太田述正コラム#4825(2011.6.23)
<皆さんとディスカッション(続x1242)>
<太田>(ツイッターより)
 森内が羽生から名人位を奪還。
http://t.co/rIOsKzP
 彼が、振り駒で先手になり、決定的な場面で初日の封じ手番になったことが、森内にとっては幸運だった。
 それにしても凄まじい戦いだった。
 ストラディバリが12億円で競り落とされたことが話題になっているが、ピアノはこれからは電子ピアノの時代なのだろう。
 本物のピアノより場所をとらず軽い、消音で弾ける、調律の必要がない、様々な音が出せる(MIDI音源を接続すれば、更に音の種類が飛躍的に増える)、等のメリットがあるからだ。
<tshimohata>(同上)
 「ポータサウンド(YAMAHA)」でもいいですか?
<太田>(同上)
 ダーメダメ!
 仙台に赴任している時に、ピアノがないので買ったんだけど、あれはパソコンのキーボードと同じ。
 ピアノの鍵盤のような感触がないこととも関連して、音の強弱が出せないのが致命的だ。更に言うと、ペダルもないしね。
<tshimohata>(同上)
 おもちゃですね…。
<ΨΨεε>(「たった一人の反乱」より)
≫つまりだな、私に言わせれば、日本人の人間主義は、日本人の女性の(日本人の)男性好みの女性になってあげたいという思いやりの成就という形でも発現している、ということなのさ。≪(コラム#4813。太田)
 下の記事に対する太田さんの見解や如何に?
 女性 「男性に質問。女性のネイルアートをどう思いますか?」
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1635233.html
<太田>
 若い落ちこぼれ女性の「自己実現」方法の一つで、若いおちこぼれ男性が暴走族になるようなもんだって印象だけど、間違ってたらゴメンなさい。
 女性の意見を聞きたいねえ。
<ΨεΨε>(「たった一人の反乱」より)
 産経はもう滅茶苦茶です
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20110622/plt1106221634006-n1.htm
<太田>
 そおお?
 そんなひどい記事には思えないがね。
<ΨεεΨ>(「たった一人の反乱」より)
 日本人の人間主義は隣の国には通用しないのでは?
 スイーツ世界大会、韓国チームによる日本チームへの妨害に非難殺到
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0622&f=entertainment_0622_004.shtml
 スイーツ世界大会などどうでもいい気もするが、なんだかなぁ、嫌になってしまう。
恥や正々堂々という概念はないのか?
 韓国通の間ではこんなことは常識ではないかと笑われそうだが、この国に対しては警戒感も必要な気がする。マジで。
<εΨεΨ>(同上)
http://www.youtube.com/watch?v=ipLv2YVm7aM&feature#t=5m53s
 これだろ。
 でも本当にこの吹き替えのようなセリフを喋ってるのかなあ?
 こんなの編集でいくらでもでっち上げ出来そうなだけに…。
<太田>
 小せえ小せえ。
 韓国だけじゃなく、その他の諸国のチームと競って世界一になったんでしょ。
 終わり良ければすべて良し。
 それよか、あの日本チームのつくったケーキ食いたいねえ。
<εεΨΨ>(同上)
 太田さんは世界中で起きてる最近のサイバーテロをどう思ってる?
http://www.gizmodo.jp/2011/06/lulzsec.html
 世界中でエスカレートするハッキング
http://www.j-cast.com/2011/06/19098851.html
<太田>
 前にも言ったけど、マジ、防衛省にきちんと担当させ、対処させるべきだな。
<べじたん>
 –吉田茂と外務省–
≫(コラム#4596に関し)大学中退外交官が「発生」したのは、戦後、新制大学になってからなのかどうか、知ってる人は教えてね。ついでに、一般の公務員と違ってなんで卒業しない者を外務省は採用することにしたのかも教えてほしいな。≪(コラム#4767。太田)
 1952年から外務省が外交官試験をしたこと、岡崎さんが東大中退で外務省入省したこと、岡崎さん以前にそういうケースがなければ「発生」は1952年からですね。
 おそらく1952年に、外交官試験合格の有効期限を1年としたんじゃないでしょうか。理由は不明ですが。
 「岡崎久彦
 1952年 東京大学法学部在学中に外交官試験合格、外務省入省」
http://www.okazaki-inst.jp/okazaki-bio.jap.html
 ところで、大学中退外交官の発生は副産物で、吉田茂と外務官僚の間で取引成立したことが重要っぽいですね↓。
 「Ⅰ.外交官試験の考察」
http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex/10-1/takemoto.pdf
をざっくり要約。
 吉田茂:外務省を吉田ドクトリン化するため、1952年4月、外務公務員法を施行した。 外務公務員法は、外務官僚に対する外務大臣の監督権限を強め、人事院の外務省に対する法的統制力を弱める性格を持っていた。
 外務公務員法案審議時の外務大臣は、総理大臣を兼任していた吉田茂であった。
