太田述正コラム#4489(2011.1.10)
<皆さんとディスカッション(続x1071)>
<太田>(ツイッターより)
 (コラム#4272に関し)英国での20世紀の首相人気投票で、おおむねチャーチルは1位、(スエズでドジった)イーデンはビリだが
http://bit.ly/f9samc 
両者は先の大戦中の首相、外相として大英帝国を過早に瓦解させた共同戦犯なのでヘンだな。
<σΔΔσ>(「たった一人の反乱」より)
 今、FXやってるんですが為替というのは、純粋経済というよりも通貨をめぐる西洋の戦争じゃないかという気がしています。
 そこで、太田さんの歴史観、つまりアングロサクソンVS欧州大陸という考え方を採用させてもらっています。
 通貨の中でもユーロ・ドルというのがあるんですが、太田さんの歴史分析・評論なしには売買できないですね。
 読み残しのコラムがまだ沢山あるんで、じっくりと消化させて頂きます。
<太田>
 どもどーも。
<ΔσΔσ>(「たった一人の反乱」より)
 「学歴から見て鳩山由紀夫が少しはましだろう」と表明した結果、鳩山と共に沈んでしまった太田ブログの1年。・・・
 1年半前には、鳩山由紀夫が総理に就くのが望ましいって太田ブログに書いてはりましたやん。
 そのせいで太田ブログへの信用性が著しく低下したんやおまへんか、ちゅうことですねん。
<太田>
 確かにボク、鳩山由紀夫があんな人間失格者であるとは夢想もしなかったが、彼が親のカネで民主党をたった一人で創り出した上、犯罪被疑者候補の小沢を民主党に引っ張り込むという、見方によっては無茶苦茶をやったことで、大懸案事項だった政権交代がなったことは「評価」すべきだし、彼が首相の時に、今度は文字通り無茶苦茶をやってのけて、沖縄問題等で日米関係をきしませてくれたおかげで、日本の属国状況、いやそこまで行かなくとも日本の安全保障状況の危うさ、を顕在化させたことも、ボクは評価しとるよ。
 ま、いずれにせよ、ボクを鳩山と並ぶ存在として扱ってくれてることは面はゆい限りだ。
<ΔΔσσ>(「たった一人の反乱」より)
 ここ数日の<都条例をめぐる>表現に関する議論は『法実証主義』対『自然法』という図式に近いのではないでしょうか。
 太田コラム的にすると『経験論』対『コモン・ロー』とか、無理があるか(笑)
法実証主義
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B3%95%E5%AE%9F%E8%A8%BC%E4%B8%BB%E7%BE%A9
実証主義
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%9F%E8%A8%BC%E4%B8%BB%E7%BE%A9
自然法
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%AA%E7%84%B6%E6%B3%95
自然法論
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%AA%E7%84%B6%E6%B3%95%E8%AB%96
<太田>
 整理された問題提起になってないね。
 まず、「法実証主義」対「自然法」という図式が成立するかどうかがビミョー。
 「法実証主義」者の側は「法実証主義」v.「自然法」理論と考えているが、「自然法」論者の側はそうは考えていない。↓
 ・・・Legal theorists who present or understand their theories as “positivist”, or as instances of “legal positivism”, take their theories to be opposed to, or at least clearly distinct from, natural law theory. Natural law theorists, on the other hand, did not conceive their theories in opposition to, or even as distinct from, legal positivism・・・
http://plato.stanford.edu/entries/natural-law-theories/
 次に、「法実証主義」≒「経験論」と言えるかどうかを考えるまでもなく、「自然法」≒「コモン・ロー」と言えるかどうかもビミョー。↓
 「「自然法」理論はイギリスの「コモン・ロー」の発展に大きな影響を及ぼした<し、>・・・両者はしばしば混同(conflate)されるが、前者は、人間の理性や本性から特定の権利や価値が導き出されるとする見解であるのに対し、後者は法の認識ないし発見(articulation)によって特定の権利や価値を知ることができる(cognizable)とする法的伝統であって、別のものである。」
http://en.wikipedia.org/wiki/Natural_law
 ちなみに、イギリスの法実証主義者としてよくあげられるのはホッブス(Hobbes)(コラム#46、81、88、1575、2812、3321、3571、3718、4346)とベンサム(コラム#54、65、91、1707)であり、イギリスの自然法論者としてよくあげられるのはブラクトン(Henry de Bracton。1210?~68年)
http://en.wikipedia.org/wiki/Henry_de_Bracton
、フォーテスキュー(Fortescue)(コラム#90)、コーク(Coke)(コラム#519、4066、4298)、そしてロック(Locke)(コラム#90、91、503、517、519、592、812、883、1008、1254、1364、1787、2281、3148、3702、3714、3718、3896、4066、4385)だ。
