太田述正コラム#7663(2015.5.14)
<皆さんとディスカッション(続x2627)>
<太田>(ツイッターより)
 「米…上院…大統領に通商交渉権限を一任する…法案の審議入りに必要な動議を…民主党<内の造反で>否決<。TPPの先行きに暗雲が>…」
http://mainichi.jp/select/news/20150514k0000m020046000c.html
 共和党のせいで政府閉鎖に追い込まれたと思いきゃ今度は民主党だとよ。
 いい加減、議院内閣制に変えなよ!
 「…一国の国防相が公開の席で一瞬眠気に襲われ、また権力者に意見したという理由で公開処刑されるというまさに想像をはるかに超越した国は、世界で北朝鮮以外にないだろう。
 また玄永哲氏の処刑に使用された高射砲は、14.5ミリの機関銃4丁を1つにまとめた対空用の火器であるため、これが至近距離が放たれたとすれば、玄永哲氏の体は完全に粉々になったはずだ。…
 「処刑される人物の同僚や部下はもちろん、その家族も全てその場に同席させ、直接目撃させている」「火炎放射器を使って遺体を焼き尽くし、その痕跡をなくすこともある」…
 処刑に同席する場合はうなだれたり涙を流したりしてはならず、執行後は感想を書いて提出しなければならない。…
 金正恩<が>…これまで銃殺した…幹部はすでに70人以上に達している。…」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/05/14/2015051401118.html
 金正恩、妄想症の精神障害者で確定だ。
 殺されたくない幹部や殺された幹部の遺族が早晩必ず立ち上がる、と信じたい。
<太田>
 関連記事だ。↓
 「・・・玄氏の粛清を金正恩氏のロシア訪問が実現しなかったことと関連づける見方もある。玄氏は先月、ロシアを訪れ、セルゲイ・ショイグ国防相と会談するなど、金正恩氏のロシア訪問の調整に当たっていたとされる。」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/05/14/2015051401068.html
 「・・・玄氏の処刑情報<は、>・・・「まだ記録映像に玄氏の姿が残っている上、北朝鮮当局が発表しないため、確実ではない・・・北朝鮮当局が金正恩体制に問題が生じていることを隠すため、玄氏の処刑を秘密にしている可能性がある。記録から痕跡を消すにはやや時間がかかるのではないか・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/05/14/2015051401088.html
 「・・・金第1書記の叔父・張成沢(チャン・ソンテク)朝鮮労働党行政部長も金第1書記が原稿を読み上げている最中にきちんと正面を向かずに座り、別の所を見たり上の空で拍手をしたりしていたなどの理由で処刑された。・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/05/14/2015051401072.html
 「「血の粛清」件数、金第1書記は父・金正日総書記の7倍・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/05/14/2015051401078.html
 ちなみに、「・・・国家情報院は・・・北朝鮮・朝鮮労働党の金正恩・・・の叔母に当たる金敬姫(キム・ギョンヒ)氏の毒殺説について「根拠がない」と指摘した。・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/05/14/2015051401209.html
 ついでに「関連」記事だ。
 まず、朝鮮総連、つぶそうぜ。↓
 「総連「秘密資金=マツタケ利権」カラクリ判明・・・」
http://www.sankei.com/affairs/news/150514/afr1505140008-n1.html
<UN3Cgg5k>(「たった一人の反乱(避難所)」より)
 SF作家 山本弘先生の「日本人のモラルが昔から高かったと思うな」「日本人のモラルは昔より格段に向上している」
http://togetter.com/li/820665
 「中国人観光客のマナー云々の問題は、先づ中国人がお金を持ち出してからそんなに経っておらず、外国に行くこと、異文化に触れることに慣れていないことから生じていて、それは日本人が数十年前に同じ道を通ってきたのであって、中国人の性質に拠るものではないのだが、」
 「確かに70年代あたりは日本人観光客のマナーの悪さが問題になっていた。筒井康隆氏が「農協月へ行く」(1973)という風刺SFを書いたぐらい。」
 「実際80年代くらいまでは街中での立ち小便をよく見かけた。昔の日本人庶民の民度は決して高くない。民度が高くなったのは社会が豊かになってから。」
