太田述正コラム#4021(2010.5.21)
<皆さんとディスカッション(続x840)>
<H.K>
 –シベリア出兵–
 幕末以降、日本人はいつも大勢を見ることができない視野狭窄に陥りがちで、それは今日の諸問題への対応にも表れている。
 シベリア出兵にしても、なぜ大戦の参戦国と共同歩調を取ろうとせず、一人勝手な行動を取ったのだろうか?
 ここに、ひとつの興味深い内容の資料がある。
 題名は「自由民権 村松愛蔵とその予告」。著者は、柴田良保。著書に『世界映画戦争』という、国際ユダヤ資本の映画支配の実態を詳細に暴露批判した本がある。
 村松愛蔵とは、明治自由民権運動の志士で、明治30年参謀本部の命によりロシアの内情調査を行い、帰国後衆議院議員になった人物。
 彼がパリに滞在中、ある老学者から警告を受けた。
 曰く「日本は10年以内にロシアと戦争し、勝つであろう」「米英は日本を助けるだろうが、日本軍がシベリアに侵入することは許さない」「世界の経済はユダヤ財閥が動かし、その背後にはフリーメーソンがいる。彼らは、キリスト教国が異教徒の国に占領されることを許さない」「やがて、日本はキリスト教国と戦争をする日が来る。そのときは、キリスト教国が連合して、日本を叩き潰すだろう」と。
 歴史はその通りになった。なったというより、無知な日本人はまんまと嵌められたというべき。
 「欧州の政治情勢は複雑怪奇なり」とほざいて退陣した能無し首相からいまだに国際政治がわからず、目先の私利私欲しかない企業の好き勝手にさせて国際的責任をわきまえないと、またも同じ轍を踏むことになる。しかし、今度は存続の保証はない。
<太田>
 村松愛蔵
http://www.aichi-c.ed.jp/contents/syakai/syakai/tousan/102/102.htm
も柴田良保も初耳です。
 ご教示ありがとうございます。
 しかし、村松、とんだ話を聞かされたものですね。
 まず、お定まりのユダヤ陰謀論ですな。
 そりゃ、私がかねてより申し上げているところの、欧州における反ユダヤ主義の現れであり、ヨタ話として聞き流すべき代物です。
 次に、米国が日本と共同でシベリア出兵をしながら、出兵期間中はもとより、それ以降も約20年にわたって日本の足を引っ張り続けたのは、米国が、その人種主義的帝国主義のピークの時代であったために、日本を牽制することを共産主義勢力を壊滅させることよりも優先させたためであり、そのため、第二次世界大戦後、米国は、朝鮮戦争、ベトナム戦争という熱戦、そしてソ連との冷戦、を戦い、現在なお共産主義勢力の残滓たる中共等と対峙する、という羽目に陥るわけです。
 すなわち、20世紀の前半、一貫して「大勢を見ることができ」ず「視野狭窄に陥」っていたのは米国であって日本ではありません。
 更に、先の大戦で日本を叩きつぶしたのは米英ですが、この2国は、(第一次世界大戦でも手を組みましたが、いずれの場合も、)キリスト教国であるとかアングロサクソンであるとかでもって手を組んだわけではなく、仮想敵国同士が、単に便宜的に手を組んだだけのことです。
 最後に、先の大戦に関して言えば、日米英3カ国中、最も「大勢を見ることができ」ず「視野狭窄に陥」っていたのは英国であり、そのために、英国は、日本を戦争に引きずりこむという愚行を犯すのです。
 その結果、英国は、大英帝国を過早に瓦解させてしまった上に、米国に世界覇権国の地位を完全に奪われてしまい、形だけの戦勝国になったものの、実質的には先の大戦における最大の敗戦国となるわけです。