 私見によれば、イギリスにおいては、自然法は、法の優位(Rule of Law)、具体的には(国王に対する)コモンローの優位、を主張するために援用された方便であって、法を介在させずに人間がその本性に基づき直接発見する法の一般原則であるところの欧州における自然法とは区別されるべきなんだな。
 なお、ロックが、イギリスにおける「自然法/法の優位」とはこれすなわち「自然権/普遍的人権の保障」である、と単純化したところ、この思想が米独立革命に大きな影響を与えたわけだ。
 (以上、特に断っていない限り、ウィキペディア上掲に拠るか、ウィキペディア上掲を踏まえた私見。)
<NZ>
 <今度の講演会(オフ会)用の>民主党関連の質問<です。>
 政治は一番苦手で興味もないのですが、身近なところで民主党に嫌気がさしているのは、最も大きな支援団体である「連合」です。
 私は社員として毎月否応なしに組合費○円と政治資金●円を取られていますが、何に使われているかが非常に不明確なんです。・・・
 ・・・組合費○円の使い道<については>、社員としての問題ですが、政治資金●円はさらに不明です。これは支持政党の自由を阻害する違法行為ではないのでしょうか?
 「連合」がやっていること、誰のために何をしていて実際に恩恵を受けているひとはいるのか、教えていただきたいと思います。
<太田>
 政治に興味がないのなら、民主党が好きとか嫌いとかおっしゃること自体がおかしいのでは?
 それはともかく、私は防衛庁(省)・自衛隊という、労働組合のない組織育ちであることに加えて、労組の存在意義が欧米においても、そして日本においても、低下してきている(コラム#4255)こともあって、労組問題に触れる頻度は少ない・・それでも、コラム#4255のほか、コラム#2170、2489、2581、2819、3568等で触れている・・のですが、「講演」の中では取り上げないにしても、その後の質疑応答の際には議論する意義が大いにあると思います。
 労組そのものについては以下、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8A%B4%E5%83%8D%E7%B5%84%E5%90%88 
連合と政治については以下、
http://www.seikatsuken.or.jp/monthly/hikaku/pdf/200806.pdf
特に、労組と政治献金については、コラム#3155と以下(文意の通らないところがあるが・・)http://news.livedoor.com/article/detail/4818401/
を読んでおいていただくとよいのではないでしょうか。
 なお、労組と言っても、公務員の労組、
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011010901000264.html
旧3公社5現業系の労組、地域独占/公共的企業の労組、そしてそれ以外の企業の労組、とではそれぞれかなり事情が異なります。
 場合分けした議論を行うことも必要でしょうね。
 少なくとも、質疑応答の際には、もう少し、具体的な状況説明を行った上で質問をしてください。
<NK>
 ・・・<同じく、>現在の縄文モード(縄文、平安、江戸に次いで第4期?)について伺いたいです。
<太田>
 太田FAQ
http://wiki.livedoor.jp/veg_tan/d/%c6%fc%cb%dc%cf%c0
で縄文モード・弥生モードという文字が入ってるコラム・タイトルを探して読んでおいていただくとありがたい。
 それでは、その他の記事の紹介です。
 中身はないが、タイトルは大変結構。
 しかし、なんで長野支局の記者に書かせた?↓
 「日英同盟を復活したら? 日本にとってかなりプラスだと思う
(長野支局 笠原健)・・・」
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/110110/stt1101100700002-n1.htm
 中共の不安材料が書き出されている。↓
 ・・・total public debt of about 76% of GDP, a very high figure for a developing country. With a rapidly aging population (more than 200 million people will be over the age of 65 by 2020) and weak social safety net, China can ill afford a banking crisis any time in the next decade.・・・
http://online.wsj.com/article/SB10001424052748704030704576070981801479062.html
 人間が音楽、料理、麻薬を好むのは、いずれもドーパミンを分泌させるからだって。↓
 ・・・your brain is reacting to the music in the same way as it would to some delicious food or a psychoactive drug such as cocaine, according to scientists.
The experience of pleasure is mediated in all these situations by the release of the brain’s reward chemical, dopamine・・・
http://www.guardian.co.uk/science/2011/jan/09/why-we-love-music-research
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太田述正コラム#4490(2011.1.10)
<日露戦争以後の日本外交(その4)>
→非公開