太田述正コラム#7561(2015.3.24)
<皆さんとディスカッション(続x2576)>
<太田>(ツイッターより)
 「…日本では非処方薬は家庭薬、大衆薬とも呼ばれ、「人にやさしい」コンセプトが強調されている。日本で薬を大量購入する中国人にとって一番重要なのは、こうした優れた顧客向けの価値と体験なのだ。中国人消費者の意識向上にともなうニーズに、薬品はいつ追いつくことができるのだろうか。」
http://j.peopledaily.com.cn/n/2015/0323/c95909-8867255.html
 この話、WSJが報じてたけど( コラム#7549)、今回は参考消息(新華社)
http://cjjc.weblio.jp/content/%E5%8F%82%E8%80%83%E6%B6%88%E6%81%AF
が、中共の党員等にこのような記事で周知させ、彼らに対して、日本(の人間主義)を見倣え、と教え諭しているわけだ。
 「…日本の製造業に何か神秘的な秘密があるわけではない。…常に消費者の立場に立つこと、着実に実地調査を行うこと、孤独な研究・研鑽に耐え抜くことなのだ…<また、>一流の技術を備えたブルーカラー労働者の社会的地位が高いことが日本の製造業の強さの理由の一つだ。… しょう油、ラーメン、将棋などはいずれも中国で誕生したものだが、今では日本の商品や日本語の名称・言い方が欧米で広く知られている。このことはよく考えるべきだ…」
http://j.peopledaily.com.cn/n/2015/0324/c94476-8867401.html
 これも出所は新華社。
 人民日報と新華社は日本化戦略を発動した当局直轄の連合艦隊といったところか。
<太田>
 関連記事だ。
 無茶褒め?↓
 「民度の差? 国民性の違い?・・・中国「大媽」は大音量で屋外ダンス、日本女性は黙々とジョギング・・・
 上海紙「東方晨報」・・・は、ジョギングは「“忍耐力”と“意志力”を鍛えるのにうってつけ」であり、多くの日本人が黙々と走ることには「目標に到達するために耐える精神が根本にある」との見方を紹介した。・・・」
http://news.livedoor.com/article/detail/9922177/ 
 中身がないに等しい記事だが、有料読者は先刻ご承知の、私がこの前買った高級炊飯器、ついに完全に同じ条件での(同じメーカーの)並炊飯器との食べ比べ「実験」に成功したけど、依然、納得できなかったので、明日、新炊飯器を取りに来てもらって、検証してもらうことになった。
 その結果は1週間後までには出るので、どうなったか、報告するね。↓
 「中国人観光客が「爆買」する日本の炊飯器は何がスゴいのか・・・」
http://www.msn.com/ja-jp/news/money/%e4%b8%ad%e5%9b%bd%e4%ba%ba%e8%a6%b3%e5%85%89%e5%ae%a2%e3%81%8c%e3%80%8c%e7%88%86%e8%b2%b7%e3%80%8d%e3%81%99%e3%82%8b%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%ae%e7%82%8a%e9%a3%af%e5%99%a8%e3%81%af%e4%bd%95%e3%81%8c%e3%82%b9%e3%82%b4%e3%81%84%e3%81%ae%e3%81%8b/ar-AA9Uxu0?ocid=iehp#page=2
<檸檬歌曲>
≫アドラー心理学については、前に読者が取り上げたことがあったね。しかし、この本の内容は人間主義奨励のような感じだ。欧州人の説の紹介の体裁だからこそ韓国でベストセラーたりえたのかしら。誰か、説明してくんない?→「<日本人2人が書いた>日本のベストセラー『嫌われる勇気』が韓国でもバカ売れ・・・アドラーの心理学<を>紹介した<もの>。・・・「人生は他者との競争ではない」「人の期待を満たすために生きてはいけない」「自分という存在は大事、平凡な自分を認めて今をまじめに生きる」というメッセージ<が盛り込まれている。>・・・」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20150317/278808/?n_cid=nbpnbo_mlt&rt=nocnt ≪(コラム#7549。太田)
 以前、アドラー心理学を取り上げた者です(「皆さんとディスカッション(続×2256)」(コラム#6920)に掲載)。
