太田述正コラム#7740(2015.6.21)
<内藤湖南の『支那論』を読む(その21)/私の現在の事情(続x62)>(2015.10.6公開)
 「もし日本が支那と衝突し、不幸にして兵力を用いるというようなことになった時、そのために支那を土崩瓦解に陥らしめて収拾することが出来ぬようになり、その責任を全部日本が負わなければならなぬということになりはせぬか…日本人はしばしばこういう杞憂を懐いている。しかしこれは支那の国家の成立、支那の社会組織の歴史を全く知らぬものの考えるところである。・・・
 支那の事情は・・・あたかも蚯蚓(みみず)か何かのごとき低級な動物と同じようなもので、一部分を切っても他の部分はそれを感ぜずに、依然として生活を続けておるというような国柄に出来ている。・・・
 もっとも排日運動は随分数年来継続していて、教科書にさえ書き入れてあるくらいといわれるから、不良学生団の運動は都会で圧えられると、散乱して田舎へ拡まって手のつけようがなくなるだろうと考える人もあるが、それも支那事情を知らぬものである。都会であれば群集心理で、いろいろ纏まった運動が出来るが、田舎へ散乱すると脅迫して資金を調達し得るほどの大商人が無くなる。学生が地方の農民等の日用品である日貨の売買に邪魔<(注29)>でもしようものなら、反ってそれが排斥されるかも知れぬのである。・・・
 (注29)日貨排斥「08年の第二辰丸(たつまる)事件(辰丸事件)に関するもの以下,09年の安奉鉄道改築問題,15年の二十一ヵ条要求反対,19‐21年の五・四運動と続き,ことに1923年の旅順・大連回収要求運動以降は,中国共産党の成立,労働運動の激化等を反映して,経済絶交運動と名を改め,1925,26年の五・三〇事件に関連する運動,1927,28年の山東出兵反対,1928,29年の北伐,済南事件に関するもの,1931,32年の満州事変,上海事変に反対する経済絶交運動など十数回におよんだ。」
https://kotobank.jp/word/%E6%97%A5%E8%B2%A8%E6%8E%92%E6%96%A5-1385381
⇒1919~21年の五四運動において、既に、「<支那>各地の学生も・・・北京の学生・・・に呼応して全国的な反日・反帝運動に発展した。労働者によるストライキも全国的な広がりを見せ・・・た。・・・またこの運動は、その広がりの過程において日貨排斥運動へと性質を変え、<米国>等でも華僑等の誘導による不買運動がみられた」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%94%E5%9B%9B%E9%81%8B%E5%8B%95
というのに、「蚯蚓か何かのごとき低級な動物」のような蔑視的表現まで用いたヨタ話は言語道断である、と亡き内藤を譴責したいくらいです。(太田)
 支那の社会というものが一種の安全性を持っていて、赤化宣伝等が数年来しばしば試みられても、何の効能もないのは、支那に著しい免疫性があるためであって、この根底は非常に深い。」(273~275)
⇒内藤が、支那の、過去についても、当時の状況についても、全く分かっていないことが、ここに至ってはっきりした、と言ってよいのではないでしょうか。
 累次、予言を的中させた内藤でしたが、それらは、ことごとく、根拠レスのまぐれ当たりに過ぎなかった、ということになりそうです。(太田)
(続く)
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          –私の現在の事情(続x62)–
1 パソコン
 パソコンが変調をきたし、K.Kさんのお手を大変煩わせることになったのは、「ディスカッション」でご承知の通りです。
 有料読者メーリングリストが昨年12月時点のものに戻ってしまったことから、私がリストを最新のものにするまでの間、また、その後においても、チョンボを繰り返し、有料読者の一部にコラムが届かなかったり、等、対処の過程で読者の皆さんに種々ご迷惑をかけてしまいました。
 実はこの関連で、昨日から本日にかけて、もう一つやった作業があります。
 それは、IEのお気に入りの整理です。
 何と、コンテンツが、勝手に複製されて基本的に5倍に増えてしまい、見た目も使い勝手も悪いので、5分の4を一つずつ削除し、ついでに、この際とばかりに、殆んど使っていないものも、場合によってはフォルダごと、大量に削除しました。
 (一部想い出のものは残しましたけどね。)
 幸い、腱鞘炎にはならなくて済んだようです。
 それにしても、ITの世界じゃ、(私のパソコン群はK.Kさんのおかげで相当整備されているわけですが、)相当整備されたシステムであっても、信じられない出来事が、しかも、同時多発的に起き、しっちゃかめっちゃかになりうるってことが骨身にしみて分かりました。
 これまで、偶発的な核爆発や核戦争が起きなかったことは奇跡に近い、と改めて慄然としましたし、今後のAI化社会の進展でとんでもない事故が多発するようなことにならないことを祈るばかりです。
2 オーディオ
 そもそも、今次パソコンのトラブルの発端は、オーディオファイルの異常だったわけですが、komuroさん提供のヘッドフォンが壊れるというおまけまで付き、ご案内のような経緯で、ゼンハイザー(Sennheiser)社のHD650をヨドバシカメラで昨日買ったところ、本日、夕刻に届きました。
 今、このヘッドフォンで、次回の一人題名のない音楽会・・Fischerの追補なのですが、チャイコフスキーの3曲が取り上げられ、いずれも素晴らしいので乞うご期待です・・等の曲を聴きながらこのコラムを書いています。
 この新品のヘッドフォン、今までのものよりも更に音が豊饒になった感じがします。
 
3 米
 ようやく、ストックしてあった最安価米を食べ終わり、昨日、買ってきた、毎日訪れる2つのスーパーで単価が一番高い米(新潟コシヒカリ・三太郎農園。2kgで消費税抜きで1500円。精米日6月12日。)・・・密閉容器に入れて冷蔵庫で保管・・を1合炊いて、本日、昼、夜と食べました。
 驚いたのなんのって・・。
 洗米の時から見た目と感触が今までと全然違っており、炊き上がった時は、文字通りふっくらとした銀シャリって感じでしたね。
 いやーおいしかった。
 この見栄えの良さとおいしさに、米そのものの品質、及び、米の新鮮さ、がそれぞれどの程度寄与しているのか、知りたいところです。
 試そうと、安米を買おうにも、2kgのものがなさそうなので、このまま、原則、最高級米で転がして行こうと思っています。 
 (なお、保温して夕食の時に食べたご飯は、格段に味が落ちていました。
 どうやら、安い古米の唯一のメリットは、保温しても味がそれほど落ちないところにあるってことになりそうです。)
 少なくとも、米じゃない、炊飯器だ、というのは都市伝説に過ぎないことははっきりしました。