 「ちなみに1960年の日本の列車の風景。思わず「インドか!」とツッコミたくなるけど、ほんの半世紀前はこうだったんだよ。
https://www.youtube.com/watch?v=q46dgvSsUhM
 昔の日本人も今の中国人とさほどモラルは変わらなかった、というこれらの証言を読むと、太田さんが最近紹介している、中国メディアによる日本の民度を見習わせようという一連の自国民向けの啓蒙記事の多くは、単に日本社会が中国社会よりも数十年先に成熟したという時差の問題であって、日本人が時代を越えて人間主義だったという事とはあまり関係ないようにも思えるのですが如何でしょうか。
<C4f008k6>(同上)
 人間主義かつモラルがあったから日本の植民地統治は成功したんじゃないの。
 戦後日本のモラルハザードは経済発展しか考えてなかったために、物欲に支配されただけでは。
<w0va5QqI>(同上)
>昔の日本人も今の中国人とさほどモラルは変わらなかった、というこれらの証言を読むと、<(UN3Cgg5k)
 典拠としての価値があると思しき記事のリンクが、チミの「典拠」にあったよ↓
 「伝統建築が専門の京都美術工芸大学の丸山俊明教授は<、「立ち小便の防止用」の小鳥居が普及したのは、>「明治時代以降のものでは」とみる。江戸時代、排せつ物は肥料として売買され、収集のため街角に公衆便所として桶(おけ)が置かれていた。明治になると衛生面の問題から撤去されたため、街角で用を足す輩(やから)が急増したそうだ。」
http://www.nikkei.com/article/DGXNASIH2100D_S4A120C1AA1P00/
 立ち小便の類は、モラルの問題ではなくて公衆便所(下水道システム)等のハードウェアの普及率等に類する問題では?
 後ちなみに、中国で小便鳥居の類のものって、効果あると思う?
 この類のものが効果があることそのものが、モラルが高い証拠では?
 (類似の物って外国にもあるのかな?教えてエロい人!)
 新華ニュースちゃん、いい仕事するね↓
 「米国UPI通信の<2015年3月>16日付の報道によると、ところかまわず立ち小便をする人への対応に向け、アメリカ・カリフォルニア州サンフランシスコ政府は公共の建物の壁に撥水塗料を塗った。
 サンフランシスコ市政工事担当は「我々は立ち小便の被害を受けた地域の10カ所の壁でこうした塗料をテストしている。壁に立ち小便すれば、こうした塗料は小便を跳ね返し、そのズボンに飛び散る。それにより、立ち小便に対応する」と語った。
 ドイツ・ハンブルクではこの方法を採用している。スタッフは塗料を塗った壁の表面に「ここは小便禁止、違反する者には仕返しする」と、注意書きを貼った。
(翻訳 李継東)」
http://www.xinhuaxia.jp/social/64533
 オマケ↓
 世界の「立ちション」に対する警告がすごいことになっていた
http://matome.naver.jp/odai/2140990545498767301
 フランスの立ちション事情
http://monpetitchou.jugem.jp/?eid=391
<太田>
 太田コラム読者の間では、セックスの話題とは違ってスカトロの話題は盛り上がるよーだね。
 さてと、UN3Cgg5kクン、立小便なんて、民度やモラルと何の関係もないわさ。
 日本じゃ、かつて、女性だって立小便してたんだぜ。
 「「女の立ち小便」が、日本においては近世から第2次世界大戦後1970年代まで、それほど珍しい習俗習慣ではなかった。・・・
 労働着としての着物は、スカート式に下半身を巻いているが、前で合わせて腰帯で留めているだけなので、容易にはだけたり、捲りあげたりすることができる。・・・
⇒ここまでは、女性の立小便の話。
 以下は、女性の立小便の形での便器への小便の話。(太田)
 田舎で一般的であるだけでなく、都会である「京大阪」でも多<かった。>・・・
 どうやら、近世の「便所のあり方」と「肥料としての人糞尿」という問題にぶつかるらしい・・・
⇒要するに、江戸時代の都会では、小便も大便と一緒に、肥料として用いられたということ。(太田)
 江戸では女の立ち小便は山出しの下女などのすることとされ、・・・田舎者の仕草と考えられていた。・・・江戸の銭湯では湯具としての下帯・腰巻を用意していたように、外陰部を露出することについてとても神経質であった。」
http://www.ne.jp/asahi/kibono/sumika/kibo/note/haisetu/haisetu-4setsu.htm
⇒どーゆーわけか、江戸だけには、性や排泄行為を隠す「文化」があったようだ。
 (ここんところ、どうしてか、誰か、解明してくんない?)
