太田述正コラム#7633(2015.4.29)
<皆さんとディスカッション(続x2612)>
<太田>(ツイッターより)
 「…わが国民は誤解している!…日本は多くの点で今なお中国をはるかに上回る実力を持っていることを知るべきだ…」
http://www.msn.com/ja-jp/news/world/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E3%80%8C%E5%AE%9F%E5%8A%9B%E3%80%8D%E3%81%AF%E3%81%99%E3%81%94%E3%81%84%EF%BC%81-%E7%B5%8C%E6%B8%88%E3%82%84%E7%A7%91%E5%AD%A6%E6%8A%80%E8%A1%93%E3%83%BB%E3%83%BB%E3%83%BB%E3%80%8C%E3%82%8F%E3%81%8C%E5%9B%BD%E6%B0%91%E3%81%AF%E8%AA%A4%E8%A7%A3%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%EF%BC%81%E3%80%8D%EF%BC%9D%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2/ar-BBiKEQf?ocid=iehp#page=2
 こんなんもあったんだね。↓
 「日本人の能力は「世界でも飛び抜けた高さ」…」
http://news.searchina.net/id/1554521?page=1
他方、阿Q性が抜けきらず、何年経っても・・部分的には正しいことを言っているが、・・分からないご仁もいる。↓
 「日本に来て失望、中国よりも社会主義の国だった–行き過ぎた「平等」は社会の活力を失わせる…」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43619
 中共当局の苦労が偲ばれるである。
 「…日米共同声明…は「広島及び長崎の被爆70年において、我々は核兵器使用の壊滅的で非人道的な結末を思い起こす」と訴えた。」
http://www.asahi.com/articles/ASH4Y0J1KH4XUTFK01R.html?iref=comtop_list_pol_n01
 日本への原爆投下は「壊滅的で非人道的」であったことを米国政府が認めたわけだが、オバマ、よくそこまで踏み込んだね。
<CVMIKK0G>
 日中戦争は陸軍を敵視する海軍の山本五十六らが海軍予算の拡大を目論み、計画的な謀略によって起こした侵略戦争だとする、これまでにない歴史認識の書籍が出ますので紹介します。
 まったくこの通りだと思いますので。
  「海軍の日中戦争」–日米開戦への破滅のシナリオ 笠原十九司著
 日中戦争から日米開戦に陸軍を引きずり込んだのが実は海軍であった事実を解明し、海軍善玉論の通説を実証的に覆す衝撃作。
http://www.heibonsha.co.jp/book/b198992.html
★日中戦争は山本五十六と米内光政が海軍予算拡大のために引き起こした戦争である
 『■山本は「頭の固い鉄砲屋の考えを変えるには、航空が実績をあげて見せるしか方法はない」と海軍青年士官に語っていた。
 そう 日中戦争の開始は、海軍次官の職位にあった山本五十六中将、海軍軍務局長井上成美少将、第二連合航空隊司令官大西瀧治郎大佐であった。
 なお 山本の海軍次官は、1936年12月~1939年7月 この間に1938年4月~11月まで航空本部長を兼務する。』
 『■この「航空が実績をあげる」絶好の機会となったのが前記の1937年8月の第二次上海事変だったのである。
 この前年の1936年、海軍航空戦略にとって画期的な年となる。
 この年、山本が海軍航空技術長の時に構想・開発させた長距離爆撃機「九六式陸攻(搭乗員5名 最高速度370キロ 航続距離4380キロ 世界に誇る最優秀機)が完成したのである。
 『■完成したら実戦に使用してみたい 試してみたい。この喉から手が出るほどの欲求は軍人となれば当たり前のこと、この完成時に海軍航空本部教育部長だった大西(山本次官の誰もが認める腹心)が、その実用化を説くは当然のなりゆき・・
 大西が上海事変直前の37年7月に発表した「航空軍備に関する研究(海軍の航空兵力を海戦とは独立して陸上の戦略爆撃に使用するとの事)」そして事変の勃発、大西は直接にその戦力を使用できる位置にいた。
 『■上海戦が開始された8月13日の夜、米内光政海相は、近衛文麿首相に臨時閣議を開催させ、財政問題を持ち出した賀屋興宣蔵相を怒鳴りつけまでして陸軍の上陸派兵を決定させ、さらに14日の閣議において、戦争の全面拡大を主張(東京裁判、米内の最大の危機)南京占領が必要であることまで口にした。』
 『■そして米内海相は、8月15日の午前一時半との異常な時間に、近衛内閣に「支那軍の暴戻るを膺懲して以て南京政府の反省を促すため断固たる措置をとる」という帝国声明を発表させ、8月14日深夜11時30分に、賀屋航空隊(台湾 台北基地)と木更津航空隊(長崎 大村基地)に対して「明早朝発進 それぞれ南昌 南京を空襲せよ」という命令が出されたことからして、8月15日に決行を予定していた海軍の南京渡洋爆撃に大義名分を与えるシナリオであったと考えれば、 米内海相が「海軍としては必要なだけはやる考えである」と激昂してまで強硬論を主張して声明を発表させるために焦燥したことに合点がいく』
