太田述正コラム#4601(2011.3.7)
<皆さんとディスカッション(続x1127)>
<太田>(ツイッターより)
 一、吉田茂は国益どころか私益を考えて日本を属国化させた国賊。二、戦前の日本における対露安保と自由民主主義とはコインの両面であって相互に切り離せない。
 前者は私の旧説を改めたもの。後者は私の説の根幹中の根幹。
 (コラム#4408に関し)同様、私の戦前日本史論とアングロサクソン論/米国論も相互に切り離せない関係にある。
 私の論のつまみ食いで肥満体になるのではなく、その全体をバランスよく食べて健康体になろう・・なーんちゃって。
<ΔχχΔ>(「たった一人の反乱」より)
 核爆弾とか原子力潜水艦とかの議論も大事だけどスパイ防止法の議論がまったく成されてないのがなぁ。
 …それ以前に憲法9条改正しないと全ては絵に描いた餅か。
<ΧΧδδ>(同上)
 太田コラムでは「日本では憲法に規範性がない」という指摘が何度もされてるが?
 たぶんろくに読んでないから知らないんだろうけど。
<ΧδΧδ>(同上)
 でも憲法9条は規範性があるような気がするな。
 安全保障を放棄し、経済活動に専念するという吉田ドクトリンを体現していると思う。
<ΧδδΧ>(同上)
 そういうことじゃなくて、それは過去再三繰り返されてきたやりとりだから、やっぱり9条は変える必要があると思うのならそれを論理的に論証をしてくれということだよ。
<ΧδΧδ>(同上)
 –国民の吉田ドクトリン脱却の意思を確認するため–
 このまま集団的自衛権を解釈に変更したら、国民が外交・安全保障に関心を持ってないので、政府が集団的自衛権を濫用する恐れがあると思う。
 憲法改正の手続きをすることによって、国民に外交安全保障に主体的にかかわっていく意思があることを確認しないと、怖くて集団的自衛権なんて日本に持たせることはできない。
 他国民に迷惑をかけることだけは避けたいんだよね
<ΧδδΧ>(同上)
>でも憲法9条は規範性があるような気がするな。<(ΧδΧδ)
 いやいや。
 イラク派遣されたのに「国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」となっている。
 自衛隊があるのに「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」となっている。
 したがって、憲法9条には規範性が無いよね、ってことだと思うよ。
 <なお、>(法)規範性=法的拘束力、ってこと<だからね。>
<太田>
 ちょっと違うな。
 憲法9条と自衛隊だけでなく、憲法89条と私学助成との関係についても同じことが言える。
 また、日本国憲法だけじゃなく、明治憲法も規範性がない、とボクは指摘しているわけだ。
<δΧδΧ>(同上)
 太田さんは外相不適格者の前原がポスト菅ってことはないとたびたび書いてきたが当たったな。
 世間と太田コラムで評価のギャップが一番ある議員が前原じゃないだろうか。
 みなさんの太田コラム宣伝の材料にどうぞ。
<δδΧΧ>(同上)
 前原外相辞任 後任、松本剛氏らの名 外国人献金問題
http://www.asahi.com/politics/update/0306/TKY201103060216.html
 別に前原の肩を持つ気はサラサラ無いんだけど、日本の政治家で外国人(在日)から献金受けてる奴って他にいくらでもいるんじゃないの?
 もちろん法律違反な訳だし辞任は当然なんだが今度これ他の政党、例えば自民党が与党になった時に大臣なり首相なりの個人献金のリストに在日がいた場合、例えその在日が通名を使っていたので気付けなかった・知らなかったとしても当然辞任しないといけないって事だよね?
 この理由でまた大臣なり首相なりがコロコロ代わるなんて事なければいいんだけど…。
 自分は外国人(在日)からの献金を一切受けていませんって言い切れる政治家って果たして日本にどれ位いるんだろうか?
<太田>
 民主党が代表選に外国人党員にも投票権を与えている問題はどうなってんだろね?
<将門>
 自衛官に早期退職制度 防衛省検討
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C889DE0E6E7E0E5E0EBE2E2E4E2E1E0E2E3E38297EAE2E2E2;at=DGXZZO0195588008122009000000
 これについてはどうでしょう。自衛隊の今後的な意味で。
 実際18で入隊しても年金もらうために43までは自衛隊いたいですよね。自衛官的には。 54まで働いたとして退職金ふくめれば8千万くらいもらえますし、それに見合う対価を出せるんでしょうか。
<太田>
 日本型経済体制の中で存続していくためには、自衛隊も(軍隊としては異例にも)事実上終身雇用にしなければならなかったわけですが、日本型経済体制が崩れていき、終身雇用も少なくなってきている中で、事実上の終身雇用制を維持することは、自衛隊に相対的に優秀な人材を集めることにもつながります。
 それはそれとして、事実上の終身雇用であれば、終身雇用制の企業がどこでも採用している早期退職制度がもっと早く導入されていてしかるべきだったのであり、遅ればせながらも、導入されるのは当然だと思います。
 その場合、企業に比べて、早期退職年齢を若く設定するのも自然なことだと思います。
 お尋ねについては、まさにそのあたりが早期退職制の制度設計者にとって腕の見せ所ではないでしょうか。
<MS>
 <太田さんの次著の>章たてを少し考えました。最近のコラムをまとめて第10章に独立してまとめました。
 日本戦前外交の問題点と、それを覆い隠す目的で戦後体制が築かれたことを示すことが目的です。(それまでに説明された主要各国の問題点を踏まえたうえで、また、事大主義を通して戦後につながっていることを示唆しつつ、最終章につなげる)
 切り貼り自体は「戦前の日本の外相」シリーズが完結してから、送ります。
 おそらくこのあともXXXXさん提供の(外交関係の)資料が増えると思いますが、できればこの流れにそって順次追加するつもりでいます(他の章の編集と分離できるように)。
 第11章はもう少し待ってください。

