太田述正コラム#4337(2010.10.26)
<皆さんとディスカッション(続x995)>
<δΙΙδ>(「たった一人の反乱」より)
 <δδΙΙクン(コラム#4335)、>以前、たかじんの番組で東中野修道の南京大虐殺は無かった説がやたら説得力があったので本も買ってみて、そのときはこれは日本は潔白だなと感じたけど、後年になって東中野が捏造情報でミスリードしていた事が裁判で確定しちゃって、何を信じていいか全然分からなくなったよ。
<ιιΔΔ>(同上)
 いっつも不思議に思うんだけど<δδΙΙクンが紹介したような>こういった動画って誰が作ってんの?
 あと選挙の時に感じるんだけど民主が中国だの朝鮮だのと裏で繋がってるとか中・朝にこの国を売り渡すつもりだとかって典拠も何も無い動画。
 別に民主が精錬潔白な政党だなんて思っちゃいないから別に民主批判の動画が作られるのは不思議じゃないんだけど、それじゃ自民批判の動画はほとんど作られないってのは何故なんだ?
 作られてるけど目にしないだけなのか?
 どういった層がどういった目的でこの手の動画を作ってるんだろ?
<ιΔιΔ>(同上)
 “悪”に関してだけど、先天的または後天的(手術等により)に「失感情症」(アレキシサイミア)という、例えば知的には像脳明晰で所謂優秀と称されるヒトであっても、感情の無い(感情表現の欠如した)ヒトがいる。
http://body-thinking.com/column/clm_alexithymia.htm
 勿論、罪悪感も無いこのようなヒトたちが実在する。
 人の痛みがわからない…強弱あれど、そんな人が増えているんだと。
<太田>
 キミの引用した文書を読んでも、「アレキシサイミア」患者が「罪悪感<が>無い」といった趣旨のくだりはなかったが、ハテ?
<ιΔΔι>(同上)
 「ガイトナー発言でドル・円が急反発したが、其処には怒涛の売りが待っていた。
 輸出の実需ではない。利喰いでもない。
 中国と韓国の中央銀行の売りである。
 彼らは、自国通貨売り・ドル買いで手に入れたドルを売り、円を買っている。
 要するに、自国通貨売り・円買いを行っているのである。
 先日の菅発言に対する嫌がらせか?
 正に通貨戦争の様を呈してきた。 」<(2010年10月23日(土))>
http://www.gaitame.com/blog/sakoh/
 酒匂隆雄
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%85%92%E5%8C%82%E9%9A%86%E9%9B%84
 「週明け25日の外国為替市場は、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が合意した「通貨安競争の回避」をあざ笑うかのように、一時1ドル=80円45銭まで円高が加速し、15年半ぶりの最高値を更新した。円高に悲鳴を上げる経済界からは、G20での政府の対応への不満が噴出。」
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/101025/fnc1010252259016-n1.htm
 [慶州(韓国) 23日 ロイター] 「ドイツのブリューデレ経済技術相は23日、米国の流動性拡大策は為替操作に当たると批判した。
 同相は、当地で開催された20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の後「(会議では)米国の金融緩和策に対する批判が出た。私は議論の中で、それは間違った方法であることを明確にしようとした」と述べた。」
http://jp.reuters.com/article/forexNews/idJPnTK879074320101023
 さらに「私の見方では、マネーの量を過度に、いつまでも拡大することは、為替相場を間接的に操作することになる」と指摘した。
<太田>
 産経の記事は、「日本はお人よし」と言うが、そうじゃなく、日本は米国の属国なのよ。
 だから、ロイターの記事の独立国ドイツの閣僚のような発言を行うことはおよそ考えられないのさ。
 田村秀男産経新聞編集委員(コラム#4323)のような私人は違うがね。
<ΔιΔι>(同上)
≫何で米国は日本に「独立」を強いないのか、という一般論に還元されるわいな。だって、戦後日本人の大部分が「属国」であることを選択し続けて来た以上、民主主義の旗手を標榜する米国が、「独立」を強いるなんてできるわけないだろ。≪(コラム#4335。太田)
 朝鮮戦争時の再軍備要求が、米国が日本に「独立」を強いた最初で最後、ということですかね?
http://blog.ohtan.net/archives/51174427.html
 人の感情として、爆発(積怒)を経由しないと、侮蔑フェーズに至らないと思うんですが、1969年~1978年の間に米国が爆発した出来事ってありました?