 『■37年9月に開催された臨時帝国議会で海軍は海軍航空部隊のこの華中・華南の航空戦闘実績を強調して、念願の航空兵力を拡充するための予算を要求して、海軍臨時軍事費四億円が認められ「軍艦ではなく飛行機で」予算獲得に成功した。
 さらに38年度予算では、海軍臨時軍事費が前年度の約3倍近い増額となった。』
 盧溝橋事件を日中全面戦争の好機と見た山本五十六はすかさず部下の大西に、都市無差別爆撃計画の宣伝資料を作らせ配布させた。
 そして海軍はこの通りに大儀もなくいきなり中国無差別爆撃を開始した。
 それがこれ
「航空軍備に関する研究」
「純正空軍式航空兵力の用途は、陸方面においては、政略的見地より敵国政治経済の中枢都市を、また戦略的見地より軍需工業の中枢を、また航空戦術見地より敵純正空軍基地を空襲する等、純正空軍独特の作戦を実施するほか、要する場合は敵陸軍の後方兵站線、重要施設、航空基地を攻撃し陸軍作戦に協同するにある」
 海軍は中国都市爆撃計画をこのように、政府の停戦交渉など無視して8月14日の第二次上海事変が始まる以前に、すでに作戦を開始している。
 7月11日に、海軍は木更津航空隊と鹿屋航空隊の2隊で第1連合航空隊を新設し、司令部は鹿児島県の鹿屋基地に置かれました。
 木更津航空隊、鹿屋航空隊ともに、前年の昭和11年に陸攻(陸上攻撃機)を中心とする初の航空隊として設置され、当時の装備機種は、両航空隊とも九六陸攻(中攻)常用18機(鹿屋空には戦闘機隊も別にある)でした。
 以下、作戦・戦況の大まかな流れです。
 7月中旬 中国本土の攻撃用地図が完成
 8月5日 鹿屋基地にて作戦発動
 8月8日 第1連空司令部は、鹿屋空とともに台湾の台北基地に移動
 8月14日 鹿屋空の中攻隊が、台北基地から台湾海峡を越えて中国本土の杭州、広徳を空襲(渡洋爆撃)
 8月15日 木更津空の中攻隊が、長崎県の大村基地から、東シナ海を越えて中国本土の上海を空襲(渡洋爆撃)
★日中戦は山本五十六が勃発させ、泥沼化させた戦争である
■米内海相、山本五十六次官の体制の海軍は陸軍が進めていた日中停戦交渉(船津和平工作)をぶち壊すために大山大尉事件を捏造し勝手に中国無差別爆撃を強行。
 無理やり、日中間を全面戦争に突入させた。
 山本五十六の目論みは海軍の利権拡大、予算の獲得が目的で、新たに開発した陸上攻撃機の大量の配備。
 その宣伝のため、日中間の停戦交渉を妨害するために渡洋爆撃(南京無差別爆撃)は強行されたと考えられる。
 第二次上海事変を口実に(船津和平工作などから見て停戦は十分可能だった)
都市無差別爆撃を強行し、全中国国民を抗日で一致団結させてしまい 、国際社会からも孤立した。
海軍次官・山本五十六が主導したと考えられる南京無差別爆撃の結果
・米国大統領が歴史上初めて日本を批判(隔離演説)
・国際連盟は海軍による都市無差別爆撃に対し非難決議を採択。日本の不戦条約違反を非難。
・国共合作がついに実現。バラバラだった全中国人が抗日で一致団結する。
・蒋介石夫人がアメリカ議会で日本の無差別爆撃、不戦条約違反を非難。 水面下でアメリカの対中支援開始。
 以後、海軍省記者クラブ(山本五十六が育てた戦争宣伝組織)を利用して山本は徹底して国民に新聞で中国討伐を煽りまくり陸軍参謀本部の日中停戦工作(船津和平工作、トラウトマン工作)をことごとく妨害し潰した。
 山本五十六は記者クラブ(黒潮会)を利用し、 新聞社を戦争扇動機関に育てた日本の先駆者である。
★海軍による謀略疑惑
 『大山勇夫の日記』に見る謀略の証明
 日記は、事件前日の8月8日で終わっていて、その日のところに大山中尉の遺髪と、出征に際してお母さんが贈ってくれた半紙大の絹布で作った千人針と、絵葉書が挟まれていた。
 その絵葉書には「自分が明日、突撃して死ぬ」という覚悟と、恋人のことが書いてありました。
 つまり、大山中尉の遺書になります。
 おそらく、8月8日に、「お国のために死んでくれ」という「口頭密命」を受けた。
 8月8日の夕食後、書類整理をして、自分で書類焼却を行い、身辺整理を済ませ、最後には風呂に入って、襦袢と褌を新しいものに着替えた。
 最後には風呂に入って、襦袢と褌を新しいものに着替えた。
 翌日の「死」を覚悟していたことが分かる。
 事件当日の8月9日には、起床後、浴室において冷水で身を清めた。斎戒沐浴である。
 武士道で言えば、死を覚悟しての出陣・自害の儀式である。
http://blogs.yahoo.co.jp/satoatusi2006/39441766.html
 ざっとこんな感じ。
<太田>
 まず、一番最後の「海軍による謀略疑惑」のところは、笠原十九司の本とは無関係であり、しかも、内容的にガセですね。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E5%B1%B1%E4%BA%8B%E4%BB%B6
 筆者はあなた?