11.1 経済体制のみを引き継いだ戦後日本
 (3.6と被るが、ここでは「のみ」というところに重点をおいて話を展開)
→ コラム#677(2005.4.1)<ライブドア・フジサンケイグループ「抗争」(その3)>
  コラム#0072(2002.10.28)<日本における男女共同参画社会の構築に向けて>

の箇所が今ピックアップしているところからの切り貼りだけだとニッチもサッチも行かないので、構成を考え直すかもしれません。もしいいコラム(できればシリーズ)ご存知でしたら教えて下さい。

10. 吉田ドクトリンの起源としての戦前日本外交
10.1 事大主義的世界観
重光葵の世界観 コラム#4348(2010.10.31)
10.2 資質
コラム#4590(2011.3.1)<戦前の日本の外相(その1)>
10.3 怠慢
コラム#4528(2011.1.29)<日英同盟をめぐって(その1)>
コラム#4484(2011.1.7)<日露戦争以後の日本外交(その1)>シリーズ
ワシントン体制の崩壊(その1)シリーズ
コラム#4386(2010.11.19)<戦前の日英関係の軌跡(その1)>
10.4 吉田ドクトリンという誤魔化し
コラム#4368(2010.11.10)<『吉田茂の自問』を読む(その1)>

<太田>
 それでは、記事の紹介です。
 こうなったら、歴代内閣不支持記録の更新を目ざせ!↓
 「・・・菅内閣を「支持できる」とした人は、先月より3ポイント余り減って18%ちょうどで、「支持できない」は3ポイント余り増えて80.5%でした。支持率18%は、おととしの政権交代以降で見ると最低の数字で、20%を割ったのも初めてです。・・・」
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4667095.html
 「・・・菅内閣の支持率は24%(前回2月調査27%)で、昨年12月調査の25%を下回り、発足以来最低を記録した。・・・」
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110306-OYT1T00603.htm
 私の唱える旧軍の私的制裁原因論(コラム#4578(未公開))からすれば、これは、自衛隊の下級管理職が、自衛隊が本来業務を行うことが求められるようになる時に備えて、新入隊員等の人事教育を真面目にやっていることの傍証ってことになりそうだ。
 防衛省は、新入隊員達の娑婆っ気を抜くための、(私的制裁抜きの)科学的な方法論を開発しなくっちゃダメってことさ。↓
 「二〇〇九年度の十万人当たり自殺者は一般公務員の二十一人に比べ、自衛官は三十三人と一・五倍。自殺の理由を「いじめ」と認定した判決もある。・・・
 〇九年度、自衛隊の私的制裁は二十四件あった。これとは別の暴行・傷害・脅迫六十件の中にも、いじめが含まれる。いじめ=自殺の芽は育ちつつある。・・・」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2011030702000037.html
 航空基地は民間空港よりは危険だから、普天間が「特別に危険でない」というのは言い過ぎだが、その他は、まことにそのとおりだ。↓
 「米国務省のメア日本部長(前駐沖縄総領事)・・・は「日本の和の文化とは常に合意を追い求める」と説明したうえで「日本人は合意文化をゆすりの手段に使う。合意を追い求めるふりをしながら、できるだけ多くの金を得ようとする」と述べた。
 沖縄については、日本政府に対する「ごまかしとゆすりの名人」「怠惰でゴーヤーも栽培できない」などと発言。普天間飛行場は「(住宅地に近い)福岡空港や伊丹空港と同じ」で特別に危険でないとし、日本政府は仲井真弘多・沖縄県知事に「お金が欲しいならサインしろ」と言うべきだと述べている。・・・」
http://mainichi.jp/select/world/europe/news/20110307k0000m030091000c.html
 次はリビア革命関連です。
 <反体制派は、東から、ビン・ジャワド(シルテの当方100マイル)まで接近して激戦が行われた。↓>
 Rebels in eastern Libya have been locked in a struggle with government forces for the town of Bin Jawad, just 100 miles from the key city of Sirte, Muammar Gaddafi’s home town.・・・
 Rebels captured Bin Jawad on Saturday, but were ejected from the town on Sunday before regrouping to attack it again later in the day. Helicopter gunships are reported to have fired on the rebel force that is advancing west.・・・
 The fighting occurred in the midst of what appeared to be a concerted counterattack by Gaddafi’s forces. Despite claims of a string of decisive victories by the government, which brought gun-firing supporters on to the streets of Tripoli, its gains appeared largely illusory. Among cities it claimed to have recaptured were Zawiyah, Misrata, Ras Lanuf and Tobruk, all of which are held or partly held by opposition forces.
 <トリポリの西のザウィヤでは、依然として反体制派が持ちこたえている。↓>
 In Zawiyah, a television crew, who had been inside the town for several days during two large-scale assaults, saw rebels manage to capture or destroy eight government tanks. At one stage, tanks had reached the centre of the town, but were driven back by fierce resistance.・・・
