太田述正コラム#7839(2015.8.10)
<皆さんとディスカッション(続x2715)>
<太田>(ツイッターより)
 「…中国と日本の差は大きすぎる。製造の要となる部品は全て日本から購入しており、中国企業は部品を作り出すことができない。…」
http://www.recordchina.co.jp/a115390.html
 「…ドライバー編。中国製:1回で擦り減る、韓国製:1~2週間で擦り減り始める、日本・ドイツ製:父親から譲り受けたものでも丈夫…
 材料や素材部門の技術力格差は15年以上…。
 見た目はまねできても、基本的な技術は日本やドイツにおよばない…
 韓国<では>…あまりにも耐久性のある製品は会社泣かせだという心理が働く…」
http://news.livedoor.com/article/detail/10448671/
日本の匠への礼賛中韓揃い踏み。
 「…「日本会議」のラインは、安倍・下村両氏の路線に直結し、すべては彼らの推す教科書採択に向けて動いている…
 安倍首相が強行可決を狙う戦争法案と並び、教育現場で今夏、「子どもたちを戦争にみちびく教科書」を阻止する闘いが、正念場を迎えようとしている。…」
 懐かしき金曜日サン、話は真逆であり、頑として日本の「子どもたちを戦争にみちび」こうとせず、米国の属国であり続け、言うことを全て聞き、米国にカネを貢ぎ、米国に米国の「子どもたち」を使って好き放題に「戦争」をやらせてることこそ問題なんだよ。
 日本の「左」は正しい認識の下、日本の「右」を批判して欲しいね。
http://blogos.com/article/127323/
<h7gMergQ>(「たった一人の反乱(避難所)」より)
≫習ちゃん達が連日のように唱えてる日本礼賛はハードコア。≪(コラム#7837、太田)
あはは(笑)、たしかに。
これを理解し愉しめるようになるのは、まだまだ修業が必要ですなぁ。
<TTSF/Uq6>(同上)
 「南シナ海問題で米中会談、日本は道具か?」
http://bylines.news.yahoo.co.jp/endohomare/20150806-00048224/
遠藤センセ、何が言いたいかよくわかりません。
<太田>
 遠藤のおばちゃまご自身が、中共を軸とする東アジア情勢が、ご自分の理解を超える展開を見せていることに困惑しているのに、無理やり原稿を書かされているからでしょう。
 太田コラムを読みゃスッキリするのにねえ。
 ところで、このコラム筆者、せめておばちゃまくらいの困惑ぶりを感じさせて欲しかったねえ。↓
 「中国が虎視眈眈と狙う尖閣諸島奪回、その作戦全貌–中国側文献に見る島嶼作戦の戦略・作戦教義・・・」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44471?utm_source=editor&utm_medium=mail&utm_campaign=link&utm_content=list
<MH>
≫なお、ここしばらくの当コラムにおいて、 あなたが提示した諸見解に対する私の諸コメントには、 概ね納得されている、と考えていいですね?≪(コラム$7833。太田)
 概ね納得しています。
≫それとも、それ以外の疑問なのでしょうか?≪(同上)
 確かに日本型経済体制の優位性はあり、 中韓台印が真似をしているのも事実でしょう。
 日本人は英米人、欧州人と違い個人主義よりも全体主義(イデオロギーでなく空気を読むこと)で付和雷同が強く、自己都合、即ち上司や経営者の意向、それも正式命令ではなく意向でしかないものが企業・経営理念に勝る傾向が強いため、英米型の資本主義・株式市場のスキームが形骸化する場合が多いのです。
 その為、皆(行政も企業も経営者も監査法人もが)が馴れ合いでオフィシャル・ルール破りを平然と行い、それが殆ど罪に問われないことが日本型経済体制の欠陥です。
 馴れ合い経営が悪いとは言いません。ならば非上場の私企業でオーナー経営者自らがリスクテーキングして好き勝手にやればいいのです。
 例えば竹中工務店、JTB、佐川急便、森ビルは超大手でも非上場企業です。
 (彼らが馴れ合いや好き勝手を行ってるという意味ではありません)
 しかし上場企業それも大手のサラリーマン経営者が行うことが問題です。
 以下 具体例。
 [日本航空(JAL)]
 「2010年1月19日 – 親会社である株式会社日本航空および、 株式会社日本航空の子会社であるジャルキャピタルとともに東京地方裁判所に会社更生法の適用を申請。
