太田述正コラム#7745(2015.6.24)
<皆さんとディスカッション(続x2668)>
<太田>(ツイッターより)
 「…2014年現在、世界で創業200年以上の長寿企業は5586社あり、このうち半分以上の3146社が日本に集中し1位となっている。
 ちなみに、2位はドイツの837社、3位はオランダの222社、4位はフランスの196社の順だ。…
 日本が誇る「日本式管理」にはある秘訣がある。
 それは、たゆまぬ努力で進歩し続けることで、仕事に誇りを持つ精神を代々受け継いできたことだ。
 この精神こそが実は「匠の精神」だ。…」
http://j.peopledaily.com.cn/n/2015/0623/c94476-8910040.html
 日本の企業が世界の企業とは異質の存在であること、を心得ている中共当局は、中共の企業も又、そうあれかしと希っている。
<MH>
 –「外国人社長役員」–
 ニケシュ・アローラさん(ソフトバンク)続き。
≫これ、スキャンダルに近いんでねーの?↓
「ソフトバンク社長後継候補 報酬総額165億円・・・」≪(コラム#7737。太田)
 そんなことはありません。
 彼はグーグルで年俸が最も高いCBOで$46.7million(約56億円:1ドル120円換算)を貰っていました。
http://timesofindia.indiatimes.com/tech/jobs/Nikesh-Arora-is-Googles-highest-paid-employee/articleshow/19738889.cms
⇒グーグルがどうして彼をそれほど重用したのか、が知りたいもんです。(太田)
 日本の株主総会ではソフトバンクには役員報酬8億円の制限があり少ないからもっと払って、優秀な人材をあつめるべきだとの声まであったので全く問題ありません。
 グーグル社の年俸との差額が大きいので一時金で支払ったのでしょう。
 彼を雇用した経緯は孫社長が話しています。
http://toyokeizai.net/articles/-/74050
 太田さんによれば学歴云々が問題かも知れませんが、そもそも日本人でグーグルやアップルでNo2になり年収50億円も貰える人材なぞ全くいませんので、インド人の彼しかいなかったということではないでしょうかね。
 
 同時期にファイナンス担当で元ドイツ銀行のインド人Rajeev Misrasさんも雇用しています。
http://erosplc.com/?page_id=2238
 では何故今回インド人を2人も雇用したのか?
 孫さんによるソフトバンクのインド投資計画と将来像。
http://logmi.jp/27183
⇒ここは、孫サンならずとも、そう考えるところでしょうね。(太田)
 ここは全く孫さんの仰るとおりです。
孫:マクロで見ると、日本国内だけに事業を頼っている会社には、決して先行き明るい未来は無いと。一方、日本に本社があっても、世界に目を向けて、世界を相手にしてモノを売るサービスを売る、あるいは投資を行う、という形で、世界のお客さんを相手に事業を行っていく会社は、充分に成長余力がある。
http://logmi.jp/27262
 私に言わせれば過去に来日した外国人社長・役員ではニケシュさんは良いほうです。
 学歴だけ良くても以下の連中は全く実績なしではないですか。
1)サラ・カサノバさん(日本マクドナルド社長)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%A9%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%82%B5%E3%83%8E%E3%83%90
https://jp.linkedin.com/pub/sarah-casanova/b/6aa/685
 彼女はカナダ人でカナダのMcmaster university卒MBA。
http://www.mcmaster.ca/
https://en.wikipedia.org/wiki/McMaster_University
⇒世界ランキングで同大ランキングは、80台を続けています。
http://rankings.ft.com/businessschoolrankings/mcmaster-university-degroote/global-mba-rankings-2002
 アローラのMBA並のゴミ学歴ですよ。(太田)
 日本マクドナルドは大赤字でどうしようも無い状態。
https://ircms.irstreet.com/contents/data_file.php?template=39&brand=74&folder_contents=8917&src_data=173743&filename=pdf_file.pdf
 さらに今年に入っても月次は毎月前年度割れ。
https://ircms.irstreet.com/contents/data_file.php?template=39&brand=74&folder_contents=8917&src_data=175338&filename=pdf_file.pdf