 で、笠原の本の部分ですが、その本、内容的に、陸軍悪者論を海軍悪者論で置き換えただけの代物じゃあないですか。
 そもそも、その本にも、海軍が「大山大尉事件を捏造」と書いてあるようだから、それだけで、その本は、ガセの寄せ集めってことですよ。
 ところで、笠原十九司(1944年~)って、「東京教育大学文学部卒業。・・・2009年・・・東京大学学術博士・・・1999年より南京師範大学南京大虐殺研究センター客員教授、2000年より南開大学歴史学部の客員教授を務める。・・・日中戦争初期に起きたとされる南京大虐殺研究者の1人。南京大虐殺紀念館の虐殺犠牲者を三十万人以上とする見解は根拠がなく過大に見積もられているとするものの、少なくとも十万人以上の虐殺があったとする立場をとる。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%A0%E5%8E%9F%E5%8D%81%E4%B9%9D%E5%8F%B8
ちゅう人なのね。
 南京事件で10万人・・但し、捕虜・・殺したってのは十分ありえるけど・・。
<太田>
 それでは、その他の記事の紹介です。
 今回の安倍訪米については、晩餐会のメニューが日米融合的なものだってのが大きな話題になってるね。
 朝日にも出てたが、米紙も取り上げている。
 メニューについては、直接あたって欲しいが、そもそも、外国の賓客を交えた公式晩餐会がホワイトハウスでどれくらい行われているものなのかが、記されている。↓
 ・・・The president has hosted fewer state dinners than most other recent administrations. Though Mr. Obama often meets with foreign leaders at the White House, he rarely hosts a full state visit that includes a dinner. More often, Mr. Obama opts for working lunches, or Oval Office visits. Mr. Abe’s visit is only the president’s 8th state dinner. Former President George W. Bush hosted fewer–six–while other former presidents hosted many more. Bill Clinton hosted 23, George H.W. Bush hosted 21, and Ronald Reagan held 35 state dinners.・・・
http://blogs.wsj.com/briefly/2015/04/28/5-things-about-obamas-state-dinner-for-japan/
http://time.com/3837414/state-dinner-japan-shinzo-abe/
 komuro手製スピーカーと形が全くおんなじだ!↓
 「エムズシステム Kagee アンプ内蔵型モバイルスピーカー・・・」
http://sankeishop.jp/shopdetail/000000002562/?utm_source=sankei.com&utm_medium=house%20ad&utm_term=%E3%82%A8%E3%83%A0%E3%82%BA%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0%20Kagee%20%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%97%E5%86%85%E8%94%B5%E5%9E%8B%E3%83%A2%E3%83%90%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%BC&utm_content=sankei.recbox&utm_campaign=durasite_20150427
 こんな愚論説を載せるとは、まともになりつつあると思ってた朝鮮日報を過大評価したかな。↓
 「日本の無責任と不義、韓国の読み違いと政策ミス–ゆがんだ日本を正すには、外面的な外交から積極外交への転換が必要・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/04/29/2015042900463.html
 大気汚染が無理やり改善された、北京五輪開催中に妊娠していた女性達の子供達の体重が、他の子供達よりも大きく、かつ、健康なんだとさ。↓
 ・・・women who were pregnant during the 2008 Beijing Olympics — when aggressive measures by the Chinese government over a seven-week period significantly reduced air pollution — gave birth to heavier and presumably healthier babies.・・・
