太田述正コラム#4741(2011.5.12)
<皆さんとディスカッション(続x1201)>
<太田>(ツイッターより)
 エドワード7世が愛したサラ・ベルナール
http://bit.ly/kOVRXL
とチャーチルの母親
http://bit.ly/kIn4Yf 
のどっちがより美人でどっちがキミの好みかね? 
 それとも、超売れっ子女優、大金持ちの娘といった付加価値抜きならどっちもタダの女か。
<ΕΕππ>(「たった一人の反乱」より)
 同時代人の中ならジョージ・ナサニエル・カーゾンの妻、メアリー(アメリカ人の富豪の娘)も美人でっせ。
http://en.wikipedia.org/wiki/Mary_Curzon,_Baroness_Curzon_of_Kedleston
 カーゾンの溺愛ぶりを見るに、付加価値(富豪の娘=政治資金源)抜きで良い女だったのかも?
<太田>(ツイッターより)
 (コラム#4566に関し)日本人のラブレターとしてボクの脳裏に浮かぶのは、秀吉から淀君(露骨!)、川田龍吉から悲恋の相手のジニー(?だけど切ない)、芥川龍之介から結婚前の文夫人(ほのぼの)、宛くらいなものだが、ほかご推奨は? 
 女性からのは?
<Noranero>
 武田信玄から高坂昌信への♡ミ。
<太田>
 最後に「女性からのは?」と問いかけてるんだから、男女間のラブレターに限ったつもりなんだけどねえ。
<ΕΕΠΠ>(「たった一人の反乱」より)
 <πΕπΕクン(コラム#4739)、>折角、挿話を引用してもらったけれど、架空の話で人になにか倫理的な責任を負わせようとするのは、キリストの磔の責任を全人類に負わせようとするみたいで、うさんくさくて好きではない。
 共同体を概念的といったのはちょっと端折り過ぎた。
 謝ります。抽象的という方が相応しい。
 言いたかったことは、共同体の価値が、たとえば「富国強兵」だとかいうように、しばしば単に概念として存在すること。
 人間主義(和辻やマクマレーの説は知りません。太田さんのおっしゃるところの人間主義です)は、人の顔色をみて他人の幸福と自分の幸福が最大に折り合いがつくように行動を決めるようなそういう主義ではないかと理解していて、そこには「共同体」は必要ない。
 仏教でいう自利利他円満の思想と同じものを考えてる。
 人間主義の訳語については、ヒューマニズムというと価値観を共有する人々の間での慈善みたいな感じが個人的にして、それで「human」を使うよりも、個人主義と同じ「individu」を使った方が人間主義の訳にはよいように思ったんだが。
<太田>
 そうだねえ。どっちがいいかなあ。
<πΕπΕ>(「たった一人の反乱」より)
>架空の話で人になにか倫理的な責任を負わせようとするのは、キリストの磔の責任を全人類に負わせようとするみたいで、うさんくさくて好きではない。言いたかったことは、共同体の価値が、たとえば「富国強兵」だとかいうように、しばしば単に概念として存在すること。<(ΕΕΠΠ)
 「同じ共同体に所属している場合であっても、個人個人の価値観は相互に異なっているのがむしろ通常である」<(コラム#4739.太田)>という人間主義社会において、・・何が共同体内の公理であるかを探るような・・サンデルの思考実験的な話が陳腐にみえるのは、わかる気がします。
 だけど、非人間主義的社会においては、できるだけ多くの人が大乗できるような価値観を追求する事は重要であると思うし、また非人間主義的な社会と関わるにあたって、彼らを慮り自利利他円満的に行動するにも、何か価値観が必要じゃないかな。
 だから、自分には思考実験的であれサンデルがやってるような正義や悪について考えるような試みが、陳腐であるとは必ずしも思えないんだな。
 人間主義の話から脱線してるかもしれんが。
 その他の点については、自分は「人間主義者は利他的ではあっても必ずしも利他主義者じゃない」<(コラム#4739.太田)>、という視点が抜けていたので、利他的という事に着目しすぎて、大事な事を見落としていました。