 原田前社長の頃から悪かったと言えなくも無いですが、彼女は当時から役員だったので言い訳無用でしょうね。
⇒それは彼女に対して酷(こく)過ぎるってもんです。
 マクドナルドは世界的に業績が低下しつつあるからです。
http://www.msn.com/ja-jp/money/news/%E3%82%82%E3%81%8C%E3%81%8F%E3%80%8C%E3%83%9E%E3%82%AF%E3%83%89%E3%83%8A%E3%83%AB%E3%83%89%E3%80%8D%E2%80%A6%E4%B8%96%E7%95%8C%E7%9A%84%E3%81%AB%E5%A3%B2%E4%B8%8A%E6%80%A5%E8%90%BD%E3%80%81%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AB%E7%B6%9A%E3%81%8D%E7%B1%B3%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97%E3%82%82%E4%BA%A4%E4%BB%A3/ar-BB7JwNa (太田)
2)ハワード・ストリンガーさん(ソニー前社長)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%AC%E3%83%BC
http://www.imdb.com/name/nm1242341/bio
 オックスフォード大学院卒でナイトの称号を持ち、Sirで呼ばれる人物ですが、ソニーでは散々でした。
 7年間の就任期間中3期連続赤字にも関わらず、社員リストラ以外はなにもせず年収8億1650万円は日産のカルロスゴーンの次で2位でした。
 リストラしても赤字垂れ流しで高報酬のストリンガー氏の方がステークホルダーからしたら問題でしょう。
http://biz-journal.jp/2013/03/post_1701.html
 ストリンガーがソニーでやったこと
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20120722/ecn1207220717002-n1.htm
⇒TVが主力商品の一つであったシャープのことを思えば、ストリンガーについても、やや厳し過ぎる評なんじゃないでしょうか。
 「ストリンガー氏が取締役兼代表執行役会長兼CEOに就任したのは05年6月22日。その日のソニーの株価の終値は3890円。時価総額は3兆8791億円。12年4月1日、社長兼CEOを退いた。その前日の3月30日のそれは1704円。時価総額は1兆7119億円だった。」
http://biz-journal.jp/2013/03/post_1701.html
ってんだけど、下掲の株価は、(ストリンガーが選んだ)平井新体制への評価というより、前ストリンガー体制(2013年6月に取締役会議長を退任)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%AC%E3%83%BC
への総括的評価でしょう。↓
 「同じく最終赤字だったシャープのように<ソニーが>総会が大荒れにならなかった背景には、株価がある。ソニー株の23日の終値は3827円で、1年前の2倍超に上昇。復活を信じる投資家が増えつつあるのだ。」
http://www.sankei.com/economy/news/150624/ecn1506240002-n1.html (太田)
 要するに日本にはこの程度の人物しか来ない。優秀な人間(特に白人)は英米欧州圏から離れる必要がありません。キャリアアップにもならない日本にまでビジネスで来るのはそれだけで変な人物なのだと思ったほうが良いでしょう。(もしくは英米欧州では使い物にならない人物)
 日系企業が自前で外国人を雇用するとなると特に白人の場合には上記説明の通り物凄く困難であるということです。
 例外もいます。
1)カルロス・ゴーンさん(日産社長)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%AD%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%B4%E3%83%BC%E3%83%B3
 説明不要ですね。
⇒いや、トップの座に15年、というのは、長過ぎでしょう。
 ルノーのトップになってからも、既に10年になりますがね。
 問題は、後継者を育てることができているのか、です。
http://newsphere.jp/business/20140905-2/ 
 「業績は・・・低迷中・・・<である上、>立て続けに日産の人材が流出している」
http://www.news-postseven.com/archives/20140915_276584.html (太田)
2)マーク・フィールズさん(元マツダ社長、フォードCEO)
https://media.ford.com/content/fordmedia/fna/us/en/people/mark-fields.html
 ハーバード卒MBAです。
http://toyokeizai.net/articles/-/37434
