太田述正コラム#6049(2013.2.25)
<皆さんとディスカッション(続x1821)>
<コラム#6047の訂正>(ブログは訂正済)
注視→中止
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<太田>(ツイッターより)
 米国で黒人が最初にスポーツで活躍したのは騎手としてだった。
 奴隷解放後、競馬は、奴隷時代に厩舎の管理をまかされ、草競馬に農場主の命で出ていた彼らの独壇場だった。
 でも、1880年代からの南部の人種分離諸法で騎手になれなくなった。
http://edition.cnn.com/2013/02/22/sport/black-jockeys-horse-racing-sports-stars/index.html?iid=article_sidebar
<OlalgbWY>(「たった一人の反乱(避難所)」より)
≫日露戦争って、日英米と露韓清の戦いだったんだな。当時、韓国(大韓帝国)が自由民主主義陣営に与し、専制主義陣営に対峙していたら、この戦争は起こらなかったし、その後の日韓併合もなかった。現在の韓国(当時の半分だけど)は、この同じ轍を踏む恐れがあるってこと。≪(コラム#6043。太田)
 米と韓の立ち位置間違ってる時点で議論にならないがどこの嘘本読んだらそういう認識になるん?
 日本軍の攻撃発起点が朝鮮半島のどこからだか知らんのか。
 最低でも米は中立だろう。
<太田>
 
 米国については、日露戦争を2億ドルの借款を供与することでカネの面で支えたのがドイツ生まれのユダヤ人たる「米国」人のシフ(Jacob Schiff)だぜ。
http://en.wikipedia.org/wiki/Jacob_Schiff
 なお、英国については日英同盟があったんで説明はいらないよな。
 大韓帝国については、(「日露戦争中に高宗<(Gojong)>はロシアに事大するための密使を派遣していた」旨の記述が高宗や日露戦争に関する日本語ウィキペディアにはある
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E5%AE%97_(%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E7%8E%8B)
ところ、インターネット上の英語文献でその裏付けをとることができなかったので、これは間違いではないかと思われるものの、)王/皇帝たる高宗、すなわち李氏朝鮮/大韓帝国、は、高宗が親日派に対抗するため、「1896年2月11日~1897年2月20日・・・ロシア公使館に移り朝鮮王朝の執政をとったこと」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9C%B2%E9%A4%A8%E6%92%AD%E9%81%B7
が示すように、反日親露であったことは明らかだろう。
 なお、清については、「日本がロシア極東・朝鮮・清に侵攻した場合、露清両国は陸海軍で相互に援助する」という露清密約をロシアと、日清戦争後の1896年に締結していたからねえ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9C%B2%E6%B8%85%E5%AF%86%E7%B4%84
 (ただし、満州を事実上占拠するに至ったロシアに対する清民衆の反感の高まりや、日露戦争に清が参戦したら日英同盟が発動されて英国が参戦する、ということもあり、清は参戦していない。)
 ところで、「日露戦争の戦闘は、1904年2月8日、旅順港にいたロシア旅順艦隊に対する日本海軍駆逐艦の奇襲攻撃(旅順口攻撃)に始まった。この攻撃ではロシアの艦艇数隻に損傷を与えたが大きな戦果はなかった。同日、日本陸軍先遣部隊の第12師団木越旅団が日本海軍の第2艦隊瓜生戦隊の護衛を受けながら朝鮮の仁川に上陸した。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E9%9C%B2%E6%88%A6%E4%BA%89
ということなんだけど、これがどうかしたかい?
<太田>
 それでは、その他の記事の紹介です。
 インド人によるインド独立についての認識がこんなじゃ困っちゃうね。↓
 <インドの反植民地闘争は目的を平和的に達成した点でユニークだってんだけど、インド国民軍のインド侵攻はどうしてくれる?↓>
 ・・・The Indian anti-colonial struggle was unique in that it reached its goal without violent overthrow. This was one of the great achievements of the nationalist movement’s enlightened leadership.・・・
 <独立の理念を、ネールは、相対立、相補完するところの、ダルマ(倫理的秩序)とアルサ(プラグマティズム)の二つの観念から打ち立てたってさ。前者はアショカ王、後者はアショカ王の祖父のチャンドラグプタ王の統治の特徴だと。↓>
 Nehru’s quest for national selfhood, for example, revolved around the two central ideas of dharma and artha, or ethical order and pragmatism. The first was exemplified by the inclusive reign, more than two millennia ago, of the Emperor Asoka. The second was embodied in the realpolitik pragmatism of Asoka’s grandfather, the Emperor Chandragupta. Aspirational dharma inspired Nehru during the freedom struggle; after independence, he leaned toward purposeful artha.・・・
 <ネールは、インドの国章
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E3%81%AE%E5%9B%BD%E7%AB%A0
もインドの国旗(こちらはネールは不満だったようだが・・)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E3%81%AE%E5%9B%BD%E6%97%97
もアショカ王時代のものからとったって。↓>
 When it came time to choose the newly formed Republic of India’s national emblems, Nehru selected artifacts unearthed from the Asokan era to visually represent these ethical categories. The state seal of India, for example, is based on the lion capitals that topped Asokan columns and posts. The dharmacakra (wheel of law) at the center of the Indian flag likewise harks back to the Asokan era. “The author of every one of these choices, at the time of Independence, was none other Jawaharlal Nehru,”・・・
http://online.wsj.com/article/SB10001424127887324734904578241553807057098.html?mod=WSJ_Opinion_LEFTTopOpinion
 ↑独立の経緯をねじまげ、また、仏教・・アショカ王は「仏教を守護した大王として知られる」・・
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%82%AB%E7%8E%8B
を捨て去ったところの、インド史の大部分を無視することによって、現在のインドという国の正統性がでっち上げられているところに、現在のインドの悲劇があるな。
 ニュートンもケインズも官僚としても活躍したこと、この二人が、どちらも万能人であり、かつ不思議な縁で結ばれていること、は面白いね。↑
 「・・・ケインズが残した『確率論』は論理学、哲学の分野でも有名です。・・・
 哲学者にして経済理論家。そして、第1次大戦後は、戦後賠償について英国代表として国際政治の最前線で論陣を張ったり、当時のチャーチル財務相に金本位制を巡って助言したりと、政治にも積極的にかかわります。
 一方、ケンブリッジ大の先輩にあたるニュートンについての論文も発表しています。当時詳細が知られていなかった彼の魔術研究について、収集癖があったケインズが、資料を発掘して書いています。・・・」
http://book.asahi.com/booknews/update/2013021900009.html?ref=comtop_list
 「・・・王立造幣局の官僚となったニュートンが、英国経済を銀本位制から金本位制に変える方向付けを行った・・・」
http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2013021700009.html?ref=comtop_list
 当たり前だが、もう大人になった自分の子供の世話をやきすぎると、碌なことはないってさ。↓
 ・・・overly involved in your grown-up kids’ lives can do more harm than good. ・・・
http://healthland.time.com/2013/02/22/hover-no-more-helicopter-parents-may-breed-depression-and-incompetence-in-their-children/
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太田述正コラム#6050(2013.2.25)
<フォーリン・アフェアーズ抄(その18)>
→非公開