太田述正コラム#4056(2010.6.7)
<神戸オフ会次第(その3)>(2010.7.7公開)
O:外務省キャリアは全員留学するわけだが、それは語学を身につけるのが目的であり、特に英語圏に留学した場合は大変だ。英語なんて誰でもできるから、卓越した英語力を身につけなければならない。だから、余り知られていない大学を選ぶ者までいる。そんなところには日本人がいないから、英語ばかりで暮らさなければならないからだ。だから、彼等は学問どころじゃない。
 また、企業から派遣された人は、技術系ならなおさらだが、きちんと派遣元に還元できるようなものを身につけて帰国しなきゃならない。
 そしてまた、学者の卵・・官僚だが学者への転身を考えていた中川八洋のような人を含む・・の場合、修士課程の時だっていい成績をとらなければ、Ph.D candidate にはなれないから、必要最小限度の科目をとってガリ勉しなきゃならない。
 一番ラクなのが、フツーの官僚で留学した連中だ。
 大体は、遊びほうける奴が多い。(米国では、経営学・法学・医学を除けば一年間で修士号はとれるというのに、二年いてもとらずに・・とれずに、とはさすがに思わない・・帰国する原田義昭のような人(コラム#2670)すら時々いる。(彼についてのウィキ(
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8E%9F%E7%94%B0%E7%BE%A9%E6%98%AD
)の学位・資格の所をご覧あれ。)
O:私は、興味に任せてやたら色んな科目を聴講した。
 単位をとろうとした科目の数だってハンパじゃない。
 結果的に、私は、経営学(MBA)と政治学(MA)の修士号をとったが、実は、三つ目の経済学の修士号も狙っていた。
 だけど、大学院レベルの経済学って数学を駆使するもんだから、理系ダメ人間の私じゃ試験に通らない。
 だもんだから、コンチキショーと思って数学科の関連する科目までとったことがある。
 (そして、日本人で、経済学の先生の卵と大学で数学を専攻した留学生仲間に、それぞれ助けてもらって頑張ったけど、やっぱダメだった。)
 また、興味にあかして、(ヒギンス女史の授業(コラム#1351)はサマースクールの一環だったが、)ロースクールの授業や(鳩山由紀夫の姿を見かけたことはないが、)OR関係の授業や(後にアグネス・チャンが留学した)教育学部の授業、更には、アジア研究学科の日本関係の授業、なんかにも顔を出した。
 (以前(コラム#1174で)書いたことがあるが、音楽学科の授業にも出た。また、ゴルフの授業にも出たな。)
 笑い話みたいだが、私が日本に帰ってから噂で聞いたところによると、その後、私のせいで、スタンフォード大学で、一度に学生が登録できる授業の数に上限が設定されたらしい。
 
B:沖縄じゃ、軍用地でボロ儲けしてる人達がいるらしい。一坪地主だって案外そういう人が多いのかもしれない。(注3)
 (注3)「・・・沖縄の米軍軍用地は『補償』的な意味合いもあって、日本政府が地主に払う『軍用地料』はかなり高く設定されている。しかも、政府と地主が毎年交渉し、平均で毎年、約1%ずつ値上がりしている。・・・米軍基地のうち民間が占める割合は全体の32%。軍用地主は約3万4626人、1人あたり平均で約200万円が支払われている。・・・200万円というのは沖縄の平均年収に匹敵する額・・・。米軍が接収している間は固定資産税も安く設定されている・・・ここ数年、軍用地の買収を狙って、本土から投資家や投資ファンドが殺到。年間で数百件程度が市場に出ているという。沖縄の不動産会社のウェブサイトには「軍用地取引」を呼びかける広告が多数掲載されている。いまや「軍用地主」の3割は県外だとみられている。・・・」
http://news.livedoor.com/article/detail/4809983/ (太田)
O:そう、沖縄の人々はスポイルされているんだな。
C:映画評論の対象として、『Band of Brothers』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%96%E3%83%BB%E3%83%96%E3%83%A9%E3%82%B6%E3%83%BC%E3%82%B9 (太田)
と『Salvador』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%AB%E3%83%90%E3%83%89%E3%83%AB/%E9%81%A5%E3%81%8B%E3%81%AA%E3%82%8B%E6%97%A5%E3%80%85
 (太田)
を推薦したい。
O:承ったが、前者は(TVシリーズであり、)DVD5枚組らしいけど、こりゃ鑑賞するだけで大変だわ。
A:Band of Brothers 的なものということであれば、まず、『プライベート・ライアン』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%99%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%83%B3 (太田)
から始めるべきでは?
C:バグってハニーさんは本当に太田さんの味方だったのでないか。
O:彼と別れることになった最後のいきさつ(コラム#2831)はご存じと思うが、それまでにもこういうことがあった。
 彼は、軍事愛好家の一人だが、ミリバラの記載をめぐる軍事愛好家との議論の際には、私の側に立ってくれたことは覚えているだろう。
 実は、その後、私は、上記議論を踏まえて、『防衛庁再生宣言』の、彼等との間で議論になった部分を改訂するとすればどうすべきか、考えて欲しいと彼に依頼した。
 ところが、それに対して、彼は、やや軍事愛好家の諸君の主張に振れた改訂案をつくってきた。
 彼は、一貫したものの考え方がない人物なんじゃないか、とその時思ったんだな。
 (彼において、一貫しているのは、日米のハーフということからくると考えられるところの、「祖国」米国に対する思い入れだけではなかろうか。
 私とは異なった状況下においてだが、彼もカルチャーショックによってダメージを受けたのではないか、そして私とは違って、彼は、現在もそのダメージから回復していないのではないか、という気がしている。
 私が、「<バグってハニー>さんは、私自身の分身じゃないかという思いがしています。」と述べたことがある(コラム#3913)のはそういう意味だ。)
(完)