太田述正コラム#6396(2013.8.18)
<皆さんとディスカッション(続x1994)>
<太田>(ツイッターより)
「<エジプト>暫定政権がムスリム同胞団への解散命令検討…」
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130817/mds13081722290004-n1.htm
 直観的にありえねーと思って、BBC、CNN等のサイトをチェックしたが、やっぱ出てない。産経のカイロ特派員、ガセ掴まされたか、聞き違いをしたか?
<訂正・お詫び:>埃及首相がムスリム同胞団の解散を検討中。
http://www.theguardian.com/world/2013/aug/17/egypt-army-attack-mosque
 1954年から非合法化されており、つい最近NGOとして登録されてたんだね。
http://www.bbc.co.uk/news/world-middle-east-23739535
 日本のメディアの速報性に拍手。
 ゴメーン。
<EQqPCKCQ>(「たった一人の反乱(避難所)」より)
 べじたんさんって、いまだに謎の人物なのかね?
 太田さんにも正体を明かしてない?
 オフ会に出席したことってあったっけ?
<2L2dM8pc0>(「たった一人の反乱」より)
 新日鉄住金、韓国の戦時徴用訴訟で賠償の意向
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130818/trl13081808560000-n1.htm
 朝鮮人を信用して韓国に進出した企業の末路。
 自業自得。
<太田>
 そりゃありえない。
 記事の中での秦さんの言うとおりだよ。
<rPrnp5c6>(「たった一人の反乱(避難所)」より)
 新日鉄住金、韓国の戦時徴用訴訟で賠償の意向 敗訴確定時「無視できぬ」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130818/trl13081808560000-n1.htm <(上掲)>
 これ、新日鉄が金を払ってしまえば、訴訟だらけになるうえに、今までの賠償も無意味になる。
 だからといって、払わなければ、日韓関係は更に悪くなる。
 どっちみち、もう日韓関係は終わりだ。
<uNOUWVDM>(同上)
 太田さんは核開発技術を維持するために原発が必要という意向ですが、旧皇族の学者竹田恒泰氏によれば、原子力技術の維持は東大と京大に実験炉があれば可能なので、原発は全て廃炉で構わないと語っています。
 この見解についてはどう思われますか?
http://www.youtube.com/watch?v=VXthEqy4M6M#t=6m13s
<xSowwojo>(同上)
 核開発技術と核の生産力は等価で結べないんじゃないの。
 核開発技術があっても、核の生産力をほぼ喪失したなら絵に描いた餅と同じじゃない。
 (=安全保障的な意義がほぼ失われるのと同義じゃない?)
 おそらく、そういった方向性の疑義が提起されると思うぞ。
<zu5vc.lY>
 金にならない実験炉に誰が金を出すのだろう?
<太田>
 いくら技術があったって、核装備を決意した時に、核爆弾用ウラン/プルトニウムの確保に係る経費や時間がやたらかかったりしたら意味がない。
 実験炉の維持だけで、上記の経費、時間等の実際的な諸問題がクリアできるのか、だね。
 なお、核装備した場合の運搬手段として、ロケットの方はともかく、SSBNへの搭載原子炉の技術も、核装備を決意した場合の経費や時間等の実際的諸問題をクリアする形で維持できなきゃダメだな。
 政府部内できちんとした具体的検討を行っておく必要があるね。
 それでは、その他の記事の紹介です。
 記事日照りなんで、下掲の書評について、延々と続いている「日支戦争をどう見るか」シリーズの中で取り上げる予定を変更し、こちらに回し、しかも翻訳することにした。↓
 「研究の過程で、<この本の著者のハーヴァード大教授のジョセフ・>ナイは、最大の影響を及ぼしたのは、とりわけウッドロー・ウィルソン、フランクリン・ローズベルト、ロナルド・レーガンという「時代転換的(transformational)」な大統領達よりも、ドワイト・アイゼンハワー、ジョージ・HW・ブッシュといった、より控えめな(modest)「実務的(transactional)」な大統領達であったことを発見して自分で驚いた。
→民主党(リベラル・キリスト教徒系)大統領はダメで共和党(キリスト教原理主義系)大統領はイイってわけですが、そこまではナイは言ってなさそうなのが歯がゆいですね。(太田)
 恐らくこれは偶然ではない。
 アイゼンハワーやブッシュ・シニア氏の外国知識の足元に及ぶようなホワイトハウスの住民は他にはいない。
 アイクは、欧州での連合国最高司令官だった。
 そして、ブッシュ氏は、駐中米国代表、CIA長官、そして副大統領だった。
→外国に関する知識経験があるからといって、外国について的確な認識を持っているとは限りません。キリスト教原理主義系の方がリベラル・キリスト教系よりも、外国認識の歪みの度合いが少ない、ということからナイは目を逸らせています。(太田)
