太田述正コラム#7815(2015.7.29)
<皆さんとディスカッション(続x2703)>
<太田>(ツイッターより)
 中共じゃなく、ロシアの経済こそ崩壊しつつあるようだねえ。
 経済数値を出さないようにしてるらしいが、経済制裁のためにEUとの貿易はここ数か月3分の1減った状態のまんまだし、EU等からの食料輸入を禁止したため、先月、物価が20%も上昇。
http://www.haaretz.com/opinion/.premium-1.668139
<太田>
 補足。
 もちろん、化石燃料価格の低迷もあるよ。
<檸檬歌曲>
≫沖縄トラフにはひっかからないところの、九州の五島列島方面に向けてパイプラインを設置したとして、支那本土との距離差はさほど大きくなさそうだと思うのですが間違ってます? 仮にそうだとすれば、人件費以外にも、中共側には東シナ海天然ガス採掘に関してコスト面で優位性がある、と必ずしも言えないのでは?≪(コラム#7813。太田)
 手元の地図に定規を当ててみると、大体2倍くらいの距離のように思われます(目の子で400km対800kmといったところでしょうか)。
 確かに、他の条件次第ではクリアできなくはないハードルかもしれません。
 但し、他に考えるべき条件の代表例として、例えばそのパイプラインを利用する人口を想定すると、やはり分が悪そうです(寧波市760万人、上海常住2400万人)。
 五島列島7万人は問題外として、長崎県140万人、佐賀県80万人、福岡県500万人。福岡まで視野に入れれば可能性はあるかもしれませんが、その場合は福岡市民が既に利用しているマレーシア産やサハリン産のLNGとの競争になります。
 日本国内で海底パイプラインを敷設する際の漁業補償問題や、陸上パイプラインを敷設する場合のルート確保といった煩雑さも考慮すると、やはり実現可能性は(ゼロじゃないにせよ)かなり低いと言わざるを得ないように思います。
<6slsVblw>(「たった一人の反乱(避難所)」より)
門外不出とされていたヒトラーの演説練習写真が白日の下に晒される。
http://karapaia.livedoor.biz/archives/52197084.html
この演説は練習の賜物だったんですね。場の空気を読み、場を支配する。そして、最後に昂揚感あふれる
党歌で終わる。狂信者ではなく、冷静で計算高く、周囲の人間を虜にしていく姿が浮かびあがり、怖いですなあ。
<zjvqwKVw>(同上)
練習の賜物だって分かればむしろ怖くないんでは?
近年はスティーブ・ジョブズが有名だったけど、投資家や顧客を惹きつけるのも国民を鼓舞するのも、自分の力以上のことを成し遂げるために他者を巻き込んでその力を借りる/もらうためであるから、猛練習するのはむしろ当然です。
こうした人達は単純に必要に迫られてやっているのであって、個人の資質としての冷静さとか計算高さというのはあまり関係ないと思いますよ。ヒトラーなんかはむしろ不器用だったからこそ人一倍努力せざるをえなかった方で、世界ではたとえ途上国であっても、そうした口の上手い、人を惹きつける振る舞いの上手い詐欺師的素養に溢れた人間が社会の上の方に行くほどゴロゴロいますよ。だからといってそういう人間がリーダーとなることで素晴らしい国家や企業ができあがるかというと当然それとこれとは関係ないわけで。
以前太田コラムでも日本人は芝居下手(好まない?)という話があったような覚えがありますが、むしろ日本の社長や政治家が例外的に練習しない(プレゼン下手)が多いとは思います。ひょっとしたら日本型政治経済体制のいいところがそういった形で現れちゃってるのかもしれません。
<太田>
 それでは、その他の記事の紹介です。
 学校群制度・・大失敗に終わった・・ならぬ、省庁群制度を導入し、各省庁が個別にキャリアを採用するのを止め、各省庁間の人材配分の均質化を図らないと、いつまでも文科省文系キャリアは無能無気力揃いが続くでー。
 さもないと、本件に限らず、文科省文系キャリアは、舛添やハディドなどの輩に言われっぱなし続きだぞ。↓
 「・・・建築家ザハ・ハディド氏の事務所は・・・事業主体である日本スポーツ振興センター(JSC)の姿勢を批判。「低価格な競技場を提案する用意もあったが、JSCから要請はなかった。十分な競争がない中で建設会社を選ぶことは過大な見積もりを招くと警告していたが、聞き入れられなかった」とした。・・・」
http://www.msn.com/ja-jp/news/national/%e3%82%b6%e3%83%8f%e6%b0%8f%e4%ba%8b%e5%8b%99%e6%89%80%e3%81%8c%ef%bd%8a%ef%bd%93%ef%bd%83%e6%89%b9%e5%88%a4%e3%80%8c%e4%bd%8e%e4%be%a1%e6%a0%bc%e3%81%aa%e6%8f%90%e6%a1%88%e3%81%ae%e7%94%a8%e6%84%8f%e3%81%82%e3%81%a3%e3%81%9f%e3%80%8d/ar-AAdAJGY?ocid=iehp
 そう言えばそうだった。
 東芝もまた、日経同様、永続超優良日本的経営企業だったはずなんだよな。↓
 「からくり儀右衛門」こと田中久重の田中製造所設立から140年。巨大企業<東芝>には、長い歴史の中で先人たちが残してきた多くのモノや成果が目に見える形で残っているはずです。
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/matome/15/341632/072800038/?ml&rt=nocnt
 監査報酬が安いってのは、日本では、監査法人に仕事をさせるつもりがないからであり、そもそも監査法人なんぞに、誰も何の期待もしてないからだ。
