太田述正コラム#5930(2012.12.27)
<日本の対韓・対中謝罪をめぐって(その2)>(2013.4.13公開)
3 タイム誌の記事に係る投稿群より
 以下、逐次、抜粋的に紹介する投稿だけでも、gaijinfoDEC、smithinjapan、TakahiroDomingo、SamuraiBlue、gokai_wo_maneku、と日本人ないしは日本とゆかりが深そうなハンドルネームが、英語だけによる投稿群の中に登場するのは面白いし、うち、日本人と思しき投稿には日本を擁護するものが多く、まことに心強いものがあります。
<tkoind2DEC>(2012.12.15:日本時間。以下同じ)
 2夜前に、ヒストリー・チャンネルで偽インテリ教授がQ&A形式で、どのように日本に関して第二次世界大戦が始まったか、そして、どうして12月7日<(米国時間)>が起こったかを説明していた。
 彼は、正面切って、ローズベルトを、欧州での戦争に参戦したいがために日本を米国を攻撃せざるをえなくした、と非難していた。
 この種の修正主義的歴史は日本が<当時>アジアで果たした役割を、実際にはそんなものどころではないというのに、矮小化(stunt)するものだ。
 彼は、米国その他の国による、日本の拡大主義を規制しようとする諸政策をもたらしたところの、それまでの何十年にもわたる、アジアにおける、日本の帝国主義と侵略を完全に無視している。
 日本の朝鮮、満州、及び支那における諸活動を無視しているのだ。・・・
→最近、ケーブルテレビで殆んどヒストリー・チャンネルを見ていませんが、そういう番組を提供しているとすれば、大いに評価したいですね。(太田)
<semperfi>(同上)
 <日本の謝罪の仕方が不十分だと投降した人がいるが、>そりゃ…戦時中、彼らの男児達が<欧州の>西部前線で戦っている間、日系人の財産や会社を全面的に没収して、日系の女性、老人、そして子供達をあばら家に閉じ込めたことに対する、カナダと米国の「不器用でぎごちない(fumbling and awkward)」謝罪のようなもんかい?・・・
<tkoind2>(同上)
 semperfiクン、それとこれとは違う話だよ。
 戦争中に米国が日系2世に対して行ったことは人道上の罪だと思うし、その埋め合わせのためにより多くのことをやらなきゃいけないって点については100%同意する。
 しかし、だからといって、白痴的な右翼諸派とその諸政策の火に油をくべることを助けるような修正主義的諸物語でもって日本<政府>が歴史を書き換えてそれを国民に教えることを看過することにはいかなる意味においてもならない。
 そんなことをするのは、日本自身にとって自殺的なことだ。・・・
→日系人強制収容の犯罪性については、十分英語圏に浸透しているようで結構なことです。
 また、日米戦争の原因をつくったのは米側であることもまた、次第に浸透し始めているようですね。
 しかし、戦前の日本が侵略的な国であったという観念は、英語圏においては、依然として強固なものがあります。(太田)
<gaijinfo>(同上)
 <tkoind2DECクン、>・・・ボクは、それを「修正主義的歴史」だとは思わない。
 米国が欧州における戦争に参加できるよう、日本が米国を攻撃するようにだまされた(suckered)ということについてはかなり説得力ある根拠があるよ。
http://www.amazon.com/Day-Of-Deceit-Truth-Harbor/dp/0743201299/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1355527792&sr=8-1&keywords=day+of+deceit (注2)
 (注2)Robert Stinnett;Day Of Deceit: The Truth About FDR and Pearl Harbor
 ・・・<ただし、>日本は、帝国主義的諸戦術でもって、アジア、ひいては世界を従えようとの完全なる意図を持っていた<ことを忘れてはならない>。
 しかし、連中はそれに失敗したのだ。
 常に平和的であったところの、真に平和的な諸国家しか、<平和問題で>「道徳的権威」の主体たりえない。
 「我々は騙されて戦争させられたんだから平和の指導者にふさわしい」というのでは、<その国の>政治家達がどんなに揉み手をしたとしても、誰一人として説得することはできない。・・・
→ハンドルネームからも窺えるように、この投稿子は日本にいる米国人だと思われるところ、日本の戦後のエセ「平和主義」の批判はかまわないけれど、「日本は、帝国主義的諸戦術でもって、アジア、ひいては世界を従えようとの完全なる意図を持っていた」にはガックリ来ますね。
 太田コラムの存在に気付いてくれればいいのですが・・。(太田)
(続く)