1948年 バンデンバーグ決議
1950年 朝鮮戦争、再軍備要求(→吉田爆発)
1969年 ニクソン・ドクトリン
1978年 思いやり予算(→米国侮蔑)
<太田>
>爆発(積怒)を経由しないと、侮蔑フェーズに至らない
 そんなこたあないさ。
 自分達は駐留軍経費負担をさせられて怒って英本国から独立したというのに、自主的に駐留軍経費負担を日本人がやって属国度を深めたとなりゃ、侮蔑されても不思議はないだろ?
 
<Fat Tail>
 –高橋是清の財政政策について–
 コラム#4237より抜粋
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 さて、コラム#4231で太田さんが、FTの記事を紹介した際、「次著で、日本型経済体制に触れるとして、高橋財政に触れないのは片手オチだけど、どうすべえ?」、と呟いていましたが、実証研究では1930年代における高橋是清の財政政策は、どのように評価されているのでしょうか。
 これまた「通説」と違い、実は議論が分かれていて、それほど単純に結論付けることは難しいようです。(続く)
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高橋是清の財政政策については、同時期の金融政策の評価も含め、次のペーパーに先行研究が簡潔に纏められています*。以下、内容を整理して紹介致します(P8-10を参照)。
http://www.esri.go.jp/jp/archive/e_dis/e_dis180/e_dis176_01.pdf
*なお、このペーパーが出された2007年3月以降の同種実証研究の動向については把握していない。
 財政政策有効説2 対 財政政策限定説3
・そもそも、戦前期の日本経済を数量的に分析した研究が多くない上に、昭和恐慌及びその回復期に蔵相として高橋是清が活躍した期間を、財政政策及び金融政策の観点から実証分析した近年の研究は数が極めて限られている。
・限られた研究結果の中での同期間における財政政策の評価は、昭和恐慌からの回復に寄与したとしているものが二つ*、その効果が限られたものであったとするものが二つであり、上記のペーパーも財政政策の効果は限定的だという結論を出している。
*四つの内、「通説」を支持している以下のChaのペーパーは個人的にもあたった。
http://yu.ac.kr/~mscha/papers/takahashi.pdf
 「政治家や官僚のみならず、日本の人文社会科学者の多くも、一体何が楽しくて、無為の人生を生きているのでしょうか。」(コラム#3114)という太田さんの言葉を再掲して本投稿を終えます。
<太田>
 Chaのペーパー(注)を、注を除いて読ませてもらいましたが、彼の回帰分析に問題さえなければ、極めて説得力のある議論が展開されていると思います。
 (注)冒頭に結論が書いてある↓。
 Takahashi Korekiyo is remembered as a wise finance minister saving Japan from the Great Depression. The contribution of his policy measures however remains to be rigorously measured, with proper control of other forces also driving the recovery.
Structural vector autoregression analysis of previously unexploited monthly data confirms the pivotal role of Takahashi’s debt-financed fiscal expansion. Monetizing the public debts, the Bank of Japan maintained a neutral stance. The recovery was aided by exchange-rate shocks generated during the transition from the gold standard to the floating-exchange-rate regime and, to a smaller extent, by the world recovery.・・・
 (ただし、レファレンスにゴードン・バーガーの著書もあげられているというのに、後の方に出てくる、Chaの
 ・・・The demise of Japan’s nascent democracy (known as the Taisho democracy) and the rise of fascism in the wake of the depression・・・
といった記述は困りますがね・・。)
 一体、高橋財政の効果が限定的だとする論者は、何を根拠にしてるんですかねえ。
 いずれにせよ、ご教示、どうもありがとうございました。
<bonkers_blunder>(ツイッターより)
 太田さんは戦争中の捕虜の処遇についてどんな見解を持っていますか?
