太田述正コラム#7723(2015.6.13)
<皆さんとディスカッション(続x2657)>
<太田>(ツイッターより)
 「訪日中国人が感動、愛知県の小さな寿司店で受けた心温まるもてなし…」
http://news.livedoor.com/article/detail/10223144/
 単にインターネット上の投稿を拾い上げたRecord Chinaにも敬意を表したいが、まるで童話みたいな話だ。
 他方、当局の方は、「…中日両国は、グローバル大国かつアジア協力を推し進めるエンジンとして、アジアおよび周辺各国の経済発展を促し、グローバル経済管理を改善する分野で、大きな役割を果たさなければならない。…」
http://j.peopledaily.com.cn/n/2015/0612/c94476-8905832.html
と、(それぞれが「グローバル大国」であるところの、)両国が提携した、日中枢軸が世界をリードする時代が既に到来しているかのような口ぶりだが、そう前のめりになんなさんな。
 日本政府も国民も、いまだ、米国からの「独立」すら決意してない上、中共当局の仕込みで中共大嫌い状態のまんまなんだもんね。
<h0Sa4QTs>(「たった一人の反乱(避難所)」より)
 インド仏教の最高指導者 佐々井秀嶺上人 生出演
http://blog.nicovideo.jp/niconews/ni053939.html
 日本人がトップとは知らなんだがwikipediaを見る限りどこのトップなのかよくわからなかった。
 浪曲師、易者、夢のお告げとか面白い経歴の方ですね。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BD%90%E3%80%85%E4%BA%95%E7%A7%80%E5%B6%BA
<太田>
 コラム#2637と2972で、既に登場なされてまっせ。
<太田>
 それでは、その他の記事の紹介です。
 負の所得税に一本化した上で、貧困者層への所得移転を促進しよう。↓
 「・・・国や自治体からの経済支援(就学援助)を受けて学校に通う児童・生徒の割合は、年々増加傾向を辿る一方。2011年には、およそ6人に1人が就学援助をうけて学校に通っているのだ・・・」
http://www.msn.com/ja-jp/news/opinion/%e5%85%a5%e5%ad%a6%e9%87%91%e3%82%92%e2%80%9c%e3%83%89%e3%82%bf%e3%82%ad%e3%83%a3%e3%83%b3%e2%80%9d%e3%81%99%e3%82%8b%e8%a6%aa%e3%82%82%e2%80%a6%e5%ba%95%e8%be%ba%e6%a0%a1%e6%95%99%e5%93%a1%e3%81%8c%e8%aa%9e%e3%82%8b%e3%80%8c%e5%ad%90%e3%81%a9%e3%82%82%e3%81%ae%e8%b2%a7%e5%9b%b0%e4%ba%8b%e6%83%85%e3%80%8d/ar-BBl4sIH?ocid=iehp#page=2
 牛乳も生クリームもバターも大好きな私としては、どっちみち消滅に向かっている日本の酪農業を、政府統制を撤廃することで、直ちに実現すること以外に方法はない、と力説したいね。
 こういったことの積み上げで、財源をねん出し、(国債残高の減少を図るとともに、)貧困者層への所得移転の促進を!↓
 「・・・深刻な問題は国内の酪農業が衰退し、牛乳や乳製品の原料になる生乳の生産が減り続けていることだ。一時的な生産者支援でなく、抜本的な対応策が急務だ。・・・
 北海道を中心とした生産者の間には、需要の変化に応じて自由に販売先を選べない制度に対する不満が強い。指定団体が「アウトサイダー」と呼ぶ民間卸会社へ出荷する生産者が増えてきた最近の変化は当然だ。
 離農が進み生乳生産が減少する主因は、円安による飼料価格の上昇や光熱費の増加が出荷価格に十分に転嫁できていないことだ。価格上昇が増産を促す市場の機能が働いていない。
 生乳取引には、法令を上回る3.5%の乳脂肪分を基準とする慣行もある。高い乳脂肪分を求めるルールは、牛に大量の飼料を与える飼育手法を強いる。それが飼料コストを増やし、牛の寿命にも響くとされる。バター不足は問題の一角にすぎない。旧来の制度や慣行を抜本的に見直すべきだ。」
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO87575800S5A600C1EA1000/
 「・・・バター不足が表面化したのは原料となる生乳が減ったからだ。生乳は牛乳として出荷され、残りを生クリームやチーズに加工する。さらに余った分がバターや脱脂粉乳に回る。店頭に牛乳や生クリームが品切れせず並ぶなかで、バターの原料は減っていた。