 西松遥社長以下取締役は即日辞任した[17] 。新経営陣は、 2月1日付けで就任し、新たな会社としてスタートする。」
<https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%88%AA%E7%A9%BA%20https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%88%AA%E7%A9%BA>
*https://ja.wikipedia.org/wiki/* *%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%88%AA%* *E7%A9%BA*
<https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%88%AA%E7%A9%BA%20https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%88%AA%E7%A9%BA>
 ブログ:
 「「日本航空については言わねばならぬことがどうしてもひとつある」
 誰も書いていないけど日本航空問題の本当の闇は別な所にあるのです。
 それは彼らの最後のファイナンスがわずか一年前、 2008年に1500億円にも及ぶ金額が不正に堂々と行われてい るということに尽きるのだ。
 再生委員の調査によってもJALが数年前から債務超過( つまり倒産企業)であったことが既に明らかになっている。最後のファイナンスは2008年6月。
 問題が表面化したのが昨年9月、この時点で政府の支援が決定した訳だから、たった1年で5000億以上の債務超過に一気に陥るなんてことはどうみても説明不可能でしょう。 2008年6月の段階でアウトだったことは明白です。(当時は自民党福田康夫内閣、国土交通省は冬柴鐵三、財務大臣は額賀福志郎。)
 ということはこの資金調達は当然債務超過を知っていて、将来の返済が極めて危ういことがわかりながら、関係各社を核に無理やりはめ込んだファイナンスであり東京証券取引所がそれにお墨付きを与えて個人および個人に近い法人各社をだまして膨大な損害を与えたことに他ならない。
 これに口をつぐんでいるなら、当時の金融庁、金融機関、東京証券取引所関係者は全員違法取引もしくは詐欺罪で逮捕するべきで、さもなくば税金投入はあまりにも国民をばかにしていると言えましょう。
 こういった公募増資などのファイナンスをする主幹事証券会社のいわゆるデューデリジェンスの義務履行に関してはきちんと定められていて、少なくとも上場企業に関しては返済見込みのないファイナンスをしてはなりません。
 一般的な表現としては証券取引法の開示規制の下で公認会計士・ 監査法人および引受証券会社は、発行会社の開示情報の正確性を担保する責任(デュー・ディリジェンス責任)を課されることを通じて、発行会社のコーポレート・ガバナンスに資する。
 というのが取引法の基本概念。
 これを踏み外すことはゆるされないが、この場合たった一年で債務超過が表面化するなど、情報の正確性の担保などとこにもされていないことは明らかだ。
 さもなくば一年で一気に5000億円の債務超過に陥った経緯を明らかにせねばならない。
 つまりは返せないことがわかっていてファイナンスをした訳だ。」
http://guccipost.co.jp/blog/gucci/?p=869
 結局、この件については東証そのほかには全くお咎めなしで終焉してしまいました。
 要するに自民党政権では柵が多く倒産させられなくて、上記の不正行為を行ったが、民主党政権で継続が不可能になったということでJALの経営はもはや政治マターの問題だったわけです。
 太田さんは政権交代時に他の面から類似事項を書かれていましたが、JAL問題だけでも民主党政権の成立は大きかったと思います。
 [東芝]
 東洋経済、ダイヤモンドオンラインなどが段々指摘し始めてきた東芝のウェスティングハウス(以下、WH)問題。
 2011年05月17日の東洋経済オンライン:
 「米国原発事情【下】 東芝との合弁による「サウス・テキサス・プロジェクト」増設が暗礁に乗り上げた理由
 今年(2011年)4月、大手電力卸業者の1つであるNRGエナジーは、テキサス州ヒューストンの南方90マイルのベイ・シティでかなり以前から計画していた2つの原発建設を停止すると発表した。その2つの原発は、同社の既存のSTP(サウス・テキサス・プロジェクト=NRGが2つの電力会社と提携して運営し、それぞれサンアントニオ、オースティンの顧客に電力供給を行っている2基の原発=写真)に隣接して建設される予定だった(完成予想図:下図)。
