太田述正コラム#4307(2010.10.11)
<皆さんとディスカッション(続x980)>
<roma_sakamoto>(ツイッターより)
 人間主義的な生き方が人を幸せにするだろう、との考えは納得ですが、そうしますと、それなりの信念を持って政治デモなどを世の為と考えて行っている方たちは(内容の正しさは別にして)、もの凄く幸福感に包まれているのではないでしょうか。
 それも困りものだと思います。
<太田>
 私が、小6の時、1960年の安保反対デモを間近で見て、デモ参加者がみんな楽しそうであることから、彼等、信念のために参加しているというより、楽しいから参加しているんだな、という感想を抱いた、ということを思い出しました。(コラムのどこかで書いたことがあったんじゃなかったかな。)
 追い詰められた、時の首相岸信介が、苦し紛れに後楽園の巨人戦は相変わらず満員だって言ったんでしたっけね。
 受動的な野球観戦と比べれば、デモのような参加型の催しの方が、より楽しいに決まってます。
 こんな風に、より多くの人々が幸福になってもらって全然かまわないじゃありませんか。
 大事なことは、日本が、これら、群れ集って幸福になってる人々を、誰かが、常に客観的かつ冷静に見守ることができるような社会であるか否かでしょうね。
<太田>(ツイッターより)
 今年は、欧米で、中共当局に対してのみならず、中共国民に対してまで侮蔑の目が注がれ始めた年、ということに後世なるのかも・・と大胆に言っておこう。
 ただし、我々には欧米に同調する資格はないからね。
<qq>(「たった一人の反乱」より)
 劉暁波氏のノーベル平和賞受賞 2009.10.9.
ダライ・ラマ 「心から祝意したい。改革を強く求める中国国民の声の高まりを国際社会が認知した表れだ」
オバマ米大統領 「劉暁波氏のノーベル賞受賞を歓迎する。一刻も早く釈放するように求める」
馬英九 台湾総統 「この受賞は本人の栄誉だけでなく、中国の人権向上にとっても歴史的な意義を有する」
仏クシュネル外相 「フランスは何度も劉氏の釈放を呼び掛けてきた。今後もこの呼び掛けを繰り返す」
菅総理大臣 「まあいま、あの、ノルウェーのノーベル賞委員会が、まあそういう評価をされて、 まあそういう、メッセージ込めてですね、あの、賞を出されたわけですから、まあそのことを、しっかりと受け止めて、おきたいと思っています」
? 語る言葉を持たない政治家
http://irregular-expression.tumblr.com/
<太田>
 ノーベル賞委員会、絶妙の判断をしたって感じだな。↓
 ・・・Wei Jingsheng (魏京生) – who spent nearly two decades in prison and is often seen as the father of China’s modern democracy movement – said・・・“Raising the reputation of moderate reformists would increase people’s desire to cooperate with the government, thus helping stabilize the political situation in China and delaying the time when people overthrow the dictatorial government,” ・・・
 In a controversial move, a group of exiled Chinese – not including Wei ? wrote an open letter to the Nobel committee calling Liu unsuitable for the prize.
Diane Liu (劉曉東), who blogs under the penname San Mei (三妹) and helped organize the letter, faulted Liu for not highlighting the treatment of the Falun Gong spiritual movement, which she called China’s worst human rights problem.・・・
<→支那人の筋金入りの反体制派は、劉の受賞に不満たらたら。(太田)>
 Timothy Cheek, an expert on Chinese intellectuals at the University of British Columbia in Vancouver, said・・・“Liu Xiaobo is an important Chinese intellectual because he does two things – he criticizes the government and he lives in China. And in order to do that and not be dead, you have to make compromises,”・・・
<→そんなことは予想しつつも、あえて劉に受賞させたわけだ。(太田)>
http://www.taipeitimes.com/News/world/archives/2010/10/11/2003485099
 しかし、いずれにせよ、劉に受賞させたことが、果たして中共国内の自由や人権の確保に寄与するかどうかについては、悲観すべきだろう。↓
 ・・・awards aimed at promoting greater freedom in repressive regimes have been increasingly common since the mid-1970s. Between 1901 and 1975, the Peace Prize was given only three times for this purpose; since 1976, it has happened 10 times.・・・
 In the past, pressured and powerful states have clamped down even harder on domestic dissent in the wake of the Nobel Peace Prize, rather than knuckle under to the Nobel committee.
