www.atimes.com/atimes/China/LC04Ad04.html
 エッ! 『墨子』の英語の全訳、今までなかったの?
 いかに東アジアの知的業績が軽んじられバカにされてきたか、身に染みて分かるねえ。↓
 ・・・the first complete English translation of the work of Confucius’ earliest philosophical enemy, Mozi(墨子), has been published in Hong Kong・・・
  Mozi’s ideas are deeply in contrast not with one but with two important branches of Chinese thought, Confucius and Sunzi. ・・・
http://www.atimes.com/atimes/China/LC04Ad06.html
 ブッシュ前政権時代に米司法省の高官として対テロ戦争「捕虜」に対する「拷問」の法的正当化を行った、現カリフォルニア大学バークレー校のジョン・ユー(John Yoo)教授が、その新著に関し、「ファン」とのメール対話を行った中から。↓
 ・・・Lincoln’s greatest act, the Emancipation Proclamation, which was what we today would call a unilateral act of executive authority. Lincoln freed the slaves solely under his power as Commander-in-Chief, and so limited its effects only to the South and the areas of fighting. He did not apply it to loyal parts of the Union where slavery still existed. At the same time, Lincoln did order the detention of suspected Confederate spies and operatives even behind the front lines, which Congress would not approve for several years later.・・・
 ・・・the U.S. and the world prosecuted, and actually hung, several Japanese soldiers for waterboarding prisoners during WWII・・・
 ・・・in past wars, the United States had bombed civilian targets — Hiroshima and Nagasaki come to mind, as well as the U.S. strategic bombing campaign in Europe during World War II. Those are controversial decisions today・・・
 <しかし、>Why should the United States, which has every interest in enforcing the laws of war and the Geneva Conventions, give the same high protections to al Qaeda operatives who violate the laws of war・・・
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/discussion/2010/03/03/DI20100303011
 リンカーンが南北戦争中にやったこと↑は、アングロサクソンの法伝統に照らせば問題なしとせざるをえないが、彼による奴隷解放宣言の手段性をますます感じる今日この頃だ。
 それ以外の部分↑については、相手が戦時国際法違反をやったらこっちもやってよい、と言っちゃあおしまいよ、という感を深くする。
 あのニール・ファーガソンが、またまためずらしくも、傾聴に値することを書いてるよ。↓
 ・・・ Most of the fat-tail(注) phenomena that historians study are not the climaxes of prolonged and deterministic story lines; instead, they represent perturbations, and sometimes the complete breakdowns, of complex systems.・・・
 (注)「正規分布の両端が実現する可能性が高い分布」のこと
http://plaza.rakuten.co.jp/inacchi/diary/200602220000/ (太田)
 ・・・causal relationships are often nonlinear, which means that traditional methods of generalizing through observation (such as trend analysis and sampling) are of little use. Some theorists of complexity<(=(帝国のような)複雑系)> would go so far as to say that complex systems are wholly nondeterministic, meaning that it is impossible to make predictions about their future behavior based on existing data. ・・・
 If empires are complex systems that sooner or later succumb to sudden and catastrophic malfunctions, rather than cycling sedately from Arcadia to Apogee to Armageddon, what are the implications for the United States today? First, debating the stages of decline may be a waste of time・・・
 Second, most imperial falls are associated with fiscal crises. ・・・
http://www.foreignaffairs.com/print/66118
 ↑米「帝国」、いつ突然没落しても不思議じゃない状況だ、と我々も覚悟しておいた方がいいな。
 「独立」を決意した時には、もう米国は滅亡してるかもよ。
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太田述正コラム#3866(2010.3.4)
<日進月歩の人間科学(続X14)(その2)>
→非公開