 NRGエナジーのデイビッド・クレイン会長は、2つの新規原発建設の認可獲得について“タイムリーな形”で急に疑念が生じたのは、NRGとしてこのプロジェクトの資金調達にこれ以上関与するのはリスクが大き過ぎるからだ、と述べている。同社はすでに、3億3100万ドルという巨額の資金を投入している。
 東芝はNRCの認可をなお求めていく方針だが、実際にそれを進めるには新規の投資家およびパートナーが必要となる。アメリカでは、原発が外国企業に100%所有されることは法律で禁じられているからだ。
 このNRG=東芝プロジェクトは、福島原発事故以前から難関に直面していた。このところテキサス州では電力供給に余剰が生じているうえに、米国では技術的なブレイクスルーの後押しによって国内の豊富な天然ガス資源を活用する道が開けてきており、原発にとっては電力供給面での競合相手として存在感を増してきている。」
http://toyokeizai.net/articles/-/7000?page=3
 これが問題のSouth Texas Project
http://www.stpegs.com/#/welcome
 2014年05月09日東洋経済オンライン
 「誤算が続く東芝の原子力事業は立ち直れるか。米国の原発新設案件が前進せず損失を計上。
 久保副社長は、「2016年1月にも許可が出る見込み。許可が下りれば、(今回計上した損失310億円のうち)大半は利益として戻ってくる」と話す。もちろん、そうなる可能性もあるが、NRCの許可がさらに延期される可能性も否定できない。
 原発建設に出資する肝心の投資家も決まっていない。」
http://toyokeizai.net/articles/-/37274?page=2
 この計画、実際はどうなのか?
 NRG withdraws from Texan project 20 April 2011
 NRGはテキサスプロジェクトから撤退。
 The future development of South Texas Project (STP) units 3 and 4 looks unlikely after majority shareholder NRG Energy announced that it will write down its investments so far in the project and make no further investment.
 NRGは将来投資(2基の原発の増設)は行わないのだといってます。
http://www.world-nuclear-news.org/NN-NRG_withdraws_from_Texan_project-2004114.html
 On 19 April 2011 in a conference call with shareholders, NRG announced they had decided to abandon the permitting process on the two new units in Texas.
 NRGはテキサスの2基の原発の(増設)計画の放棄決定を宣言した。とあります。
https://en.wikipedia.org/wiki/South_Texas_Nuclear_Generating_Station
 既に3年前(記事は2014年)に放棄された計画が(あり得ないが)開始すれば損失計上 310 億円が戻ってくるのだと副社長が言ってます。
 なんというインチキなんでしょうね 。
 「2015年3月期は4000億円を目指す」(前項より)
 とはいえ、2015年3月期の決算見通しは暗いものではない。8日に明らかにした2015年3月期の営業利益見通しは3300億円。電子デバイス部門の営業利益が1800億円(前期比25%減)に落ち込む一方で、原発関連の損失がない電力・社会インフラ部門の営業利益は2.2倍の700億円を見込む。さらにテレビや白モノなどのライフスタイル部門が赤字を脱却することで、過去最高益を更新する計画だ。
 しかも、この目標はさまざまなリスクを織り込んだ保守的な数字だという。「4000億円を目指しており、3300億円は最低限としてのコミットメントだ」(久保副社長)。
 今から読むと虚しい限りですね。
 第三者委員会では 前期決算数値も 不正経理と認めているのですから、副社長が何を抜け抜けと虚偽事項を話しているのかとなります。
