太田述正コラム#4658(2011.4.1)
<皆さんとディスカッション(続x1159)>
<太田>(ツイッターより)
 「正しい」史観なんてありえないわけだが、私の史観は、安全保障及び大組織管理に係る実務経験、小さい時からの異文明体験、幅広い興味、等に根ざしている。皆さんの賛成・反対論等をどしどしお寄せいただきたい。
 原発問題もリビア革命も、結末がどうなるかはほぼ見えてるんだけど、そこに至る道筋とかかる時間が依然はっきりしないのはもどかしい限りだ。
 東電と反体制派がそれぞれ頼りないこと夥しいってのがその最大の理由だ。
<ΙεΙε>(「たった一人の反乱」より)
≫ドイツが原子枦の修復作業用ロボット持ってるようだな。≪(コラム#4656。ΙεεΙ)
 そのドイツのか、米国のかが使えればいいね。
 日本のが使えないのは何故なのかなあ?
 産経18日↓
 「放射性物質が拡散した福島第1原子力発電所。原子力安全技術センター(東京都文京区)は文部科学省の要請を受け、遠隔操作で放射線測定を行う「防災モニタリングロボット」2台を14日以降に仙台市へ送った。
 ロボットは約1キロの遠隔地から自走して災害現場にたどりつく能力がある。
 しかし、原発施設内に操作スタッフが入れないため、出番がないまま宮城県庁で待機状態が続いた。」(<コラム>#4631)
 ワシントンポスト27日↓
 One, called Monirobo, was dispatched to Fukushima last week, according to Japanese news reports.
 But representatives of Tokyo Electric Power Co., which operates the Daiichi facility, aren’t saying how, or even whether, the robot is being used on-site.(<コラム>#4652)
 <訳:>防災モニタリングロボット(モニロボ)をどのように使っているのか、使っているのかどうかさえ、東電は公表していない。
<εεΙΙ>(同上)
 車?? こりゃなんだべ??
http://www.47news.jp/CN/201103/CN2011033101001021.html
<εΙΙε>(同上)
 「福島原発が事故を起こした後、テレビでは東大教授が「このぐらいの放射線なら安全だ」と繰り返していました.
 当時の福島市と東京では放射線の強さは、約200倍でした。
 ところが、事故直後、東大の中では文書が回り、 「換気を止めること、ドラフト(化学実験などで使う空気が漏れない装置で、これを使うと外気が研究室に入る)」を停止するよう命令があったことを昨日、確認しました。
 テレビでは「レントゲンが600マイクロシーベルトだから、>福島市の20マイクロシーベルト(毎時)は30分の1だから心配ない」と発言した、当の東大教授が、その200分の1のところで生活をしている自分の大学では「換気扇を止めろ」と指示したのです。 」
http://takedanet.com/2011/03/42_20e0.html
 テレビのこの東大教授とは別人でしょうけど、太田さんが紹介(<コラム>#4617)していた東大の早野教授が述べた「政府の避難指示は適切」という「適切」は、20km圏外住民の将来の健康に太鼓判を押すという意味ではなくて、
 『「国を守るとは、言うまでも無く、国民の生命を守ることで」あるはずなかろ。』(<コラム>#3492)
で語られているような、「国を守る」ために適切な判断であるが「国民の生命を守る」事は二の次というニュアンスに近い事が、
SPEEDIの発表
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20110324-00000303-alterna-soci
や、IAEAの発表
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110331/t10015027011000.html
などからも推測できます。
 やはり子供の将来の健康が大切な人は政府や、政府寄りの学者が発表する安全基準など鵜呑みにせず、自己判断で守るしかないということでしょうね。
<ιιεε>(同上)
 ↓9年も前から「不正」「ずさんさ」を告白していた・・・・。
 「「福島原発は欠陥工事だらけ」 担当施工管理者が仰天告白 (週刊朝日2002年9月20日号配信)」
http://www.wa-dan.com/article/2011/03/post-84.php
 その技術者が「原子力の技術は全然確立していなかった」。
http://www.stop-hamaoka.com/kikuchi/kikuchi2.html
 <こ>の欠陥原発で、徐々に出てきた作業員の被爆報道
 一部作業員の被ばく量量れず
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110331/t10015024581000.html
 原発復旧の作業員20人、規定超す被曝線量
http://news.nifty.com/cs/headline/detail/yomiuri-20110401-00021/1.htm
 昨夜(3/31)のNHKニュースに、作業員の告白で「線量計」を持たないでの作業(現場に一つ)は、測定する場所=監督者の位置でと作業現場での位置が異なり、放射線レベルが当然異なってくるのでとても恐い・・・との映像があった。
 今までの協力会社(下請け孫請け)に対する東電の恣意的な情報遮断は、東電と協力会社の信頼関係は地に堕ちたとみるほうが自然だろうー残念ながら。
 下請け孫請け会社社員の死を賭しての作業が、欠陥原発で、更に無責任極まる東電の下での作業では士気が上がる筈も無い。
 命がけの作業を遂行するにあたり、信頼関係が無いままではたしてまともな仕事になるものなのか?