 実際、「江戸の町のいたるところに「小便無用」<と>書かれていた」という。
 しかし、「江戸城の中でさえ立小便は横行していたそう」なので、この「文化」、江戸ですら、あんまし普及していなかったようだ。
http://blog.q-q.jp/201405/article_14.html (「」内)(太田)
 立小便は悪いらしい、という認識・・つまりは江戸のタテマエ上の「文化」・・が日本全国に広まったのは、明治維新以降、欧米の文化に合わせる必要が出て以来のことだ。↓
 「違式●違条例とは、明治初年における軽微な犯罪を取り締まる単行の刑罰法。1872(明治5)年11月8日の東京府達(たっし)をもって、同月13日から施行された東京違式●違条例が最初。翌年7月19日の太政官布告により各地方違式●違条例が制定され、各地方にも公布・施行されることとなった・・・
 違式●違条例は、入墨禁止、裸体・肩脱ぎ・股(もも)の露出の禁止、立小便の禁止などの「身体」に関わる規定が多く、外国人の眼を意識したものであったが、当時の庶民の生活を大きく制約し、それに対する反発も少なくなかった。」
http://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000141975
 ところで、上出したところだが、江戸時代の日本の市街・・江戸に限らない・・がキレイだったのは事実。
 その背景には、糞尿を含む都市ゴミのリサイクル体制の確立があった。
 これこそ、日本の民度の高さ(人間主義性)の表れ。↓
 「100万人が生活を営み、世界一の大都市であった江戸。そこは世界一ゴミのない都市だった。」
http://wizbiz.jp/MagazineArticle.do?magazineid=3&articleno=82
 もう一つの、ウン十年か前までの日本人の海外団体旅行の際のご乱行の話だが、当時は、それが「祭り」ないし「ハレ」だと受け止められ、無礼講が許されると考えられていた、ということじゃないかな。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%84%A1%E7%A4%BC%E8%AC%9B
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%AC%E3%81%A8%E3%82%B1
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A5%AD
 その後、海外旅行が日常(「ケ」=人間主義の世界)化したことに伴い、団体旅行においても、お上品に振る舞うようになったってことでは。
 いずれにせよ、日本人の民度が向上したワケじゃあないさ。
 なお、列車の話は、インドであれ日本であれ、単に、供給が需要に追いついてない(なかった)ってだけのことであり、どっからそんなものを民度やモラルに結び付ける発想が出てくるんだろうね。
 老婆心ながら、そのSF作家サン、フィクションの達人でらっしゃるかもしれんが、サイエンスにはとんと無知であられるようで、「S」は落とされるか、ファンタジー作家を名乗られるか、された方がよさそうであるね。
<gonzov>
 <CVMIKK0Gクンの太田さんへの再質問(コラム#7637)についてですが、>日本側の多くの自称?学者(リベラル?)がこういう風に言ってるのですが、中国側が軍備を揃えて日本側への攻撃をできるように準備計画していたことを誰も問題にしていないのはおかしいです。
 欧米露諸国は膨大な軍事援助を中国側に行なっていましたからね。
 「軍事は悪」「軍事知識を得ることも戦争の原因になる」というような教育のせいで、知ろうとしないのです。
 調べてみましょう。
 そのうえで、おかしいとか、説得力がないとかの論評をしましょう。
 <また、笠原十九司著 「海軍の日中戦争– 日米開戦への破滅のシナリオ」 (コラム#7633、7635)についてですが、>海軍(だけではなくて陸軍もですが)というのは大きな組織の役所ですよ。
 それを何で一個人で当時まだ首脳でもなく、政府側の次官程度の人間が動かせたのですか。
 だいぶ無理があると思います。
 山本が有名になるのは開戦後。
 それまでは多くの中のひとりに過ぎない。
 そこで出ていることがいったいどういう風に証拠になるんでしょうか。
 無理だと思います。
 陸軍が自分の責任回避のために言いたいのはわかるがww。
<太田>
 それでは、その他の記事の紹介です。
 いつもながら、おめでたいこっちゃ。↓
 「日本の長寿世界一続く WHO統計、平均84歳・・・」
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015051301002124.html
 朝鮮半島が、支那の属国として継受したところの官僚腐敗は、日本統治の35年間を生き抜いたわけだが、殊勝な韓国民もいるもんだ。↓