 JALでも書きましたが、彼ら(JAL 東芝)は上場企業ですから、投資家、金融機関は決算や新聞記事を信じて投資や貸付をしたわけです。
 東芝の場合、調達総額1兆円に渡るそうですが、その責任はどこの誰が負うのでしょうか。
 3人の経営者は単に辞任して多額の退職金を貰って悠々自適ですが、その後残された20万人(うち国内10万人)の社員は誰が面倒見るのでしょう。
 最終的にはなし崩しに国税の投入で救済となるのが目に見えています。
 誰も責任を取らない。全く刑罰の対象にならない。上場取り消しにもならない。投資家や金融機関を道連れに「救済」ファイナンスを組む。最後は国費を投入する。
 全部がなし崩しでうやむやです。
 バブル崩壊(91年)以降の日本型経済体制はこの欠陥露呈の連続の歴史であったと言っても過言ではないでしょう。
 日本がここまで経済が停滞したのは、大企業のパフォーマンスの悪さ(海外M&Aで実績を出せない。買うとWHみたくなる)。
 新興企業で例えば米テスラモーターなどの有力ベンチャーが出現しない。
 ダイナミズムと経済弾力性が不足しているのだと思います。
 シャープもアメリカならば、チャプター11適用でとっくの昔に倒産させて、今頃復活していますよ。
 それをやらずにダラダラとリストラを行うので、社員の忠誠心もモチベーションも最低に低下。優秀な社員ほど出て行ってしまいます。
 この気に乗じてサムスン、LG電子は技術者の求人急募を積極的に行っています。
 特にインバーターエアコンがそうで65歳以上でもOK。そう言えばシャープもエアコン作っていましたね
 これじゃ恐らく復活は無理でしょう。
<太田>
 敬虔なキリスト教徒・・利他主義が善いことだと思い込んでいる・・はビジネスで金儲けすること自体に罪悪感を抱いている、という話を、私は、スタンフォードビジネススクールでの体験を例に出して何度か指摘してきたところですが、株式会社なるものは、金儲けだけを目的としているのであって、英東インド会社として始まった歴史的経緯、及び、かかる制度の内在的論理に照らし、キリスト教教義に反するだけではなく、人間主義にも反するところの、悪である、という認識を我々は持つべきでしょう。
 (自由放任論の旗手である、あのアダム・スミスまで、「著書『国富論』の中で株式会社制度は所有と経営が分離する点で経営者が怠慢になるはずであると」、ナイーブかつ物足らない表現ではあれど、「株式会社批判<を>している」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A0%AA%E5%BC%8F%E4%BC%9A%E7%A4%BE
くらいです。)
 換言すれば、アングロサクソン流の理念型的な株式会社は、経営者の善意・悪意に関わらず、原則、社会に害悪を及ぼすものである、ということです。
 他方、日本流の企業は、人間主義実践集団であって、例外的に、つまりは、経営者が悪意であった場合にのみ、社会に害悪を及ぼすのであって、対蹠的です。
 私は、株式会社制度は廃止すべきである、と考えていますが、廃止しなくても、あなたが例示した日航や東芝等のように、日本流の大企業が社会に害悪を及ぼすようなことを防止するのは、さして困難ではありません。
 あなたご自身が述べられたように、政権交代によっていつでも政官業の癒着が断ち切られうる態勢を構築すること・・そのためにも野党、とりわけ野党第一党の責任は重大・・です。
 もう一つは、メインバンク制を復活することによって、銀行による企業監視を復活強化することです。(どうやって実現するかは皆さんで考えていただきたい。)
 更にもう一つは、少し前に提起したことですが、監査法人/公認会計士の準公務員化です。(非関税障壁だと言われるでしょうから実現は容易ではありませんが、中共と連携すれば実現可能性がないわけではないでしょう。)
 
<MH>
 話題一転
 猛暑に爽やかな女性アーチスト特集
 アン&ナンシーウィルソンの美人姉妹で有名な Heart
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%88_(%E3%83%90%E3%83%B3%E3%83%89)
 ルックスが80年代のゴージャス路線ですが、外部の作曲家を導入し一番ヒットしました。
 Heart – What About Love?
https://www.youtube.com/watch?v=KE5GGMhmo-M
 アン・ウィルソンは歌が上手い!
 Never
https://www.youtube.com/watch?v=zWzy5q_M5Ho
 ギターのブロンドナンシーが美人!