 そんなお飾りの監査制度なんて止めちゃうか、それとも、監査法人に仕事を無理やりさせる仕組みに変えるか、どっちかだろ。↓
 「・・・<今次東芝不適正会計問題では、>監査法人<が>不正会計を見抜いてほしかったと思いますが、大企業が組織的かつ巧妙に行動した場合、監査法人が今の報酬や監査レベルで対抗できるかは分かりません。そこまでのプロフェッショナリズムを求めるなら、もっと報酬を高めるべきかもしれません。
 ただし、すべての企業が支払う監査報酬に跳ね返れば、社会的なコストが高くなります。現実的には、起きたことをきちんと処罰することで、次を防ぐことが大事なのだと思います。・・・」
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/072800052/?P=1
 そんなひどい運用実態になってるとは知らんかった。
 (予備じゃない自衛官の方も大丈夫なんかしら。)
 制度だけ残して、採用は止め、筆者が言うようにROTC的制度でも導入した方がいいよ。↓
 「今すぐやめたほうがいい予備自衛官制度・・・」
 2011年の東日本大震災では、予備自衛官に対する初の招集命令が発令されました。しかし、打診に対して出頭可能と回答した予備自衛官は4497 人とたった17%程度でした。しかも、実際に出頭できたのは103人と全体のわずか0.4%でした。・・・
 即応予備自衛官は、一般市民でもなれる予備自衛官とは違い、自衛隊出身者だけ が志願でき、戦闘任務にも参加する、より即応性が高い実戦向けの自衛官です。しかし、これも23.7%しか実際には出頭<しませんでした。>・・・」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44387?utm_source=editor&utm_medium=mail&utm_campaign=link&utm_content=list
 日本の大企業は従業員のもの、韓国の大企業は創業者一族のものってことね。
 また、大塚家具のお家騒動は、一見ロッテのと似てるが、経営方針を巡ってのものだし、しかも、公的に取締役会と株主総会で争ったが、ロッテの場合は私闘の形で争った。
 それはさておき、そろそろ朝鮮半島系の人々に日本永住権を与える措置を止めるべきでは?↓
 「・・・ロッテHD関係者によると、副会長を解任されていた長男の宏之氏(61)が27日、高齢の武雄氏を韓国から連れ出してともに東京・新宿の本社を訪れ、次男の昭夫副会長(60)を解任すると社員らを集めて伝えた。しかし、昭夫副会長が主導する取締役会は28日、その効力を認めず、「再発防止のため」として・・・創業者の重光武雄会長(92)の代表権をなくし、名誉会長に据える人事を決めた・・・
  ロッテは、武雄氏が1948年に東京で創業し、日韓国交正常化後の67年に韓国へ進出。韓国では小売業やホテル、石油化学なども手がけており、サムスンなどに次ぐ韓国財閥5位。」
http://www.asahi.com/articles/ASH7X5FLVH7XULFA02M.html?iref=comtop_list_biz_n02
 「・・・ロッテグループは「辛格浩総括会長は日本での代表職のみを退き、韓国では総括会長職にとどまり、これまで同様に全ての報告を受ける」とし、辛東彬会長が韓日双方のロッテを代表すると説明した。・・・
 しかし、後継者争いの火種はまだ消えていないとの見方もある。韓日のロッテグループの支配構造で頂点にある日本のロッテホールディングスと韓国ロッテの主な系列会社の株主構成を見ると、辛東彬会長と辛東主元副会長のいずれも優位には立っていないからだ。辛東主元副会長にも反撃に出る余地があることになる。辛格浩総括会長は28日、長女の辛英子(シン・ヨンジャ)ロッテ福祉財団理事長らとともに日本からソウル・金浦空港に帰国した。」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/07/29/2015072900622.html
 いい話なのかもしれんが、ロッテといい、この話といい、日韓連携は、往々にして、見方によっては負であるところのシナジーをもたらすことがあるねえ。↓
 「白南準の妻・久保田成子の愛・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/07/28/2015072801014.html
 中共の戦略を解明しようと必死なのは分かるし、アメちゃん(筆者)にしてはイイ線行ってるけど、後わずかで及ばずってところね。(太田)↓
 <どうして南シナ海に進出して来てるのか、考えられる理由は多々あれど決め手がないとさ。↓>
 ・・・There is no single explanation for why asserting its authority over the South China Sea now matters so much to China. Controlling the many tiny islands is in part a matter of controlling of the wealth assumed to lay beneath the sea in the form of unexploited minerals and oil and gas, not to mention the immense fisheries that exist in these waters. It is in part a matter of increasing the country’s sense of security, by dominating the maritime approaches to its long coast, and securing sea lanes to the open Pacific. It is in part a matter of overcoming historical grievances. And finally, it is about becoming a power at least on par with the US: a goal that Chinese leaders are themselves somewhat coy about, but which is now increasingly entering the public discourse.・・・
