太田述正コラム#5621(2012.7.26)
<皆さんとディスカッション(続x1614)>
<太田>(ツイッターより)
 銃乱射事件が起きてから、現場のコロラド州を含め、全米で銃の売れ行きが増しているらしい。
 そんな場合に応戦したいのと、この事件を契機に銃規制が強化されるのを恐れ、事前に買っておきたいからだという。
http://www.sfgate.com/news/article/Fear-prompts-gun-sales-panic-after-Colo-massacre-3732779.php
 米国人の狂気/凶器の悪循環は終わることがない。
 「「美女ウォッチング」でダイエット!スイス最新研究…」
http://j.people.com.cn/94475/7886543.html
 ウォッチするのが男性でも女性でも同じ。
 ただし、ダイエットになる理由が男女で異なる。
<bonkers_blunder>(ツイッターより)
 以下のコラムを読んで、最後のページでオスプレイ配備反対に投票したら半数以上が配備賛成への投票でがっかりしたのですが、オスプレイは日本上空を飛行することになるのでしょうか?
 「オスプレイ」は何が本当の問題なのか?
http://diamond.jp/articles/-/22027
<太田>
 これ↑、表見的にはなかなかバランスのとれた記事ですね。
 しかし、まずもって指摘したいのは、「オスプレイは日本を守る目的のためにも配備されるのだと考えられる」というくだりは、明確に誤りだ、ということです。
 東アジアで、海兵隊が、その本来の用途のために投入されるような、本格的な地上戦は、朝鮮半島以外では起こりえないからです。
 そもそも、日本列島に対して本格的な上陸作戦を展開する能力のある国は、見通しうる将来にかけて、日本周辺には存在しません。
 (この点は、台湾本島に関しても基本的に同様です。)
 仮にかかる能力が周辺諸国のどれかに備わったとしても、核時代においては、地上部隊を渡洋させること自体がほぼ不可能である、ということは、私が何度も指摘しているところです。
 さて、長々と米海兵隊論を繰り返すわけにいかないので、はしょりにはしょって結論だけ申し上げれば、米海兵隊は、今後使われるとしたら、これまで同様、(渡洋攻撃をする必要がない)中東において、第二米陸軍的に使われるだけであると考えられるのであって、現在の輸送ヘリや上陸用舟艇同様、オスプレイが上陸作戦に使われる、ということはまず考えられません。
 (オスプレイを最も必要としているのは、米空軍のそれを始めとする特殊戦部隊です。)
 ということは、これも何度も私が指摘していることですが、米海兵隊は、少なくとも、もっと中東に近く、しかも日本列島と比較してより訓練が円滑にできる場所・・豪州や(米陸軍のように)欧州・・に移転すべきだし、より根本的には廃止されるべきなのです。
 (念のために・・朝鮮半島には韓国軍も米陸軍もいます。)
 要するに、オスプレイは、米海兵隊が、廃止を免れるために、その本来の任務である上陸作戦を引き続き実施できる、というタテマエを見かけ上維持するために米海兵隊に配備されつつある、というだけのことなのです。
 ですから、日本は、オスプレイの撤去を求めるくらいなら、米海兵隊そのものの日本列島からの撤退を求めるべきなのです。
 しかし、このようにどんどん米軍部隊を日本列島から撤退させて行けば、駐留米兵及びその家族によるトリップワイヤー機能が失われ、日米安保の東アジアにおいて果たしている抑止力(核抑止力を含む)が大幅に減殺してしまいます。
 当然、日本がその代替をしなければならなくなります。(これには必ずしも自衛隊の大増強を必要としません。)
 そのためには、日本が米国からの「独立」を果たさなければならない、ということになるわけです。
 結局、極めてバカチョン的に申し上げれば、日本は、「独立」を決意するのか、オスプレイを受け容れるのか、の二つに一つだ、ということです。
 それでは、その他の記事の紹介です。
 論理が通っていない記事だねえ。
 米国(というより欧米)では監査人(公認会計士)の「インセンティブのねじれ」が解決されてるってことだろ。
 問題は、どうして日本でだけ「インセンティブのねじれ」が発生するかだろうが。↓
 「・・・「違法行為自体を発見することは義務ではない」・・・。あくまで財務諸表に「重大な」影響を与える不正は発見義務があるが、全ての不正、直接的に財務諸表に影響を与えなさそうな不正までは、会計士に発見義務はない。・・・
 従業員レベルの不正発見であれば会社も増額を呑むが、そもそも会社ぐるみの粉飾であれば深刻な対立を招きかねない。不正発見が監査法人の報酬のとりっぱぐれにつながるという、いわゆる“インセンティブのねじれ”をどう解決するのか。・・・
 本来、監査人の真の雇い主は株主である。報酬を直接支払っているのが会社であるとしても、それは株主から預かったカネの中から支払っているにすぎない。
 日本に比べて米国の監査報酬がケタ違いに多いのは、「株主が」精緻な監査を求めていることを会社側が理解しているからだ。監査報酬は株主が会社を見張るためのコストの一部であることを、会社も株主は理解している。・・・」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20120719/234645/?mlt&rt=nocnt
 日本における民主主義の起源の一つであると同時に、日本社会の人間主義性を裏付ける話でもあるね。↓