 2011年現在の姿。アンは過食症でブクブクに太りましたが65歳になっても声は出ます。
 Barracuda
https://www.youtube.com/watch?v=usY7vJMWjFE
 途中で乱入する若いFergieが暴れまわるのでオリジナルメンバーの影が霞むのは仕方が無いですね。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%BC%E3%82%AE%E3%83%BC_(%E6%AD%8C%E6%89%8B)
 *アデル*(Adele)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%87%E3%83%AB_(%E6%AD%8C%E6%89%8B)
 Set Fire to the Rain
https://www.youtube.com/watch?v=InwqhVflD2s
 Rolling in the Deep
https://www.youtube.com/watch?v=6zEnXc8jdEE
<太田>
 唐突ですが、「私は、「ヴィパッサナー瞑想」を「念瞑想」と呼んできたところだが、永井に倣って、今後は、「サマタ瞑想」を「止瞑想」、「ヴィパッサナー瞑想」を「観瞑想」、と呼ぶことにしたい。」(コラム#7625)と述べておきながら、その後、「ヴィパッサナー瞑想に相当する「念的瞑想」(コラム7300)という言葉を突然登場させ、爾後、「念的瞑想」という言葉しか使わなくなって現在に至っていることを「発見」しました。
 まごつかないでいただきたいと思います。
 さて、昨日、『女性セブン』(8月20日1127日合併号)が届きました。
 「岡田准一 宮崎あおい 甘くて切ない蜩の夏」といったタイトルが並ぶ表紙の中に「70年目の夏に考える日本と戦争」とあるのが異様な感じですが、この特集記事中の私の発言引用部分をご紹介しておきます。
 なお、発言者は、私と瀧澤中
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%80%A7%E6%BE%A4%E4%B8%AD
の2人だけです。
  -----------------
 「一方でこうした見方もある。防衛省OBで『実名告白 防衛省』(金曜日刊)著者である評論家の太田述正さんが言う。
 「中国の尖閣諸島等をめぐっての対日攻勢は、日本に集団的自衛権行使を解禁させ、“米国と対等”になって、アジアにおける影響力拡大を促すための“演出”で、安倍政府の動きは中国の思惑通りと見ることができます。そもそも、日中関係の歴史を紐解くと、そこには深い友好関係がある。日中関係が悪化していると報じられるなかで、昨年11月と今年4月には習近平との首脳会談が実現していることからも明らかでしょう」<(この箇所は、コラム#7826(未公開)で紹介済。)>
 ・・・
 「日米安全保障は’60年から現在にいたるまで、破棄されずに維持されている。結果として基地は今も日本に残ったままだ。それを、「”過剰な見返り”と指摘するのは、前出・太田さんだ。
 「通常、他国に駐留している国はお金を相手国に払います。それはいわば土地使用料のようなものです。しかし、日米安保の場合は、日本が駐留費を一部負担し、その額は年間4000億円ともいわれています。そればかりか、東京にある横田基地の上空は米国の管理下にあり、日本の航空機は自由に飛ぶことができません。外国の軍隊を首都に駐留させている国は他にないのに、日本ではそれが当たり前になっています。
<⇒改めて読んで気付いたのですが、「横田基地の上空」ってのはミスプリ(私の修正ミス)でしたね。私は「横田空域」と発言したのですが、こういう表現に縮小「翻訳」されてしまっていました。(太田)>
 7月30日に出た厚木基地の騒音問題の判決で、裁判所は自衛隊の飛行を差し止めました。
 自衛隊の飛行は制限されるのに、米軍の非行は許されているのです」(太田さん)
 ・・・
 「他の国の軍隊は『民間人を殺してはいけない』などといった”やってはいけないこと”だけ決められているのに対して、自衛隊は”やっていいこと”だけが決まっていて、それ以外のことはできません。自衛隊法やイラク復興支援特別措置法(イラク特措法)には自衛隊が”やっていいこと”のみが記されています。有事の際、なにが起こるかわからないなかで、許されたことしかできなければ、そうした事象に対応できるかは疑問です」(太田さん)
 ・・・
 戦場に安全が確保されている場所はない。太田さんは言う。
 「これまで自衛隊にはひとりの戦死者もいない。他国の兵を殺すこともありませんでした。
 これは奇跡であって、自衛隊が海外に出て行けば当然、負傷者や死亡者も出るでしょう。