 同法案審議で質問に立った議員には、「全体から受ける感じというものは、国家公務員という公の職務につくものの規定ではなくて、吉田家にでっち奉公する外務省の役人の身分を扱った感じが非常に強い」と批判するものもいた(昭和27年3月14日衆議院外務・人事委員会連合審査会並木芳雄による質問)。
 外務省:1952年から2000年までの48年間、人事院に変わり外務省が外交官試験の試験機関に指定された。1953年度から1962年度までの10年間の外交官試験はブラックボックス化された模様(人事院「年次報告書」から外交官試験に関する記載が無くなった10年間)。
 また、この10年間の血縁者採用率を見ると、その平均は15.2%と戦後の外交官試験を通じて最も高い時期である。
≫東大、とりわけ東大法学部教育の問題点が、論文を書かなくても卒業できる点にあることは以前指摘したところですが、外務省に入ってからの研修の問題点を明らかにするのは、今後の課題にしたいと思います。≪(コラム#4596。太田)
 どろどろしてて、面白かったです↓。
 「Ⅱ.研修講義の考察
1.外務省研修所設立の経緯
・・・1951年度(昭和26年度)にキャリア採用で外務省に入省した大木浩(後に参議院議員)の回顧記述によれば,昼間の研修は文京区にあった研修所建物内で行われたが,朝夕は当時目黒にあった外務大臣公邸の別棟で約半年間合宿を命ぜられ,吉田茂が早朝に突然部屋の見回りに来たことがあったという。
 大木の記述によれば,この合宿生活を発案したのは吉田自身であったという(36)。
 研修講義においても,大磯の吉田邸に新入キャリア省員が直接訪問し,吉田から外交講話を受けることがあり(1961年度と1962年度),この事例からも吉田の外務省研修所への政治的影響力を確認できる(37)。
 これらの状況を勘案すると,幣原と吉田が外務省研修所に大きな期待を寄せていたことは間違いなく,両氏にとって外務省研修所の開設には,行政整理で削減された「外務省の力」を温存させる政治的意図があったと結論づけられる(38)。
 「外務省の力」とは,換言すれば幣原・吉田の外交観を反映した力である。
 別の観点から言えば,外務省研修所は幣原・吉田の政治力,彼らの外交哲学が強く反映された研修施設だと言えよう。
 外務事務次官,駐米大使を務めた牛場信彦は,自身が戦中「枢軸派」であったため,先述した吉田茂による「Y項パージ」にあったことを回顧記述している(39)。
 この牛場の事例に象徴されるよう,吉田は戦後直後の外務省内に自らの外交哲学,対米基軸路線を浸透させようとその政治的影響力を発揮させたのであり,外務省研修所の研修内容も幣原・吉田の外交観から大きな影響があったことは十分に推測される。
 次項ではこの点の具体的考察を行い,更に論を進めることとしたい。・・・
2.研修講義の概要
・・・<研修講義回数の>集計表から「総論」の講義比率を確認すると,「外交政策」(約53%)と「先輩による講話」(約28%)の割合が高いことが判る。
 「先輩による講話」の比率が高いことの意味は,外務省が先輩省員から新入省員への「志の継承」,「外交路線の継続」を重視している現れと読むことが出来る。・・・
 ・・・戦後を通じて「先輩による講話」は安定した増加傾向にあり,80年代にそのピークを迎える。・・・
・・・「図表18」は,各講義担当回数上位3位までの講師を対象に,外務省内に血縁者キャリア省員がいる比率,その該当人数を整理したものである(45)。
 「図表18」を参照すると,「総論」の「先輩による講話」と「各論(地域別)」の「北米関係」に先の属性を持つ人物が集中していると判る(46)。
 両講義担当3位以下の講師についても,先の属性を持つものが多い(47)。
 比率だけを見ると「アジア大洋州関係」・「情報分析関連」も高いが,その該当人数は少ない(48)。
 更に「先輩による講話」と「北米関係」担当講師間には,他項目では見られない講師の重複や人的関係を確認できる。
 松永信雄,朝海浩一郎の両氏は両講義を担当,共にその講義担当回数は上位3位内であり,「先輩による講話」最多担当者の法眼晋作氏は,「北米関係」担当回数3位加藤良三氏の義父である。
 このような両講義間の関係性を踏まえると,同じ日米基軸派とされる「欧州関係」(49)よりも「北米関係」は外務省内により強い政治的影響力を保持していることを推測させる。・・・
(46) 両講義の上位3名の血縁者関係は以下の通りである。重複した場合は氏名のみを記載する。「先輩による講話」1.法眼晋作―法眼俊作(実子),法眼健作(実子),加藤良三(娘婿)2.須之部量三―小島誠二(娘婿)3.松永信雄―松永直吉(父)「北米関係」松永信雄・朝海浩一郎・堂之脇光郎―島重信(義父)・福田博―福田榮一(父)・加藤良三―法眼晋作(義父)・川島裕―芳沢謙吉(祖父)
(47) 「巻末資料3」に記載された3位以下の講師で,該当者は以下の通りである。「先輩による講話」(外務省研修所長・副所長を除く)佐藤正二―佐藤敏人(兄)・東郷文彦―東郷和彦(実子)・有田圭輔―有田八郎(父)・朝海浩一郎―朝海和夫(実子),出淵勝次(義父)・栗山尚一―栗山茂(父)・下田武三―下田吉人(弟)・柳谷謙介―柳井恒夫(義父)・浅尾新一郎―三谷隆信(義父),井口武夫(義兄)・牛場信彦―西田芳弘(娘婿),遠藤又男(義弟)・本野盛幸―本野盛一(父),本野一郎(祖父),本野盛享(曾祖父)・斎藤邦彦―小川平四郎(叔父),宮沢泰(従弟),岩波徹(義弟)
(48) 「巻末資料3」参照。各項目の該当者は以下の通りである。「アジア大洋州関係」谷野作太郎―八木正男(義父)・吉田健三―北島信一(娘婿)「情報分析関係」孫崎享―孫崎馨(実子)
