太田述正コラム#6414(2013.8.27)
<皆さんとディスカッション(続x2003)>
<コラム#6169の訂正>
フライングタイガー→フライングタイガース
その部隊の日本軍への攻撃(d)、→トル
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<太田>(ツイッターより)
 スイスのチューリッヒ市が、街娼を禁止し、市営売春ドライブイン設置を決定。
 構内で物色後、周りから見えない囲いの中で買春者が乗って来た車上でコトに及ばせるってわけ。
 売春婦の安全等を確保するためだと。
http://www.bbc.co.uk/news/world-europe-23839358
 遊郭とは対蹠的だがこんなのもあっていい。
<唯我独尊>
 シリアのアサド政権が使用した化学兵器は非人道的兵器とされており、このほか核兵器、生物兵器なども非人道的とされています。
 殺戮を目的とする兵器に人道的なものがないことは明らかです。
 これらの兵器について規制が議論されているとは噴飯物です。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A6%8F%E5%88%B6%E3%81%8C%E8%AD%B0%E8%AB%96%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E5%85%B5%E5%99%A8
 これらの兵器を使用すると、首相、大統領、大臣、中央の役人たちまでも、生命の危険に晒されるから規制しようとしており、通常兵器では一般の兵士と民間人だけが犠牲になるだけなので、中枢部の人たちにとっては、通常兵器の規制など必要ないと考えているのでしょう。
 これは究極のエゴだと思われるのです。
<太田>
 何をおっしゃりたいのかよく分かりません。
 警官も拳銃や小銃(通常兵器)を持っちゃいけないんですか?
 化学兵器は禁止して核兵器は禁止しようとしないところの、米国等の核保有大国の「エゴ」(注)については、ご指摘の通りですが・・。
(注)このほか、化学兵器よりも威力の大きい通常爆弾を保有しているという、米国等の軍事大国の「エゴ」もある。
http://www.nytimes.com/roomfordebate/2013/08/26/is-an-attack-on-syria-justified/type-of-weapons-assad-uses-shouldnt-affect-us-policy
 1988年の英国防省の大学校への「留学」時に英陸軍の都市戦訓練場・・現在は自衛隊にもある・・を見学しましたが、訓練の最重要項目の一つが、人影を発見しても反射的に射撃せずに、一瞬でゲリラやテロリストと一般住民(や友軍)を見分けることでしたよ。
 それは当然のことだし、都市戦だろうが田舎での戦闘だろうが、一般住民に被害(コラテラルダメージ)ができるだけ及ばないように、兵器の種類や爆薬量が選ばれるべきことも当然でしょう。
 以下のやりとりもご覧ください。
<黒澤>(ツイッターより)
≫ 時には戦争をしなきゃならないってことを理解して欲しいね。≪(コラム#6412。太田)
 正直な気持ちを言うと、こういう人は日本にいて欲しくない。
<太田>
 ちゃんと、以下のようなことを考えたかい?
 国内法と違って国際法においては、法違反行為を正すための強制的執行を認めないわけ?
 (国内法違反行為を正すための強制的執行を認めない、つまりは警察を認めないっちゅうんなら、以下を読む必要はないよ。)
 認めないんなら、国際法に規範性を求めない、ということになる。
 他方、国際法においても法違反行為を正すための強制的執行を認めるのなら、この強制的執行に日本が(後出の点をさておき)直接的に関与すべきでない理由を提示しなければならない。
 その理由が提示されたとして、今度は、日本が、この強制的執行に直接的に関与している(関与することもある)米軍の日本駐留を認め、その駐留経費の相当部分を負担している、つまりは、強制的執行に間接的に関与していることを認めるのか否かを明らかにしなければならない。
 なお、国内法とか国際法とか関係ない法の一般原理だけど、正当防衛で実力を行使すること(強制的に正当防衛権を執行すること)が認められているが、キミはどんな場合でもこの権利をこんな形では発動しないのかい?