 This is the lesson of the awards to Tibet’s Dalai Lama (1989), Burma’s Aung San Suu Kyi (1991) and Iran’s Shirin Ebadi (2003).・・・
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/10/08/AR2010100804987_pf.html
<δΗδΗ>(同上)
≫引用されたブログ書いた人、何言いたいのかよく分かんねーぞ。読者にあれこれ考えさせるメリットはあんのかもしれないけどな。≪(コラム#4285。太田)
≫「好みの問題」じゃなく、論理の問題なんだわさ。≪(コラム#4305。太田)
 全く別の事象からの結論だけど、論理的な人は少ない、というか、論理的な人は滅多にいない、と達観すべきなんでしょう(泣、そして、笑)。
<δδΗΗ>(同上)
 たかじんのそこまでやって委員会10月10日更新PR動画
http://www.youtube.com/watch?v=eDLhhuFucYU&playnext=1&videos=sPg0_0cYa6Q&feature=mfu_in_order
 「沖縄に海兵隊なんかいらない」、面白かったよ~。
 属国保守主義者の反応が楽しみ。
 次回は、「次回 日本の首相はアメリカの大統領」。
 ついに属国論が語られる?
<太田>(ツイッターより)
 音楽も映画も、読者のおかげで新たに私の生活の一部になったものだ。
 前者は時間を豊かに送ること、後者は空いた時間を有効に使うことを可能にしてくれた。
 では、太田コラムは皆さんにとっては?
<sinxxxxx>(同上)
 常に知的好奇心を刺激する存在です。
<太田>(2010.9.8)(同上)
 (コラム#4180に関し)Agincourt(英)→アジンコート、Azincourt(仏)→アジャンクール/アザンクール、と読みが色々あるが、私が使ってきたアジンクールは、英語表記のフランス語読みなので間違いか?
 それとも、もともとはAisincurt だったらしいから私の読みもアリか?
<soleilhnfr>(同上)
 こんにちは。
 9/8のツイートにあったAzincourt(仏)のフランス語読みは、アザンクールが正解です。
 ここは、元々ゲルマン部族のAizo氏が定着した土地で、courtは後期ラテン語のCURTIS(=領土)に由来します。
 なお、Azincourt(仏)の発音は、レオン・ワルナン『現代フランス語発音規範辞典』で、語源はプティ・ロベール固有名詞辞典2007年版で調べていますので、信頼性は高いものと思われます。
<太田>
 インプットありがとうございます。
 あれはお遊び的言い訳だったのですが、この際、もう少々補足させていただきます。
 連休に免じて許されよ。
 もともとゲルマン人は書き言葉を持っていなかったところ、ローマ文明と接触した部分からラテン語の影響を受けつつ書き言葉ができていったというのが私の認識です。
 そのラテン語は、アルファベットで話し言葉の発音をそのまま表記する言語ですよね。
 そして、現在のドイツ語も、英語やフランス語に比べれば、よりそうです。
 しかし、その例外の1つが、zと発音するのにsと書く、元西独首相の「キージンガー」→「Kiesinger」のケースです。
 このことも踏まえると、Aizo(アイゾ。ローマ人がアルファベット表記してやった?)族が自分の族名とラテン語とをくっつける形で件の地名をつくった当時、その地名は「アイジンクルト」と発音されていたのではないか、それが、しばらく経って、彼等自身によって書き言葉化される際に、Aisincurtと表記されたのではないか、と私は推測したわけです。
 仮にそうだとすると、・・ここから先は、私の苦し紛れのこじつけに近いわけですが・・、件の地名の読みが、
・「アイジンクルト」→「ア(イ)ジンクル(ト)」→「アジンクール」→「アジャンクール」/「アザンクール」(仏)
・「アイジンクルト」→「ア(イ)ジンクルト」→「アジンコート」(英)
とフランス、イギリスにおいてそれぞれ変化して行った可能性があるのではないか、であれば、私がでっちあげた(?)「アジンクール」という読みもまんざら間違いではないのでは? という趣旨でツイッターにあのように記した次第です。
 話は変わりますが、コラム#4304(未公開)に登場するDさんが、9日のオフ会の際のやりとりを補足的に私に送ってくれたので、ご披露しておきます。
<D>
D:朝鮮戦争勃発に伴う日本の再軍備計画について、その要請を拒否した吉田茂の首を挿げ替え、思い通りに計画を実行する首相を置くという選択をアメリカがしなかったのは何故か。
O(太田。以下同じ):終戦直後でそう時間も経っておらず、国力が疲弊した日本に対し、大きな軍事的貢献を期待出来なかった(しなかった)というのが実情だろう。アメリカが日本の再軍備を本気で要求し始めたのは、日本の経済復興も一応の目途が付き、かつアメリカの相対的国力が低下し始めた、1970年代のニクソン政権以降だ。
D:イスラム圏の自由民主主義化について、イラクでは確実に定着の一歩を踏み出している一方、トルコでは退行している傾向にあるが・・。