 余り知られていませんが、米フォード社は経営破たん寸前だったマツダの経営建て直しに4人の社長を送り込みましたが(他にも財務担当役員など)、皆さん優秀な方々で本社社長もしくは役員に就任しています。
http://www.takarabe-hrj.co.jp/weekly/No521.pdf
 驚くべきは、マツダの役員会がずっと日本語で行われていたことでした。日産では重要な会議はすべて英語になりましたが、マツダでは日本語が使われ続けたのです。
 「私にとっては英語のほうがありがたかったが、マツダの役員のなかには英語が不得意な人たちもいた。
 通訳を通すという不便を私が我慢することで、全体がうまくいくなら、その方がいいにきまっている」(ウォレス氏)
⇒日本語ができない人が圧倒的少数派ならば、役員会で日本語を使うのはむしろ当然でしょう。(太田)
 例外に共通するのは仏ルノー社、米フォード社など老舗のメーカー企業であり欧州・米国本社が優秀な人物を送り込んできただけであるということです。
 しかも日産は日本国内販売台数は減少する一方で、中国、北米、欧州の販売台数が伸びればそれで良いという方針です。国内販売を辞めることはないでしょうが、殆ど眼中には無いということが決算資料に明示されています。
http://www.nissan-global.com/JP/DOCUMENT/PDF/FINANCIAL/PRESEN/2014/2014results_presentation_143_j.pdf
 リーマンショック後に欧米企業のアジア極東地区の本部はシンガポールや香港に移転してしまいましたので、今後経済発展することが考えられない日本に新たに事業展開するインセンティブは働きません。
 現在米国系企業で東京で業容拡大しようとする奇特な会社もいますが、連中は旗色が悪くなれば即効で全員解雇して撤退しますので何の当てになりません。
<太田>
 業種との相性や当該業種を取りまく時代の流れもこれあり、外国から導入した人材に当たり外れがあるのは世の習いですが、パラシュートで飛び降りてやってきたトップを含む幹部が、その会社の人心を収攬するためには、経歴が重要であり、その経歴には学歴も含まれます。
 アローラ自身も、日本で自己紹介する際に、「私は22歳の時、父から300ドルをもらい、2つのスーツケースを抱えてインドからアメリカに渡った。大学院で2つの修士号を取り、ボストンで投資関係の仕事をし、ドイツ、ロンドンではモバイルのスタートアップを始めた。その後、5年間ドイツテレコムで働き、この10年はグーグルで仕事をし、冒険を続けてきた。」
http://toyokeizai.net/articles/-/74050 (前出)
と、イの一番に自分の学歴を披露しているところです。
 (さすがに彼、ボストン単科大学卒の「学歴」には触れなかったところ、)この2つの修士号の2つ目は何だったのかに首をひねります・・CFAのことであれば、それは修士号ではありませんからね。・・
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%82%B1%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%A9
https://ja.wikipedia.org/wiki/Chartered_Financial_Analyst
が、ノースイースタン大MBAを取得したことに関しては、殆んど学歴の意味をなしていない、と私は指摘しているわけです。
 彼は、インドで1~2位を争う超一流大学(Banaras Hindu University)
http://indiatoday.intoday.in/story/india-today-universities-rankings-2012-banaras-hindu-university/1/189320.html
を卒業しており、当然英語も達者であったはずですから、入学選考の際のハンデが全くなかったにもかかわらず、どうして直接米国のビジネススクールに入学をしなかったのか、という疑問がまず湧きます。
 愚にもつかない(失礼!)ボストン単科大学に籍だけ置いてビジネススクールの学費稼ぎのアルバイトに精を出した、という可能性もなきにしもあらずですが、やはり、そこまでして、どうして、ノースイースタンなのよ、という疑問は残ります。
 (よっぽど、インドの大学での成績が悪かったのか?)
 孫サン自身が、アローラに惚れたきっかけを話しています
http://toyokeizai.net/articles/-/74050 (前出)
が、昨日からの繰り返しだけど、上述のような、立ち上がりにおける巨大なハンデを、アローラがどうやって克服してグーグルでの重職にまで登りつめたのか、興味津々です。
 そのあたりこそ、調べていただけると有難いですね。(太田)
<太田>
 IEのお気に入りのコンテンツの増殖<(コラム#7740(未公開))>がまた始まっています。
 削除したはずのフォルダ群が復活していますし、フォルダの中に収めたはずの個々のお気に入りがフォルダ外にずらっと並びました。
 一体どうなっているんでしょう?