 自分の子供が殺されようとしている場合も?
 下掲の2篇のコラムも参照するといいよ。
 <アサドはついにやり過ぎた。↓>
 Not content to slowly exterminate his opposition and continue the massive depopulation of his country, Syrian President Bashar al-Assad apparently felt compelled to launch a blatant chemical weapons attack in a Damascus suburb that killed hundreds, if not thousands. ・・・
 <ユーゴスラヴィアのミロシェヴィッチやリベリアのチャールズ・テイラーやリビアのカダフィらの轍を踏んじゃった。↓>
 ・・・like former Yugoslav President Slobodan Milosevic, former Liberian President Charles Taylor, and former Libyan President Muammar al-Qaddafi — got so used to poking the great slumbering bear that is the United States and the international community without any response that he assumed he had absolute impunity to do whatever he pleased on the ground. ・・・
 <欧米の忍耐限界を超えてしまったということだ。何もしないでいることは欧米のためにならない。国際秩序の正統性をも掘り崩してしまう。↓>
 Assad’s great miscalculation is in not realizing that at some point the costs of inaction simply outweigh the cost of action for Washington and its allies. It does not serve the United States, the European Union, or anyone else well to be seen as feckless in the face of such horrors. It undermines the legitimacy of the international order and makes it more likely that other despots will employ similar tactics. ・・・
http://www.foreignpolicy.com/articles/2013/08/26/the_supervillain_syndrome_bashar_assad_syria?page=full
 <だけど、化学兵器の使用も、また、(厳密に言えば(太田)、)国連安保理で認められたものでない(シリアへの)軍事攻撃(・・自衛権の行使なら別(太田)・・)も、どちらも国際法違反であることに変わりはない。↓>
 ・・・The use of chemical weapons is unlawful in international law. But so is a military attack in response unless authorized by the United Nations Security Council.・・・
http://www.nytimes.com/roomfordebate/2013/08/26/is-an-attack-on-syria-justified/what-the-un-says-about-chemical-weapons-and-unauthorized-military-force
<globalyst>
≫そういうつもりで書いてくれてんじゃないだろうが、続けるだけなら並の人間どころかサルでもできるわさ。≪(コラム#6412。太田)
「才能とは、一瞬のひらめきやきらめきではなく、情熱や努力を継続できる力だ」。by 羽生善治
http://www.nhk.or.jp/professional/2006/0713/index.html
<CksucQuw>(「たった一人の反乱(避難所)」より)
 <vohaC8IMクン(コラム#6412)、太田さん>本人は日記を書いている感覚なのかね。↓
 「太田コラムはボクの日記を兼ねてるからねえ。でなきゃ、こんなに毎日続けられないさ。」(コラム#5101)
<ZmbUcUlg>(同上)
 アジアで走る日本の中古鉄道車両
http://kaigainohannoublog.blog55.fc2.com/blog-entry-910.html
 太田さんが言う所の日本人の人間主義が少しずつでも世界に伝わっているって事なのかな。
 いつか韓国や中国にも伝わる事を切に願う。
 <CksucQuwクン、>日記感覚で5年以上もの間まったく質を落とさずに続けてるのなら尚凄い。
 太田さんから学ぶ事は本当に多いな。
<太田>
 「最近では、廃車車両はタイ、フィリピン、インドネシアなどの東南アジア各国や、アルゼンチンやロシアなど海外諸国に譲渡され、日本での引退後も電車としての役目を果たし続けるケースが増えています。」(上掲)
 日本は狭軌なのに、どうやって海外で使用してるんだろ?