O:イスラム圏の将来を占う上で注目しているのが、キルギスの動向だ。民衆による「革命」が一度成功していることに加え、今後議院内閣制に移行しようとしている点からも、その成否に注目している。イスラム圏であっても、遊牧民としての歴史と文化を有している国では、自由民主主義化が比較的容易(可能)であるという一例だろう。
最も懸念すべきはパキスタンで、実はアフガニスタン以上に危うい状況にあると見ている。昔、留学時代にパキスタンを訪問した際にも、「国」として存続していること自体が不思議だと思ったが、この認識は今でも変わらない。
イスラム圏で成功している唯一の例がインドネシアとマレーシアだが、インドネシアはそもそも「イスラム教国」というよりも多神教と言った方がよい。他方、マレーシアの方は、最近ちょっとおかしくなりかけている。
<太田>
 関連の記事を紹介しておこう。
 まず、キルギスタンについてだ。
 米国発祥の大統領制は民主主義独裁を招く可能性が大であるのに対し、イギリス発祥の議院内閣制はその可能性が小さい。
 キルギスタンが議院内閣制を採用し、その下での初めての総選挙を昨日つつがなく実施したことに、我々はもっともっと注目し、声援を送るべきだろう。↓
 Kyrgyzstan <yester>day <held> a landmark election that is likely to establish the country as the first parliamentary democracy in authoritarian central Asia.・・・
 International observers today described the election as largely free and fair – a remarkable feat in a region run by democracy-averse super-presidents all apparently in the job for life.・・・
 Otunbayeva said the disastrous misrule of her two predecessors ? who presided over inefficient and corrupt presidential regimes stuffed with their relatives – had necessitated the change in the constitution. ・・・
 Russia, Kazakhstan and Uzbekistan were all unhappy at the prospect of a genuine democracy taking root next door・・・
 Its most influential, and often overlooked neighbour, however, is China.
http://www.guardian.co.uk/world/2010/oct/10/kyrgyzstan-election-democracy-central-asia
 当然のことながら、ロシアは、キルギスタンの大統領制への復帰を掲げる政党を支援している。↓
 ・・・Russia had expressed support for Mr. Kulov’s party after Mr. Kulov said he would reverse the reforms that established a parliamentary system, and return Kyrgyzstan to presidential rule. ・・・
http://www.nytimes.com/2010/10/11/world/asia/11kyrgyz.html?ref=world&pagewanted=print
 次に、パキスタンについてだ。
 パキスタンは、その最大の敵が依然としてインドであることから、米国とは同床異夢である、とこの記事は耳タコの話を繰り返している。↓
 ・・・American national security interests in South Asia as revolving around the need to prevent the region from becoming a launching pad for terrorist attacks on the United States and American allies.
 That’s why, Mr. Obama says, American troops are in Afghanistan, and that’s why the United States is pushing the Pakistani government to act on its soil against militants like the Afghan Taliban, Al Qaeda and the Haqqani network. That’s also why American troops were engaged in cross-border strikes.