 二人とも、世界を再構築する(reinvent)といったことに<大統領>選挙運動を立脚させなかった。
→これはその通りですが、それも彼らがキリスト教原理主義系だからです。(太田)
 しかし、ナイの見解では、二人とも、米国の力をより効果的に拡大(extend)したし、それを行うにあたって、彼らの同僚大統領達よりも、より倫理的だった。
→キリスト教原理主義系においては、区別・差別の論理(敵味方峻別の論理を含む)、選民の論理、終末論の論理、等がリベラル・キリスト教系よりも緩和されているからです。(太田)
 アイゼンハワーは、任期中の8年間、米国を大きな戦争に関わらせなかったし、原爆を使用すべきであるとの助言をしばしば却下した。
 とりわけ、朝鮮半島、第一次インドシナ戦争、ベトナム(第二次インドシナ)戦争、そして台湾海峡危機の際において・・。
 「君らは頭がおかしい」、と彼は自分の助言者達に言った。
 「10年も経たないうちに、これらのとんでもない代物を、もう一度アジア人に対して使用するなんてできない」と。
 同様、ブッシュ氏は、彼の取り巻きの大部分よりも熱血漢的(gung-ho)ではなかった。
 彼は、ベルリンの壁が崩れつつあった時、脚光を貪り食えとの彼らの嘆願に抵抗した。
 「私は胸を叩いてあの壁の上で踊ったりはしない」と彼は言った。
 彼の控え目さは、ソ連人達が介入を控えるのをより容易にした。
対照的に、米国の修辞的に最も野心的な大統領達は、しばしば最も非効果的だった。・・・
 ウィルソンは、米上院とどんな細かい点も妥協しなかったために、彼が目論んでいたところの、国際連盟への加盟の機会を棒に振ってしまった。
 ウィルソンの<キリスト教>長老派的(Presbyterian)頑固さが、彼の夢の大部分、そして彼の有名な平和のための14箇条をゴミ箱に叩きこむ羽目に陥らせたのだ。
 彼の同僚たる、フランスのジョージ・クレマンソー大統領は、「神でさえも10戒しかお持ちでなかった<のに14箇条とはね>」と言ったものだ。
→そもそもウィルソンは人種主義者であるくせに民族自決を唱えた点一つとっても支離滅裂でした。(太田)
 <ナイが>ざっと調べたところ、ジョン・ケネディもリンドン・ジョンソンも大したことはなかった(get much)。
→みーんな民主党でしょ。(太田)
 ナイの譬えによれば、チェッカーをやらなければならなかったのに、ドミノというイデオロギーのゲームをやってしまったことに起因するところの、ベトナム戦争をエスカレートさせた彼らの諸決定は、20世紀における米外交政策の最大の間違いを犯した責任を彼らに負わせている、と彼は言う。
→この書評を見る限り、せっかく冒頭で登場したローズベルトが途中で消えてしまっています。
 ナイ自身、(ボク同様、)ローズベルトこそが「20世紀における米外交政策の最大の間違いを犯した」大統領だと思っていて、袋叩きに遭うことを恐れてあえてそれに触れるのを避けた、と思いたいところですが、そりゃ彼を買いかぶり過ぎ、というものでしょうね。
 (そもそも、ベトナム戦争が起こったこと自体、何度も繰り返して恐縮ですが、ヒットラーを顔色なからしめる悪漢であったローズベルトが、対赤露抑止に従事していた日本帝国を崩壊させたからです。)(太田)
 リチャード・ニクソンの、冷戦の性格を変えたところの、支那との劇的な握手(opening)に対してすら、容赦はない。
 ナイによれば、米中緊張緩和は、米国の優位(primacy)の拡大というよりは、防御的行為だったのだ。・・・
→これは(共和党の)ニクソンを批判しているわけではないことに注意。(太田)
 ナイはレーガンに対しては、はるかに親切だ。
 ウィルソンのようにレーガンは道徳家(moralist)だった。
 しかし、彼は自分の党派性(sectarianism)に「普遍的(ecumenical)スタイル」を纏わせた。
 レーガンは世界について無知だったけれど、彼の人々に関する本能は確かなものだった(good)。
 ブッシュ氏とベルリンの壁のケースと大変よく似ているが、彼はミハイル・ゴルバチョフに対する彼の助言者達の懐疑主義を無視し、このソ連の指導者との実りある仕事を行い続けたのだ。
 しかし、彼の影響は時代転換的なものではなかった。
 その名誉は、ゴルバチョフ氏自身に属する。・・・
→これは、実質的には(共和党の)レーガンを褒め称えているわけです。(太田)
 ナイは<また、>バラク・オバマの「背後から指導する」本能を褒め称えている。」
http://www.ft.com/intl/cms/s/2/e86c6152-feb9-11e2-97dc-00144feabdc0.html#axzz2cBmU439S
(8月17日アクセス)
→この書評を見る限り、民主党の大統領の中で、例外的にオバマを褒め称えているナイ。
 この点でもボクと同じです。(太田)
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太田述正コラム#6397(2013.8.18)
<日支戦争をどう見るか(その28)>
→非公開