太田述正コラム#7630(2015.4.27)
<2015.4.25東京オフ会次第(続々)>(2015.8.12公開)
補足1:笠原一男
 私が大学の教養時代にそのゼミを取ったところの、笠原一男(1916~2006年)教授(当時)が、浄土真宗研究をライフワークにしながら、その浄土真宗を軽蔑しきっていた、という話(コラム#3937)を改めてした上で、その理由がますます良く分かった、と、私は、オフ会の質疑応答中に述べた次第だが、彼のウィキペディア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%A0%E5%8E%9F%E4%B8%80%E7%94%B7
を読んでみたところ、「日本中世宗教史(鎌倉仏教)が専門で、社会経済的基盤からみた、浄土真宗本願寺の研究に取り組み、創価学会、立正佼成会など現代の新興宗教にも研究を広げ、『立正佼正会史』編纂などに従事。『女人往生思想の研究』は、平安時代には普通に認められた女人往生が、鎌倉時代に入ってから認められなくなったことを示した代表作である。」とあり、その後の笠原が、日蓮宗系の新興宗教に関心を移し、(今度は敬意を表しただろうが、)何と、立正佼成会の正史編纂を仰せつかっていたことを知り、うたた感慨を催した。
 それにしても、用語からして鎌倉仏教全体ではないとして、そのうちの浄土教各宗派なのか、そのうちの浄土真宗なのか、は知らないが、女性の往生(つまりは悟り)を否定するなんて、釈迦の冒涜である上、むしろ女性優位だったところの、縄文モードの完全否定でもある。
 知らなかったけど、不快な話だ。
補足2:カンボディアの仏教とポルポトによる大虐殺
 「講演」原稿の中でも、実際の「講演」でも、触れようと思いつつ、触れ忘れた表記について。
 ポルポト(1928~98年)は、「<一つの説によれば、>伝統に従って、読み書きを習うため寺院で生活した。寺で6年間過ごし、2年間は僧侶になっていた・・・。・・・
 <もう一つの説によれば、>水田で農作業をしたことはなく、6歳の時にプノンペンへ送られ、・・・寺院で1年間見習いをしたあと、8歳の時にカトリックの私立エリート校・・・に入学し、そこで6年間過ごした。・・・
 1976年・・・に、ポル・ポトは民主カンプチアの首相に正式に就任し、地方で大粛清を始め、徹底的な国家の改造を行った。ポル・ポトが目指したのは中華人民共和国の毛沢東主義を基盤にした「原始共産主義社会」であり、資本主義の要素を全て否定することであった。また、カンボジア仏教からも自我の否定、戒律、転生などいくつかの観念が援用されていた。・・・<ところが、>仏教もまた弾圧の対象とされ、多くの僧侶が強制的に還俗させられ、寺院が破壊された。ポル・ポト政権下において、仏教は壊滅的な打撃を受けた。・・・
 ポル・ポト政権下での死・・・者数は・・・<75万人説から170万人説まである。>」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%9D%E3%83%88
 ポルポトの生い立ちについて、どちらの説によろうと大差はなく、前の方の説・・本人自身が語ったもの(上掲)・・ならなおさらだが、彼が、上座部仏教とヒンドゥー教の習合宗教の影響下で人となったからこそ、仏教的なタテマエを掲げつつ、ホンネで、あんな恐るべき、ヒンドゥー教的な蛮行を実行できた、と、私としては見ているところだ。
補足3:中共における役所・役職の序列
 中共政府の組織図では、外務省が筆頭になっていて国防省はずっと下の方だ、との指摘が出席者から出たので、中共=軍であって、軍以外の全政府機関はその下、という序列なので、政府機関としての国防省は、看板だけの存在に過ぎない、と注意喚起しておいたが、その折、党の対外連絡部長と、政府の外交担当国務委員(副首相級)とはどちらがエライのだろう、と問題提起をした。
 そこで、少し調べてみた。
 まず、「中国共産党中央対外連絡部は、中国共産党中央委員会に直属し、中国共産党の党外交を推進する機構」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E5%85%B1%E7%94%A3%E5%85%9A%E4%B8%AD%E5%A4%AE%E5%AF%BE%E5%A4%96%E9%80%A3%E7%B5%A1%E9%83%A8
であり、現在の対外連絡部長の王家瑞は、<党>中央委員だ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8E%8B%E5%AE%B6%E7%91%9E
 また、国務委員とは、「中華人民共和国国務院の構成員であって、国務院常務会議に参加するもののうち、国務院総理・国務院常務副総理・国務院秘書長以外のもの」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E5%8B%99%E5%A7%94%E5%93%A1
であり、現在の外交担当国務委員の楊潔チは、<党>中央外事工領導弁公室主任を兼ねているが、<党>中央委員候補に過ぎない。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A5%8A%E6%BD%94%E3%83%81
 ということは、対外連絡部長>外交担当国務委員、のように見えるが、王家瑞の対外連絡部長の前任の戴秉国は、その後、外交部副部長に復帰し、次いで、党中央委員会外事弁公室主任に就任し、更に、外交担当国務委員/党中央委員になっている
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%88%B4%E7%A7%89%E5%9B%BD
ので、(党中央外事工領導弁公室主任=党中央委員会外事弁公室主任、だとして、)外交担当国務委員>対外連絡部長、のようにも見える。
 よって、相変わらず、さっぱり分からないままだ。
 遠藤誉おばちゃまが教えてくれないものか。
補足4:ギリシャデフォルト
 質疑応答の中で、ギリシャはデフォルトするのではないか、と述べたところだが、下掲のように、いよいよその気配が濃厚になってきた。
 「・・・24日の財務相会合では、資金が枯渇しつつあるにもかかわらず、支援条件となる改革の準備に後ろ向きなギリシャへの批判が高まった。
 スロベニアの財務相は、3カ月間続いている協議に成果が得られないことから、おそらくユーロ圏財務相はギリシャのデフォルトに備え、プランBに関する協議を開始するべきだとの認識を示した。・・・
 ドイツのショイブレ財務相は25日、ギリシャのデフォルト(債務不履行)に備えた対策を準備していることを示唆した。・・・」 
http://www.msn.com/ja-jp/money/news/%e7%8b%ac%e8%b2%a1%e5%8b%99%e7%9b%b8%e3%80%81%e3%82%ae%e3%83%aa%e3%82%b7%e3%83%a3%e3%81%ae%e3%83%87%e3%83%95%e3%82%a9%e3%83%ab%e3%83%88%e3%81%ab%e5%82%99%e3%81%88%e3%80%8c%e3%83%97%e3%83%a9%e3%83%b3%ef%bd%82%e3%80%8d%e6%a4%9c%e8%a8%8e%e3%82%92%e7%a4%ba%e5%94%86/ar-BBiIaAR?ocid=iehp#page=2