太田述正コラム#2319(2008.1.24)
<新裁判雑記(その2)>(2012.1.15公開)
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 2012.1.15公開。2012.1.21の「講演」の関連で、このタイミングで公開することにしました。(太田)
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 (2)根本的な反論
 原告が提起した第一回目の裁判の控訴審判決は第一審判決を基本的にそのまま蹈襲したものであり、一括りにして「第一回裁判の判決」ないし単に「判決」と表現することにしたいが、この第一回裁判の判決には私は全く承伏していない。
 にもかかわらず、私が上告しなかったのは、上告が無意味だと判断し、時間と経費を節減することとしたからに過ぎない。
 判決の最大の問題点は、それが恐らくインターネットの世界を実地にご存じではない裁判官達によって書かれた判決である点にある。
 私の時事コラムは、ニュースと論説からなるコラムである点においては、TV、ラジオ、新聞、週刊誌等のメディアと大きな違いがあるわけではない。
 相違点は、第一に私のコラムは、少なくとも口頭弁論終結時、ないし判決確定時までは無償のメディアであったことだ。
 このこととも関連し、相違点の第二として、内容の誤りが有償メディアに比べてより多く発生しがちであること、しかも必ずしも迅速に誤りの訂正ができないこと、に加えて、論説を転載ないし要約転載する場合、名誉毀損訴訟を回避し、あるいはこの訴訟に対処できるようにするため、この論説の主張を裏付ける事実を独自に取材したり、論説の主張と対立する主張に言及し、或いは論説の主張と対立する主張を行っている論説を転載ないし要約転載する労を執る余裕などまずないことが挙げられる。
 以上の2点は、インターネット上の時事メディアの多くにあてはまるであろう。
 このようなメディアにおいては、誤りの指摘をコラムの読者の側が、非公開であるところのメール・FAX・電話・手紙により、または誤りを指摘した文章のコラムへの掲載要求により、もしくは(当該メディアの)公開の掲示板への投稿により行うことが期待されており、それが公開の投稿であれば、基本的に無条件で確実に第三者に周知されるところとなる。
 ところが、コラム#195がアップロードされた後2年以上も経過してから、原告は、当該コラムにおける「本」(論説)の要約転載が、誤った事実を含んでいるとして、前もって何の連絡もないまま私に対して訴えを提起してきた。
 このように、原告は私に対して前もって何の連絡もせず、また掲示板への投稿を行おうともしなかったところ、原告の訴訟の提起を受けて私が裁判上の対応以外何もしなかったとすれば、結果的に次のような状況になっていた可能性がある。
 すなわち、私が原告の訴状や第一審における全準備書面の内容をコラム(#1180、1227、1368、1393)に転載することなく、かつその後の判決確定の事実(私が敗訴し、50万円の損害賠償を命じられた)もまたコラム(#1593、1798)として取り上げなかったならば、原告と私、及びそれぞれの関係者以外の第三者は、現時点でも、原告の主張も原告が名誉毀損訴訟で私に勝訴した事実もどちらも認識しないままでいる可能性がある。
 私がTVや新聞に露出して世間に広く名前を知られるようになったのは昨年10月末以降であるが、仮に現在もなお私が無名であったとすれば、依然として上記諸事実が第三者に認識されていない可能性が高いのである。
 このような状況が原告の望むところであったとは到底思えない。
 すなわち私は、原告に頼まれもしないのに、コラムにおいて原告の主張や裁判の結果を紹介することによって、原告の希望を実現したと言えるのであって、この点で原告はむしろ私に感謝すべきであろう。
 そして、係争中であった以上、私は私の第一審における全準備書面もまたコラム(#1223、1225、1368、1393)に転載したわけであるが、これが咎められるいわれもまたない。
 コラム#1184で原告が今回問題にしている部分は、後に第一審の第一回目の準備書面(コラム#1223)にそのまま転記することとなったものであり、訴状、両者の準備書面、及び判決要旨の私による公開の一環として評価されるべきである。
 しかも、既に触れたように、私はコラム#1184(及び#1223)において、原告を創価学会員とした点は誤りであったことを認め、その旨をインターネット上に公開した次第であり、原告の請求の一部を受け入れた形にもなっている。
 以上から私としては、第一審や控訴審において明確には主張しなかったが、原告の訴状をコラム(#1180)に転載してアップロードし、コラム#1184(及び#1223)をアップロードした時点で、コラム#195に仮に名誉毀損性があったとしても、それは遡って阻却された、と解しうることを強調しておきたい。
 
 <参考:第一回の裁判のコラムへの公開状況>
太田述正コラム#1177(2006.4.11)<太田述正コラムをめぐって>:千葉英司氏から訴えられた旨を報告。
太田述正コラム#1180(2006.4.13)<裁判雑記(その1)>:千葉英司氏の訴状の内容を紹介、プラス私の反論の冒頭部分を収録。
太田述正コラム#1182(2006.4.14)<裁判雑記(その2)>:反論の続きを収録(以下同じ)。
太田述正コラム#1184(2006.4.15)<裁判雑記(その3)>:反論の続き。
太田述正コラム#1185(2006.4.15)<裁判雑記(その4)>:反論の続き。
太田述正コラム#1188(2006.4.17)<裁判雑記(その5)>:反論の続き。
太田述正コラム#1190(2006.4.18)<裁判雑記(その6)>:反論の完結部分。
太田述正コラム#1200(2006.4.24)<裁判雑記(関係判例学説)>:関係判例学説を紹介。
太田述正コラム#1223(2006.5.9)<裁判雑記(続)(その1)>:裁判が東京簡裁から東京地裁に移送された旨の報告プラス私が提出した準備書面の冒頭部分を収録。
太田述正コラム#1225(2006.5.10)<裁判雑記(続)(その2)>:私の準備書面の完結部分を収録。
太田述正コラム#1227(2006.5.11)<裁判雑記(続)(その3)>:千葉英司氏が提出した準備書面を収録。
太田述正コラム#1368(2006.8.7)<裁判雑記(続々)(その1)>:東京地裁での準備手続きの報告、プラス千葉英司氏が提出した第2の準備書面、プラス私が提出した第2の準備書面を収録。
太田述正コラム#1393(2006.8.31)<裁判雑記(続x3)>再度の準備手続きの報告、プラス千葉英司氏が提出した第3の準備書面、プラス私が提出した第3の準備書面を収録。
太田述正コラム#1430(2006.10.3)<裁判雑記(続x4)>:公判を紹介。
太田述正コラム#1593(2006.12.27)<第一審判決について(その1)>:(「その2」はないので注意。)
太田述正コラム#1746(2007.4.24)<控訴審結審>:公判を紹介。
太田述正コラム#1798(2007.6.7)<名誉革命(その3)/緊急呼びかけ>:敗訴を報告。
(続く)
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