(49) 「欧州関係」の該当者は以下の通りである。東郷和彦―東郷文彦(父),東郷茂徳(祖父)・野村一成―野村垣成(実子)」
http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex/10-1/takemoto.pdf
 そんな旧外交官試験を野中広務(+小渕恵三+橋本龍太郎)がつぶしたわけですが、当時、抵抗勢力として外務省出身の大物議員がいなかったんですかねえ?(いなかったからできたんでしょうけど)。
 「(33) 海野謙二編『野中広務――素顔と軌跡――』思文閣出版,2002年,249頁。同箇所において野中は「それと,ある程度自分で強引に言うてよかったなと思っているのは,外交官試験というのを止めさせた。」との発言がある。筆者はこの件について野中に直接質問したところ,野中は自らが中心となって政治主導で進めたことを筆者に明言した。(2010年5月31日に行われた立命館大学での講演時に質問)」
http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex/10-3/takemoto.pdf
 「・・・野中氏は小渕恵三、橋本龍太郎の二人の元首相とともに外務省改革に取り組んだ。
 外交という国家にとり死活的重要性を有する活動を担うにふさわしい人材をいかに幅広く採用できるか。それが課題だった。
 外務省や外交官の立法能力不足、協定改定に必要な他省庁との調整能力の不足が「地位協定改定を阻んでいる」との国際法研究者らの指摘にも応えるものだ。
 野中氏らの改革は外交官採用試験の廃止という形で実を結ぶ。
 外務省は二〇〇一年度から、独自に実施してきた外務公務員採用I種試験(外交官試験)を廃止し、他省庁と共通の国家公務員採用I種試験の合格者から外交官の採用を始めた。・・・」
http://www.asyura2.com/0311/bd32/msg/716.html
<太田>
 いやー、詳しく調べていただき、ありがとうございます。
 私益のために国を売った国賊の幣原・吉田が、いかにもやりそうなことですねえ。
 また、岡崎久彦さんは、彼ら、つまりは吉田ドクトリンの申し子みたいな外務官僚だったってわけだ。
 ところで、戦前は、高等文官試験(国家公務員試験の前身)合格者が外交官になっていた、つまりは現在と基本的に同じだった、という理解でいいんですかね。
 なお、「ハト」派の牙城の経世会(旧田中派)が、官僚機構中の「ハト」派の牙城の外務省のネポティズム再生産制度である外交官試験を廃止させた、というのは面白い。
 私のヨミでは、これは、外交理念なんぞとは何の関係もないのであって、単に、当時の外務省不祥事の多発に藉口して、同省OBのODA利権に対する(野中、小渕、橋本らが属した)経世会の取り分を増やすためだったのではないか、というものですが、このヨミの妥当性についても、気づかれた点があれば、教えていただきたいですね。
 それでは、その他の記事の紹介です。
 都市暮らしは田舎暮らしに比べて精神疾患になり易いんだって。↓
 ・・・The brains of people living in cities operate differently from those in rural areas, according to a brain-scanning study. Scientists found that two regions, ・・・amygdala(扁桃体) does <which is> the danger-sensor of the brain and is therefore linked to anxiety and depressioninvolved in the regulation of emotion and anxiety・・・<and> cingulate cortex(帯状回皮質) <which> is important for controlling emotion and dealing with environmental adversity・・・, become overactive in city-dwellers when they are stressed and argue that the differences could account for the increased rates of mental health problems seen in urban areas.
 Previous research has shown that people living in cities have a 21% increased risk of anxiety disorders and a 39% increased risk of mood disorders. In addition, the incidence of schizophrenia is twice as high in those born and brought up in cities.・・・
http://www.guardian.co.uk/science/2011/jun/22/city-living-afffects-brain
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太田述正コラム#4826(2011.6.23)
<先の大戦における蛮行(その1)>
→非公開