 このあたりのことの詳細については、米国の人種主義的帝国主義そのものを取り扱った私の諸コラムのほか、本日公開した、シベリア出兵に関するシリーズの後篇や、日本の戦前史に係る私のコラムをお読み下さい。
<村土俊彦>
 <コラム#2941>「田母神空幕長解任事件について」<を読み>ました。
http://blog.ohtan.net/archives/51316742.html#comments
 関東軍の暴走が災いを起こしたのですね。
 日清日露で勝ったのでうぬぼれていた。
 そうです、私も小さかったが負けるなんて想っていませんでした。
<太田>
 「ロバート・クレイギーとその戦い」の正続シリーズ(コラム#3794以下の計11篇。いずれも未公開)や「帝国陸軍の内蒙工作」シリーズ(コラム#4002以下の計6篇。いずれも未公開)が公開された時に、ぜひお読みいただきたいが、下克上が非難されるべきことは当然としても、「関東軍の暴走が災いを起こした」のではなく、むしろ、国をあげて関東軍がやろうとしたことをやらなかったことが禍を起こしたのです。
 なお、日本の1941年12月の対米英開戦については、当時の日本人に関する限り、たとえ負けると知っていても、開戦に賛成する人が過半を占めたでしょうね。
<太田>(ツイッターより)
 <米国で、女性のケーガン訟務長官の最高裁判事指名をめぐって大議論が起こっているところ、>何度も言ってきたが、日本の最高裁判事の国民審査、もっと真面目にやろうぜ。
<darutti>(同上)
最高裁判事の国民審査にせよ、選挙にせよ。判事の方はどういう裁判にどういう考え方でどういう判決を下したか、選挙ならどういう政策を持つか、こういったところを読み解く能力を義務教育でやる必要があると思う。
<2ちゃん:「民主党の小沢代表、在日米軍は海軍だけで十分」スレより>
http://logsoku.com/thread/hideyoshi.2ch.net/dqnplus/1235547096/
<αα>(2009.2.25。以下同じ)
 中国脅威論唱えてる奴は地政学知らない馬鹿だけ。
 北海道に無傷で上陸してきた旧ソ連軍でさえ、当時の自衛隊『のみ』で壊滅できたと言われてるのに。
 いわんや、中国をや、、だわな。
 日本はマジでいい場所にあるんだよ。
 お前らはそれを知るべき。
<ββ>
 マジでいいところwww。
 今のミッドウェーかハワイくらいの所がいいわw、・・・
<γγ>
 <ααサン、>自分が聞いた話だと、北海道の陸上自衛隊は、ソ連が上陸した時にアメリカの援軍が到着するまでの時間を防ぎきるだけの戦力しか無いし、最初からそれだけ想定して編成しているとのことだったぞ。
<δδ>
 アメ公の援軍は3ヶ月かかるようだ、、、。
 陸自の弾薬は8日間しか持たない。
 でもね、1個師団運ぶのにすごい船団を組まないといけない(2万人と車両、燃料、弾薬、食料と水) 。
 一日数百トンの補給が必要なんだな。
 北海道の第7機甲師団は数百両の戦車があったから、それに勝つには大変だwww。
 空自と戦い、海自と戦い、ようやく着上陸して、戦車師団と戦うのよ(^o^;)ムリポ、、、。・・・
<εε>
 <ββサン、>地政学でいえば、日本はイギリスにめっちゃ似てるんだよ。
 ナチスがヨーロッパを制圧してもイギリスは大丈夫だったろ?