 国内のバター生産量は09年度の8万1千トンから5年後の14年度には6万1千トンに落ち込んだ。この数年、国内のバター消費量は年間7万~8万トンで安定しているのとは対照的だ。
 原料の生乳生産は最近10年で12%減り、14年度は733万トンにとどまった。酪農家の高齢化により、離農に歯止めがかからない。14年の戸数は1万8600戸で10年前に比べ4割減った。
 高度成長期からバブル期にかけて築かれた牛舎は老朽化した。建屋を更新し新型の搾乳ロボットなどを導入すると1億~3億円ほどかかる。新規の就農者を増やすのは容易ではない。・・・
 国産がなければ輸入するしかないが、国は国家貿易の対象として規制している。1993年のガット・ウルグアイラウンド貿易交渉で、日本は統制を守る代わりに最低輸入量の受け入れで妥結した。当時は国産バターが余り、現在とは逆に生乳を減産していた。
 20年余りが経過し国内酪農が衰退した今は、需給環境が大きく異なる。
 バターの輸入には1キロあたり千円弱に加え、約30%の高関税がかかる。関税を引き下げれば、需給に基づき民間が輸入しやすくなるが、政府はこれまでの枠組みを守り続ける。国内の酪農を守るというのが理由だが、こうした貿易規制にもかかわらず国内の酪農は衰退が続いている。・・・」
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDJ03H1E_T00C15A6SHA000/
 「・・・酪農家の減少で生乳の生産が減るなか、それぞれの乳製品で原料を奪い合う状態となっている。今回はスーパーなどで消費者向けのバターが足りないことを考慮し、生クリームの生産に自主規制を設けることにした。」
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDJ12H2Q_S5A610C1MM8000/?dg=1
 ニクソン以来、対中関与政策を米国は超党派で続けてきたが・・。↓
 ・・・The conviction that engagement is the only realistic way to encourage liberalization in China has persisted across eight U.S. administrations, Republican and Democratic alike. Jimmy Carter bequeathed Nixon’s policy to Ronald Reagan; George W. Bush to Barack Obama.・・・
 <米国内では、いまや、中共に関し、悲観論一色、だと。↓>
 The prescriptions vary, but their starting point is the same: pessimism about the present course of U.S.-Chinese relations.
 <先の大戦後、同盟国だったソ連と冷戦をおっ始めた頃と酷似、だと。
 (ずっとソ連にいいように騙されてきたことにようやく気付き、ついに豹変せざるをえなかったところの、当時の自らの愚かさを、まだ十分省みてないと見えるね。(太田))↓>
 The mood shift in Washington may end up being every bit as consequential as the one that came over the U.S. immediately after World War II, when it dawned on America that the Soviet Union wasn’t going to continue to be an ally.・・・
 <しかし、冷戦時と違って、オバマ政権は、関与政策を維持しつつ軍事的対峙政策も追求してる、とさ。
 (オバマの軍事的対峙政策は、米国内向けの見せ金だわさ。(太田))↓>
 In an increasingly awkward dance, however, the Obama administration is trying to sustain this policy of engagement while also ramping up its military options in Asia. China is playing a similar game. And it is not clear how long both sides will be able to continue before there is a clash, by accident or design. ・・・
http://www.wsj.com/articles/can-china-be-contained-1434118534
 しかし、その中共、欧米的世界観に代わる世界観を提示していない。
 中共は、日本、ドイツ、ソ連が、それぞれそれを行い、コケちゃったことを見ている?