http://blogs.wsj.com/chinarealtime/2015/04/29/benefits-of-breathing-beijings-olympic-babies-born-heavier-study-finds/
 シリアのアサド政権の軍は弱体化し、ヒズボラにおんぶにだっこ状態だとさ。↓
 ・・・The erosion of the <Syrian> army is forcing the government to rely ever more heavily on Syrian and foreign militias, especially Hezbollah・・・
http://www.nytimes.com/2015/04/29/world/middleeast/an-eroding-syrian-army-points-to-strain.html?ref=world
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 旗日なので臨時一人題名のない音楽会をお送りします。
 倍賞千恵子で、これまで取り上げていないものがかなりアップされてきているので、この機会にまとめてご紹介しておきます。
ゴッドファーザー・愛のテーマ 作詞:? 名曲
https://www.youtube.com/watch?v=MiN4BJuOBQs
トロイカ 名曲 作詞:? 名曲
https://www.youtube.com/watch?v=PT6xlhqZs9o
岩尾別旅情 作詞作曲:さとうむねゆき 名曲
https://www.youtube.com/watch?v=rGUg2n7PHNc
涙の渡り鳥 作詞:西条八十 作曲:佐々木俊一 佳曲
https://www.youtube.com/watch?v=oDOGxErL4XY
かりそめの恋 作詞:高橋掬太郎 作曲:飯田三郎 佳曲
https://www.youtube.com/watch?v=pfV9STGTEwk
春の舞妓 作詞:萩原四朗 作曲:大久保徳二郎 名曲
https://www.youtube.com/watch?v=85swejvzj7A
むらさき小唄 作詞:佐藤惣之助 作曲;阿部武雄 名曲
https://www.youtube.com/watch?v=1nql2TMr_Og
約束のポプラの下で 作詞:十津川光子 作曲:林伊佐緒 まあまあの曲
https://www.youtube.com/watch?v=PH_Z6_Wsrq8
この道歩めば 作詞:窪田忠香 作曲:鈴木道明 まあまあの曲
https://www.youtube.com/watch?v=KaYT6tOrj24
砂丘の雪 作詞:水島哲 作曲:三橋美智也 まあまあの曲
https://www.youtube.com/watch?v=WP102w82CJU
恋人なんてめんどくさい 作詞:サトウ・ハチロー 作曲:小川寛興 まあまあの曲
https://www.youtube.com/watch?v=-VhpoayPw_g
いい日旅立ち 名曲 コラム#6730でリンク切れだったのでここで収録しておく。
https://www.youtube.com/watch?v=WgDpQEC5pOI
愛されて 作詞:? 作曲:? まあまあの曲 同上
https://www.youtube.com/watch?v=A9fbxAJSwYk
寒椿 作詞:麻生香太郎 作曲:小六禮次郎 佳曲
https://www.youtube.com/watch?v=xyrrbg5nOdE
早春賦(1913年) 作詞:吉丸一昌 作曲:中田 章 名曲
https://www.youtube.com/watch?v=A5ndbR6otcU
とまり木 作詞作曲:下村明彦 佳曲
https://www.youtube.com/watch?v=1zH5yLvTn5M
 下掲については、後でその存在に気付き、ボリューム的に別の機会に紹介を回そうと一旦は思ったが考え直した。
 彼女自身が語っているところによれば、彼女が大好きな歌ばかりらしいからだ。
 実際、まことに素晴らしい!
 (「忘れな草をあなたに」から始まり、「忘れな草をあなたに」で終わる。)
倍賞千恵子リサイタル(1971年渋谷公会堂にて) 
 うち新アップは、出船・水色のワルツ・島原の子守唄(全て名曲)
https://www.youtube.com/watch?v=H39a8k3DBlU
 うち新アップは、風は水色・生きる・からすと枯木とかれいともぐらと恋人とそして幸せの歌(唯一の駄作)
https://www.youtube.com/watch?v=4IUsUCqGpj8
 残念ながら、リンク切れになってしまったものを掲げておく。
チコ街をゆく コラム#6730でリンク切れだったものが復活していたがまたリンク切れ!
https://www.youtube.com/watch?v=KbYziG3z210
二人で胸を張れ♪ 倍賞千恵子・勝呂誉 リンク切れになってしまった。
https://www.youtube.com/watch?v=G2PXKcW45_8
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太田述正コラム#7634(2015.4.29)
<『日米開戦の真実』を読む(その8)>
→非公開