太田述正コラム#5473(2012.5.11)
<皆さんとディスカッション(続x1547)>
<太田>(ツイッターより)
 ウクライナのヤルタの動物園で生まれたホワイトタイガーの赤ちゃん4匹(うち一匹はアルビノ)の動画だ。
 母親の名前は、ユリア・ティモシェンコ元首相の名前を借りて(ティグル=タイガーとかけあわせて(?))ティグルリアというんだって。
http://www.guardian.co.uk/world/video/2012/may/10/white-tiger-cubs-ukraine-zoo-video
 ここ一か月、中沙諸島の中の黄岩(Huangyan)島(スカボロー礁)の帰属をめぐる中比紛争が中共側の武力行使を匂わせる発言もあり、エスカレートしている。
 中共当局が、薄、陳両事件から国民の目を逸らせる目的でプレイアップしているとBBCが分析。
http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-china-18016901
<太田>
 中共側のものばかりで片手落ちではあるが、もう少し、この領土問題そのものを理解したい人は、下掲を参照。↓
http://j.people.com.cn/94474/7812231.html
http://j.people.com.cn/94474/7788422.html
<ζΖΖΖΖ>(「たった一人の反乱」より)
≫これじゃ、我々は北朝鮮の過去のみならず、将来についても、一層責任を負わざるをえないねえ。≪(コラム#5471。太田)
 百歩譲って過去はともかく、何で将来の責任まで負わされるのかまったく理解出来ない。
<太田>
 そおお?
 前に飼ってた迷える子羊ちゃん達だから、善導してやんなきゃならないねってことだよ。
 それに、そもそも、過去について責任を負うことは、すなわち、未来について責任を負うことでもある。
 カネだけの問題じゃないけど、1965年の日韓国交正常化の際、「日本は韓国に有償無償5億ドルの金額を支払った」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%9D%E9%96%A2%E4%BF%82%E5%8F%B2
し、2002年の小泉訪朝の前に、関係正常化の暁には「100億ドル(1兆1800億円)規模の無償支援」を行う旨伝えていたらしい
http://japanese.joins.com/article/j_article.php?aid=85373&servcode=200
が、いずれも、ボクの指摘のような趣旨のカネだと解すことができる。
<ΖζΖΖΖ>(「たった一人の反乱」より)
≫ついでに意地の悪いことを言えば、検察官役の3名の弁護士、引き受けた時点で既に親小沢の潜在顧客達を失ったところ、控訴しなきゃ、今度は日本で圧倒的>多数を占める、反小沢の潜在顧客達を失っちまうもんねえ。≪(コラム#5471。太田)
 でもって<という>訳じゃないけど、テレビなんかで弁護士が小沢を擁護するような発言を繰り返して名前を売っておくと、ニッチなマーケットからの依頼が確実に来るかもね。
 こんな感じで↓
http://www.asahi.com/national/update/0510/OSK201205100026.html
 依頼する側にしてみたら「良い弁護士」なのかリサーチする必要がないんだもんね。
 弁護士にしても小沢並みに金を持ってる人にめぐり合えたらウマ~な思いをできるかも???
 下種の勘繰りです。
<ΖΖζΖΖ>(同上)
 「早川: 弁護、刑事弁護はあります?