 車輪の幅だけ変えてるのかなあ。
<SK>
 太田さま、<コラム#6410で>ご意見ありがとうございます。
<太田>
 中共当局の統合失調症(コラム#6200)に回復の兆し、という表現もできそうですね。
<VsL5n8J50>(「たった一人の反乱」より)
 何らかの精神疾患だったようだけど、本人に治療を拒絶されると家族は難しいね。
 「とても辛そうな時が多く見られるようなった際には、病院で診察を受け、適切な治療を受けるよう勧めたことも多々ありましたが、このアドバイスは逆に、僕に対する不信感を抱かせることとなってしまいました。結果、本人が拒絶し続けた治療が成されないまま、彼女の苦しみは年を追うごとに重症化したものと思われます。」
http://www.emimusic.jp/hikki/from_hikki/ <(宇多田照實)>
<太田>
 「・・・出会った頃から彼女には感情の不安定さが見受けられましたが、心を病んでいるというよりも、類い稀な「気まぐれ」な人としか受け止めていませんでした。僕にとっては十分に対応出来る範囲と捉えていました。
 この感情の変化がより著しくなり始め・・・」(上掲)
 藤圭子(宇多田純子)は鬱じゃなくって双極性障害だった可能性が強いね。
 ボクが双極性障害の疑いが強いと直接伝えた二人の読者のうち、一人目は診察を受けてくれただろうか、二人目にはどうやったら診察を受けさせられるのだろうか。
 「保護者」達、ホント大変だねえ。↓
 「・・・5%の治療拒否や自傷他害の恐れのある患者さん・・・自傷他害の件数は少なく見れば0.2%。多めに見ても2%くらいです。・・・を抱える保護者の問題・・・。」
http://www15.big.or.jp/~frenz/ikehara.html
<Ki/pfmSI>(「たった一人の反乱(避難所)」より)
 <M3RULoXcクン(コラム#6408)、李明博が慰安婦の件で泣き落とし的なことしたけど、あれって、韓国政府(官僚)は法的には解決済みって承知してるからじゃない? 
 で、その韓国政府に対して無理を通せと言ってるのが韓国裁判所だよね。
<jVJ1jsA.>(同上)
 韓国政府(官僚)は法的には解決済みって承知しているわけではなく、日本政府が条約を盾に拒否しているから、そんな風に見えるだけ。
 国内では、爺さんが親日派だったというだけで、子孫の財産を没収しているくらいだから、法の解釈が日本とはまるで違う。
 そもそも、政府が法的には解決済みだと理解出来る頭があれば、苦労してない。
<ch9riU.k>(同上)
>韓国政府(官僚)は法的には解決済みって承知しているわけではなく、日本政府が条約を盾に拒否しているから、そんな風に見えるだけ。
 「第三者による「仲裁」」とは国際司法裁判所のことだろうけど、そこに持って行かないのは無理筋と分かっているからじゃないの。
 「韓国の司法が日本で注目されるようになったのは、2011年8月30日の憲法裁判所の判決である。憲法裁判所は、慰安婦問題において個人請求権の解釈をめぐって日韓の間で「紛争」(日韓請求権協定第3条第1項)があるにもかかわらず、韓国政府が当事者同士の「外交上の経路」(同上)や第三者による「仲裁」(第3条第2項)といった日韓請求権協定の規定通りに「作為しない」のは違憲であるとした。
 これ以降、大統領の対日外交政策は司法によって制約されるようになり、それまで歴史問題に対して微温的で、「親日」とも評価された李明博前大統領は、「責任ある措置」や「政治的な決断」を日本政府に対して求めるようになった。」
http://synodos.jp/international/5342
<太田>
 それでは、その他の記事の紹介です。
 米国留学中の日本女性が日本の初等中等教育を個性を押しつぶす、と激しく批判している。
 だけど、人間主義教育にはなってんじゃないの。
 人間主義と個性は本来両立するんだけどね。
 ま、なかなかむつかしい問題だけどな。↓
http://online.wsj.com/article/SB10001424127887323906804579036560001960816.html
 エジプトについてもそうだが、自由主義的独裁者の方が民主主義的ならず者よりマシだとさ。↓
 ・・・Better a liberalizing dictator than an elected thug.・・・
 <米国での黒人に対する制度的差別も東欧でのユダヤ人虐殺もヒットラーもスターリンも民主主義によって支えられていたことを思え、だと。↓>
 Jim Crow was supported by the majority; Eastern European pogroms were justified by the majority; Adolf Hitler was supported by the majority; Josef Stalin was revered by the majority. ・・・
 <ハマスだってそうだ。↓>
 Hamas was democratically elected in the Gaza Strip・・・
 <自由主義的独裁を経て台湾と韓国で徐々に自由民主主義化が進んだだって。
 その触媒となったのは全球的経済秩序への両国の統合だった。(後者は間違い。戦前の日本による統治の賜物。)↓>
 The military dictatorships of Taiwan and South Korea gradually evolving into constitutional democracies as a consequence of integrating into the global economic order are good historical examples.・・・