<K.K>
 太田さん、返信が遅れて申し訳ありません。休みでしたので、さっきまで寝ていました。
 IEのお気に入りが増殖する原因は、同期が原因のことが多いです。先日、「DellPCを起動させましたので、それが原因で増殖しているのではないかと思います。下記の手順で、OneDriveでのお気に入りの同期がOFFになっているか確認してください。
1.チャームを表示して、一番下の[設定]をクリックしてください。
2.一番下の[PC設定の変更]をクリックしてください。
3.画面左の方上から3番目の[OneDrive]をクリックしてください。
4.上から3番目の[同期の設定]をクリックしてください。
5.[その他の設定]の下に、[Webブラウザー アプリ、Webサイト、ネットワーク・・・]とあるのが確認できると思います。ここが[オン]の場合は、ドラッグして[オフ]にしてください。
⇒「Web ブラウザー」だけをオフにしました。(太田)
ここがすでに[オフ]であった場合は、他に原因があることになりますので、その旨連絡をください。
 尚、お気に入りの整理を行う必要がある場合には、IEを閉じて、[D:\Users\Nobumasa Ohta\お気に入り]フォルダを、直接編集した方が、楽な場合もあります。
⇒この方式で編集しました。(太田)
<太田>
 それでは、その他の記事の紹介です。
 現状が彷彿としてくる。↓
 「大塚家具、「親子げんか転じて大盛況」は本物か・・・」
http://www.nikkei.com/markets/kigyo/editors.aspx?g=DGXMZO8836816022062015000000
 長崎純心大の石井望准教授、頑張っとるねえ。↓
 「「尖閣日本領」欧州の地図 日清戦争より前、中国主張を否定する資料・・・」
http://www.sankei.com/west/news/150624/wst1506240018-n1.html
 おめでとさん。↓
 「なでしこ8強、2―1でオランダ下す サッカー女子W杯・・・」
http://www.asahi.com/articles/ASH6S35ZBH6SUTQP00F.html?iref=comtop_6_01
 コラムのタイトルは素晴らしいが、中身が、日韓両政府に両成敗的なのはなさけない。↓
 「・・・隣国をおとしめ自分の首を絞めた朴槿恵外交・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/06/24/2015062401207.html
 韓国の盗作騒動の余震は続く。↓
 「・・・申氏は当初、盗作を否定していたが、・・・「憂国と何回か照らし合わてみた結果、盗作であるという気がした」などと事実上、盗作を認めた。
 「すべでは私の責任」と読者に謝罪した申氏は「執筆はできない。当分の間、自粛する」と述べ、文学賞の審査委員も辞退する考えを示した。・・・」
http://www.sankei.com/world/news/150623/wor1506230037-n1.html
 <執筆を自粛するのかしないのか、どっちやねん。(太田)↓>
 「・・・作家にとって「盗作」の烙印は天罰よりも恐ろしい。平山申氏の集姓村(本貫・姓を同じくする人が集まり住んでいる集落)で長女として生まれた申京淑は、これからその恐ろしい烙印とともに歩まなければならない。「雷の中に立っている」ようであり「熊手鍬(ぐわ)で足を突き刺したい気分」だが、作品を甕(かめ)に入れておくとしても書くことをやめないと語った。・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/06/24/2015062401287.html
 「・・・ただでさえ、韓国の文壇はここ数年間、注目すべき作品や作家が現れない低迷期に陥っている。作家や文学評論家は互いに指摘することはすべきだが、内輪でのいがみ合いに熱を上げているという印象を与えれば、読者たちはもっと文学から離れていくだろう。文壇は今回の論争を、韓国文学を一段と成熟させる契機とすべきだ。」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/06/23/2015062301345.html
 「「憂国」盗作疑惑の作家に批判相次ぐ=韓国・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/06/23/2015062303836.html
 <ガーディアンまで本件をお取り上げになっただ。(太田)↓>
http://www.theguardian.com/books/2015/jun/23/man-asian-literary-prize-plagiarism-shin-kyung-sook
 謙虚な姿勢と中身の充実で、人民網はホント、読ませるである。↓
 「日本の人気漫画「ONE PIECE」と作者の尾田栄一郎氏が、同作コミック全巻の累計発行部数が世界で3億2086万6000部を記録し、「最も多く発行された単一作家によるコミックシリーズ」として、このほど「ギネス世界記録」に認定された。・・・
 中国最大のネットオンライン書店「当当網」の絵本関連の図書の中で、売上トップ10の中に日本の絵本が7冊ランクインしている。・・・」
http://j.peopledaily.com.cn/n/2015/0623/c94473-8910116.html
 ギリシャ債務問題が小康状態だが、欧米ではギリシャを全く信用していない。
 果たして、バケーションでギリシャに行って大丈夫か、CNNが記事を載せた。↓
 Is it time to cancel your Greek vacation?・・・
http://edition.cnn.com/2015/06/23/travel/greece-crisis-vacation-time-to-cancel/index.html
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太田述正コラム#7746(2015.6.24)
<内藤湖南の『支那論』を読む(その24)>
→非公開