 But Pakistan, for its part, defines its national security interests as revolving around India, its nemesis in a tangle of disputes that have proven intractable for six decades. ・・・
 What Pakistan wants most in Afghanistan is an assurance that India cannot use it to threaten Pakistan.・・・
 Now, Pakistan wants to ensure against the possibility of an Afghan national government with a strong army emerging on its border and aligning with India. So supporting the Afghan Taliban is again a hedge, as it was in the 1990s.
 What’s more, the Pakistanis don’t believe that the United States will stay in Afghanistan, and Mr. Obama’s announcement that he will begin a pullout starting in July 2011 has exacerbated that belief. And if the United States leaves, the Pakistanis believe, it is only a matter of time before the Afghan Taliban return to power. When they do, Islamabad wants to make sure that it has kept in the Taliban’s good graces. ・・・
http://www.nytimes.com/2010/10/10/weekinreview/10cooper.html?ref=world&pagewanted=print
 しかし、問題は、そもそもパキスタンがインドをそのように見続けざるをえないところにある。
 要するに、パキスタンの国家としてアイデンティティーが不明確であるところ、国家としての一体性をかろうじて維持するために、インドが敵に仕立て上げられ続けているということなのだ。
 パキスタンは、パシュトン人地区を切り離してアフガニスタンに「献上」するなりした上で、インドと合邦するのが本来あるべき姿であって、そうならない限りは、パキスタンは核武装をした図体のデカイ失敗国家として、周辺諸国に迷惑をかけ続けることだろう。
 それでは、その他の記事の紹介です。
 少なくとも各紙の電子版を見る限り、記者達は、この「中国人社員」がそもそもどうして「軍事禁区」に車が接近すること自体を制止しようとしなかったのか、等を問いただそうとしていない。
 何と奥ゆかしきマスコミを日本は持っていることだろう。↓
 「・・・自らが撮影していたビデオを中国当局の取り調べ中に見せられたところ、「軍事禁区」であることを示す看板が録画され、同行していた現地法人の中国人社員が、軍事禁区であることを指摘する音声も録音されていたという。高橋さんは「軍事禁区という意識で撮影はしていない。(中国人社員の声は)認識していなかった」と説明した。」
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20101010-OYT1T00413.htm
 「・・・準大手ゼネコン「フジタ」(東京都渋谷区)の現地法人社員高橋定さん(57)・・・によると・・・三人の釈放後、取り調べはほとんどなかった。・・・」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2010101102000043.html
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 連休なので、再度、一人題名のない音楽会をお送りします。
 モシュコフスキの特集の2回目です。
●ワルツ(mignone) 作品34 1番 本人演奏? 
http://www.youtube.com/watch?v=dbCyamloYd8&feature=related
ワルツ(triste) 作品89 3番 Nikolaus M���hle
http://www.youtube.com/watch?v=6rHR6JuLQ-M&feature=related
●Guitarre メニューヒン
http://www.youtube.com/watch?v=wB-TzdGdJ8o&feature=fvw
二つのバイオリンとピアノのための組曲 作品71 バイオリン:Michael Zuber、Isabelle Meyer ピアノ:Aime Bastian
http://www.youtube.com/watch?v=ndaIOgmYlaQ&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=vcvko5pyStg&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=NUlepPDReqM&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=uKkIJTTzSqs&feature=related
ピアノ協奏曲 作品59 Pasquale Iannone
http://www.youtube.com/watch?v=EBOxso2iRHo&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=nKszDQTe8Xs&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=DoP3vw5cDpI&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=viFrhcmUAOM&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=_uUOt_cGV3U&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=fDD-0NtrIgM&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=WHwz6iUzQKs&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=1ah8MtuKjMg&feature=related
 結局、この特集の曲、全部聴いちゃったという方、いらっしゃったとしても不思議じゃありません。
 私の好きなクラシック曲って、正調歌謡曲的なメロディックな曲なので、一人題名のない音楽会、長くは続かないだろうと思っていましたが、いくらでもあるもんですねえ。
(完)
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太田述正コラム#4308(2010.10.11)
<ジョージ・ワシントン(その3)>
→非公開