太田述正コラム#7911(2015.9.15)
<皆さんとディスカッション(続x2751)>
<太田>(ツイッターより)
 「中国の軍拡「脅威」78.9%…」
http://www.sankei.com/politics/news/150914/plt1509140014-n1.html
 世論調査主体が「左」か「右」かで答える方も手加減する、という感じだが、それにしても、安保法制の早期成立にはこの調査でも反対が多い。
 この日本国民の非論理性には、奮闘してる習ちゃんも頭抱えてるだろうな。
<よこ>(同上)
 中国が日本に攻めてくれば明らかに個別的自衛権の問題。
 それに集団自衛権を絡めるほうが一番非論理的ですが。憲法(法律)を平気で破るのは中国と一緒。
 安倍内閣や外務・防衛官僚の嘘八百もいい加減にしないと。
<太田>(同上)
 今回の安保法制中の集団的自衛権行使に踏み込んだ部分については、宗主国サマの「指示」に従ったものであり、安倍政権は、個別的自衛権の行使対象の拡大でお応えすることも不可能ではなかったところをあえてそうしたわけです。
 どちらにせよ宗主国サマは満足され日米安保の実効性が強化されるんだから、日本国民は中共の脅威を感じてるのなら安保法制の早期成立を望まにゃオカシイんですよ。
 他方、集団的自衛権に踏み込んだからこそ、日本が「独立」への第一歩を踏み出した、と習ちゃんも目を細めておられるって構図なんですな。
 アナタ、ワーカリましたか?
<よこ>(同上)
 インテリジェンス能力がほぼゼロで、集団的自衛権行使の判断がほぼ100%アメリカ様依存の日本のどこが「独立」なんですか?
 今までは個別的自衛権で断れたのに、これからはますます隷属するに決まってるじゃないですか?
 笑わせるのもいい加減にしてください。
<太田>(同上)
 日本に(核を除き)領域的脅威はないわけですから、領域的脅威が切迫した時に集団的自衛権行使を米国に求められたら拒めないもののそんな事態は起こり得ないのであり、今回、集団的自衛権行使を(部分的に)解禁した、という抽象的な「成果」だけが残るってことです。
 (例えば、中東で米艦艇が攻撃を受けたって、集団的自衛権行使は権利に過ぎないのですから、行使しなくたって、英仏独等と同じで、誰も文句なんか言やしません。)
 しかし、例えば、仮にトランプのような人が米大統領になって日米安保の双務化を要求したら、部分的であれ、集団的自衛権行使を解禁した以上は、更なる憲法解釈「拡大」はできないのでお断りします、ということにはなり得ない、と思いませんか?
 以上は、習ちゃんの心中を忖度したものでもあるんだけど、その習ちゃんは、今後とも、「独立」させるまで、日本に軍事的「脅威」を与え続けるでしょうね。
<太田>(同上)
 「爆買いの裏に隠された深刻な中国の<医療>…病院に行かずに治したい、鍼<等>も効かない、漢方薬でも治らない、西洋薬は欲しいが、外資系ブランドの薬は少なく、中国企業の製品は心配…この深刻な悩みを解決する…日本の医薬品…」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44781?utm_source=editor&utm_medium=mail&utm_campaign=link&utm_content=top
 ナルホド!