 親会社と下請け孫請けの関係は親子関係のように称されるが、ここでは子や孫に危険な仕事を押し付け、ここの親はそっと遠くから生温かい眼で見ているって行為を平気でやってるので(虐待に対しての自覚すらない)度し難い。
 今後、東電に対する現場作業員の本音報道が続出するだろーね。
<εΙΙε>(同上)
 動燃の広報ビデオ『プルトニウム物語 頼れる仲間プルト君 』
http://www.youtube.com/watch?v=bJlul0lTroY
 少年がプルトニウム溶液を飲んでも大丈夫!!  胃や腸に吸収されないから!!
http://pds.exblog.jp/pds/1/200612/13/75/b0090375_922435.jpg
<ΙεΙε>(同上)
>そのドイツのか、米国のかが使えればいいね。日本のが使えないのは何故なのかなあ?< (ΙεΙε)
 自己レスだけど、米国のも待機中だとよ。米国から来てくれてるんだから、東電は情報開示しろよ。
 「・・・米社のロボットは、100キロ以上の物体を運ぶ能力があり、高い放射線量が検出されている場所で、消防ホースを運ぶ役割などが期待される。ただ、ロボット操縦用に派遣された社員6人は待機している状況だ。
 防災モニタリングロボは、約1キロの遠隔地から自走して災害現場にたどり着き、作業できるが、東電は「現場に任せているので詳細は分からない」(広報)と歯切れが悪い。
 アイロボット社は「われわれも詳しい情報がない。スタッフは要請があればいつでもスタンバイしているが…」と戸惑い気味だ。・・・
 活用を妨げているのが、ロボットの運用の問題だ。原子力安全技術センターは「操作方法を東電に教え、使い方も東電の判断に委ねている」とするが、東電の受け入れ態勢もさることながら、東電任せで、慣れない事故現場での作業効率が十分かは疑問だ。・・・
 日本政府も遅まきながら、第1原発でのロボット活用を検討し始めたが、人的被害を最小限に抑えるには、もっと迅速な対応が求められた。」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110401/dst11040107120010-n1.htm
<太田>
 日本製の防災モニタリングロボは、放射線量の計測だけの単機能ロボットのようだけど、それすら、東電は使おうとしてないみたいね。
 なお、「旧日本原子力研究所(現・日本原子力研究開発機構)も、99年に茨城県東海村のJCOで起きた臨界事故の後、放射性物資で汚染された場所の状況を把握することなどができるロボット5台を開発した。だが、福島には派遣されていない。今はもう動かないからだ。予算がつかなくなり、維持管理ができなくなったためという。」
http://www.asahi.com/national/update/0401/TKY201103310637.html
だとさ。
 ついでにだけど、「原発事故支援へ、米軍部隊「シーバーフ」 化学・生物兵器のプロ・・・「化学・生物兵器事態対応部隊(CBIRF=シーバーフ)」・・・は平成7(1995)年の地下鉄サリン事件を受けて1996年4月に設置された米軍で唯一常設の化学・生物兵器事態への即応能力を持つ約500人の部隊だ。」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110401/dst11040108040013-n1.htm
だってさ。
<ιειε>(同上)
 「民主党の松崎哲久衆院議員(60)=埼玉10区=が昨年7月、航空自衛隊入間基地(埼玉県狭山市)の納涼祭で空自隊員を恫喝したとされる問題で、防衛省は24日までに調査結果をまとめた。
 松崎が秘書に車を逆走させたり隊員をうちわでたたいたなどの事実を認定。
 松崎も調査結果を大筋で認めているという。」
http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/2212229/
<ιιεε>(同上)
 「民主“おそろい防災服”800万円超で新調…」
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20110331/plt1103311217001-n1.htm
 ↑誰か止める奴はいないのだろーか・・・。
<εεΙΙ>(同上)
 どうやら大連立になりそうですな。
http://news.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/210331045.html
<太田>
 それにしても、自民党も悠長なことやってるねえ。↓
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011033101001324.html
<KY>
≫KYさんはどういった文脈で、「薄まる」、「減速」といった表現を使われているかわかりませんが、少し誤解を招き兼ねない文章だと感じたので、 補足させてください。
 (略)
 以上から、塩分は、核反応という見地からはあまりわるさをしないんではでしょうか?工学的に原子炉の動作に影響するかもしれませんが。≪(コラム#4656。MS)
 整理して頂き感謝致します。その通りかと思います。有難う御座いました。
≫「石山」案ですが、燃料棒が崩壊熱で発熱している限り、密閉すると圧力があがってしまうので、その圧力に長期間耐えられるだけの構造物を作る必 要があります。すでにそういう構造物がどこかにあって、一瞬でポンとかぶせられれば別ですが、上からセメントをかけるような方法だと途中で「石山」に穴があい て決して密閉できないと思います。(崩壊熱の発生よりも、伝導で熱が逃げる方が速ければ別ですが。。。)≪(同上)
 何か伝熱性の良いものでも混ぜる、とか考えましたが、どのみちコンクリが固まるまでに破綻するでしょうね。
 やはりこのまま続けるしかないのでしょうか。
<太田>
 それでは、その他の記事の紹介です。
 まずは大震災関係。
 件の原発の原子炉をつくったGEの責任に言及するコラムが出てた。↓
 ・・・experts have long criticized GE’s design, the Mark I, because it offered a relatively weak containment vessel. The containment vessel functions as the “last line of defense,” preventing radiation leaks in case of a cooling system failure in the nuclear reactor. Three GE scientists resigned 35 years ago in protest of the design of the Mark I containment system.・・・
http://www.latimes.com/news/opinion/commentary/la-oe-chander-ge-liability-20110401,0,2202968,print.story
 次にリビア革命関係です。
 戦局はブレガ攻防戦。米CIAと英特殊部隊が反体制派部隊に協力中。↓