<πΕΕπ>(「たった一人の反乱」より)
 日本はどこに行っても伝統的に村社会なんだから、共同体を抜きにした人間主義というのは実在しない架空の概念なんじゃなかろうか。
<太田>
  村上泰亮、公文俊平、佐藤誠三郎3氏の共著においては、日本には「ムラ」原理以外に「イエ」原理もあるとされとるよ。(コラム#2339)
 ボク自身は、日本における人的ネットワークのかたちはもっと多種多様だと思ってるんだな。
<ππεε>(「たった一人の反乱」より)
 「役所にいた頃の私の言動や、最近マスコミに登場してからの私の言動に、一貫した論理的整合性があるとは必ずしも言えない部分があることだ。」(コラム#2469)
 太田コラムで整合性がとれていない言動ってある?オレは見つけられんぞ。
<太田>
 あると思うんだけどねえ。
 誰か見っけてくれー。
<πεπε>(「たった一人の反乱」より)
 逃げ遅れた福島県民は「病に苦しんだ挙句に死に損」となるおそれ。
 「広島出身の被爆医師肥田舜太郎氏
 「放射線によって病気になったと証明する学問はまだ無いんです。これが泣き所です。
 だから、あーいう目に遭わせて殺した側は完全犯罪なんです。
 30年後に癌で死んで、私はあの時にあの被ばくをしたから病気になったんだとなんぼ言っても証拠をあげられないんです。」」
http://twitter.com/#!/asa7777777/status/68323107764580352
 ガンや奇形、法的にだれも責任を取ることができない状況ってわけ。
 言い換えると、すべて自己責任。
<宮里>
≫瀧井一博『伊藤博文ー知の政治家』<で>瀧井氏・・・の説く伊藤博文の文明観には少なからざる違和感を持<ったということですが、>とりあえず、違和感について、もう少しお聞かせいただけませんか?≪(コラム#4739.太田)
 一言ではとても言い尽くせないので、オフ会当日に同書をお持ちしてお話をしようかと思っておりました。
 しかし、あえて申し上げれば、瀧井氏は伊藤博文に対する従来のイメージ(「理念を掲げた政治よリも現実政治の運営を優先し、それに長けた政治家」というイメージ)を払拭するため、少し勇み足をしているところがあると感じた次第です。
 「文明」というキーワードから伊藤を語っている部分に、それが顕著に見られるということです(ちなみに瀧井著のなかで伊藤が語る「文明」とは、あくまでも西洋近代文明のことです)。
 瀧井氏は、伊藤は(欧州)大陸流政治思想よりもイギリス流の政治思想に親和的で、日本の立憲政治もイギリス流に即した発展を望んでいた、伊藤は現実を弁えた「漸進主義者」と述べております。
 が、同書を通読すると、何だか伊藤は政治理念先行の政治家に見えてきます。しまいには伊藤を福沢と並ぶ日本近代の偉大な政治思想家と言わんばかりの物言いには、ちょっ
とついていけません。
 私は伊藤博文は「偉大な政治家(ステーツマン)」ではあっても、思想家とは思いません。
 といっても別に伊藤を貶めようと言うわけではなく、理念的なことに傾き実際が疎かになった、たとえば「革命」の大義の名の下に悲惨に帰結した「理念」とは、伊藤は縁なき政治家だったと考えているからです。
 イギリス流政治に親和的であった筈の伊藤の、その評伝の冒頭に、瀧井氏はルソーの「社会契約論」を引き、伊藤は「立法者」として優れていた所以にしようとする点などから疑問が残りました。
 とはいえ、瀧井著『伊藤博文―知の政治家』は、教えられるところも多く、周到な研究成果が盛り込まれた良書であるとも思います。
 後は当日にお話いたします。
<太田>
 当日、15分間くらい時間をとってお話をいただければと思います。
 なお、私のとりあえずの考えは、伊藤と東條は、戦前の日本の対外政策における起点と終点を担ったところの最も偉大な2人の政治家だった、ということです。
 二人とも、私の言う人間主義的対外政策を精力的かつ効果的に遂行したわけです。