<太田>
 それでは、その他の記事の紹介です。
 こんなヨタ話を垂れ流してるヒマがあったら、真剣に転職先を探した方がいいのにねえ。(太田)↓
 「・・・憲法学者の山元一(はじめ)慶応大学教授(53)<いわく、>・・・安倍政権は昨夏、政府が違憲としてきた「集団的自衛権の行使」を合憲とする解釈変更を閣議決定した。憲法学者らが作る「立憲デモクラシーの会」は「立憲主義を根底から否定する行為である」との抗議声明を出した。山元さんはこうした論法に違和感を覚えた。
 発想の核には、「解釈改憲」がこれまで2回行われたという認識がある。
 <これだけで、日本国憲法に規範性がないのは明らか。(太田)↓>
 1度目は、自衛隊の存在を合憲であるとする解釈が行われたときだ。・・・「0を1に変える大変化で、まさに解釈改憲でした。ただしその新しい解釈は、時間を経る中で法的・社会的に承認されてもいった。解釈改憲には憲法を創造的に発展させる面もあったと見ます」
 2度目の解釈改憲が今回だ。政府は40年以上も「行使できない」としてきた集団的自衛権を「行使できる」に逆転させた。・・・
 解釈文化が憲法の軽視に陥らない条件は何だろう。
 <1度目の解釈改憲がチミの言う要件を充足してないのはこれいかに?(太田)↓>
 「自由で民主的な討議を行える状況です。政府には、平和主義を尊重し、自身の提案する新解釈が必要かつ合憲であると厳格に論証する責任が課されます」。その条件に照らしたとき、現政権による安保法案の「提案」はどうか。
 「自由や個人、平和主義を軽侮する政権がこの提案を担うべきではない。法案自体も時の政権が拡大解釈してしまう危険への歯止めが不十分で、廃案とすべきだ」・・・
 <そんなこと言い出したら、憲法の条文がどんどん減るばかりだぜ。(太田)↓>
 法哲学者の井上達夫・東京大学教授(61)<は>・・・現実と9条の文言がかけ離れていることに欺瞞(ぎまん)を見て、「9条削除」論を主張してきた。安保法案には批判的だが、「9条に照らして安全保障政策を考えるという論じ方とは、もはや決別すべきだ」とも訴える。・・・
 <憲法解釈の変更と特定の政権の対外政策とは次元が違うでー。(太田)↓>
 安保法案には反対の立場に立つ。「米国の世界戦略のコマの一つとして巻き込まれることになる」などと近著でも批判した・・・」
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11964385.html
 その通りなのであるよ。↓
 「・・・「色道ふたつ(男色と女色)に寝ても覚めても」邁進(まいしん)する、と井原西鶴が『好色一代男』で書くように、日本にはもともと性を「道」として捉える文化がある。・・・
 しかしそうした豊穣な価値観は一夫一婦制の法制化をふくむ近代化<(欧米化と言って欲しかったね。(太田))>によって封印される。・・・」
http://www.yomiuri.co.jp/life/book/review/20150907-OYT8T50118.html?from=ytop_ymag
 
 それよきゃ、隣国台湾での公共交通カードに波多野結衣の写真採用(コラム#7877)、もっと注目されるべきだな。↓
 <このコラムの筆者である台湾の知識人、性の問題で羞恥心があるのか何を書いてるのか定かじゃない部分があるが、どうやら、上記の背景には、大きな社会運動があるみたね。それは、国民党、民進党に次ぐ事実上の第三党(現台北市長の柯文哲支持集団)だ、と言う言い方をしている。(太田)↓>
 EasyCard Corp’s decision to feature images of a Japanese adult video star on a series of special-edition cards is probably the first time that so much public money has been splashed out on overseas pornographic products・・・
 This is what the so-called “white force” political arrivistes — a group that gathered around Taipei Mayor Ko Wen-je (柯文哲) during the election campaign — have managed to accomplish. The white force has become very fashionable and it has succeeded in becoming the third political force in Taiwan. With political players of all weights pandering to it for support, who knows how far Taipei’s patronage of pornography will go?・・・
  The white force has already proven that it possesses considerable skill when it comes to suppressing dissent. ・・・
http://www.taipeitimes.com/News/editorials/archives/2015/09/14/2003627653
 ↑柯文哲って面白そうな人物だね。↓
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9F%AF%E6%96%87%E5%93%B2
 直観的に言えば、台湾の日本化の担い手ってカンジだな。
 (国民党はファシスト党、民進党は米国党、だと思えばよろしい。)
 彼が、将来、台湾総統になって、習ちゃんと日本化・・台湾の場合は日本回帰と形容すべきだけどね・・で競い合うようになったら面白い。
 モチ、そうなりゃ、柯-クンの一方的勝利になるだろうが・・。(太田)
 欧米は中共サマの経済頼りで生きながらえており、その中共サマの経済政策は信頼できる、とするコラムだ。
 (さーすがガーディアン(太田)。)↓
 ・・・The western world continues to depend on a life-support system, namely zero interest rates, combined with Chinese growth. What if the latter falters? That is why western markets have suddenly started panicking. In Beijing there is concern, not panic. Their challenges seem manageable in comparison.
