太田述正コラム#6089(2013.3.17)
<皆さんとディスカッション(続x1841)>
<太田>(ツイッターより)
一「…韓国政府は…中国人を友軍として活用すべきだ。…」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/03/17/2013031700107.html
二「終戦後に満州で起きた中国人による朝鮮人虐殺…」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/03/17/2013031700109.html
→二等を振り返るまでもなく一は不可能?
 一と二の理由付もXだな。
<kunidog>
 オバマの安倍に対する態度は、安倍が真正タカ派ではないとオバマは考えているということですよね。
 その点において、前に真正タカ派になりつつあると述べた太田さんとオバマの見解は違いませんか?
 私は昨今のTPP等に対する安倍の対応を見るにつけ、やはり安倍は対米追従・属国主義者であると確信してるんですがね…。
<太田>
 TPPに関しては、野田政権より安倍政権の方が、一見、より「対米追従」的ではあります。↓
 「一貫して米ペース TPP 事前協議の舞台裏・・・」
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013031790071559.html
 他方、私は、安倍首相が「独立」派に回心した可能性と、維新によって尻を叩かれる可能性とを以前に指摘したはずですが、橋本大阪市長の下掲の発言をそういう目で眺めてごらんなさい。↓
 「TPPも憲法改正も「維新あったから」 橋下氏が強調・・・」
http://www.asahi.com/politics/update/0316/TKY201303160433.html
 農村地帯を支持層の中核とする自民党は、民主党よりも反TPPであるはずなのに、TPP参加を決めざるをえなくなったし、同党は憲法改正/憲法解釈変更にも(少なくとも)熱心なフリをしなきゃならなくなった、という受け止め方もできるでしょう。
 安倍首相の心の中を誰も覗き込むことはできませんし、そもそも、政治家は、その言葉ではなく、行動で判断され、評価されるべきです。
 同首相が「「独立」主義者」であるかどうかについて、引き続き、彼の行動を注意深く見守って行きたいと思います。
 オバマ政権の安倍首相への今回の対応は、まさに、彼に対して、野田首相同様の「「独立」主義者」であるのかどうか、早く旗幟を鮮明にせよと叱責した、ということではないでしょうか。
<TA>
≫憲法改正は、・・・自衛隊(軍)のポジ規制からネガ規制への転換を図るため、ということにすべきだわさ。≪(コラム#6085。太田)
 「ポジ規制からネガ規制への転換」は憲法改正でしかなし得ない、という意味なのでしょうか。
 「ということにすべき」の含意をいま少し明確にして頂きたく思います。
<太田>
 私は、明治憲法も現行憲法も規範性がないと指摘してきたところですが、現行憲法について言えば、国際的には自衛隊は軍隊、天皇は元首として処遇されていて、それに対して日本政府が異議を唱えていない、という点だけをとっても、規範性がないことは明白でしょう。
 ただし、規範性がないからと言って、文言と実態が明らかに大きく食い違っている現状をこのまま放置し続けることは望ましいことではないので、憲法改正はすべきである、と考えます。
 しかし、規範性がないのだから、何事も政府憲法解釈変更でできる、と言い切ってしまうと、誰も憲法改正などしようとはしなくなるでしょう。
 天皇に関してはさておき、自衛隊に関して申し上げますが、全面的な集団的自衛権の行使や海外派兵や徴兵制までは憲法解釈変更でできる・・さもないと論理矛盾が生じる・・と断言できるところ、軍法会議や軍律法廷については、憲法第76条で特別裁判所の禁止が謳われているところから慎重な検討を要するものの、特別裁判所にあたるかどうか議論のある更生裁判所や破産裁判所が認められていることに照らし、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%B9%E5%88%A5%E8%A3%81%E5%88%A4%E6%89%80#.E6.97.A5.E6.9C.AC.E5.9B.BD.E6.86.B2.E6.B3.95.E4.B8.8A.E3.80.81.E5.8E.9F.E5.89.87.E7.A6.81.E6.AD.A2
憲法解釈変更で設置できる余地がある、と考えます。
 結局、残るのは、警察や海上保安庁と並ぶ、実力組織を持った行政機関としての自衛隊を、主権の最後の拠り所たる軍隊へと改称できるか、(正確には自衛隊を廃止して日本軍を設置することができるか、)そのメルクマールは行政機関の権限規定方式であるポジ規制から、軍隊の権限規定方式(正確には権限非規定方式)であるネガ規制へと変更できるか、だけである、ということにしたらどうか、すなわち、(ネガ規制の対象となるところの)日本軍を持つためにはどうしても憲法改正が必要であるということにしたらどうか、と私は考えるに至っているということです。
 それでは、その他の記事の紹介です。
 北朝鮮が延坪島(ヨンピョンド)等からの住民退去を求めた。
 マジ、また、(2010年同様、)砲撃するかもよ。↓
http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-21814416
 昨日、米国は「欧州への迎撃ミサイル設置計画も予定通り推進する」というワシントンポスト記事を紹介したが、NYタイムスは正反対のことを言っている。
 果たしてどっちが正しいのか?↓
  The United States has effectively canceled the final phase of a Europe-based missile defense system that was fiercely opposed by Russia and cited repeatedly by the Kremlin as a major obstacle to cooperation on nuclear arms reductions and other issues. ・・・
http://www.nytimes.com/2013/03/17/world/europe/with-eye-on-north-korea-us-cancels-missile-defense-russia-opposed.html?ref=world
 米国の黒人の大学在籍者数より入獄者数が大きい、ということは必ずしも言えないことが分かったってさ。
 どっちにしたって、ひでーハナシだよな。↓
http://www.bbc.co.uk/news/magazine-21791038 
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太田述正コラム#6090(2013.3.17)
<映画評論38:レイジング・ブル(その1)>
→非公開