 (そうじゃないの。戦前・戦中における、日本による新たな世界観を中共は継受し、日本と手を携えて、かかる世界観に則って、世界を再構築しようとしてんのよ。(太田))↓
 ・・・ while China regards today’s world order as more of a Western imposition than a just consensus・・・it has neither a coherent alternative to offer nor a compelling rationale for posing a systemic revisionist challenge: Japan, Germany and the Soviet Union suffered greatly for undertaking that course in the 20th century.・・・
http://www.washingtonpost.com/opinions/the-us-china-rivalry/2015/06/05/6bc7ffb0-e456-11e4-81ea-0649268f729e_story.html
 シアワセの絶頂のお花畑状態のロシア国民。↓
 「・・・プーチン大統領の支持率は88%に達して過去最高値を記録した。<また、>83%のロシア人がプーチン政府の対ウクライナ政策を支持し、90%が中国との緊密なパートナーシップ維持政策を賛成し、85%がアメリカとの関係に満足していると答えた。また、62%のロシア人がプーチン大統領の腐敗撲滅政策を支持した。・・・」
http://news.livedoor.com/article/detail/10222784/
 ケニア大統領、国際援助は返上すべきだと言明。
 (完全に同意だが、実際に、ケニアで実行する気なんてないんだろ。(太田))↓
 Kenya’s President Uhuru Kenyatta has urged fellow African leaders to stop receiving foreign aid, saying it is not an acceptable basis for prosperity.・・・
http://www.bbc.com/news/world-africa-33108716
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 一人題名のない音楽会です。
 Julia Fischerの特集の3回目です。
Joseph Hayden Streichquartett F-Dur op. 77 Nr. 2(1799年)(注) Julia Fischer Quartet(+Benjamin Nyffenegger (Violoncello) Alexander Sitkovetsky (Violine) Nils Monkemeyer (Viola))
https://www.youtube.com/watch?v=XOlJ5DzJTa8
(注)フェルディナント・フォン・ロプコヴィッツ侯爵<(公爵)>(Fardinand Furst von Lobkowitz, 1724年~1784年)に献呈されたので、「ロブコヴィッツ四重奏」と呼ばれている。
http://de.wikipedia.org/wiki/Liste_der_Streichquartette_Haydns
 「オーストリアのボヘミア系貴族、軍人、芸術愛好家<、>階級は陸軍少将<であった彼>自身も音楽的才能を持ち、すぐれたバイオリン奏者だった。ロプコヴィッツは経済力のない作曲家たちを支援し、彼らの作品が一般社会に認められるよう奔走した。ヨーゼフ・ハイドンの楽曲の注文主となり、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの作品が公の演奏会で紹介されるよう取り計い、彼らに活動資金を与えた。・・・
 ハイドンは、・・・弦楽四重奏曲作品77(第81番および第82番)「ロプコヴィッツ四重奏曲」<を、>ベートーヴェンは、・・・弦楽四重奏曲第4番、交響曲第3番「エロイカ」三重協奏曲、交響曲第5番「運命」、交響曲第6番「田園」、弦楽四重奏曲第10番、遥かなる恋人に(連作歌曲集作品98)・・・をロプコヴィッツに献呈している。」」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%84%E3%83%BB%E3%83%A8%E3%83%BC%E3%82%BC%E3%83%95%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%9F%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%AD%E3%83%97%E3%82%B3%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%83%E3%83%84
Mendelssohn Streichquartett e-Moll op. 44 Nr. 2 (1837年)(注)
https://www.youtube.com/watch?v=t2zjbYQUqHY
https://www.youtube.com/watch?v=xjjOY8CgiJY
(注)「Op.44からは・・・ベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲の影響下<を脱し、>・・・メンデルスゾーン独自の語法が開花していく様が窺える。・・・第1楽章は調性を同じくする後年の『ヴァイオリン協奏曲 ホ短調』を予感させる内容を持つ。・・・Op.44の3曲はまとめてスウェーデンの元王太子ヴァーサ公グスタフに献呈されている。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BC%A6%E6%A5%BD%E5%9B%9B%E9%87%8D%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC4%E7%95%AA_(%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%82%BE%E3%83%BC%E3%83%B3)
Franz Schubert -Der Tod und das Madchen -Andante con moto(1824年)
https://www.youtube.com/watch?v=rQsq394Zcww
(注)「第2楽章の変奏曲主題に・・・病の床に伏す乙女と、死神の対話を描いた・・・歌曲(リート)<の>・・・『死と乙女』<([(1817年)]の>・・・コラール<(讃美歌がピアノで演奏される部分)>が用いられた。そのため、この弦楽四重奏曲も『死と乙女』と呼ばれる。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%BB%E3%81%A8%E4%B9%99%E5%A5%B3
http://en.wikipedia.org/wiki/String_Quartet_No._14_(Schubert)
(参考)リート 歌唱:Jessye Norman ピアノ:Dalton Baldwin(注)
https://www.youtube.com/watch?v=1c5NdMIW_M8
(注)ルネッサンス以来、現在に至る、「死と乙女」テーマの系譜が紹介されている。
 (私は、これまでの、本テーマに係る、死を厭わしいものと見ているとの解釈や死は安息であると見ているとの解釈に大いに違和感を覚える。セックスによる乙女の「死」と女としての再生のアレゴリーである、と私は解釈している。)↓
http://de.wikipedia.org/wiki/Der_Tod_und_das_M%C3%A4dchen
(続く)
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太田述正コラム#7724(2015.6.13)
<キリスト教の原罪思想のおぞましさ(その8)>
→非公開