Humiliate, strip, threaten: UK military interrogation manuals discovered
gu.com/p/2kjfn/tw
<太田>
 キミの場合、これまで質問の際に情報提供を心がけている点は結構なことだが、ボクを検索機械扱いするのは止めて欲しいな。
 一般的な質問がある場合、自分で過去の太田コラムに検索をかけて調べた上で、それでなおかつ聞きたいことがあった場合にボクに質問するようにしてくれるとありがたいが・・。
<太田>(ツイッターより)
 (コラム#4278に関し)エリザベス1世の時代まで、スコットランドは基本的に欧州に属し、アングロサクソンたるイギリスと対峙してきた。この限りにおいてはイギリスは島国ではなかった。
<yunod>(同上)
 仏素同盟で英を挟み撃ち、というのがパターンでしたが…イギリスという呼称、紛らわしいです。
<太田>
 慣れてください。
 太田コラムでは、Britainを英国、Englandをイギリスと訳しています。
 それでは、記事の紹介です。
 やらせに従事した市民→サーカスに喜ぶ市民→政府批判する市民、と進行してきてるね。↓
 「中国陝西省第二の都市、宝鶏市で24日にあったデモでは、「反日」のスローガンに交じって「反政府」が公然と叫ばれた。・・・
 ・・・「日本製品をボイコットしろ」「釣魚島(尖閣諸島の中国名)をかえせ」と赤い布に書かれたスローガンに交じって、緑と青の布に記されたものがあった。
 「腐敗官僚を倒せ」
 「住宅が高すぎる」
 参加者によると、最初にデモを呼びかけたのは市内の大学生だったという。しばらくすると数千人の工場労働者や会社員らが加わり、取り締まる警察と大混乱になった。政府批判のスローガンを掲げた参加者はすぐに警察に連行されたという。・・・」
http://www.asahi.com/international/update/1025/TKY201010250475.html
 「・・・「多党制を推進せよ」と共産党の一党独裁を否定する横断幕も掲げていた。中には、「(台湾総統の)馬英九、大陸はあなたを歓迎する」と書かれた横断幕もあったという。・・・」
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20101026-OYT1T00034.htm 
 米国民の間で孤立主義的傾向が著しく高まっている。↓
 Americans have forgotten the rest of the world. ・・・
http://www.newsweek.com/2010/10/23/americans-grow-apathetic-over-foreign-policy.print.html
 その中で、オバマ政権は、対中包囲網作りに懸命だ。↓
 The Obama administration, facing a vexing relationship with China on exchange rates, trade and security issues, is stiffening its approach toward Beijing, seeking allies to confront a newly assertive power that officials now say has little intention of working with the United States. ・・・
http://www.nytimes.com/2010/10/26/world/asia/26china.html?_r=1&ref=world&pagewanted=print
 以上の文脈に照らせば、また、下掲のような事情に鑑みれば、日印原子力交渉がどうなるかはミエミエだ。↓
 An India-Japan nuclear agreement is crucial for international nuclear-power companies to do business with India. While U.S.-based firms GE-Hitachi Nuclear Energy and Westinghouse Electric, a subsidiary of Japan’s Toshiba Corp., are waiting to set up plants in India・・・
http://online.wsj.com/article/SB10001424052702303467004575574143287320942.html?mod=WSJASIA_hpp_SecondTopStories
 (この前も触れたが、)その間、欧州の米国離れはどんどん進行している。↓
 Will the U.S. Lose Europe to Russia?・・・
http://www.nytimes.com/2010/10/26/world/europe/26iht-politicus.html?ref=world&pagewanted=print
 1943年時点のチャーチル政権は、(ローズベルト政権は全然だったが、)ロシア(ソ連)の脅威を深刻視するに至っていたんだな。
 しかし、既に遅すぎたわけだ。↓
 ・・・Marshall’s plans for an early invasion of Northwest Europe were thwarted by Churchill, who went directly to Roosevelt. As things turned out, Churchill proved to be right to postpone D-Day, albeit for the wrong reasons. He longed to attack the “soft under-belly of Europe” through Italy and into central Europe to forestall a Soviet occupation after the war. (Roo sevelt, Marshall and Eisenhower all failed to foresee the Stalin’s ambitions.) Marshall, on the other hand, was wrong because any attempt to mount a cross-Channel invasion in 1942 or even 1943 would have ended in disaster. The U.S. Army was simply not ready, the shipping and landing-craft were not available and the Allies lacked air supremacy. ・・・
http://online.wsj.com/article/SB10001424052702304510704575562073415363844.html?mod=WSJ_Opinion_LEFTSecond
 先の大戦中、ドイツの主要外務官僚達もホロコーストに深く関わってたことがついに明らかにされた。↓
 Leading members of Germany’s foreign ministry were deeply involved in the Holocaust・・・
http://www.guardian.co.uk/world/2010/oct/26/german-diplomats-holocaust-collusion-participants
 日本の30歳未満の独身の女性の稼ぎが独身の男性の稼ぎを上回ったんだって。
 日本の主要メディアの電子版に載ってたかなあ。↓
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/10/24/AR2010102403342_pf.html
 O型の女性は妊娠しにくいんだって。↓
 ・・・those with type “O” blood had chemical signs linked to low egg numbers.・・・
http://www.bbc.co.uk/news/health-11618265