 <トリポリと東のシルテの間に位置するミスラタでも、反体制派が体制派の攻撃を撃退した。↓>
 In Misrata, rebels resisted a fierce attack by pro-Gaddafi forces, and a doctor told Reuters at least 18 had been killed. Government forces used tanks and artillery in what appeared to be their most concerted effort yet to retake the town 125 miles east of Tripoli, but were pushed back.・・・
http://www.guardian.co.uk/world/2011/mar/06/libya-rebels-government-battle-bin-jawad
 <位置関係は、下掲で確かめて欲しい。↓>
http://www.guardian.co.uk/world/gallery/2011/mar/07/libya-conflict-bin-jawad-pictures
 <英国の特殊部隊SASと諜報機関MI6の要員がリビア東部にヘリコプターで潜入し、反体制派に外国傭兵と勘違いされて捕まる、という失態を演じた。↓>
 A British diplomatic effort to reach out to Libyan rebels has ended in humiliation as a team of British special forces and intelligence agents left Benghazi after being briefly detained.
 The six SAS troops and two MI6 officers were seized by Libyan rebels in the eastern part of the country after arriving by helicopter four days ago. They left on HMS Cumberland, the frigate that had docked in Benghazi to evacuate British and other EU nationals・・・
http://www.guardian.co.uk/world/2011/mar/06/sas-diplomatic-mission-in-libya
 イスラム世界が停滞したのは、イスラムのせいではなく、イスラムとは必ずしも直接関係のない、イスラム世界の法制度のためだ、という説が紹介されている。↓
 <欧州のような長子相続制でなかった。↓>
 ・・・Western systems most commonly passed all property intact to the eldest son, thus preserving large estates. In contrast, Islamic law stipulated a much fairer division of assets (including some to daughters), but this meant that large estates fragmented. One upshot was that private capital accumulation faltered and couldn’t support major investments to usher in an industrial revolution.
 <会社が構成員(出資者)の死によって解散することになっていた。↓>
 ・・・the Islamic partnership, which tended to be the vehicle for businesses. Islamic partnerships dissolved whenever any member died, and so they tended to include only a few partners — making it difficult to compete with European industrial and financial corporations backed by hundreds of shareholders.
 <銀行制度が発展しなかった。↓>
 The emergence of banks in Europe led long-term British interest rates to drop by two-thirds leading up to the Industrial Revolution. No such drop occurred in the Arab world until the colonial period. ・・・
http://www.nytimes.com/2011/03/06/opinion/06kristof.html?ref=opinion&pagewanted=print
 しかし、いずれも、説得力がないなあ。↑
 フランスで、右翼政党の党首(女性)・・ル・ペンの娘・・が、大統領候補として1位、という世論調査結果が出て騒ぎになっている。↓
 
 An opinion poll suggesting far-right leader Marine Le Pen could win the first round of next year’s presidential election has caused a shock in France. ・・・
http://www.bbc.co.uk/news/world-europe-12660329
 ・・・the twice-divorced mother of three・・・
http://www.bbc.co.uk/news/world-europe-12202197
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太田述正コラム#4602(2011.3.7)
<戦前の日本の外相(その7)>
→非公開