 そして、当然のごとく大いに「誤解」された彼らは、いずれも外国人に殺害されました。
 「諸君の勝利は力による勝利であって、正理公道による勝利ではない。私は今ここに、諸君に向かって事実を列挙していく時間はない。しかし諸君がもし、虚心坦懐で公平な眼差しをもって最近の歴史的推移を観察するなら、その思い半ばに過ぎるものがあるのではないだろうか。我れ等はただ微力であったために正理公道を蹂躙されたのであると痛嘆するだけである。」(東條の遺書より)(コラム#1251)
 それでは、記事の紹介です。
 久しぶりに大震災関係から。
 原発損害補償スキームにとんだところから、批判の声があがった。↓
 「・・・現在、日本で原子力による損害を補償する枠組み創設のための立法措置が議論されている。その骨子は原発を運営する企業に対して、被害者への賠償に上限を設けないものだと理解している。
 東電や他の電力事業会社に無限の責任を負わせることは政治的には良いことかもしれない。しかし、(原子力)政策としては誤りと言わざるを得ない。電力会社の信用格付けを日本だけでなく、世界でも著しく損なう。いかなる投資家も上限のない責任制度に伴うリスクには耐えられない。
 東電の信用は崩れ落ちる。それだけでなく、日本の原子力産業全体の信用も消し飛んでしまう。世界の原子力関連市場において、日本は中核技術・部品供給において、世界的に鍵となる供給源となっている。その主導的な立場も失うだろう。・・・」
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819481E3E3E2E3E28DE3E3E2E7E0E2E3E39797E0E2E2E2
 それにしても、東電ってスゲー会社だったのね。↓
 「尾瀬国立公園(総面積約3万7200ヘクタール)の約4割の土地を所有する東京電力が、福島第一原子力発電所事故による補償金捻出のため、尾瀬の土地を売却する可能性が浮上していることについて、群馬県の大沢正明知事は11日の定例記者会見で、「売却については絶対に阻止したい」との考えを示した。・・・」
http://www.yomiuri.co.jp/eco/news/20110512-OYT1T00103.htm?from=top
 またもや、中共から日本人絶賛の声。↓
http://news.livedoor.com/article/detail/5550505/
 次は、ビンラディン死亡関係です。
 パキスタン人の言だが、言い得て妙だーね。↓
 ・・・If we didn’t know, we are a failed state; if we did know, we are a rogue state. ・・・
http://www.washingtonpost.com/opinions/did-pakistan-know-bin-laden-was-hiding-in-plain-sight/2011/05/10/AFNxZ3jG_print.html
 とりあえずは、オバマの再選は確実な情勢に。↓
 Barack Obama’s approval rating has hit its highest point in two years – 60% – with more than half of Americans saying he deserves to be re-elected・・・
http://www.guardian.co.uk/world/2011/may/11/barack-obama-approval-ratings-high
 「プロ」の海難審判関係者が「アマチュア」の横浜地裁裁判官より無能だったということ。
 海保が海自に敵意に近いライバル心を持っていること、より一般的には旧運輸省(航空局・海保)が自衛隊に敵意に近いライバル心を持っていることから、海難審判にあたって偏見が入ってしまうのがその原因では?