 「嘉吉元年の一四四一年八月に、京都で「土民数万人」(『建仁記』九月三日)という大規模な大衆叛乱が発生した。・・・嘉吉の土一揆・・・
 この一揆では、「私徳政」ではなく、幕府の正式な徳政を要求した。しかも自分たちの利益を守ることではなく、すべての人々の借金を棒引きにすることを求めたのである。民衆は、真に困窮しているのが自分たちだけではなく、他の人々も同じであることを主張した。民衆は土倉に大金を借りるほどの余裕はないし、質物となるものもない。だから自分たちの小額の負債が免除されるのではなく、土倉に借金をして真の意味で困窮している公家や武家の負債の帳消しを求めたのである。ここには階級を超えて連帯しようとする強い姿勢がみられるのである。
 これはたとえば正長の一揆との大きな違いである。播磨の国で正長二年に起きた一揆では、「国中の侍をすべて攻撃し」、守護を初めとしてすべての武士の軍隊を打破したのだった。そして「国中に侍を置くべからず」と宣言したのだった・・・
 また・・・、一揆側は粛々と秩序を維持して、土倉や幕府との話し合いを目指した・・・。」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20120723/234777/?mlt
 ロムニー陣営が、オバマのチャーチル離れを非難していると聞くと、深読みがしたくなっちゃうね。
 オバマもボク同様、チャーチルは政治家失格だと思っている?↓
 ・・・The advisers pointed out that Obama had returned the bust of Winston Churchill which President George W. Bush had displayed in the Oval Office. They said Romney would reclaim it from Britain and reinstate it in the White House, calling it “symbolically important.”・・・
http://www.thedailybeast.com/articles/2012/07/25/mitt-romney-denies-anglo-saxon-claim-but-his-camp-has-been-trying-to-label-obama-un-american.html
http://www.foreignpolicy.com/articles/2012/07/25/once_upon_a_time_in_old_london_town?page=full
 筆者はカナダ人たる清華大学教授
http://www.guardian.co.uk/profile/danielabell
だけど、これだけおめでたい、滞在国ヨイショ・コラム、あんましお目にかかったことないね。↓
 <清華大学の学生を見ても、中共党員がどんどん増えてるみたいね。↓>
 ・・・At elite schools like Tsinghua University, 28 percent of all undergrads, 43 percent of graduating seniors, and up to 55 percent of grad students were CCP members in 2010, according to government figures.・・・
 <中共党内での昇任・補職システムはメリトクラシーの観点から見て素晴らしいだとよ。↓>
 I wonder if the Chinese Communist Party can consider changing its name so that it better corresponds to the institutional reality of the organization. For one thing, the organization is no longer communist. Political meritocracy was valued neither by Marx nor Mao. Lenin’s idea of the vanguard party was also different. Moreover, the party is not a political party among others. It is a pluralistic organization composed of different groups and classes that represents the whole country and, to a lesser extent, the world. A more accurate name might be the Chinese Meritocratic Union.・・・
http://www.csmonitor.com/Commentary/Global-Viewpoint/2012/0724/What-America-s-flawed-democracy-could-learn-from-China-s-one-party-rule
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太田述正コラム#5622(2012.7.26)
<米国と黙示録的思想(その4)>
→非公開