<ζζ>
 <γγサン、>典拠頼む。
 こっちは太田述正の『実名告発防衛省』の第二部、17章
 ソ連の脅威は存在しなかった ・・・
<太田>
 一年以上前のやりとりだけど、私の貢献のおかげで・・それくら言わせてくれ!・・日本の防衛に係る皆サンの認識、相当深まってるね。
 ところで、現在進行形の話ですが、使われた魚雷の型式まで特定されましたね。↓
 「哨戒艦沈没:北の「CHT-02D」魚雷による攻撃と断定・・・
 この魚雷は直径21インチ、重さは1.7トンで、炸薬量が250キロに達する重魚雷・・・」
http://www.chosunonline.com/news/20100521000008
 これは巨大で長ーい魚雷です。
 そして、「・・・音響追尾型の重魚雷が「天安」の・・・ディーゼル・・・エンジン音を追尾して魚雷攻撃が行われた可能性が高い・・・。・・・」
http://www.chosunonline.com/news/20100520000028
(5月20日アクセス。これ以外は5月21日アクセス)
 以上で間違いないとして、この際、私の疑問を提起しておきましょう。
 
 現在では、魚雷は、もっぱら潜水艦攻撃用とされています。↓
http://en.wikipedia.org/wiki/Acoustic_torpedo
 それは、第一に、水上艦艇に対しては、(火砲がモノを言う時代は過去のものとして、)巡航ミサイルの方が、遠方から、しかも迅速な攻撃を仕掛けられるからです。
 (ロケットで魚雷を遠方かつ迅速に運ぶ方法もありますが、その話は横に置いておきましょう。)
 第二に、水上艦艇を撃沈できるような魚雷(長魚雷)は、所要炸薬量が大きく、勢い、魚雷が巨大になり、スクリュー音や水を切る音も大きくなるため、水上艦艇のパッシブソーナーによって探知されやすく、回避行動や音を出す形での欺騙行動をとられてしまう
http://wiki.answers.com/Q/Is_there_an_anti-torpedo_counter_measure
からです。
 (他方、水上艦と違って潜水艦を撃沈するためには外殻に小さい穴をあければ足りるので、所要炸薬量が少なく、かかる小さな魚雷(=短魚雷)は探知されにくいので、潜水艦には有効なのです。それに、そもそも、水中にいる潜水艦は火砲や巡航ミサイルでは攻撃できません。)
 さて、ここからが具体的な疑問です。
 件の哨戒艦のソーナー要員は、魚雷が接近する音を聞いていないと証言しています。
 韓国の国防省は、天候が荒れていたため、聴き漏らす可能性が30%はあったと庇っています。
 それだけでは、足りないと思ったか、同省は、この哨戒艦のソーナーの性能は低かったとも言っています。
 しかし、(音響魚雷の中には、水上艦に接近した段階でアクティブソナーでの追尾を始めるものもありますが、そうなればどんな荒天でも、また、どんなに水上艦のソナーの性能が低くても聞き逃すはずがないので、アクティブソナーは使われなかったのでしょうが、)魚雷の接近音は極めて聞き取りやすく、また、聞き取れた場合、それが魚雷であることは容易に分かるとされています。
http://www.armscontrolwonk.com/2709/rok-ship-typical-torpedo-damage
 亡くなった46人の乗り組み員のご冥福をお祈りしたいが、どうも私には、北朝鮮との最前線における任務についていたというのに、哨戒艦のソナー要員はもとより、哨戒艦の艦長以下がぶったるんでいたのではないか、と思われてならないのです。
 魚雷の接近に気づいておれば、動いていたディーゼルエンジンに加えて、使っていなかったガスタービンエンジン(朝鮮日報上掲)・・要するにジェットエンジンであり、すぐに稼働できる・・も動かして回避行動をとる、等の対応ができたはずです。
 その上で、記事の紹介です。
 ウォールストリート・ジャーナルも(北朝鮮との)交渉止めるべき論(コラム#4019)に立ったね。↓
 ・・・The proper response is to give up the illusions of engagement, and methodically and coolly treat the North as the rogue state it is.
http://online.wsj.com/article/SB10001424052748703691804575254583245786418.html
 広島に原爆を落としたエノラゲイ乗り組み員の最後の生き残りのインタビューが載ってました。↓
http://www.guardian.co.uk/world/2010/may/20/hiroshima-enola-gay-last-crew-member
 米最高裁判事がハーバードとエールのロースクール卒業者だけになっちゃう(正確には、うち一人は、ハーバードからコロンビアのロースクールに転じて卒業している)わけだけど、登竜門である最高裁法律事務員(law clerk)に任命される若者達の出身ロースクールはもうちょい分散してるみたいね。↓
 ・・・There are even allegations that the choice of clerks to the Supreme Court, an avenue to valuable experience for young graduates, is weighted towards certain schools. ・・・
 ・・・if you look at the clerks today a majority come from Harvard, Yale, Stanford, Columbia and Chicago.・・・
http://news.bbc.co.uk/2/hi/americas/8690868.stm
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太田述正コラム#4022(2010.5.21)
<米人種主義的帝国主義と米西戦争(その3)>
→非公開