 Libya’s revolutionary・・・forces were driven further into retreat after a failed attempt to retake the oil town of Brega.・・・
 ・・・the CIA is involved in training the new army・・・<and> that British special forces were on the ground, directing air strikes.・・・
http://www.guardian.co.uk/world/2011/mar/31/libya-rebels-brega-assault-fails
 空爆で5分の1から4分の1減ったけど、まだ体制派の火力は反体制派の10倍だとよ。↓
 ・・・the air strikes since the beginning of the operation had wiped out between 20% and 25% of Col Gaddafi’s forces.・・・
 ・・・bad weather had stopped them from identifying targets over the past three or four days.・・・
 Gaddafi army・・・enjoyed a 10-to-one advantage over the rebels in the number of tanks and armoured personnel carriers, and that the opposition ranks included only 1,000 military-trained fighters. ・・・
 Gaddafi army ‘not at breaking point’・・・
http://www.bbc.co.uk/news/world-us-canada-12924807
 リビア体制派の外相の英国亡命に引き続き、リビア体制派の有力フィクサーが英国訪問。体制派からの脱落が続いている。↓
 Mohammed Ismail, a senior aide to Gaddafi’s son Saif al-Islam, visited London in recent days・・・
 Ismail’s visit comes in the immediate aftermath of the defection to Britain of Moussa Koussa, Libya’s foreign minister and its former external intelligence head, who has been Britain’s main conduit to the Gaddafi regime since the early 1990s.・・・
 Ali Abdussalam Treki, a senior Libyan diplomat, declined to take up his appointment by Gaddafi as UN ambassador, condemning the “spilling of blood”. Officials were checking reports that Tarek Khalid Ibrahim, the deputy head of mission in London, is also defecting.・・・
http://www.guardian.co.uk/world/2011/mar/31/gaddaf-envoy-britain-secret-talks-exit-strategy
 体制派外相の青年時代の話等が紹介されている。
 アタマすごーく切れる人物みたいね。↓
 ・・・few people know Gaddafi’s mind as well as Koussa, whose association with the Libyan leader can be sourced to a 209-page master’s thesis written about the dictator in 1978 by a graduate at the University of Michigan.
The student, according to those who taught him, took great care with his work, interviewing Gaddafi twice, his family, childhood teachers, friends, and military colleagues, allowing him to paint a vivid picture of the influences that motivated the young revolutionary.
 The author was Koussa, then a 30-year-old sociology student, who would have had a career in academia had he not been persuaded by Gaddafi to abandon plans to study for a doctorate to become one of his closest confidants.
“If he had become a professor or a social planner, he would have done very well,” said Christopher K Vanderpool, speaking to the Los Angeles Times. “He was a very bright guy.”・・・
http://www.guardian.co.uk/world/2011/mar/31/moussa-koussa-defection-surprises-libya
 最後はインドの話。
 インドの人口が12億突破してた。でも、男女比どんどんいびつに。↓
 India census: population goes up to 1.21bn・・・
 China has 1.3bn people.・・・
 According to the 2011 census, 914 girls were born for every 1,000 boys under the age of six・・・The gender imbalance has widened every decade since independence in 1947.・・・
http://www.bbc.co.uk/news/world-south-asia-12916888
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太田述正コラム#4659(2011.4.1)
<再びガンディーについて(その2)>
→非公開