 「「【コラム】韓国が見るべき日本」(5月13日付)記事<(コラム#7661)>の感想–「賄賂を受け取ること程度は当然と考え、自分の懐を肥やすことしか関心のない韓国の官僚たち。これでは収賄が厳しく監視されている日本の官僚に劣るのは当然で、国同士の競争で敗れるのも当たり前だ。・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/05/14/2015051401053.html
 英チャールズ皇太子の政府への容喙ぶりが明らかになった。
 (どこが問題なのよ。それを禁じる法がないのに・・。(太田))↓
 <例えば、対イラク戦最中に、もっと最新ヘリを送ってやれとブレアに「指示」。↓>
 ・・・From Blair, Charles demanded everything from urgent action to improve equipment for troops fighting in Iraq to the availability of alternative herbal medicines in the UK, a pet cause of the prince. ・・・
 <常に、政府は積極的に「指示」に応えようとしてきた。↓>
 The letters revealed not only that ministers often responded actively to his suggestions but they appeared to hold his interventions in high regard.
 <しかも、「指示」を恭しく褒めちぎってきた。↓>
 Blair replied to him in one letter: “I always value and look forward to your views – but perhaps particularly on agricultural topics.”
 After Charles Clarke, then education secretary, responded to Charles’ complaint about the nutritional content of school meals, he signed off: “I have the honour to be, Sir, Your Royal Highness’s most humble and obedient servant.”・・・
http://www.theguardian.com/uk-news/2015/may/13/prince-charles-black-spider-memos-lobbying-ministers-tony-blair
 今度のアムトラックの事故に鑑み、日本の鉄道を見倣うべきか? 答えはノーだとよ。↓
 Does Japan Have the Solution to Amtrak’s Problems?・・・
http://foreignpolicy.com/2015/05/13/japan-solution-amtrak-train-crash-infrastructure/?wp_login_redirect=0
 もっとインフラ投資を、と呼びかけるコラムだが、比較されてるのはEUと中共。
 (とにかく、宗主国米国じゃあ日本はスルーされている。)↓
 ・・・Spending on infrastructure in the United States has sunk to 1.7 percent of gross domestic product, a 20-year low.・・・
 Europe spends 5 percent of G.D.P. on infrastructure, and China 9 percent. ・・・
http://www.nytimes.com/2015/05/13/opinion/let-our-cities-move.html?ref=opinion&_r=0
 その米国の黒人問題の本質、ここにあるな。↓
 「・・・苦しい生活環境が貧困者のDNAに影響を及ぼすことが明らかになった。暮らしのストレスは彼らの遺伝子に長期にわたって悪影響を残し、DNAの質を低下させるという。・・・彼らの一部のテロメアは、良好な環境で暮らす同年齢の人よりも短い。・・・」
http://j.peopledaily.com.cn/n/2015/0514/c95952-8891966.html
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太田述正コラム#7664(2015.5.14)
<内藤湖南の『支那論』を読む(その7)>
→非公開