  郷原: 私は具体的な刑事弁護は全くやっていません。」
http://news.nicovideo.jp/watch/nw132488/4
 良い弁護士というよりは、検察批判の急先鋒だからじゃないかな。
 ある意味、藁(=弁護技術未知数)に縋るくらいの手詰まり感が漂ってる。
<太田>
 だけど、郷原、一応ヤメ検だからねえ。刑事事件の法廷での経験もあるでしょ。
 それはさておき、刑事事件の被告人弁護士は刑の軽減や無罪をかちとるのが「良い弁護士」なんだから、そういう弁護士を捜すこと自体はそうむつかしくはないじゃないの。
 小沢の主任弁護人の弘中惇一郎
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BC%98%E4%B8%AD%E6%83%87%E4%B8%80%E9%83%8E
なんてのは、そういう観点から選任されたんだと思うよ。
<mk2>
 GW中に短編映画集『11’09”01/セプテンバー11 』を鑑賞したので、印象に残った作品おURLをいくつか貼っておきますね。暇な時にでもどうぞ。
 アメリカ同時多発テロ事件をテーマに、11人の映画監督がそれぞれの”9月11日”を「11分9秒01」の長さの短編映画に込めた作品。2002年の第59回ヴェネツィア国際映画祭で最優秀短編賞(ケン・ローチ)とユネスコ賞を受賞した。
http://ja.wikipedia.org/wiki/11’09”01/%E3%82%BB%E3%83%97%E3%83%86%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%BC11
 ケン・ローチ(イギリス)
http://www.youtube.com/watch?v=cbC5f2z6PmI(字幕なし)
 ロンドンに亡命中のチリ人男性のモノローグ。1973年9月11日にチリで起きた軍事クーデターの際、アメリカの暴力的介入によってどんな悲劇がもたらされたかを告発し、この日を共に心に刻もうと呼びかける。「もうひとつの9.11」が当時のニュース映像を交えて淡々と綴られる。
 チリ・クーデター
 一般に「9・11」というと2001年のアメリカ同時多発テロ事件を指す事が多いが、ラテンアメリカでは1973年のチリ・クーデターを指す事も多い。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%83%AA%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%BF%E3%83%BC
 ↓日本語シナリオ
http://www4.famille.ne.jp/~aikoh/000honma-jidai-shyo_0092.html
 今村昌平
http://www.youtube.com/watch?v=IsTGlxPZwyY
<太田>
 どうもどうも。(今村昌平の作品についても「解説」して欲しかったけど・・。)
 それでは、その他の記事の紹介です。
 日本の「左」は反検察だもんで小沢をかばうんだね。
 だけど、裁判所だって権力の一端だぜ。おかしいんちゃうの?↓
 「小沢氏をかばう社民・福島氏・・・は「捜査に問題があると言われ、無罪判決が出たにもかかわらず控訴するのはどうか」と語気を強めた。小沢氏に無罪判決が出た4月26日には「衆院政治倫理審査会も、ひと呼吸置くべきだ」と述べた。・・・」
http://www.asahi.com/politics/update/0511/TKY201205110140.html
 「・・・一審無罪の小沢一郎民主党元代表を検察官役の指定弁護士が控訴するのは疑問だ。そもそも検察が起訴を断念した事件だ。一審無罪なら、その判断を尊重するよう検察審査会制度の改正を求めたい。・・・」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012051002000116.html
 この脱出劇がホントだとすりゃ、陳光誠、スパイダーマンと言われるの当然だね。↓
 ・・・someone who had helped Chen tweeted an account. Chen had done merely this: “In nineteen hours climbed eight walls, jumped a dozen or so irrigation ridges, fell down a few hundred times, injured a foot, and finally crossed a stream that got him out of the village.”・・・
http://www.washingtonpost.com/opinions/the-us-governments-outdated-view-of-china/2012/05/10/gIQAUvgaGU_print.html
 フランシス・フクヤマ、支那の悪皇帝について語る。
 (日本では悪君主を排除するシステムがあったと、私はコラム#4854に書いたところだ。)↓
 <儒教教育と科挙官僚制が良皇帝の担保だったが、それでもどうしょーもない悪皇帝が時々出現する。漢の則天武后(コラム#1650)、明の萬暦帝(コラム#4852、4854)、毛沢東がそうだ。↓>
 ・・・The Confucian educational system and mandarinate was supposed to indoctrinate leaders, but every now and then terrible ones would emerge, such as “the evil Empress Wu”, who killed off much of the Tang dynasty aristocracy, or the Ming dynasty’s Wanli Emperor, who in a fit of pique refused to come out of his palace or sign documents for nearly a decade.
