太田述正コラム#5101(2011.11.8)
<皆さんとディスカッション(続x1373)>
<太田>(ツイッターより)
 ギリシャ債務危機に関する毎日新聞電子版の一連の報道
http://mainichi.jp/select/world/news/20111107k0000e030009000c.html
http://mainichi.jp/select/opinion/eye/news/20111104k0000m070102000c.html
http://mainichi.jp/select/world/news/20111105k0000e030034000c.html
http://mainichi.jp/select/world/news/20111107k0000e030053000c.html
なかなか面白いね。
 もう少し「学術的」だったら言うことがないが。
 太田戦前史観、といっても、戦前の日本人のコンセンサス的史観にほかならない、的なものへの典拠付の反論を、誰か紹介するか、自身で試みて欲しいな。
<ζζΥΥ>(「たった一人の反乱」より)
≫感情的には頭の悪い大衆には興味がないかと・・・≪(コラム#5099。ζΥζΥ)
 「大衆には興味がない」んなら、社会人類学者の真似ごとなんかしないだろ。
 毎日「ディスカッション」なんかしないだろ。
<ζΥΥζ>(同上)
 だから、太田さんは理性的には吉田ドクトリン・日本独立を広めたいからでしょ。
 そうであれば、漫画でやったりクラシックよりショービジネス取り上げたりするんだけど、太田さんのハイブローの心情がどうしてもそうはさせない。
 小林よしのりの方が大衆に訴えることを戦略的に考えてる。AKBにしろ他の芸能人にしろ。
 クラシック音楽を取り上げてるのは、明らかに読者を限定してるよ。
<太田>
 太田コラムはボクの日記を兼ねてるからねえ。
 でなきゃ、こんなに毎日続けられないさ。
 なお、正しくは、正調クラシック音楽では必ずしもないところの、昭和歌謡曲的(つまり、メロディックな)クラシックとクラシック的昭和歌謡曲とを取り上げている、だよ。
 ついでに言うと、コラムの中でこういう曲を紹介しているのは、ボクがどんな人間であるかを分かってもらうためでもあるし、何よりも、ボクがそんな人間であることを思い出させてくれたのがある読者だったことから、これは、この読者へのオマージュでもあるのさ。
 そういった意味では、太田コラムは、事実上ボクの私小説でもあるんだな。
 ただ、ボクのコラムを読んでるだけじゃ、嗅覚の鋭い人ほど、この私小説の点が線としてつながらず、もどかしい思いをしてるかもしれないね。
 だから、線としてつながった少なくとも3本くらいの私小説に書きわけて、(ちょっと大げさだけど、)有料読者くらいにはそれらを読んでもらいたいって気持ちがしばらく前からあるんだけどね。
<υυζζ>(「たった一人の反乱」より)
 オリンパス・・・
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120111108041438.pdf
 オリンパス買収仲介者は80年代から関係、「損失先送り」に関与=関係筋
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-24022620111107
 80年代からの粉飾が原因って、でかい話になってきたなぁ。
 前から言われてるけどオリンパスだけで終わらないじゃん。
 日本の監査システム自体の話になっちゃうじゃん。
<太田>
 おっしゃるとおり。↓
 「同社の決算と経営を監査してきた監査法人がどのようなチェックをしてきたのかも問われることになる。・・・
 20年も損失計上の先送りが行われていたとすれば極めて悪質。有価証券報告書への虚偽記載の疑いが濃厚で、上場廃止の可能性は高い。他社に買収される可能性も出てくるのではないか・・・
 海外から見れば、オリンパス独自の問題ではなく、日本企業のガバナンス(企業統治)自体を問うことになる・・・」
http://mainichi.jp/select/biz/news/20111108k0000e020088000c.html
 下掲の頁を開き、世界4大監査法人が直営していない国のリスト・・当該国のmember firmと提携している国のリスト・・を見てごらん。
http://en.wikipedia.org/wiki/Big_Four_(audit_firms)
 おおむね、資本主義が機能しているかどうか疑わしいうさんくさい国ばかりだろ。
 そんな国の一つが、我が日本なのさ。
 ちゅうか、欧米諸国は、そういう目で日本を見ているに違いないってことさ。
 だけど、実は、問題の根源は「日本の監査システム自体の話」よりも更に深いところにあるんじゃないかとボク自身は思っている。
 そもそも監査法人という制度は、地理的に遠く離れているが、密接な関係のある英米間で生誕し発達してきたものだ。
 株主が直接大西洋の向かい側にある会社を監視(monitor)できないため、向かい側にいる監査人に報酬を払い、代わりに監視をしてもらったってわけ。(典拠を思い出せない。)
 こういう歴史の偶然から生まれた制度がアングロサクソン発の他のもろもろのものと一緒くたに全球的制度になっちゃったもんだから、おかしなところが一杯出てきている。
 根本的な問題は、監査法人が監査対象の会社から監査報酬をもらうために、株主の方ではなく会社の経営者の方を向いて監査しがちであるという点だ。(注)
(注)この点は、誰でも素朴に疑問を抱いているのではなかろうか。
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/1941974.html 
 これは、株式会社における所有と経営の分離が進めば進むほど深刻化することになる。
 もう一つの問題は、監査法人は会計に関する知識と経験が豊富だもんだから、会社の財務を中心とするコンサルティングにも長けているので、通常コンサルティング業務もやるんだけど、同じ会社について、(公正かつ独立の立場から行われるべき)監査と(サービスの提供である)コンサルティングの両方をやるのはさすがに利益のコンフリクトがミエミエだから避けるものの、監査している会社と色んな意味で関係の深い別会社のコンサルティングをやることはしばしばあることであり、この場合でも監査している会社との関係で利益のコンフリクトが生じうることだ。(注)
(注)全球的監査法人であったアーサー・アンダーセンが、エンロン不祥事がらみで問題とされた時、同監査法人がエンロンの監査とコンサルティングを両方やっていたのが、利益相反行為とみなされ、米国でこれが法律で禁止されるに至った。
http://eng.alc.co.jp/newsbiz/hinata/2006/04/_conflicts_of_i.html
 ボクが言いたいのはこういうことだ。
 一案だけど、全監査法人は解散させた上で、少なくとも各国ごとに単一の非営利監査法人を設立し、この非営利法人の(会計士を含む)職員は準公務員とし、その運営経費は、全上場申請株式会社及び全上場株式会社並びに監査を受けることを希望する法人が、一定の基準に基づいてこの非営利法人に上納金を納付することによって賄い、この非営利法人は、個々の対象法人の株式市場上場業務や監査を、この非営利法人が選んだ会計士に担当させて行う、という制度に切り代えたらどうか、と思うんだな。
 もちろん、この非営利法人の職員は、(この非営利法人に勤務している間は、)コンサルティング業務や税理士業務を含む、兼業兼職は一切できないことにするのさ。
 実は、日本、ひいては世界の司法制度にも根本的問題点があると思ってるんだけど、それはまた別の機会に。
 それでは、その他の記事の紹介です。1件のみ。
 あんな偶然に近い経緯で選ばれたダライ・ラマが、どうしてこんなにスゴイんだろ?↓
 「ダライ・ラマ14世「原発は必要」・・・」
http://news.livedoor.com/article/detail/6002938/
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太田述正コラム#5102(2011.11.8)
<映画評論28:ザ・パシフィック(その6)>
→非公開