 「嫌われる勇気」は目を通しましたが、仰る通り人間主義奨励の本だと思います(そんな気がしたので試しに読んでみたら予感が的中し、嬉しくなって前回の投稿に至ったという流れです)。
 では、本家アドラー本には何が書いてあるのだろうと何冊か覗いてみると、至る所に人間主義的なセリフが散りばめられているものの、全体としては、あまり体系だって書かれていないように感じました。
 「嫌われる勇気」は、私の理解では、そんなアドラー本から人間主義的なセリフを拾い集めてきて、体系だった人間主義奨励の言説となるよう再構成された(筆頭著者である岸見一郎が再構成した)本だと思います。
 そういう意味では、まさしく太田さんが言われるように「欧州人の説の紹介の体裁」であって、欧州人の説そのものではなく、実態は日本人たる岸見一郎(問答形式で進む同書内ではソクラテス役)の考え方が記された本と言っていいと思います。
 欧州人の説の紹介の体裁「だからこそ」韓国でベストセラーたりえたのかどうかまではわかりません。
 しかし、その可能性はあると思います。
 論理的かつ気軽に読みやすい本ですが、日本人・岸見一郎が前面に出ていたら、これほどまでに韓国で共感を集めたかどうか。
 私は長年の太田コラム読者であり、その結果として、過去の歴史理解や人類世界の未来のために「人間主義」が決定的に重要なキーワードだという認識を持つに至っています(だからこそ、書店で見かけた「嫌われる勇気」の宣伝文句にピンときて試し読みをしたのです)。
 今回の韓国での受け止められ方が示唆するように、アドラー心理学という「体裁」をとれば(「人間主義者」に便宜上「アドレリアン(アドラー学徒)」という訳語を当て、岸見一郎的な説明を施せば)、人間主義というものが、世界でより広範に共感を得られる可能性があるように思います。
<VPEdCp3A>(「たった一人の反乱(避難所)」より)
≫誰でもいいから、どこが非論理的か指摘してごらん。≪(コラム#7559。太田)
 「軍隊は女性を守らない」どころか、「軍隊は女性に性暴力を強制する」ってところかな?
 男性被害者もいる時点で成り立ってないし。
 さらに女性を『後方支援』処か『最前線』に出すななんて、そりゃ男性差別なんじゃね。
 いわゆるPTSDになる兵士に男女関係ないし。
 『アメリカスナイパー』↓には帰還兵の苦悩が描かれてる。
http://wpedia.mobile.goo.ne.jp/i/wiki/%83A%83%81%83%8A%83J%83%93%81E%83X%83i%83C%83p%81%5B/?guid=ON
 ついでに軍隊の自殺率を一般人と比べちゃ駄目でしょ。
 厳しい訓練と有事にさらされれば自ずと上がって当然。
 最後の「軍隊は国民を守らない、軍隊の存在が国民の安全を脅かす」については最早絶句。
 だって軍隊及び「準」軍隊もってない国なんて実質的にないよ。
<sUH4zwcQ>(同上)
 軍隊云々以前に、アメリカ一般の強姦事件が多すぎるんじゃないの?↓
 「全米で無作為抽出した約1万人の女性に電話アンケートを行ったところ、18.3%が「強姦されたことがある」または「強姦されそうになったことがある」と回答し、また加害者との間柄については、被害を受けたと回答した女性の過半数を占める51.1%が、「親密なパートナー(現在・過去の恋人や配偶者)」と回答した。次いで多かったのが「知人」(40.8%)だった。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BC%B7%E5%A7%A6#.E3.82.A2.E3.83.A1.E3.83.AA.E3.82.AB.E5.90.88.E8.A1.86.E5.9B.BD
<太田>
 私が感じた非論理的な部分(適宜)は以下の通り。
一、米軍内での性的攻撃が増えているのは、被害を申告し易くなったからにすぎず、イラク戦やアフガニスタン戦は何の関係もない。
http://en.wikipedia.org/wiki/Sexual_assault_in_the_United_States_military
 その異常な高さについては、志願制下における米軍兵士の平均的な質の低さによる、と想像される。(米国人の平均的な質の低さの更に「下」澄み。)
二、太平洋戦争における(徴兵制下の)日米兵士のPTSD発症率の違いは正戦意識の有無によるのではないかというのが私見。(コラム#略)
 イラク戦やアフガニスタン戦における米軍兵士のPTSD発症率の高さ、及び、それと強い関係を有すると想像される自殺率の上昇、も同じ原因による、と見るべきだと思う。