 <アジア人が取り仕切るアジア、を目指している、というカンジだと。↓>
 What the new Chinese leader has openly declared that he wants, though, is an Asia administered by Asians, and this is an idea that runs straight through Hainan island, and should be taken seriously. ・・・
 <常に日本のことが気にかかっているように見える、とも。↓>
 Lingering threads of this kind of thought are evident in Beijing’s interactions with Japan, its only conceivable rival in the region. ・・・
 <過去の欧米・日本に対する屈辱を晴らそうとしているように見える、とも。↓>
 Beijing’s attitudes toward the South China Sea, like much of the country’s behaviour as an emerging superpower, is bound up in an entirely modern Chinese obsession: overcoming the humiliations of the recent past.・・・
 <とにかく、最大の障害は米国だと考えているように見える、とも。↓>
 US・・・is that country and not Europe or even Japan, which is seen as the main obstacle to Beijing’s regional ambitions. There is simply no way for China to reign supreme in the South China Sea so long as the US has a free run of the western Pacific. Even more than cowing its neighbours, China’s island-building strategy would seem to have the US navy as its primary focus.・・・
http://www.theguardian.com/world/2015/jul/28/whats-behind-beijings-drive-control-south-china-sea-hainan
 ギリシャ人がどんどんギリシャを逃げ出し、主としてドイツに流入してるとさ。
 (ちゅうか、せっかくEUに入っていながら、それが足らないからギリシャ問題が起こってんだろが。(太田))↓
 Greece’s Relentless Exodus・・・
 ・・・many Greeks have chosen to take advantage of the European Union’s free movement of labor. Germany is one of the main destinations. There is a simple reason: Greece has the highest unemployment rate in the European Union; Germany has the lowest. Resentments against Germany — Greece’s most powerful creditor — quickly fade when it comes to the prospect of a regular paycheck.・・・
http://www.nytimes.com/2015/07/29/opinion/greeces-relentless-exodus.html?action=click&pgtype=Homepage&version=Moth-Visible&module=inside-nyt-region&region=inside-nyt-region&WT.nav=inside-nyt-region&_r=0
 トルコの体Isis、対クルド勢力、の突然の方針転換には、トルコ通達も戸惑ってるみたいだな。↓
http://edition.cnn.com/2015/07/27/middleeast/turkey-isis-q–a/index.html
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太田述正コラム#7816(2015.7.29)
<意外な取材(その1)/英東インド会社(その1)>
→非公開