 問題なのは、日本の場合は自衛隊は軍隊でないとされているため、”戦死者”と扱われないことです。戦前は恩給制度があり、傷痍軍人や遺族への補償がありましたが、今の自衛隊は警察官など公務員が殉職したとき等と同じ扱いになります」
 ・・・
 太田さんが指摘するのは、「国を守るのは国民の義務」という見方だ。
 「徴兵制が残っている国は減っていますが、何か起きたときにいつでも国民を徴兵できるかどうかというと、できないのは日本くらいです。民主主義の国では国民に主権がありますが、その国民には権利とともに義務があります。欧米にあるのは、国民に納税義務があるのと同様に国を維持するために守るのも国民という意識ではないでしょうか」(太田さん)
    ------------------
 全体を読んでみると、発言者2人の著書に基づいた特集記事の構成・・2人にそれぞれ「発言」させる内容を含む・・が先に決まっていて、そこに、それぞれの「発言」を切り貼りした、ということが分かります。
 だから、私が、憲法や、日米安保や集団的自衛権に触れた部分は、「瀧澤割り当て分」だったので、全く採用されていないわけです。
 しかし、中共の尖閣攻勢の解釈だけでも、「通説」と180度異なる私の持論・・同誌が私に期待した内容と異なる・・が文字になったことは、大いに意義があったと言うべきでしょう。
<太田>
 それでは、その他の記事の紹介です。
 やっぱしオカシイ外資企業。↓
 「・・・椎名さんは93年、社長の座を副社長だった北城恪太郎さんに譲って会長になった。社長在任期間は18年におよんだ。
 お恥ずかしい話だけれど、何年も社長をするうちに、私もワンマンになっていた。取締役会で役員たちは反対意見を言わないし、気にくわない報告を受けて、私が怒ったこともある。・・・」
http://digital.asahi.com/articles/ASH7W3PNXH7WULZU009.html
 「左」はアングロサクソン的通念(全球的標準)に忠実なだけだが、「右」はアングロサクソン的通念を攻撃するという反米行為をやらかしておいて意識の上では米国には事大、という精神分裂症だ。
 どっちが、より、恥ずかしいことなのかねえ。↓
 「・・・「ウエムラタカシか」。植村さんは今年6月、新幹線に乗るためJR新神戸駅の窓口に並んでいたところ、見知らぬ男から声を掛けられた。「はい」と けげんそうに答えると、男は言った。「売国奴」。植村さんが「売国奴じゃないよ」と言い返すと、男は立ち去った。・・・」
http://mainichi.jp/shimen/news/20150810ddm004040029000c.html
 外交・軍事・国内体制がことごとく弱体であったために、外国に併合されてしまった方の責任はどうしてくれる。
 自業自得で、角突き合わせていた日露のどっちかに併合される以外の算段がなくなってしまった以上、日本に併合された幸運・・さもなきゃ、朝鮮半島全体が北朝鮮化していた可能性が高い・・に感謝せにゃしゃーないよ。↓
 「・・・<日本人は、>日本は韓日強制併合が合法的に行われたとクギを刺す。「苦痛だったというのだからすまなく思うが、50年前に補償したから終わった話だ」という。最も前向きだとされる菅直人首相=当時=の談話(2010年)も、植民地支配が「その(当時の韓国人の)意に反して行われた」と言っただけで、強圧や「まやかし」は認めていない。日本人は「日本にこれをひっくり返せと言うのは、日本を否定しろということだ」という。それなら韓国人も同じように答えるしかない。「韓国人に『ああ、そうですか』と言えというのは、韓国人が誰であるかを否定しろということだ」と。・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/08/10/2015081000883.html
 過失による奇襲で始まり、故意による奇襲で終わった太平洋戦争ってわけだ。↓
 「昭和20年8月9日にソ連が日ソ中立条約を破って参戦した時点で、ソ連の宣戦布告が日本政府に届いていなかったことが8日、英国立公文書館所蔵の秘密文書で明らかになった。宣戦布告を通告された佐藤尚武(なおたけ)駐ソ連大使が日本の外務省宛てに打った公電がソ連当局によって電報局で封鎖されていたためだ。ソ連は宣戦布告から約1時間後に満州(中国東北部)や樺太などで一斉に武力侵攻を開始。その約4時間後にタス通信の報道などで参戦を知った日本は不意打ちされた格好となった・・・」
http://www.sankei.com/life/news/150809/lif1508090026-n1.html
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太田述正コラム#7840(2015.8.10)
<21世紀構想懇談会報告書(その4)>
→非公開