三、自衛官の自殺率は、前にも(コラム#7417で)話題になったように、そもそも一般国民に比して1.5倍と高い・・その原因についての私見もその折記した・・わけだが、イラク派遣自衛官の自殺率が一般国民に比して14倍であるという数字が正しいとして、その原因については判断は留保したい。
 ただ、イラクの人々を一人も殺しておらず、自分達も一人も戦死していない以上、イラク派遣自衛官の自殺の増加がPTSD発症によるとは考えにくいものがある。
四、いずれにせよ、以上と、女性を兵士として第一線に投入することの是非とは何の関係もない。
五、「軍隊は国民を守らない、軍隊の存在が国民の安全を脅かす」に至っては、軍隊についての最低限の知識すら欠いている、と言わざるをない。
 何度も指摘しているように、軍隊は、(警察活動なる非軍事的活動に従事する場合はともかく、)主権を守るのであって、自分達の個々の兵士はもとより、国民を守るものでは全くないからだ。
<太田>
 それでは、その他の記事の紹介です。
 沖縄の皆さん、今度こそブレずに徹底抗戦して、米海兵隊を沖縄から叩きだし、解隊させようね。↓
 「海底ボーリング調査の停止指示 翁長知事、沖縄防衛局に・・・」
http://digital.asahi.com/articles/ASH3R5DZJH3RTPOB007.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASH3R5DZJH3RTPOB007
 台北タイムス、こんな、無知なアメちゃんのコラムを載せちゃダメだろが!
 (靖国神社にA級戦犯が「埋葬」されてるだとさ。)↓
 ・・・ Sherman’s criticism could also be leveled against Japan. Japanese Prime Minister Shinzo Abe has rarely missed an opportunity to provoke Japan’s Korean critics, whether by visiting Tokyo’s Yasukuni Shrine, where the “souls” of 14 “Class A” war criminals are interred,・・・
http://www.taipeitimes.com/News/editorials/archives/2015/03/24/2003614266
 そんなところじゃないかとは想像されるが、実証研究してちょーだい。↓
 「・・・農民であった家からも苗字を記載した古文書が出てきます。
公の行政文書(たとえば、宗門人別帳、役所への陳情書など)には、はばかって苗字は書きませんでしたが、内々の契約書類などには苗字が書かれているものがあります。
たとえば、分家をする際に本家と分家の間で交わす契約書の中に苗字や家紋を譲るという内容があったりもします。・・・」
http://azby.fmworld.net/gpp/cs/article/204223/?mc_pc=mctnews_area&ctno=150320587444
 スタジオジブリが英国の子供向け物語を原作にしたアニメをこれまでに3本(Tales from Earthsea、Howl’s Moving Castle、Arrietty)作っているところ、今後、作ってもらいたい原作を各方面から提案させている記事だ。↓
 <このくだり、ジブリ・アニメに対する最高級の賛辞だな。(ディズニーをこき下ろしてるところがニクイ。)↓>
 ・・・The gorgeous handmade art, the commitment to character-led stories rather than conflict, the effortless blending of the mystical and mythical with the everyday mundane: it all speaks to our sensibilities in a way that Hollywood seldom does.・・・
http://www.theguardian.com/childrens-books-site/2015/mar/23/childrens-books-adaptations-studio-ghibli-animation
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太田述正コラム#7562(2015.3.24)
<「個人」の起源(続)(その4)/私の現在の事情(続x56)>
→非公開