 <そこで、中共当局は、中央政治局常務委員9名による集団指導制、主席と総理は10年任期制、67歳を超える者は中央政治局常務委員に新たに就任できない、という内規を定めて現在に至っている。(しかし、「内規」による支配は、ヴェーバーのいう「合法的支配」
http://abukuma.cocolog-nifty.com/blog/2007/06/post_b884.html
とは言えない。↓>
 In the view of many Chinese, the last bad emperor to rule China was Mao Zedong, who unleashed unspeakable suffering on the people, and whose power could not be checked until his death in 1976. The current rules governing decision-making and leadership at the very top of the party reflect this experience: responsibility is shared among the nine members of the standing committee of the politburo; there are 10-year term limits on the tenure of the president and prime minister; no one over the age of 67 can be considered for membership on the standing committee. These rules were designed to prevent the rise of another Mao, who could use his personal authority to dominate the party and the country. China’s authoritarian system is thus distinct because it follows rules regarding term limits and succession. ・・・
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/c71ff938-99c9-11e1-aa6d-00144feabdc0.html#axzz1uQZ8MGtf
 ヴェーバーのいう伝統的支配(ウィキペディア上掲)・・その多くは一家相伝的支配・・は、カリスマ的支配よりはマシな場合が多く、また場合によっては合法的支配よりマシな場合もあることを米国人は知らなければならないとする書評だ。↓
 One of Yukichi Fukuzawa’s big disappointments, when he accompanied the first Japanese ambassador to the United States in 1860, was that no one could tell him how to find George Washington’s descendants. He realized that he was in a country with no hereditary elite, but, he confessed: “I could not help feeling that the family of Washington would be revered above all other families.”・・・
 Societies that adopt the hereditary principle do so because it is consistent with common observations: Leadership qualities often run in families and, as we now suppose, can be encoded in heritable genes. By limiting contenders for power, heredity makes violent disputes less frequent than in societies run by competing alpha males. Inherited authority discourages corruption and reduces factionalism and partisanship. There is, on balance, less chance of tyranny than under the rule of toughs or visionaries. As with every system, there are disadvantages: Some leaders are bound to be incapacitated by incompetence, sickness or insanity; dynasties become extinct.・・・
 <大昔の狩猟採集社会においてすら、伝統的支配が見られた。福沢諭吉が米国ではワシントンの子孫のことを誰も知らないことに驚いたが、驚くのはむしろ当然。↓>
 Sungir, in Russia, where well over 20,000 years ago, in the depths of the Ice Age, a middle-aged man was buried in permafrost with stunning signs of honor: bracelets of polished mammoth-ivory, a diadem or cap of fox’s teeth, and nearly 3,000 laboriously carved and polished ivory beads. A few feet away, in an identical grave, lay two children, of about 10 and 13 years respectively, adorned with comparable grave-gifts—including, in the case of the elder, some 5,000 beads as fine as the adult’s (although slightly smaller) and a massive lance carved from ivory.
 It is hard to resist the impression that among hunters and foragers of the Paleolithic era, elites could already transmit prestige and power—perhaps supreme power—to younger generations.・・・
 ・・・we should share Yukichi Fukuzawa’s puzzlement when we find societies without it. Americans, according to their taste, can acclaim or decry a case, if not of U.S. exceptionalism, at least of U.S. aberrancy.
http://online.wsj.com/article/SB10001424052702304363104577389944241796150.html?mod=WSJ_Opinion_LEFTTopOpinion
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<mk2:翻訳>
 コラム#5439より:
 ・・・カリフォルニア州は、中国人を追い出すために、<19世紀中頃>の数十年間を彼らに対する搾取的な法の施行に費やした。支那人鉱夫に対する外国人鉱夫税は彼らの収入のおよそ半分を吸い上げていた。支那人治安税が「モンゴロイド系人種」の大部分に課されていた。成人支那人は刑事事件や民事事件で白人に不利な証言を行うことを禁止されていたし、また、支那人の子供は州の公立学校への入学を拒否されていた。大多数の支那人は仕事を得るためにやってきたが、それはどんなに低賃金、重労働で危険であっても、アメリカ人に属する仕事を奪っており、そして彼らの「異質」な言語や文化はアメリカ人の風紀や文明を脅すものである、とされた。・・・
→相当甘く採点しても、10-5X3=△5ポイントですね。
 もうひと踏ん張りをお願いします。(太田)
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太田述正コラム#5474(2012.5.11)
<第一回十字軍(その1)>
→非公開