http://www.theguardian.com/commentisfree/2015/sep/14/chinese-economy-western-markets-china
 先の大戦中に、「麗しい」米ソ協力・・ちゅうか米のソに対する気前のよい軍事援助・・を振り返る記事だ。
 (未公開コラムでも指摘したばかりだが、ローズベルトとスターリンという、広義のリベラルキリスト教徒同士の狂気と狂気のランデブーだったワケ。(太田))↓
 ・・・For a generation now used to decades of ideological sparring between the two superpowers, it may come as a surprise that before the second world war the two nations were largely open to each other: US engineers helped modernise parts of Russia’s economy while prominent Soviet pilots were greeted as heroes in the US as they set records for flying non-stop from Moscow, via the North Pole, to California.・・・
 As Nazi Germany invaded the USSR in 1941, America under President Franklin D Roosevelt was quick to provide a significant amount of aid to the allies, including Russia, in the form of nearly 8,000 warplanes to fight the common enemy.・・・
http://www.theguardian.com/world/2015/sep/14/russia-american-lend-lease-friendship-world-war-two
 EUを揺るがす難民、ユーロ、英脱退、といった諸問題はEUを瓦解させるかも、とさ。↓
 ・・・the current cocktail of problems facing Europe — refugees, the euro and the danger that Britain might leave the union — look far more likely to overwhelm the EU than to strengthen it. ・・・
 <そもそも、EUのかなりの部分が準不況下にある、と。↓>
 These arguments are also taking place against an ominous backdrop. Large parts of the EU remain sunk in a semi-depression with high unemployment and unsustainable public finances. ・・・
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/7e9a64a0-5ac3-11e5-9846-de406ccb37f2.html#axzz3lljAWkmQ
 英労働党新党首のコービンは、ハマス、ヒズボラ、ベネズエラのオトモダチで、ウクライナ紛争の責任は米国政府にあるとし、米軍によるオサマ・ビンラディンの暗殺を「悲劇」とコメントした、筋金入りの反米主義者だとさ。
 (たまにはそういうのもエーんじゃない?(太田))↓
 ・・・Mr. Corbyn espouses a foreign policy whose guiding principle is to oppose the United States and Israel by all means. It has led him to label as “friends” such disparate political forces as Hamas, Hezbollah and the populist government of Venezuela and to accept funding from organizations designated by the U.S. government as terrorist groups. Mr. Corbyn endorsed the Iraqi insurgents who fought U.S. troops and equated the Islamic State’s overrunning of Iraqi cities with the 2004 U.S. offensive in Fallujah. He said that Washington, rather than Moscow, is to blame for the civil war in Ukraine. In an interview with Iran’s state television channel, he called the U.S. raid that killed Osama bin Laden a “tragedy.”・・・
https://www.washingtonpost.com/opinions/the-threat-of-jeremy-corbyns-radically-anti-american-agenda/2015/09/14/729b816a-5b00-11e5-b38e-06883aacba64_story.html
 豪州でクーデタ的に首相交代がなされたが、新首相は人為的地球温暖化否定論者なのね。↓
 Tony Abbott is out of a job, and another leading climate-change skeptic may soon follow・・・
https://www.washingtonpost.com/news/worldviews/wp/2015/09/14/tony-abbott-is-out-of-a-job-and-another-leading-climate-change-skeptic-may-soon-follow/