 更に根本的には、「軍」の公式事故調査を「民」の省庁が所管していること、また、刑事司法判断を「民」の裁判所が所管していることが問題。(コラム#2393、2398、2400参照。)↓
 
 「・・・清徳丸はあたごの右側から接近。衝突約3分前まで、直進すればあたごの後方を500メートル以上離れて通過する針路を取っていた。ところが、そのころから清徳丸は何らかの理由で2度にわたって右旋回。あたごと衝突の危険が生まれた。
 あたごは後進し、汽笛を鳴らし信号探照灯で清徳丸を照らしたが、清徳丸は回避動作をとらず、あたごもすぐに停船できぬまま衝突――。判決は、その認定に沿って、原因は清徳丸側にあり、あたご側には海上衝突予防法に基づく回避義務が生じていないから、操船責任者だった2自衛官の法律上の過失はなかった、と結論づけた。・・・」
http://www.asahi.com/national/update/0512/TKY201105110564.html
 「・・・ 海難審判では「あたごに回避義務があった」と認定したのに対し、判決は「清徳丸に回避義務があった」と正反対の結論になった。・・・
 原因究明と再発防止に主眼がある海難審判と異なり、刑事裁判では個人の刑事責任が問われる。一般的に立証のハードルは高いといわれる。・・・」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2011051202000042.html
 「・・・起訴された2人は衝突の約12分前に当直責任者の任務を交代していた。判決は2人について、「周囲の状況を十分注視していなかった」などと責任者としての行動に問題があったことも指摘した。
 個人の罪は認められなかったが、事故を起こした海自は責任を免れるものではない。・・・」
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20110511-OYT1T01114.htm
 「在沖海兵隊の廃止」まで、後一声(二声?)なんだけどな。↓
 「・・・レビン議員(民主党)は上院軍事委員会の共和党側筆頭メンバーのジョン・マケイン、民主党のジム・ウェブ両議員との連名で「東アジア軍事基地計画の再検討」と題する提案を発表し・・・国防総省に対し沖縄の普天間基地海兵飛行隊の米空軍嘉手納基地への移転を検討することを求めた。」
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110512/amr11051209210001-n1.htm
 アイリス・チャンのあのトンデモ本に忠実な映画が米国で封切られて好意的な書評が出てた。
 南京事件=大量捕虜殺害+若干の掠奪・強姦等、というフォーミュラを何とか常識として国内外において定着させたいもんだ。↓
 ・・・Some 70 years after it made world news, the story of Nanjing has begun to re-emerge in fiction and nonfiction books and films, including Iris Chang’s 1997 “Rape of Nanking: The Forgotten Holocaust of World War II,” the first full-length history in English. Written and directed by Lu Chuan, “City of Life and Death” hews close to the account that Ms. Chang (an American whose grandparents fled Nanjing before the siege) culled from survivors and other sources.・・・
http://movies.nytimes.com/2011/05/11/movies/city-of-life-and-death-from-lu-chuan-review.html
 パリの赤線が戦後廃止されたのは、ナチス占領下で売春婦達がドイツ兵相手に稼ぎすぎたからだってんだな。↓
 ・・・ How could the post-World War II <Paris> brothel closures have so completely destroyed this culture? ・・・
 Prostitutes were the scapegoats of the occupation, he explained. No sooner had the Germans taken over Paris in 1940 than working girls were obliged to take them on as clients. The luxury brothels were converted into brothels for Nazi officers, and they did a roaring trade, to the disgust of French men already emasculated by the nation’s abject military collapse. It’s still a sore point in France: When historian Patrick Buisson revealed in his 2009 book 1940-45, Erotic Years that some Parisian prostitutes even preferred the German conquerors for their personal cleanliness, good looks, and hard currency, it caused a scandal. In contrast to the image of heroic resistance, many single French women—and married women whose husbands had been killed, wounded, or were POWs—were also obliged to sleep with the enemy for cash or black-market goods. But it was the prostitutes who drew the most vicious French rage after the liberation in 1944: Their hair was clipped, and they were sometimes forced to parade naked through the streets. ・・・
 Naturally, the move didn’t end the sex trade; it merely degraded conditions for the 1,500 brothel workers who ended up on the streets. ・・・
http://www.slate.com/id/2289282/entry/0/
————————————————————————————————————————————————-
太田述正コラム#4742(2011.5.12)
<戦間期の日英経済関係史(続)(その1)>
→非公開