 <(筆者はイスラエルの学者だが、)軍部とイスラム同朋団のどちらがイスラエルとの平和を維持するかも考えなきゃならんとさ。(もっぱらこの点、つまり国益に即してどちらを支持するかを決めるべきさ。エジプト軍部が自由主義的独裁志向なのかどうか分かったもんじゃないからね。)↓>
 ・・・which faction would most likely be more rational and maintain the peace with Israel? ・・・
http://www.latimes.com/opinion/commentary/la-oe-bisk-back-egyptian-military-20130827,0,74754.story
 IBMの変遷を追いつつ、「株主価値最大化」イデオロギーが米国をダメにしたと指摘するコラムだ。村上世彰、堀江貴文らよ、よー読め。↓
 <米国じゃ企業は儲かってるけど、失業率は高く賃金は全然上がってない。↓>
 ・・・Across the United States, as companies continue posting record profits, workers face high unemployment and stagnant wages.・・・
 <株主価値最大化イデオロギーは自由市場を信奉する学者達によて70年代に導入され、経済界やメディアに採用された。↓>
 The belief that shareholders come first is not codified by statute. Rather, it was introduced by a handful of free-market academics in the 1970s and then picked up by business leaders and the media until it became an oft-repeated mantra in the corporate world.
 <その結果、企業は、国家・国民から切り離され、社員をレイオフし、賃金を低く抑え、海外移転を推進した。↓>
 Together with new competition overseas, the pressure to respond to the short-term demands of Wall Street has paved the way for an economy in which companies are increasingly disconnected from the state of the nation, laying off workers in huge waves, keeping average wages low and threatening to move operations abroad in the face of regulations and taxes.・・・
 <このイデオロギーはシカゴ学派から始まった。↓>
 Lynn Stout, a professor of corporate and business law at Cornell University Law School, traces the transformation to the rise of the “Chicago school” of free-market economists.
 <1970年にミルトン・フリードマンがタイム誌に載せた、企業の社会的責任は利潤を増大させることだ、というコラムがそれだ。↓>
 In 1970, Nobel Prize-winning economist Milton Friedman wrote an article in the New York Times Magazine in which he famously argued that the only “social responsibility of business is to increase its profits.”
 <次いで、1976年に、マイケル・ジェンセンとウィリアム・メックリングが、企業の役員は株主のために働くという論文を発表した。↓>
 Then in 1976, economists Michael Jensen and William Meckling published a paper saying that shareholders were “principals” who hired executives and board members as “agents.” In other words, when you are an executive or corporate director, you work for the shareholders.・・・
 <こうして、株価に連動した給与を約員達が受け取るようになり、所得格差がムッチャ大きくなった。↓>
 ・・・it helped spawn the rise of executive pay tied to share prices — and thus the huge rise in stock-option pay. As a result, average annual executive pay has quadrupled since the early 1970s. ・・・
http://www.washingtonpost.com/business/economy/maximizing-shareholder-value-the-goal-that-changed-corporate-america/2013/08/26/26e9ca8e-ed74-11e2-9008-61e94a7ea20d_print.html